
建設業の許可とは、一定規模以上の建設業を営業しようとするとき取得しなければならない許可のことです。
建設業許可の取得には、満たすべき要件があり、申請方法には決められた手順があるので理解しておく必要があります。
また建設業許可と似た用語の建設業許可通知書や建設業許可票、建設業許可証明書などの違いを把握しておかなければなりません。
この記事では、建設業許可を取得するために必要な情報を詳しく解説するとともに、似た用語の違いなどについても説明していますのでぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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目次
建設業許可証明書とは
建設業法第3条では、建設業の許可について以下のように定めています。
「建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず建設業の許可を受けなければならない。ただし、軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくともよい」
この建設業の許可を受けている事業者は、公共工事の入札や建設工事を請け負う際に、発注者から建設業許可を取得していることを「証明する書類」の提示を求められることがあります。
この証明する書類が「建設業許可証明書」です。建設業許可証明書は、建設業の許可を受けた国や都道府県から交付を受けることができます。
建設業の許可を理解する上でのポイントは「許可の区分」です。以下に概要をまとめました。
・大臣許可
二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合
・知事許可
一の都道府県の区域内のみに営業所を設けて営業しようする場合
・特定建設業
発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結する場合
・一般建設業
上記以外の契約の場合
・業種別許可制
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事のほか、27の専門工事の計29の種類に分類されており、この建設工事の種類ごとに許可を取得する
以上の区分に留意し、自社の営業に合致した建設業の許可を取得する必要があります。
建設許可証明の要件
建設業許可を受けるには、満たすべき要件があります。以下に、要件の概要をまとめました。
①営業所に経営業務の管理責任者が常勤していること
②営業所ごとに専任技術者が常勤していること
➂契約を履行する財産的な基礎が安定していること
④誠実に請負契約を履行すること
⑤欠格要件に該当していないこと
⑥社会保険に加入していること
経営業務の管理責任者とは、対外的な責任を有する立場にあり、総合的な管理能力を執行した経験を有する者のことです。また専任技術者とは、取得した建設業許可における実務経験や国家資格を持つ者です。
財産的基礎は、一般建設業と特定建設業では要件の内容に違いがありますので注意しましょう。
会社では役員、個人事業主では本人が以下のような要件に該当する場合、建設業許可を受けられない「欠格要件」とされています。
・破産者で復権を得ていない者
・心身に故障があるため建設業を適正に営むことができない者
・過去に不正に許可を得て廃業してから5年を経過しない者
・禁固以上の刑に処され執行の終わりから5年を経過しない者
・暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
また当然のことですが、申請に置いて偽りの記載をしたり、重要な事実について記載が欠けていたりすると建設業許可を取得することはできません。
建設業許可証明書が不要なケース
軽微な建設工事のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業許可を受けなくてもよいとされています。ここでは、どのような建設工事であれば建設業許可を受けなくてもよいのかを解説します。
以下のような建設工事は、軽微な建設工事とされます。
1. 建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
この場合の「木造」と「住宅」とは下記のように定義されています。
木造|建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
住宅|住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
2.建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
以上の金額には、材料費や諸経費、取引に係る消費税及び地方消費税の額が含まれます。
建設業許可証明書の取得方法

公共工事を含む建設工事を請け負ったときに求められる建設業許可証明書の申請方法について詳しく解説します。国土交通大臣許可、都道府県知事許可では申請先が異なるので注意が必要です。
また申請から交付までの期間などについても説明します。
建設業許可証明書の申請方法
国土交通大臣許可と都道府県知事許可での、建設業許可証明書の申請方法の違いを以下にまとめました。
国土交通大臣許可 | 都道府県知事許可 | |
具体的な申請先 | 主たる営業所を管轄する地方整備局 | 主たる営業所の所在地を管轄する土木事務所など |
申請書類の書式 | ホームページにある見本を参考に作成する | 所定の書式をダウンロードする |
申請書の届出方法 | 郵送又は持参 (郵送で受け取る場合は返信用封筒を同封する) | 窓口に持参すると、その場で交付される |
費用 | 手数料は必要なし | 1部につき400円~500円 (収入証紙か現金にて支払い) |
建設業許可証明書は、申請した時点での状況が記載されます。
何らかの変更届を提出している場合は、最新の情報になっているか注意が必要です。建設業許可の変更届は、都道府県から国土交通大臣にわたるため、タイムラグが生じてしまうからです。
記載事項が実状と合致していないと偽りの記載となってしまうので注意しましょう。
交付までの期間
ここでは、建設業許可の申請から交付(取得)までの期間について解説します。
まず申請に必要な証明書類を揃え、申請書を作成するための期間が必要です。当然のことですが、申請書類作成をいかに効率的に進めるかは交付までの期間に影響します。
参考に、通常必要になる証明書と取得先を以下にまとめました。
・登記事項証明書など|法務局
・身分証明書|市役所・区役所・町役場など
・納税証明書|税務署・県税事務所など
できる限り早く取得したい場合は、地方整備局や各都道府県の土木事務所に提出予定の書類を持参して、内容に関するアドバイスを受けながら進めることも検討してみるべきでしょう。
申請書類を完成させ提出すると、申請先での審査が開始されます。
この審査の期間は、許可の種類によって、1ヶ月~4ヶ月程度と大きな幅があります。理由は、大臣許可と知事許可では審査期間に差があるからです。
審査期間は、都道府県知事許可の場合は約1ヶ月です。国交省大臣許可の場合で4ヶ月程度が目安とされています。
いずれにしろ、建設業許可通知書が届いた時点で交付が完了したということになります。
建設業許可証明書について、よくある質問
建設業許可証明書は、主に公共工事や規模の大きな民間工事で、発注者や元請などから提出を求められることが多いです。建設業許可証明書がないことで協力会社として工事に参加できないこともあります。
このように重要な証明書であるため、細かい点をもう一度正確に把握しておきたいという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「よくある質問」という形式で、建設業許可証明書について覚えておいてほしいポイントを説明します。
建設業許可証明書に有効期限はある?更新方法が知りたい
建設業許可は、登録してから5年間が有効期限です。期間の計算方法は、許可取得の日から5年後の前日までです。
有効期限後も継続して登録を受ける場合は、有効期限満了日の90日前から30日前までに更新の申請を行わなければなりません。申請すると、5年間有効期限が延長されます。
更新の申請は、許可区分の変更がなければ、新規登録時と同じ申請先になります。
更新には、4つの要件が必要になります。
・5年分の決算変更届を提出していること
・重要事項の変更届を提出していること
・監理技術者と専任技術者の要件(設置と常勤性)を満たしていること
・社会保険に加入していること
建設業者には毎年1回の決算変更届(営業報)の提出が義務付けられています。提出を怠ると更新申請が認められないので注意しましょう。
また建設業許可更新の必要書類や更新方法は、申請先によって多少違うことがあります。必ず事前にホームページなどで確認しておくことが必要です。
建設業許可通知書との違いは?
建設業許可と似ていて勘違いしやすい用語について、まとめて説明します。
・建設業許可証明書
建設業許可を取得していることを証明する書面で、許可を受けた先から交付を受けることができる
・建設業許可通知書
建設業許可を新規に取得したり、更新の許可が受理されたりしたことを通知する書面
・建設業許可票
建設業許可を取得していることを確認できる看板のことで資格の証明にはならない
建設業許可通知書は、許可がおりたことを申請者に知らせるためだけのものです。許可事項に変更があったとしても再発行されませんし、紛失による再交付もできないので大切に保管しておく必要があります。
ちなみに建設業許可証という言葉は正式名称ではなく、建設業の許可や建設業許可証明書の通称として使われるものです。
建設業許通知書をなくしたら再発行できる?
建設業許通知書をなくしたら再発行はできませんので、建設業許可を持っている証明として「建設業許可証明書」を発行してもらいましょう。
建設業許可証明書の請求先は、都道府県知事許可の場合は各都道府県の管轄窓口、大臣許可であれば主たる営業所を管轄する地方整備局になります。
建設業許可証明書の発行にかかる手数料は、地域によって多少の違いはありますが、400円程度が目安のようです。
また、建設業許可証明書の発行に必要な「建設業許可証明願」は各地域で書式が異なる場合がありますので、必ず事前に確認するようにしてください。
まとめ
建設業許可や建設業許可証明書の取得方法や通知書との違いについて解説してきました。
建設業許可と似たような用語の違いを把握することで、建設業許可関連についての理解を深めることになったのではないでしょうか。
建設業許可の取得では、許可区分と満たすべき要件がポイントになります。特に管理責任者と専任技術者の選任は申請審査の結果に大きく関わるものです。
また許可申請の申請書類を初めて作成する場合などでは、申請先から内容に関するアドバイスを受けながら進めると、スピード感と正確性を高めることになるのでおすすめです。