配管工になるには?仕事の内容や年収、必要な資格について詳しく解説

「配管工とは、具体的にどんな仕事なのだろう?」
「配管工は将来的に有利な職業なのか?」

配管工といえば、ゲームの「スーパーマリオ」の職業として知られています。しかしその業務内容について、具体的によく知らない方も大勢いらっしゃるでしょう。

この記事では、配管工の仕事内容や向いている人、転職市場での状況などについて詳しく説明しています。

配管工の仕事に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ最後までご一読ください。

配管工とは?

配管工とは建築業における職種のひとつで、一言でいえば「管工事をする職人」です。

ライフラインや商業施設、工場などあらゆる場所の配管工事を請け負います。

配管の材料は、鉄やステンレスなどの金属や、塩化ビニールやポリエチレンなどのプラスチックなどさまざまで、用途や工事場所によって使い分けられています。

材料によって配管方法も異なるため、専門的な知識と豊富な経験が求められる職種です。

配管工になるためには、とくに経歴や資格を問われることはありません。

専門学校や職業訓練校で学んでから就職といった方法もありますが、管工事関連の企業に就職して技術を学ぶのが一番の近道となります。

配管工が活躍できる職場は?

配管工事では、現場で取り扱われるものによって求められる仕事内容はさまざまです。

それぞれの配管によって、必要とされる技術や知識が異なります。

おもな業務内容は次の通りで、新規工事・メンテナンスが業務の中心となっています。

空調配管工

空調配管工は、ビルや商業施設などにおける空調の配管工事をするのがおもな業務です。

建物内部の冷暖房に使用する冷温水・蒸気・冷媒を循環させるための配管や、排気ダクトなどの配管をすべて請け負います。

空調配管は床下・天井・壁の中など基本的に狭いスペースでの作業となり、工事には銅管や鋼管、塩化ビニール管などが使用されます。

衛生配管工

衛生配管工は、建築物の給排水に関する配管工事が主な仕事です。

大きく分けて建築物の外にある上下水道へつなぐ配管と、建築物内の水道やトイレ・浴室などへの配管の2種類となります。

給排水、とくに排水の配管は汚れがたまって詰まることがあるため、詰まり防止の対策と定期的な点検の業務も発生します。

建築物外部の下水道への配管に関しては、有毒ガスの発生による中毒やゲリラ豪雨などによる事故の可能性があるため、慎重な安全対策が必要です。

配管には鋼管・ステンレス管などの金属管や、塩化ビニール・ポリエチレンなどのプラスチック管が使用されます。

ガス配管工・医療ガス配管工

ガス配管工は、建築物内にガスを供給するための配管工事が主な業務です。

病院で使用する酸素や窒素などの配管を担当する配管工は「医療ガス配管工」として区別されています。

ガスの配管は万が一漏れてしまうと、爆発や中毒など生命にかかわる大事故が発生するため、ガス配管は慎重な作業と高い技術力が求められます。

ガス配管に利用されるものの多くは、鋼管やポリエチレン管です。

鋼管を利用する場合は、配管を溶接する作業も多く発生しますので、周囲の安全にはとくに気を配る必要があります。

防災設備配管工

防災設備配管工は、スプリンクラーなど消火設備の配管がおもな業務です。

消防法上で防災設備の設置義務がある場所では必須となる配管で、貯水槽から各所に至るまでの配管を実施します。

防災設備という性質上、いざというときに確実に性能を発揮できなければならず、専門的な知識も必要です。

内部の圧力が高くなるため配管には鋼管を使用することが多かったのですが、近年ではポリエチレン製のパイプもよく使用されるようになっています。

プラント配管工

プラント配管工は、工場内における配管全般を請け負う仕事となります。

工場内の配管は一般の建築物とは異なり、高圧ガスや蒸気、各種科学薬品などの特殊な配管が並んでいます。

配管の接続ミスや破損、漏れなどがあった場合は大事故につながる危険性が非常に高い状況です。

そのため工場内の配管では、専門性が高く高度な技術を持った配管工が施工します。

使われる配管は一般的な鉄や塩化ビニールのパイプから、特殊な樹脂などを使ったものまで多種多様です。

施工に特殊な技術が必要な原材料の配管もあり、その部分は専門の工事業者が請け負うこともあります。

配管工に向いている人とは?

配管工になるためには学歴や特別な資格は必要なく、どなたでも未経験からチャレンジできます。

そのうえで次にあげるような特徴を兼ね備えている方は、配管工にとくに向いているでしょう。

もの作りが好き

ものづくりや組み立て作業が好きな方は、配管工に向いています。

配管工事は、さまざまな形のパイプや継手を決められたスペースに収まるように加工して、必要な場所へつなげていく作業です。

うまく配管するにはどうすればよいか考えながら作業するのは、パズルやプラモデルを組み立てる感覚に近いです。

何かを組み立てて完成させる作業が好きな方は、配管工にピッタリの特性を持っているといえます。

空間認識能力が高い

空間認識能力の高さは、配管工に求められる能力のひとつです。

新規工事では、何もない場所に配管を通していきます。

どの場所にどうやって配管を通すかを考えられないと、最終的にスペースが足りなくなったり配管が通せなかったりということが起こるのです。

配管の図面を見て立体的に配管をイメージできる能力があれば、実際の工事の際には非常に重宝されます。

コツコツと真面目に取り組める

配管工事は地道な作業が多いため、コツコツと真面目に取り組める方が向いています。

配管工事では同じ作業の繰り返しとなり、完成まで時間がかかることも多いです。

また少しのミスが事故につながるため、慎重な作業も求められます。

そういった作業が苦にならず、我慢強くこなせる方は配管工に向いていますし、スキルも早いうちから確実に身につけられるでしょう。

協調性が高い

協調性の高さも配管工には求められます。

工事は一人だけで作業するものから、大人数でチームを組んで施工するものまでさまざまです。

大規模工事になればなるほど人との関わりが増えるため、そのような中で他の配管工と連携して協力できれば、工事の精度やスピードにもよい影響を及ぼします。

コミュニケーションや協調性を大切にして作業に取り組める方は、配管工に向いていますしチームのリーダーとしての役割も期待できます。

体力がある

体力の有無も、配管工には非常に大切な要因です。

基本的に配管工は体を動かす仕事です。

また工事は配管の作業だけではなく、必要に応じて材料の運搬や土木作業が発生します。

現場によっては暑さ寒さなどの温度変化も大きく、作業場から工事現場までの移動距離が遠いケースも考えられます。

そういった現場作業に耐えられるような基礎体力は必須となるため、入職前にある程度の体力作りをしておいた方が無難です。

配管工が持っているとよい資格とは?

配管工として働くには、とくに資格は必要ありません。

しかしながら仕事内容に応じた資格を持っていると、転職時に有利となるでしょう。

配管工が持っていると有利な資格については、次の通りです。

配管技能士

配管工の資格として一番よく知られているのが、国家資格の「配管技能士」です。

資格には「建築配管作業」「プラント配管作業」の2種類があり、それぞれ1級から3級まであります。

2級以上には受検資格が必要となりますが、3級は誰でも受検可能です。

試験は実技と学科となり、配管工としての基本的な技術と知識を問われます。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、7種類ある施工管理技士国家資格の中の一つです。

1級と2級からなっており、それぞれに細かい受験資格が設定されています。

2級を持っていると工事現場における主任技術者、1級では管理技術者となれます。

大規模工事では管理技術者を置かなければならない現場も多くあるため、転職時に持っていれば非常に有用な資格といえるでしょう。

難易度の高い資格としても知られており、1級の合格率は平均で20%程度です。

建築設備士

建築設備士は、建築士法に基づく国家資格です。

建築物の配管・空調を含む設計や工事管理のできる資格となっており、所持している配管工は少ないため、転職市場では非常に重宝されるでしょう。

受験には資格が必要となっており、こちらも合格率は20%前後と難関資格となっています。

その他

上記以外でも、工事現場で役立つ作業系の資格を所持していると転職時に有利です。

具体的には「フォークリフト」「移動式クレーン」「クレーン・デリック」「ガス溶接」「アーク溶接」「玉掛け」などの資格は現場でよく使われます。

もし機会があれば、取得しておくとよいでしょう。

配管工の年収は?

配管工の年収は、平均では400万円前後となっています。

ただし企業の規模・地域・仕事内容・経験・資格によって、金額は大きく異なります。

年収の上下差が大きいため、一概にこのくらいだというのは難しいのが現状です。

どの仕事でもそうですが、技術や経験の少ないうちは当然ながら年収は高くありません。しかし経験やスキル、資格の取得によって大幅に年収アップを望める職種といえます。

配管工の求人市場の状況は?

配管工の求人市場に置ける需要は、比較的安定しています。考えられる理由としては、次の通りです。

配管工事そのものは将来的にもなくならない

配管工事のおもな内容としては、新規工事とメンテナンスになります。

新築の建築物では、間違いなく配管工事が必要となります。また配管そのものは徐々に劣化しますので、メンテナンスや交換などは必須です。

ライフラインに直結する業務でもあり、機械を使った工事に置き換えるのが難しい業務内容のため、将来的に仕事がなくなるとは考えにくいでしょう。

配管工の人材不足が進んでいる

配管工事を含む建設業界では、職人の高齢化が深刻な問題となっています。

また少子高齢化の影響で若年層の職人が少ないこともあり、業界全体で人手不足の状況が続いている現状です。

そのため未経験や高齢の方でも求人は比較的多く、全体的に求人数は安定しています。

まとめ

配管工事は建築物・工場などには欠かせない工事となります。

ライフラインに直結する業務も多く、求人も比較的安定しているのが特徴です。

スキル・経験・資格があれば転職に有利なのは間違いないですが、未経験の方でも就業は可能な業種です。

経験とスキルによって年収のアップも目指せますので、興味を持った方は転職へチャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。

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