「地質調査技士」という職業をご存知でしょうか?
少しマイナーなこの職業。その仕事内容やキャリアパスについて知っているという方は少ないでしょう。
そこで今回は、地質調査技士とはどのような職業なのかや資格を取得するための試験の内容、地質調査技士のキャリアパスなどについて詳しく解説します。
これから建設業界を目指す方、地質調査技士に興味があるという方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
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目次
地質調査技士とは?
地質調査技士とは、地質調査やボーリングなどといった、各種測量をおこなうことのできる技術者のこと。「地質調査技士」という資格を取得することで、これらの業務がおこなえるようになります。
地質調査技士は、建設プロジェクトや環境保全計画に不可欠な地質や土壌の調査をおこないます。
地盤の安全性評価、土壌汚染の調査、地震リスクの分析など、多岐にわたる分野で活躍しています。
地質調査技士は、社会基盤の安全と環境保護の観点から非常に重要であり、専門的な技術と深い知識が求められます。
地質調査技士の主な仕事内容
地質調査技士は具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。
一般財団法人全国地質調査業協会連合会では、「地質調査」を以下のように定義しています。
「地質,土質,基礎地盤,地下水など地下の不可視部分について,地質学,地球物理学,土質工学などの知識や理論をベースに,地表地質踏査,物理探査,ボーリング,各種計測・試験などの手法を用いて,その「形」,「質」,「量」を明らかにする。」
地質調査はさらに細かく3つのカテゴリーに分類されます。
【学術的分野】
地球科学の一分野として、その生成過程の地質学的解明や地震予知及び地球環境を含む主に純粋な学術的探究のための地質調査で、通商産業省工業技術院地質調査所、国や大学などの研究機関から発注される。
また、この分野の将来構想としてJUDGE計画がある。これは、地球科学分野の研究者等により構想されている日本の超震度科学掘削技術を含めた全く新しい技術システムが必要だとされている。
さらに、平成7年度以降、阪神・淡路大震災を契機に関心が高まっている活断層の調査が急増している。
【資源開発分野】
石炭・石油・鉱物資源・地熱など地下資源開発のための地質調査で現在日本では、地熱発電のための調査を除いて細々と実施されている状態である。
しかしながら、戦前から昭和30年代前半くらいまでは、地質調査の主流はこの資源開発のためのものであり、建設事業分野に利用されているボーリング等の技術は、この分野で培われてきた者である。
【建設事業分野】
国土の開発や保全を目的とする建設事業のための地質調査である。現在日本では、地質調査事業の9割以上がこの分野で占められている。
引用:一般財団法人全国地質調査業協会連合会|地質調査の定義と範囲
地質調査は、建設現場での活躍が主となっており、建設予定地の地盤の形や質などを調査することが主な業務内容です。
建設現場における地盤調査や地質調査のほか、地震や土砂災害などの災害を対象とする調査も地盤調査技士の重要な業務のひとつです。
地質調査技士の仕事の流れ
地質調査技士の仕事は、建設現場や災害現場などの現場での業務だけではありません。
調査をおこなう前の準備資料の作成や、現場で調査したデータをまとめ、報告書を作成する業務なども地質調査技士の重要な業務です。
地質調査技士として働くには、現場での屋外業務と屋内での事務業務のどちらもこなす必要があります。
地質調査技士資格検定の受験資格
地質調査技士になるためには、専門的な資格が必要です。
地質調査技士資格検定試験は3部制となっており、以下の3つの部門に分かれています。
- 現場調査部門
- 現場技術・管理部門
- 土壌・地下水汚染部門
部門ごとの特徴や検定試験の受験資格などについて詳しくみていきましょう。
現場調査部門
現場調査部門の試験対象は、ボーリングに関する機器の操作を扱う者です。
現場調査部門の受験資格には、地質学、土木工学、環境科学などの学歴や、ボーリングに必要な機器等の操作をおこなう実務経験が必要です。
地質学や土木工学などの専門学校指定学科を卒業した者は、「地質調査技士資格認定証」を取得し、ボーリングに必要な機器等の操作を含んだ2年以上の実務経験が必要です。
専門学校指定学科を卒業していない場合は、ボーリングに必要な機器等の操作をおこなう実務を5年以上経験していることが受験の条件となっています。
この部門では、地質調査の基本的な知識と技術が重視され、地盤の安定性や土壌の状態を正確に評価する能力が求められます。
現場技術・管理部門
現場技術・管理部門は、地質調査に必要な現場の管理業務や土質試験、測量業務などをおこなう者が対象の試験です。
現場技術・管理部門を受験するためには、学歴ごとに必要な条件が細かく定められています。
【大学もしくは高等専門学校(専攻科)、専修学校(高度専門士)の卒業者】
大学もしくは高等専門学校(専攻科)、専修学校(高度専門士)を卒業し、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学などの専門課程の専攻を3年もしくは、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学以外の理工系課程の専攻を5年、またはそれ以外の専攻を6年経験していることが条件です。
【短期大学もしくは高等専門学校、専修学校(専門士)の卒業者】
短期大学もしくは高等専門学校、専修学校(専門士)を卒業し、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学などの専門課程の専攻を5年もしくは、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学以外の理工系課程の専攻を7年またはそれ以外の専攻を8年の経験が必要。
【高等学校もしくはその他の卒業者】
高等学校もしくはその他を卒業し8年以上の実務経験が必要。
出典:一般財団法人全国地質調査業協会連合会|地質調査技士とは
土壌・地下水汚染部門
土壌・地下水汚染部門は、地質調査(土壌・地下水汚染調査を含む)に関する現場管理や調査・計測業務を実施する者を対象とした検定試験です。
土壌・地下水汚染部門に関しても、現場技術・管理部門と同様に学歴に応じて必要な条件が細かく定められています。
【大学もしくは高等専門学校(専攻科)、専修学校(高度専門士)の卒業者】
大学もしくは高等専門学校(専攻科)、専修学校(高度専門士)を卒業し、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学などの専門課程の専攻を3年もしくは、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学以外の理工系課程の専攻を5年、またはそれ以外の専攻を6年経験していることが条件です。
【短期大学もしくは高等専門学校、専修学校(専門士)の卒業者】
短期大学もしくは高等専門学校、専修学校(専門士)を卒業し、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学などの専門課程の専攻を5年もしくは、土木工学や建築学、鉱山学、地質工学以外の理工系課程の専攻を7年またはそれ以外の専攻を8年の経験が必要。
【高等学校もしくはその他の卒業者】
高等学校もしくはその他を卒業し8年以上の実務経験が必要。
出典:一般財団法人全国地質調査業協会連合会|地質調査技士とは
この部門は、環境保護と公衆衛生の観点から、特に高い専門性が求められます。
地質調査技士資格検定の試験内容
地質調査技士資格検定では、どのような試験がおこなわれているのでしょうか。
部門ごとに実施される試験の内容は異なりますが、いずれもマークシート方式の4肢択一の問題は共通です。マークシート方式の問題に加えて部門ごとに記述式の問題や口頭試験などがあります。
具体的な試験内容について部門ごとに紹介していきます。
現場調査部門の試験の特徴
現場調査部門の試験では、地質学、土壌学、地盤工学などの基礎知識を問う試験がおこなわれます。
現場調査部門の出題範囲は以下の通りです。
- 社会一般、建設行政、入札・契約制度の知識
- 地質、測量、土木・建築一般の知識
- 現場・専門技術の知識
- 調査技術の知識
- 管理技法
現場調査部門では、マークシート方式の選択問題と記述式の問題、口頭試験がおこなわれます。
【マークシート方式の選択問題】
回答が必須の問題が約60問ほど用意されており、加えて選択して回答する問題が約20問ほどあります。選択問題は、土質分野と岩盤分野のどちらかを選択して回答する形式です。
合計で80問の設問に回答します。
【記述式問題】
ボーリング作業に関することや「工程」「安全」「品質管理」に関する内容について短い文章や箇条書きで回答する形式です。
【口頭試験】
口頭試験では、ボーリングに関する知識やこれまでの経験に関する質問がおこなわれます。質問される内容は、受験願書や各自の経験等によって異なります。
また、口頭試験では、地質調査技士として働くのに適した人物であるかに関しても採点されます。受験態度等にも気を配りましょう。
現場技術・管理部門の試験の特徴
現場技術・管理部門の試験では、地質調査における高度な技術知識と、プロジェクト管理能力が重視されます。
現場技術・管理部門の出題範囲は以下の通りです。
- 社会一般、建設行政、入札・契約制度の知識
- 地質、測量、土木・建築一般の知識
- 現場・専門技術の知識
- 調査技術の知識
- 解析手法、設計・施工への適応
- 管理技法
【マークシート方式の選択問題】
4肢択一式の問題が全部で約100問ほど出題されます。
【記述式問題】
倫理綱領に関する問題から1問、地質調査技術等に関する問題から1問出題されます。
土壌・地下汚染水部門の試験の特徴
土壌・地下汚染水部門の試験では、環境科学や化学に関する深い知識と、汚染調査や対策計画の立案能力が中心です。
出題範囲は以下の通りです。
- 社会一般、建設行政、入札・契約制度の知識
- 地質、測量、土木・建築一般の知識
- 現場・専門技術の知識
- 調査技術の知識
- 管理技法
【マークシート方式の選択問題】
4肢択一の選択問題が全部で100問程度出題されます。
【記述式問題】
倫理綱領に関する問題から1問、土壌や地下水汚染調査の計画や現場技術など修復技術に関する問題から1問出題されます。3つある問題のなかから1問を選択して解凍します。
地質調査技士資格検定の合格率・難易度は?
地質調査技士資格検定の合格率は、部門によって異なりますが、一般的には低めでいずれも40%以下となっています。地質調査技士検定では、高度な専門知識と実務経験が求められるため、試験の難易度はかなり高いと言えます。
以下の表に過去3年間分の受験者数や合格者数、合格率をまとめました。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 | 810人 | 260人 | 32.1% |
令和3年度 | 816人 | 262人 | 32.1% |
令和2年度 | 699人 | 218人 | 31.2% |
いずれの年も合格率は30%程度で推移しており、難しい試験であると言えます。
しかし、この資格を取得することで、専門性を証明し、キャリアアップにつながるため、挑戦する価値はあると言えるでしょう。
まとめ
地質調査技士は、建設業界における重要な役割を担う専門家です。資格取得には、専門的な知識と実務経験が必要であり、試験の合格は簡単ではありませんが、その価値は高く評価されています。
地質調査技士としてのキャリアは、社会の安全と環境保全に大きく貢献するものであり、この分野に興味を持つ人々にとっては、非常に魅力的な職業と言えるでしょう。