「ウインチではそもそも何ができるの?」
「ウインチを扱う仕事をしてみたいが資格は必要なのだろうか」
「ウインチの資格を取得する方法が知りたい」
ウインチ(巻き上げ機)とは、重い資材を吊り上げたり吊り下げたりする機械で、建設現場では欠かせない存在です。ただし、誰でも扱えるわけではなく、ウインチのなかでも資格を必要とする種類もあるので注意が必要です。
そこで本記事では、ウインチの種類や資格内容、使用する際の注意点などを詳しく解説します。
ウインチの資格取得を検討している人は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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目次
ウインチ(巻き上げ機)とは
ウインチとは、ドラムにワイヤーを巻きつけて、資材を吊り上げたり重量物をけん引したりする機械のことです。
自動的にワイヤーを巻きつけることで重量のあるものでも容易に持ち上げられるため、建築・土木の現場には欠かせません。ウインチが適切に使えることで、スムーズに作業を進められます。
ウインチとホイストの違い
ウインチと混同される機械にホイストがあり、それぞれの違いは以下の通りです。
- ウインチ……吊り上げ・吊り下げ・横移動
- ホイスト……吊り上げ・吊り下げ
どちらも吊り上げと吊り下げはできますが、横移動はウインチのみ可能な動きです。
ウインチの種類
ウインチには、以下の5種類があります。
- 手動式
- 電動式
- エンジン式
- 油圧式
- 空圧式
それぞれ詳しく解説します。
手動式
手動式ウインチは、名前の通り「手動」で動かすウインチのことです。
手動式のなかでも、「ハンドル式」と「ラチェット式」の2種類に分類されます。ハンドル式は、ハンドルを回転させることでワイヤーを巻き取ります。一方、ラチェット式はハンドルを引いたり戻したりすることでワイヤーを巻き取るタイプです。
動かせる物の重量が限られますが、ほかのウインチに比べると小型で軽量化されており価格も低いのが特徴です。
小型であるため、建築現場のなかでも狭い場所や家庭用として利用されます。
電動式
ウインチをイメージする時には、電動式を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
電動式のウインチは、ウインチのなかでも一般的な種類です。モーターと減速機を組み合わせて動く仕組みであり、重量のあるものでも容易に移動させられるため、多くの作業員を必要としません。
また、モーターの種類によっては、巻き取り速度の調整も可能です。
荷重は、100kg〜6,000kgまでと幅広く、電動式ウインチの用途によってさまざまな使い方ができる特徴があります。
エンジン式
エンジン式は、名前の通りエンジンを動かしてワイヤーを巻き上げるウインチです。
クランクシャフトという往復運動を回転運動に変換する仕組みを用いて、動力を生み出します。そのため、電源のない場所でも作業ができます。
非常に便利なエンジン式ですが機械1台が数十万円と高額なため、業務用として利用されるケースがほとんどです。また業務のなかでも、林業で重宝されており、伐採した木材を移動させる際に利用されています。
油圧式
油圧式とは、油圧モーターを原動機としたウインチのことです。
速度調整が可能で、主に船舶での網引き上げや船のけん引などで使用します。また、エンジン式と同様に高額なため、業務用として用いられるケースが多いです。
空圧式
空圧式は、エアモーターを原動機として利用するウインチです。
トンネルや化学工場などの防爆性が求められる場所で使用されます。エンジン式や油圧式と同じく高額なため、業務用として用いられるのが一般的です。
ウインチを扱うには資格が必要
ウインチを扱うには、「巻き上げ機(ウインチ)運転業務特別教育」の講習の受講と修了をする必要があります。
ウインチは、建設・土木現場では一般的な機械ですが、さまざまな種類があり用途や操作を誤ると、大きな事故や災害を引き起こす可能性があります。また、ウインチを安全に扱うには、機械の構造だけではなく、ワイヤーロープや力学、電気に関する知識も必要不可欠です。
労働安全衛生法によると、ウインチ(巻き上げ機)の操作は「危険又は有害な業務」に該当すると記載されており、特別教育を受ける必要があります。
過去には、林内作業車を集材機として使用し、ウインチに巻き込まれて死亡した事例が厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」に掲載されています。危険性の高い操作であるため、十分な知識と技術が求められるのです。
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育とは
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育とは、ウインチを操作する際に必要とする資格を取得するための講習です。
講習を受講することで、ウインチの操作をともなう作業が行えるようになります。講習の内容と受験資格について詳しく解説します。
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育の内容と受講資格
講習内容と受講資格は以下の通りです。
講習概要 | 「危険又は有害な業務」に指定されているウインチ(巻き上げ機)の知識と技術の習得をはかる。 |
対象業務 | 動力により駆動される巻き上げ機(電気ホイスト、エヤーホイスト及びこれら以外の巻き上げ機でゴンドラに係るものを除く。)の運転業務 |
受講資格 | 満18歳以上 |
教育内容 | 【学科】 ・巻き上げ機に関する知識:3時間 ・巻き上げ機の運転に必要な一般的事項に関する知識:2時間 ・関係法令:1時間学科 合計:最低6時間以上 【実技】 ・巻き上げ機の運転:3時間 ・荷掛け及び合図:1時間 合計:最低4時間以上 |
受講料金 | 10,505円(教材費・消費税込) |
講習は、学科と実技合わせて最低10時間以上が必要です。
また、講習の参加費用は講習機関によって異なりますが、およそ10,000〜15,000円です。また、年齢制限以外に受講資格は特になく、1日の受講で資格が取得できます。年齢制限があるのは、年少者労働基準規則により満18歳以上でないと受講できないからです。
以下のような資格を所有している人に関しては、講習科目が免除されるケースもあるので確認してみてください。
- 玉掛け
- 小型移動式クレーン
- 床上操作式クレーンなどの技能講習
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育の受講方法
ウインチ運転特別教育の受講方法には、以下の2種類があります。
- 講習会に参加する
- 通信講座を活用する
それぞれ詳しく解説します。
講習会に参加する
講習会の参加とは、機械車両の民間教育所で実施される安全教育講習に参加する受講方法です。
職場によっては毎回決まった受講場所があるかもしれません。またインターネットで「巻上げ機 業務特別教育 (地域名)」と検索すると、対象エリアにある教育所を見つけられます。
「学科と実技の両方を実施している教習所」と「学科のみを実施している教習所があるので、必ず事前に確認しておきましょう。もしも学科のみを受講した場合は、職場で実技を実施して「実技実施報告書」を提出するので、職場への確認もしておく必要があります。
通信講座を活用する
通信講座の場合は、学科を通信講座で受講して、実務講習を職場で行う必要があります。その場合は職場で「実務実施責任者」を専任し、実習を行わなければなりません。
職場によっては難しい場合もあるため、最短でスムーズに講習を終えたい場合は、「学科と実務の両方を行える教育所」を見つけるようにしましょう。
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育講習に関するよくある疑問・質問
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育講習に関して、以下のような質問や疑問があります。
- ウインチ運転特別教育講習の対象者は?
- ウインチ運転特別教育講習は助成金の対象になりますか?
それぞれ詳しく解説するので、受講を検討している人は参考にしてください。
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育講習の対象者は?
ウインチ運転特別教育講習の対象者は、労働安全衛生法によって以下のように明確に定められています。
動力により駆動される巻上げ機の運転業務に携わる人
こちらの人が講習受講の対象者です。
また、本法令で言われている動力により駆動される巻き上げ機とは、「電気ホイスト、エヤーホイスト及びこれら以外の巻き上げ機でゴンドラに係るもの以外」とあります。そのため、電動式やエンジン式のように動力を使って巻き上げるタイプのウインチを扱う際は、講習を受ける必要があります。
しかし、手動ウインチを自宅で使用するといったケースでは、講習は不要です。
参考:労働安全衛生法
参考:巻き上げ機を使用する事業者の皆様へ|佐渡労働基準監督署
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育講習は助成金の対象になりますか?
ウインチ(巻き上げ機)運転特別教育講習は助成金の対象になっています。
2023年11月時点で、厚生労働省が打ち出す、人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コースに含まれています。
受給対象の建設事業主には、以下のように条件があるので確認が必要です。
- 資本金額もしくは出資金額が3億円以下、または従業員数300人以下
- 受講者が雇用保険に加入していること
- 講習料金の支払いが事業主であること
- 雇用保険料の支払を滞納していないこと など
申請の流れは以下の通りです。
- 受給資格の確認
- 講習会への申し込み
- 管轄の労働局へ計画届の提出
- 講習を受講
- 申請書類の受け取り
- 関係書類の提出
- 助成金の受給
計画届の提出は、講習日の3ヶ月前から1週間前までと期限が決められているので、注意しましょう。
詳しくは、「建設事業主等に対する助成金のご案内(建設事業主向け)令和5年度|厚生労働省」をご覧ください。
ウインチの利用をともなう現場で労働災害を発生させないために意識するべきこと
「ウインチを扱うには資格が必要」で紹介した事例のように、ウインチを利用する作業では労働災害が発生する可能性があります。
そのため、ウインチを扱う場合は十分な準備と注意が必要です。具体的には、資材を吊り上げたり吊り下げたりする際は、落下の可能性を考えて吊り荷直下の人払いをしておきます。
また、ワイヤーの巻き上げに挟まれる事故もあるため、動かす際は近くに人がいないか確認したり、自身も防護具を着用したりするのが大切です。
普段から機械の点検を実施するようにして、故障や異常が確認できたらすぐさま利用をやめて上長に報告しましょう。
まとめ
本記事では、ウインチの概要や必要な資格などに関してを詳しく解説しました。
建設・土木現場では欠かせないのが、ウインチ(巻き上げ機)です。ウインチにはいくつか種類がありますが、電動式やエンジン式などのウインチを扱う際は資格が必要です。
危険を伴う作業なので、しっかり知識と技術を身につけて、安全に扱えるようにしておきましょう。
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