施工体制台帳とは?必要性や記載項目を徹底的に解説

施工体制台帳とは建設工事の安全管理対策のために作成する、施工に関わる企業や業者の称号や建設業許可、施工範囲や分担体制を明記した書類をまとめたものです。

この記事では施工体制台帳の概要や書類の書き方、作成時の注意点を2つ紹介します。

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施工体制台帳とは?

施工体制台帳とは、以下の情報をまとめたグリーンファイルです。

  • 施工を請け負うすべての業者名
  • 各業者の施工範囲
  • 技術者氏名

施工体制台帳の作成によって、元請業者が現場の施工体制を改めて把握できます。元請業者が現場の施工体制を把握すれば、工事品質の担保やトラブルの防止、不適格な業者が工事に参入するなどの建設業法違反を防止可能です。

公共工事、または民間工事であっても下請け契約の請負金額の総合計が4,000万円以下の場合または、建築一式工事で総額が6,000万円以上の工事については建設業法に基づいて元請け業者の作成が義務化されています。

施工体制台帳の保存期間

発注者に建物などを引き渡した後に、施工体制台帳と添付書類を5年間保管します。保管方法は書面のままでも構いませんし、電子化して保管も可能です。

新築住宅の建設工事の書類の場合は、工事を担当した営業所で10年間保存しましょう。

施工体制台帳に必要な添付書類

施工体制台帳は本紙と複数の添付書類で構成されます。

例として、以下のような書類を添付してください。

  • 施工体制台帳の本紙
  • 工事担当技術者台帳
  • 発注者との契約書の写し
  • 元請け業者と一次請負業者との契約書の写し
  • 主任技術者もしくは監理技術者の資格証明書
  • 主任技術者もしくは監理技術者の元請けとの雇用関係を証明書
  • 専門技術者を配置する場合は、その資格の証明書
  • 専門技術者を配置する場合は元請け業者との雇用関係を証明する書類
  • 再下請通知書
  • 再下請業者との契約書の写し

特に重要なのが、再下請通知書の写しです。発注者から複数の元請けが仕事を受注している場合は、元請けそれぞれで施工体制台帳を作ります

また二次請負以下の業者がいる場合は、「再下請負通知書(全建統一様式第1号-甲)」を添付してください。

施工体制台帳の作成方法

施工体制台帳には、発注者から請け負った建設工事の名称や工事の内容はもちろん、下請負業者名および分担関係や施工範囲が明示される必要があります。

そのため記載項目が多く、書類作りはやや煩雑です。施工体制台帳の作成方法について、必要な項目や書き方についてより詳細に解説します。施工体制台帳を作る際の参考にしてください。

①会社名・事業所名

施工体制台帳には必ず、工事に関わる会社や事業所の名称を書きます。元請負人だけでなく、下請負人まですべての関連会社や事業者の名称が必要です。

事業者の名称だけでなく、特定の営業所で工事を請け負う場合は営業所名まで書きましょう。また名称のみではなく、住所や連絡先なども必ず書くようにしてください。また事業所が建設キャリアップシステムに登録されている場合は、発行されたIDも追記します。

②建設業許可の種類

施工体制台帳には施工工事の内容に関係なく、工事に携わる業者の許可業種すべてを書き込むようにしてください。国土交通省が公開しているテンプレートを参考にすると、一般建設業と特定建設業許可の項目が2つに分かれています。

建設業許可には一般建設業と特定建設業許可があり、特定建設業許可は下請契約を締結した4千万円以上の工事の元請に必要な許可です。それぞれの項目ごとに、受けているすべての建設業許可を記載してください。

③工事名称・発注者名・工期・契約日

施工体制台帳には、工事名称や発注者氏名・工期と契約締結日を明記します。工事の概要を記入すれば、誰がいつ発注した工事なのかを明確にできるためです。

工事名称と一緒に工事内容も記載してください。工事内容には、工種、数量等も明記しましょう。工期の項目の『自』に工事を開始した日付を、『至』の欄には工事終了日を書きましょう。工期とは工事着工から竣工までの期間を意味します。一般的に契約締結時に設定されるケースが多いので、その期間を書きましょう。

④契約営業所

施工体制台帳には、契約営業所の情報も書きましょう。まず発注者の名称や称号、本社の所在地と営業所名称及び住所を記載します。営業所の情報まで詳細に書き込むことで、契約を交わした当事者が誰か明確にするためです。

建設工事では元請け会社の本社が契約を締結し、現場に近い支店が施工するようなケースがあります。この場合は元請け会社の本社と支店または営業所が下請け契約を締結します。

上記のような複雑なケースで、責任の所在が曖昧にならないように、発注者の氏名(称号)や契約を結んだ元請けの本社・営業所の情報まですべて記載しましょう。

⑤発注者の監督員名

施工体制台帳の発注者の監督員名・権限欄に、発注者の監督員の氏名と「権限及び意見申出方法」を書き込みましょう。発注者の監督員名とは、発注者側が配置する一次請負業者を監督し、不正やトラブルを防止する役割です。

監督員の権限や意見申出方法については、請負契約に明記されているため、記載方法は簡単です。権限欄には「請負契約書第◯条記載の通り」と書き、意見申出方法については「文書(その他の場合はその方法)による」と書きましょう。

⑥外国人建設就労者の従事状況

また施工体制台帳には、外国人技能実習生や建設就労者の就労状況を記入する必要があります。

  • 外国人技能実習生とは…日本で建設技術を学んで母国へ帰る目的で滞在している外国人。
  • 建設就労者…建設の技能実習を修了後、そのまま日本で働き続けている外国人。または一度帰国した後に日本に再入国する外国人のこと。

「有・無」が選択できるようになっているので、どちらかを◯で囲みましょう。

また元請け・下請けにかかわらず一号特定技能外国人の就労状況も記入してください。

  • 一号特定技能外国人とは…特定産業分野で一定以上の知識と就労経験を持った外国人が取得できる在留資格を持つ外国人。

一号特定技能外国人についても記載項目が設けられているので、就労している場合はチェックを入れてください。

⑦一次請負業者の会社名や住所、建設業許可

施工体制台帳の右側のページには、一次請負業者の情報を書きます。一次請負業者の会社名や住所、建設業許可についても明示しましょう。ここではすべての建設業許可ではなく、請け負った工事内容に合わせて必要な建設業許可を記載します。

記入方法は再下請通知書の内容とほぼ同じです。一次請負業者が元請負人の支店や営業所であっても、必ず記載が必要です。

⑧一次請負業者の健康保険等の加入状況

一次請負業者の健康保険等の加入状況についても明記します。この項目は一次請負業者の保険の加入状況の確認欄です。健康保険・厚生年金・雇用保険の3種類の項目があるので、以下の中から当てはまる項目に丸をつけてください。

  • 加入…各保険の適用を受ける営業所について届出が済んでいる状態
  • 未加入…各保険の適用を受ける営業所について、届出されていない状態(営業所の一部が適用を受けない場合を含む)
  • 除外適用…従業員規模によって保険適用の対象外の場合

また保険の項目の部分に「事業所整理記号等」の記入欄があるため、加入済みの場合は事業所整理記号等についても書きましょう。

⑨一次請負業者の現場代理人名、外国人建設就労者等

また一次請負業者の現場代理人の名前や主任技術者、安全衛生責任者等の氏名を記載してください。また、外国人就労者についても記載が必要です。

万が一専門工事が発生し、自社で主任技術者が確保できないなら、専門工事の建設業許可をもつ事業者と下請け契約を締結して施工を依頼しなければなりません。ただし、専門工事の総額が500万円以下の工事である場合は専門技術者の配置は不要です。

施工体制台帳を作る際の注意点

施工体制台帳は添付書類が多く、記載する項目や特殊な記載項目もあるため作成が煩雑です。ミスのない施工体制台帳を作るために、以下2つのポイントに注意しましょう。

各建設工事で作成する

施工体制台帳は、各建設工事ごとに作成する必要があります。また元請け業者が複数いる場合は、それぞれの業者で施工体制台帳を作りましょう。二次請負以下は再下請通知の添付が必要な点にも注意してください。

添付書類も併せて保管を行う

施工体制台帳は本紙と多数の添付書類で構成された台帳です。保管する際は台帳だけでなく、その他の添付書類も一緒に保管しましょう。どの書類も重要機密や個人情報を扱う書類のため、紛失は情報漏洩のリスクをはらみます。

また、万が一紛失して後ほど工事の欠陥などが見つかった場合、責任の所在が不明瞭になるリスクがあるため、鍵付きキャビネットや電子化しておくなどして保管しましょう。

まとめ

施工体制台帳とは公共工事および、一定の条件以上の民間工事で作成が義務化されています。また発注者から求めがあれば元請け業者は施工体制台帳を作らなければなりません。

施工体制台帳の作成によって責任の所在を明らかにし、また建設業法の違反を防止します。施工工事において重要な役割を持つ書類のため、内容や書き方を把握し正確な書類を作成しましょう。

また施工体制台帳は発注者への建物などの引き渡し後5年間は保管してください。保管はスキャンしてデータ化しても問題ありませんが、添付書類の漏れや誤って削除することがないようにしてください。

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