工事写真に用いられる黒板の書き方を5つのステップでわかりやすく解説

「どうして工事用写真には黒板が写っているの?」

「工事用黒板はどんなルールで書くべき?」

「工事写真帳の作り方は?」

工事写真帳には、資材や施工状況と一緒に工事用黒板が写り込んでいます。今回は黒板の役割と書き方のルールを詳しくお伝えします。工事写真の撮り方や写真帳の作成についても解説するので、黒板を書くのが苦手な方、初めて工事用写真を撮る方はぜひ参考にしてください!

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工事写真に用いられる黒板の意味は?役割を解説

工事現場では、施工前・施工中・施工後までのプロセスを記録した工事写真帳(または工事写真台帳)という資料を作成しなければなりません。

工事写真帳は、施主や役所の工事検査の対象となる他、万が一クレームになったり災害で建物が被災した場合、適切な施工を行ったという証拠資料にもなります。

しかし、写真だけでは、いつのどの工事の記録かが分からないため、工事の情報を記した黒板を、被写体と一緒に写し込む必要があります。

国土交通省の写真管理基準では、以下の項目のうち必要な事項を、写真の補足情報として小黒板に記載するよう定めています。

  • 工事名
  • 工種など
  • 測点(位置)
  • 設計寸法
  • 実測寸法
  • 略図

なお、本記事では「黒板」で統一しますが、工事用ホワイトボードに置き換えていただいてもかまいません。

工事写真用の黒板を書くときに意識するべき4つのポイント

黒板は、視認性の高さを意識して作成することが大切です。暗かったり狭かったり、撮影に適しているとは限らない現場の環境下で、資材や施工の様子と一緒に写し込むため、以下の4点に注意して書き込みましょう。

  1. 誰が見ても理解できるよう綺麗にハッキリと記載する
  2. 5W1Hを把握できるように記載する
  3. 黒板に記載するべき基本の内容や書き方を統一する
  4. 視認できる位置に置いて写真を撮影する

1. 誰が見ても理解できるよう綺麗にハッキリと記載する

黒板への書き込みは、一般的に見習いの職人や新入社員が担当することが多いでしょう。

撮った写真が写真帳に並ぶところを上手にイメージできないため、こじんまりと書いたり、雑にササッと書いたりしてしまいがちです。

黒板に記載する情報は、誰が見てもすぐに理解できないと意味がありません。文字は大きく濃くはっきりと、特に数字の「1」と「7」、片仮名の「シ」と「ツ」には注意してください。

また、狭い作業場所や風が強い日は、片手に黒板、片手にカメラを持って撮影することもあります。手で持つと黒板の枠部分が見えずらいので、なるべく真ん中に書くようにします。

2. 5W1Hを把握できるように記載する

黒板には、5W1Hが把握できるように情報を記載しましょう。

5W1Hとは、正確に情報が伝わりやすくなるフレームワークです。記入例を併せて、次の表にまとめました。

5W1H分類記入例
When(いつ)・撮影した日時・2023年10月4日
Where(どこで)・測点
・位置
・P3橋脚
・県道8号
Who(誰が)・立会監査人など・(株)山田建設
What(何を)・工事名
・工種
・△〇道路改良工事
・舗装工
Why(なぜ・何のために)・目的
・設計実寸
・実測寸法
・設計寸法=1350
・実測寸法=1350
・略図
How(どのように)・施工状況など・下層路盤工幅検測

3. 黒板に記載するべき基本の内容や書き方を統一する

工事黒板に記載する内容は、前述した国土交通省の写真管理基準に則って書かれますが、項目数や順番について明確なルールは定められていません。

また、実際は工事内容や工程によって5W1Hすべてを書かないこともあります。その場合は写真帳の補足事項という欄で情報を補います。

省略していい情報や必ず書かなければならない項目といった細かいルールは会社によって違うため、その都度、現場監督に指示を仰ぎましょう。過去に似たような工事をしているなら、そのときの写真帳を参照しておくのがおすすめです。

4. 視認できる位置に置いて写真を撮影する

黒板と対象物を写すときは、視認性の高さを意識して黒板の位置を決めます。黒板の記載事項と対象物がしっかり見える構図にしましょう。次の段落で詳しく後述しますが、工事写真の編集は許されていません。

屋外など黒板を立て掛けるところがない場合は、工事黒板・工事表示板用の三脚を使うと便利です。陽射しが強い日は、照り返しで文字が読めなくなっていないか試し撮りをしてください。風が強い日は、片手で直接黒板を持つか、他の作業員に頼みましょう。伸縮性の持ち手が付いた黒板も便利です。

黒板を用いて工事用の写真を撮影するときの注意点

ここからは、黒板を用いて工事用の写真を撮影するときに注意すべき点を2つ解説します。ひとつは、工事の工程で撮影するタイミングをあらかじめ決めておくこと。もうひとつは、撮影した写真に不備があっても、一切編集できないことです。

写真撮影のタイミングをあらかじめ決めておく

工事用の写真を撮影するタイミングは、各工程の施工前・施工中・完成後の順番です。

現場は人の出入りが激しいので、ジャマにならないようテキパキと撮影する必要があります。ベテランの職人であれば、作業前や作業中に「写真撮らなくていいの?」と呼んでくれますが、いつの間にか作業が進んでいることもあるでしょう。

特に撮り損ねて困るのは、資材搬入時や作業前・作業中の写真です。撮影漏れを防止するには、工程の流れをイメージした上で、あらかじめ撮影のタイミングを決めておくこと。また、現場監督にその日の予定を確認しておくことも忘れないでください。

撮影した写真を編集することはできない

工事用の写真は、国土交通省が定めているデジタル写真情報管理基準により、編集や加工が一切禁止されています。

6 写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。

デジタル写真情報管理基準 国土交通省

画像の回転、コントラスト調整、パノラマといった視認性を高めるための編集や、サイズ変更、つなぎ写真への加工も改ざんと見なされます。もし、改ざんが発覚した場合は指名停止などの処分を受ける可能性があるので十分注意してください。

※電子納品の電子的記入などは例外です。

自治体が決めたルールを確認しながら写真を撮影したり写真帳を作成する

工事用写真の編集と加工の許容範囲は、各自治体で微妙な違いがあります。

例えば、富山県は「監督員の承諾を得た上で、回転、パノラマ、全体の明るさの補正程度は認めることとする」としており、千葉市は「着手前、完成写真等はキャビネ版又はパノラマ写真(つなぎ写真可)とすることができる」としています。

また、工事写真帳のフォーマットも自治体によって決まりごとがあるため、事前に確認しておきましょう。具体例としては、こちらの松戸市 工事写真帳の作り方(pdf)が参考になります。

工事写真帳の作り方

実際に工事写真帳を作る際の流れを見ていきましょう。細かいルールは自治体によりますが、基本的には以下の順番で作成していきます。

  1. 写真管理基準の内容を確認する
  2. 必要な写真を撮影する
  3. 工事写真帳に必要な情報を記載する
  4. 写真を並べ替える
  5. 補足情報を追記する

1. 写真管理基準の内容を確認する

工事写真帳の作成は、国土交通省が定める写真管理基準を確認することからはじめます。

写真管理基準とは、全体・品質管理・出来形管理写真の撮影箇所一覧表と注意事項がまとめられた資料です。撮影頻度も記載されているので、どの場所で何回、どんな写真を撮ればいいのかが理解できます。

撮影箇所一覧表の種類と例

種類撮影頻度と撮影タイミング
撮影箇所一覧表(全体)
・安全管理・使用材料・災害・事故・補償関係外など
・監視員交通整理状況は各1回(作業中)
・使用材料の寸法、数量、保管状況は各品目ごとに1回(使用前)
撮影箇所一覧表(品質管理)
・各工種の試験・測定・調査・検査・分析・たわみ量など
・コンクリートの圧縮強度試験は種類ごとに1回(試験実施中)
・吹付工の縁か総量規制は俳号ごとに1回(試験実施中)
撮影箇所一覧表(出来形管理)
・各種工事共通・土木・河川・河川海岸・砂防・ダム・道路・その他
・盛土工の巻出しは200mごとに1回(巻出し時)
・コンクリート面塗装工の素地調整状況(塗替)はスパンごと、部材別(施工前後)

2. 必要な写真を撮影する

写真管理基準で定められた箇所と頻度に従って写真を撮影しましょう。撮影漏れが無いよう注意してください。工事用写真は、以下のように分類されます。

写真管理基準の分類

  • 着手前および完成写真(既済部分写真など含む)
  • 施工状況写真
  • 安全管理写真
  • 使用材料写真
  • 品質管理写真
  • 出来形管理写真
  • 災害写真
  • 事故写真
  • その他(公害、環境、補償など)

3. 工事写真帳に必要な情報を記載する

撮影が完了したら、工事写真帳の表紙に必要事項を記載します。一般的な記載事項は以下の4項目ですが、自治体や会社によって項目の書き方はまちまちです。公共工事の場合は、工事番号と竣工写真の記載も必要かもしれません。

  • 工事名称
  • 工事場所
  • 工期
  • 施工者名(会社名や工事責任者)

4. 写真を並べ替える

写真の撮影と表紙の作成が終わったら、最後に写真を並べ替えます。並べ方は、着工前と竣工後、施工前と施工中と完成後といった時系列を基本とします。

順序に迷った場合は、「2. 必要な写真を撮影する」で前述した写真管理基準の分類を参考にするとよいでしょう。

もっと詳しく知りたい方は、こちらの国土交通省の写真管理基準をご覧ください。

5. 補足情報を追記する

最後に、さらに工事写真帳に追加したい情報があれば補足しましょう。

不可視の出来形管理写真(中がどうなっているのか見えない)には、撮影位置図や平面図といった参考図を付け足してください。また、撮影項目や撮影頻度が写真管理基準に合致しない場合は監督職員の指示に従って追加、削除します。

電子黒板のメリット・デメリット

近年はスマートフォンやタブレットで利用できる電子小黒板を導入する会社も増えています。

電子黒板のメリットは、黒板情報が撮影する画像に写り込むため黒板を持ち歩かずに済み、対象物と黒板の構図を気にしなくていいことです。

デメリットは、デジカメで利用できないため、トンネルや粉塵が舞う高度な撮影機能が求められる現場には向かないことです。

まとめ

工事写真に用いられる黒板の書き方は、国土交通省の写真管理基準を基本とし、写真の編集や加工については、デジタル写真情報管理基準 国土交通省と各自治体のルールに従うことを徹底しましょう。

せわしない現場で、黒板を書き換えては写真を撮る作業は大変ですが、あらかじめ準備をしておけば、現場の流れに沿うことが可能です。

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