施工管理の残業時間は長い傾向にありますが、2024年4月より建設業界の労働時間上限規制により大きく待遇や環境が改善する可能性があります。
この記事では施工管理の残業の実態、残業時間を短くする方法、2024年4月より適用される36協定、働き方改革について解説します。
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目次
【平均30時間/月】施工管理の残業の実態
施工管理の残業時間は長いとよくいわれますが、事実なのでしょうか。まずは施工管理の残業の実態について理解しましょう。
一般会社員と施工管理の残業時間の比較
施工管理の残業時間は、一般会社員に比べて長い傾向にあります。
施工管理 | 一般会社員 | |
---|---|---|
平均残業時間 | 30時間 | 12.9時間 |
施工管理職の残業時間は月30時間と一般会社員の平均残業時間12.9時間を大きく超える結果となりました。(【参考】毎月勤労統計調査 令和6年1月分結果速報)
建築業界全体の残業時間は12.2時間と平均値を下回りますが、施工管理職の残業時間は業務の膨大さや現場の管理と事務作業を同時に行うことから、まだまだ多いことがわかります。
建設業の他の業種と施工管理の残業時間の比較
先述したように建設業全体の残業時間は、12.2時間と比較的少ない傾向にあります。施工管理と他の業種ではどの程度の残業時間の差があるかみていきましょう。
平均残業時間 | 30時間 | 31.1時間 | 21.9時間 | 18.7時間 |
同じ建設業においても、施工管理とプラントエンジニアや設備保守・メンテナンス従事者は残業時間が20時間前後で、施工管理とは約10時間差があります。
一方建築設計従事者の残業時間は31.1時間と施工管理よりも多いことがわかります。
施工管理の待遇や残業についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
施工管理の残業時間が長い6つの理由
なぜ施工管理の残業時間が長い傾向にあるか、その理由は6つです。
- 業務量が多い
- 人手が足りていない
- スケジュールの管理が難しい
- 業界全体で働き方改革が進んでいない
- 職人の高齢化が進んでいる
- オフィスワークの量が多い
業務量が多い
施工管理の残業が長時間化する理由は、単純に業務量が多いためです。一部の大手ゼネコンなどでは施工管理は事務職のみを担当しますが、多くの中小建設業者では施工管理が現場監督の役目も兼ねています。
そのため施工管理職は朝早くから現場へ行って現場の巡回や指示出しなどを行い、現場作業が終了してから会社で事務作業を実施します。
図面の整理や原価管理など集中力を要する作業も多く、現場が終わってからも事務作業で残業時間が増える傾向にあるでしょう。
人手が足りていない
建設業界自体が人手不足であり、中でも施工管理職は手が足りないのが現状です。施工管理技士の資格を所持する人材は希少であり、会社でも数名しかいないことも多いです。そのため、施工管理を担当できる人員に業務負荷がかかり、残業時間が増えてしまいます。
もちろん施工管理士の資格がなくても施工管理の仕事は可能ですが、そもそも建設業界に若手がおらず高齢化が進んでいるため、施工管理に回れる人員が限られるのも残業時間が長くなる原因の1つです。
スケジュールの管理が難しい
建設現場は天候の影響や資材搬入のトラブルなどが起こりやすく、スケジュール変更を余儀なくされるケースが後をたちません。かといって工期遅れは施主に迷惑をかける結果となるため、短期間で施工を完了させなければならないケースが多いです。
施工管理は現場の巡回が主な仕事となるため、現場作業員を残業させた場合は一緒に残らなければなりません。さらに現場で残業をしてから深夜に事務作業を実施する場合は、残業時間が上乗せになってしまいます。
工期変更の要因となる事象が多く発生し、短期間での施工を完成させるための残業が多いのも、施工管理職の残業が多いとされる一因です。
業界全体で働き方改革が進んでいない
建設業界全体で働き方改革の取り組みが遅れていることが、施工管理技士の残業時間の多さにつながっています。他の産業と比較して、建設業界では長時間労働が当たり前という風潮が根強く残っており、この慣習を変えることが容易ではありません。
特に、施工管理技士は現場の責任者としての立場上、作業の開始から終了まで常に現場にいることが求められがちです。朝早くから夜遅くまで、現場の安全管理や工程管理、品質管理などを一手に担う必要があり、結果として長時間労働になりやすい状況があります。
また、納期の厳守が絶対的な要求事項となっている建設業界では、工期に余裕を持たせることが難しく、突発的な問題や天候不良などによる遅れを取り戻すために残業せざるを得ないケースも多々あります。この業界特有の事情が、働き方改革の推進を妨げる一因となっています。
職人の高齢化が進んでいる
建設業界では職人の高齢化が急速に進んでおり、これが施工管理技士の業務負担を増加させる要因となっています。熟練職人の減少により、若手への技術継承が十分に行われていないケースが多く、結果として施工管理技士が現場でより細かい指示や監督を行う必要が生じています。
経験豊富な職人が減少することで、施工管理技士は従来以上に現場の細部にまで目を配る必要があり、これが業務時間の延長につながっています。また、高齢の職人が多くなることで、安全管理にもより一層の注意を払う必要があり、施工管理技士の責任と業務量が増大しています。
さらに、若手職人の確保・育成も施工管理技士の重要な役割となっており、技術指導や教育にも時間を割く必要があります。これらの要因が重なり、施工管理技士の労働時間が長くなる傾向にあるのです。
オフィスワークの量が多い
施工管理技士の業務は現場での管理だけでなく、膨大なオフィスワークも含まれており、これが残業時間を増加させる大きな要因となっています。現場での作業が終わった後も、報告書の作成、各種書類の管理、次の工程の準備など、多岐にわたる事務作業をこなす必要があります。
特に、書類作成業務の増加が顕著です。品質管理や安全管理に関する記録、工程管理表の更新、発注者や協力会社とのやり取りの記録など、日々大量の書類を作成・管理しなければなりません。これらの作業は、往々にして現場作業が終わった後の夜間や休日に行われることが多く、結果として残業時間の増加につながっています。
また、情報技術の進歩により、デジタル化された書類や図面の管理、専用ソフトウェアの操作など、新たなスキルの習得も求められており、これらの学習や慣れない作業にも時間を要することがあります。
施工管理技士の業務効率化や負担軽減のためには、書類作成の簡素化やオフィスワークの効率化、業務の適切な分担など、さまざまな取り組みが必要とされています。
施工管理で残業時間を減らして働くための2つの方法
施工管理は確かに残業が多い職種ですが、ライフワークバランスが取れないわけではありません。全ての施工管理技士が長時間残業しているわけではなく、雇用元の企業や雇用形態によって残業時間にばらつきがあるためです。
どうすれば施工管理が残業を減らせるか、2つの方法を紹介します。
- 雇用形態を変える
- 条件の良い会社に転職する
雇用形態を変える
施工管理が残業時間を減らすには、雇用形態を変える方法があります。正社員の場合は雇用条件でみなし残業があるなど、残業時間を自分で調整することができません。残業を拒否すると昇格に悪影響がある可能性もあります。
一方でフリーランスや派遣社員の施工管理になれば、残業時間はほぼなく自分で残業時間を調整可能です。業務委託契約を締結する際に残業上限を設定したり、派遣元から残業時間について派遣先へ申し入れできます。
正社員にこだわらず、雇用形態を変えることでより残業時間を減らし尚且つ自分のスキルを活かす施工管理の仕事を続けられるでしょう。
条件の良い会社に転職する
施工管理の残業時間は会社によってもかなり違います。残業時間削減の取り組みを進めている企業、また工期を無理に設定せず施主と話し合って適正な設定ができている建設事業者に勤めれば、今より残業が短くなる可能性があります。
具体的にはホワイト企業と呼ばれる建設事業者は、働き方改革への意識も高いため早期から残業時間削減や労働効率工場に取り組んでいます。DXを推進して施工管理が現場を遠隔監視できるウェアラブルカメラを導入していたり、現場管理ツールを用いて図面や工程表作成、施主へのアフター管理なども統合的に管理している企業は、比較的残業が短い傾向にあるでしょう。
建設業に強みを持つ転職サイトやエージェントを使い、今より残業時間が短く条件が良い建設会社へ転職するのも選択肢の1つです。
建設業の労働環境が変わる!建設業における36協定とは
2024年4月より建設業界にも「36協定の特別条項」が適用されました。罰則付きの上限規制となっているため、万が一違反した場合は半年以下の懲役または30万円以下の罰金が事業者に科せられる可能性があります。悪質な違反が認められた場合は、厚生労働省から事業者の名前を公表するなどの対策も講じられており、会社のブランディングにも大きな営業を及ぼします。
そもそも36協定とは「労働基準法第36条に基づく労使協定」を意味し、法定労働時間を定めた取り決めのことです。原則として事業者は1日8時間、週40時間以上の法定労働時間を超えて労働させることはできません。
しかし36協定を締結している場合の残業時間の上限は、最大月に45時間まで、年間360時間です。さらに「特別条項付き36協定」を締結している場合は、繁忙期などやむを得ない事情がある場合に限り、さらに上限を超えて残業させられます。
協定 | 内容 |
---|---|
36協定 | ・月45時間以内 ・年間360時間以内 |
特別条項付き36協定 | ・残業時間の上限は年間720時間以内 ・時間外労働の上限を45時間以上に延長できるのは年間6回まで ・1ヶ月の残業時間上限は100時間未満2ヶ月または6ヶ月の時間外 ・休日労働平均が月80時間以内 |
災害復興などの特殊なケースをのぞいて、上記協定の定めを破ることはできません。施工管理の労働環境も働き方改革及び36協定の適用により、変化していくことが予想されます。
2024年の働き方改革で改善される3つのポイント
2024年4月より適用された建設業界での働き方改革に伴い、以下3つの問題点が改善される
建設業界の待遇改善は国も積極的に取り組んでいることであり、施工管理の仕事は今後より高待遇かつ働きやすい仕事になる可能性が高いでしょう。
- 長時間労働の是正
- 給与・社会保険の見直し
- 生産性の向上
長時間労働の是正
働き方改革の影響により、施工管理の長時間労働も是正されます。労働時間上限規制が適用されるため、今までのように長時間働かせることはできません。
建設事業者も長時間労働是正のための施策を取り入れ、施工管理職の残業を削減するよう動くはずです。
給与・社会保険の見直し
また働き方改革に伴い、建設キャリアアップシステムも導入されます。建設キャリアアップシステムとは、建設事業者のスキルや社会保険の加入状況、現場履歴を登録できるシステムです。実績登録によって正しく実績が評価され、給与待遇の改善の整備が期待されます。
さらに建設業界では未加入の事業者も多い社会保険制度も、加入必須となる点も大きな変化です。社会保険未加入の事業者は建設業許可の取得・更新ができなくなるため、建設業従事者の社会保険加入率も上がるでしょう。
生産性の向上
労働時間削減のためには、DX推進が欠かせません。国土交通省も推進している建設DXを進める事業者は今後増加するはずです。たとえば、施工管理が現場へ行かずとも現場巡回ができるウェアラブルカメラの導入(遠隔臨場)、原価管理を効率化する原価管理システムなどの導入により、施工管理の仕事が効率化します。
さらに受発注などもシステム化すれば資材発注ミスやトラブルを防止し、工期の延長も防げるはずです。建設DXが進めば労働時間が是正されるだけでなく、労働負荷も軽減します。そればかりでなく、建設事業者の利益率も向上し社員へ還元できる仕組みを取り入れられるでしょう。
まとめ
施工管理は今まで労働時間が長い傾向にあり、いわゆる「きつい」職種でした。しかし、2024年4月より適用される働き方改革により、労働時間だけでなく環境や待遇の改善も期待されます。
残業時間がネックとなり施工管理技士の仕事にやりがいを見出せないなら、思い切って転職や雇用形態を変えるのも選択肢の1つです。施工管理のスキルを活かしてよりライフワークバランスが取れるよう、あなたの働き方も検討しましょう。