
「つぼ掘りって何?」
「つぼ掘りの注意点について知りたい」
こんな疑問お悩みにお答えします。
つぼ掘りとは、地面を掘る作業「根切り工事」のひとつです。
つぼ掘りは一体どういった作業時に用いられるのか、また他の掘削方法と何が違うのか気になるところです。
本記事では、つぼ掘りとは何なのか、メリットやデメリットについて解説します。
また工事の際に、各工程の注意点についても解説していますので、深く知りたい土木従事者の方にもおすすめの記事となっています。
ぜひ最後まで読んでいただき、土木工事への理解を深め、高品質な構造物を築くための知識を構築しましょう。
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目次
最初に理解しておきたい「根切り工事」の意味とは
根切り工事とは、基礎コンクリートを打つために必要な範囲の掘削を行う作業のことを指し、「ねぎり」と読みます。
そのため、建物などの構造物を建てる際には、必ず用いられる工事のひとつです。
施工の際に掘りすぎや掘り足りないといった場合には、構造物の強度に影響が出ますので、根切り工事は非常に重要な工程です。
掘り方には「つぼ掘り」「布掘り」「総掘り」とそれぞれあります。
選定を誤ってしまうと、多大な残土処理費用や作業量が増えてしまうため、設計の段階で適切な方法を選びましょう。
根切り工事その1:つぼ掘りとは
つぼ掘りとは、基礎を造る部分のみを、点で掘削する掘り方を指します。
独立した基礎などを施工する場合に用いられる方法です。
つぼ掘りにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、詳しく解説します。
つぼ掘りのメリット
つぼ掘りのメリットは以下のとおりです。
- 掘削作業量を最小限に抑えられる
- 掘削後の残土が最小に抑えられるため、残土処理の手間や費用を抑えられる
- 残土置場などのスペース確保を最小限に抑えられる
つぼ掘りの最大のメリットは、他の方法に比べ掘削した残土量が圧倒的に少ないことです。
そのため残土処理の工程や費用が抑えられます。
つぼ掘りのデメリット
つぼ掘りのデメリットは以下のとおりです。
- 流れ作業が難しく、作業効率が悪くなる
- 穴の深さによっては、つぼ掘りした箇所に各昇降設備が必要になる
- 掘削穴が独立しているため見通しがきかず、測量の作業効率が悪い
- 人工的に排水する場合、掘削箇所ひとつひとつに対応する必要がある
つぼ掘りのデメリットはそれぞれの掘削箇所が独立しているがゆえに、作業効率が悪くなったり手間が増えたりすることです。
工期や費用などを考えてつぼ掘りだと効率が悪くなる場合もありますので、その場合は違う方法を検討しましょう。
根切り工事その2:布掘りとは
布掘りとは、基礎となる部分から細長く線状につなげて掘り進めていく掘り方を指します。
布掘りの「布」とは、細長いという意味を表します。
連続で基礎を打つ場合や基礎にかかる荷重を分散させるフーチングを施工する場合に用いられる方法です。
掘削後に行う型枠や鉄筋の組み立て作業に支障が出ないように、人が入れるほどのスペース分を余掘りしましょう。
布掘りのメリット
布掘りのメリットは以下のとおりです。
- 総掘りに比べて残土量を抑えられる
- 流れ作業が可能なため、作業効率が上がる
- 線状で掘るため、見通しが効きやすく、測量や寸法測定の効率が良くなる
布掘りは、つながっているがゆえに流れ作業が可能で、他の方法に比べ作業効率が高くなります。
残土量も総掘りに比べて少ないため、費用面が抑えられる点がメリットといえるでしょう。
布掘りのデメリット
布掘りのデメリットは以下のとおりです。
- 余掘り幅を狭くすると、かえって作業効率が悪くなる
- 雨による掘削箇所の崩壊を防ぐための措置が必要になる
雨で滞水すると、線状につながっているがゆえに全体に行き渡ってしまい、崩壊を助長させてしまう可能性があります。
そのため、崩壊を防ぐためにブルーシートで養生するか、大がかりになれば土留めを施工する必要があります。
根切り工事その3:総掘りとは
総掘りとは、基礎を施工する箇所全体を掘る掘り方を指します。
大がかりな作業となるため、他の方法に比べて選定されるケースは少ないです。
一般的に施工箇所下にピットや地階などがある場合やべた基礎に用いられる掘り方として知られています。
総掘りのメリット
総掘りのメリットは以下が挙げられます。
- 複雑な工程や細かい作業が少ないため、重機オペレーターの技術に左右されにく
- 出来形管理がしやすい
- スペースが広く作業制限が少なくなる分、その後の作業性が上がりやすく、労災防止につながる
総掘りは掘削面積が広い分、作業制限が少ないといった点が挙げられます。
総掘りのデメリット
総掘りのデメリットは以下が挙げられます。
- 残土が多く発生するため、処理費用や搬出に時間がかかる
- 残土仮置場のスペースを広く確保する必要があり、施工に制限がかかる場合がある
- 埋設物や湧水などのイレギュラーな対応が多くなる
総掘りは広く掘削することで伴うデメリットが多く介在します。
根切り工事の際に気をつけたい8つのポイント

根切り工事の際に気をつけたいポイントは以下のとおりです。
- 根切りの深さ
- 根切りの幅
- 地盤
- 根切りの隙間
- ゴミの有無
- 埋め戻し
- 山留め
- 残土処理
これら8つのポイントについて詳しく解説します。
根切りの深さ
根切り深さが図面通りであるか確認すべきポイントです。
深さが足りないと、施工不良やそもそも構造物が建てられないといった不具合が出るためです。
深さが足りなかった場合、掘った後に敷く砕石量や基礎工事の前に行う、捨てコンクリートの厚みなどに影響が出てしまいます。
この場合規定の深さまで掘り直す対策が必要となり、手戻り作業が発生し、無駄な手間がかかってしまいます。
一方で深く掘り過ぎてしまった場合は、掘削場所が崩れないように壁を作る「山留め」が必要になります。
根切り深さは、深くても足りなくても問題があるため、図面通りの適正な管理が必要です。
根切りの幅
根切り幅が図面通りであるか気をつけるポイントです。
根切り幅が不足すると、狭いスペースでの作業が必要になったり施工そのものが不可能となったりするケースがありえます。
一方で根切り幅が大きいと、埋め戻し作業に時間がかかり、工期に影響が出てしまいます。
根切り幅に不安要素がある場合は、自分一人で判断せず、監督者に相談や確認をしてもらうようにしましょう。
地盤
地盤強度の確認は気をつけたいポイントのひとつです。
なぜなら、地盤は地震に耐えうるかどうかが大きく関わってくるからです。
耐震力が弱い地盤だと、構造物自体が傾いたり地震に耐えられず被害が甚大になったりといったケースが考えられます。
対策としては、地盤改良などを検討してみましょう。
それでも不安な場合は監督者に確認してもらい、必要があれば専門家に見てもらうことを検討しましょう。
根切りの隙間
根切りした後は、隙間の有無を確認しましょう。
隙間があった場合は、防湿テープを貼って隙間を埋めなくてはいけないためです。
また破れている場合も修繕しましょう。
ただしベタ基礎の場合は、基礎コンクリートそのものに防湿効果があるため不要です。
施工上問題はありませんが、もし施主から要望があれば柔軟に対応しましょう。
ゴミの有無
根切り工事の際にゴミの有無についても確認しましょう。
ゴミが無いような土地でも、作業中に出てくるケースがあります。
ゴミを発見した場合は、自治体のルールに沿って適切に処理しましょう。
なお大量に出てきた場合は、地質が変わる場合があるため、一度地盤調査を行う必要があります。
ゴミを発見した場合は、必ず処理しましょう。
埋め戻し
根切り工事が完了した後は、土を埋め戻さなければなりません。
埋め戻す土は、購入した土を使う場合もありますが、良質な場合は根切りで掘った土をそのまま使う場合もあります。
埋め戻し土は大きく分けてA・B・C・D種の4種類あり、その地質に合った埋め戻し土を使いましょう。
埋め戻し土には種類があることを予備知識として備えておくといざというときに便利です。
また埋め戻しの工程は必ず最後に行うようにしましょう。
工事の途中で着手してしまうと、その後の作業に影響が出てしまうためです。
埋め戻しは、根切り工事最後の仕上げになりますので、気を引き締めて取り組みましょう。
山留め
山留めを行う際は、根切り工事で気をつけるべきポイントのひとつです。
山留めとは、掘削後に掘削面が雨などで崩れないように専用の板を設置する作業を指します。
山留めを設置しない場合、オープンカット工法を採用する方法も考えられます。
オープンカット工法とは、掘削面を斜めに掘削し、斜面崩壊を防止する工法のひとつです。
コストが抑えられるといったメリットがある一方で、敷地が狭いと施工自体できないといった点が挙げられます。
どちらを採用すべきか不安な場合は、監督者や専門家と相談すると良いでしょう。
残土処理
残土処理は根切り工事で気をつけるべきポイントです。
根切り工事で発生した残土内には、さまざまな混入物が含まれている可能性があり、場合によっては「産業廃棄物」扱いとなります。
たとえば、コンクリート殻や木材などが混入している場合です。
その場合は、自治体などの処理方法に従って廃棄しましょう。
また残土に問題がない場合でもそのまま放置せず、きちんと敷地内にきれいに敷きならしましょう。
まとめ
本記事をまとめると以下のとおりです。
- 根切り工事とは
- つぼ掘りのメリット・デメリット
- つぼ掘りの際の注意点
根切り工事の中でもつぼ掘りは、布掘りと同じくらい施工する機会が多い作業といえます。
今回解説した点をおさえておくことで、施工の際に知識を活かせるでしょう。
土木工事にはさまざまな工法があり、魅力のある仕事です。
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ただし時間が経つにつれて転職はしにくくなるため、そこだけは注意してくださいね。
ぜひ土木のスペシャリストとなる一歩を踏み出してみてください。