建設現場や特定の工業分野などでは、火薬類の取り扱いが必要となる場面が多々あります。これらの場面では、火薬類の安全管理がとても重要です。
火薬類の誤った取り扱いは、重大な事故や損害を引き起こす可能性があるため、専門的な知識と高い技術が求められます。
この記事では、そうした火薬類の取り扱いが必要な状況において中心的な役割を果たす「火薬類取扱保安責任者」という資格について詳しく紹介。火薬類取扱保安責任者としての役割や、資格取得のための試験内容、そしてこの資格を取得することによるメリットなどについて、具体的に解説していきます。
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目次
火薬類取扱保安責任者とは?
火薬類取扱保安責任者は、火薬類の安全な取り扱いを法律に基づいて管理する専門家です。
この資格を取得することで、火薬類の保管、運搬、使用に関する安全管理をおこなうことができるようになります。また、この資格の保有者は火薬類の取り扱いに関する法律や規制に精通しており、事故防止のための指導や監督もおこないます。
火薬類取扱保安責任者の資格所有者の役割はさまざまです。主な仕事内容としては、火薬類の安全な保管方法の確立、運搬時の安全対策の策定、使用時の安全指導、そして緊急時の対応計画の策定と実行があります。
これらの業務を通じて、火薬類を取り扱うことで起こり得るリスクを最小限に抑え、安全な作業環境を確保することが目的です。
火薬類取扱保安責任者は何ができる?
火薬類取扱保安責任者は、火薬類の取り扱いに関する全般的な管理をおこなうことができます。
これらの業務には、安全な保管方法の確立や運搬時の安全対策、使用時の安全指導などが含まれています。
また、万が一の事故が発生した際の初期対応もこの資格者の重要な役割のひとつです。
火薬類の取り扱いには多くのリスクが伴いますが、適切な知識と技術を持つ保安責任者がいれば、これらのリスクを大幅に減少させることが可能です。
火薬類取扱保安責任者と火薬類製造保安責任者の違い
火薬類取扱保安責任者と似た資格に、「火薬類製造保安責任者」というものがあります。
混同しがちなこれら2つの資格。主な違いは、製造保安責任者が火薬類の製造過程における安全管理を担当するのに対し、取扱保安責任者は製造以外の過程(保管、運搬、使用)の安全管理を担う点です。
製造保安責任者は、火薬の製造工程における危険性の評価、製造設備の安全管理、製造プロセスの監督などをおこないます。
一方の、取扱保安責任者は、製造された火薬が安全に保管され、適切に使用されることを保証する役割を担っています。
火薬類取扱保安責任者には、甲種と乙種があり、それぞれに扱える火薬の量が異なります。
以下は、甲種と乙種それぞれの違いについてまとめた表です。
資格種別 | 貯蔵できる火薬の量 | 消費できる火薬の量 |
甲種 | 年間20トン以上 | 火薬・爆薬:月1トン以上 |
乙種 | 年間20トン未満 | 火薬・爆薬:月1トン未満無添加可塑性爆薬:月1トン未満 |
甲種の方が、より多くの火薬や爆薬を扱うことができます。
火薬類取扱保安責任者の試験について
火薬類取扱保安責任者の資格を取得するためには、専門的な試験に合格する必要があります。
資格試験の概要について以下の項目に分けて詳しく解説します。
- 受験資格
- 試験内容
- 試験について
それぞれ見ていきましょう。
受験資格
火薬類取扱保安責任者の試験は、特に受験資格の制限がなく、18歳以上であれば誰でも受験することができます。火薬類の安全管理に興味がある人なら、誰でも挑戦可能です。
ただし、試験では専門的な内容が多く問われるため、火薬類に関する基本的な知識を持っていることが望ましいとされています。試験に合格するには、専門知識の学習が必須。火薬類の特性や安全管理の方法、関連する法律などについて学ぶことが大切です。
試験の申し込み方法や詳細については、公益財団法人全国火薬類保安協会のホームページで確認できます。
試験内容
試験科目は、「火薬類取締に関する法令」と「一般火薬学」の2つの科目。
具体的には、火薬類の種類と特性、関連する法律、事故時の対応方法などが問われます。
受験者の区分によっては、一部科目の受験を免除される制度があります。
以下の表は、火薬類取扱保安責任者試験の受験者区分や免除科目についてまとめたものです。
受験者区分 | 受験科目 | |
火薬類取締に関する法令 | 一般火薬学 | |
甲種・乙種火薬類製造保安責任者免状を有する者 | 免除 | 免除 |
大学の工業化学に関する学科において火薬楽を専修して卒業した者 | ⚪︎ | 免除 |
大学、高等専門学校、高校もしくは専修学校を卒業し、火薬楽を修得した者 | ⚪︎ | 免除 |
鉱山保安規則に定める火薬係員試験に合格した者 | ⚪︎ | 免除 |
以上に該当しない者 | ⚪︎ | ⚪︎ |
参考:令和5年度甲種・乙種火薬類取扱保安責任者及び丙種火薬類製造保安責任者試験案内(抜粋)
一定の資格を保有している場合や、大学や高校などで一定の科目を学んでいる場合に一部の試験が免除されます。これらに該当する方は、試験の申し込み時に申請をおこないましょう。
試験について
試験は毎年9月上旬の日曜日に実施されています。
受験にかかる手数料は18,000円で、6月下旬頃から願書の受付が開始されます。願書の受付期間が例年1週間ほどしかないので、受験希望者は事前に受付期間を確認しておくようにしましょう。
合格発表は例年10月下旬頃におこなわれます。
合格基準は各科目60点以上とされており、合格率は例年50%以上で推移しています。以下は火薬類取扱保安責任者試験の過去の受験者数や合格率をまとめた表です。
受験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 | 3,060人 | 1,801人 | 58.9% |
令和3年度 | 2,813人 | 1,610人 | 57.2% |
令和2年度 | 2,815人 | 1,503人 | 53.4% |
令和元年度 | 3,379人 | 2,053人 | 60.8% |
合格率から見ると、事前の準備をしっかりとおこなって試験に臨むことで十分に合格できるチャンスがある試験であると言えるでしょう。
火薬類取扱保安責任者と取得するメリット
火薬類取扱保安責任者の資格を取得することには、多くのメリットがあります。
よく挙げられる主なメリットは以下の3つです。
- 火薬を取り扱う幅広い現場で管理や監督業務を担当できる
- 転職や就職、キャリアアップなどに活かすことができる
- 知識と技術を向上させることができる
項目ごとに詳しく解説していきます。
火薬を取り扱う幅広い現場で管理や監督業務を担当できる
火薬類取扱保安責任者の資格を持つことで、建設現場や採石場、採掘現場など、火薬類を取り扱う様々な現場での管理や監督業務を担うことが可能に。火薬類の安全な取り扱いに関する専門的な知識と技術を証明するものであり、現場での安全管理の責任者としての役割を果たすことができるようになります。
さらに、火薬類取扱保安責任者は、現場作業員への安全教育や訓練を実施し、火薬類の安全な取り扱い方法を指導することができます。
また、万が一の事故が発生した際には、迅速かつ適切な対応を行うことが求められるため、事故発生時の対応計画の策定と実行も重要な役割となります。
このように、火薬類取扱保安責任者は、火薬類の安全管理に関する幅広い知識と技術を持っており、現場での安全を確保するための重要な役割を担っています。この資格を持つことで、多様な現場での管理や監督業務を担うことができ、火薬類の安全な取り扱いにおいて中心的な役割を果たすことができるようになります。
転職や就職、キャリアアップなどに活かすことができる
火薬類取扱保安責任者の資格は、特定の業界で高い需要があります。
そのため、この資格を持っていることは、転職や就職、キャリアアップの際に大きなアドバンテージとなるでしょう。
特に、建設業界や特定の工業分野では、安全管理の専門家として高く評価されることが多く、資格を持つことでより良い条件での雇用が期待できます。
知識と技術を向上させることができる
火薬類取扱保安責任者の資格を取得する過程で、火薬類の安全管理に関する深い知識と技術が身につきます。
これは、単に資格を取得するためだけでなく、実際の業務での安全性の向上に直結しています。
火薬類取扱保安責任者の資格を取得するために必要なこと
火薬類取扱保安責任者の資格を取得するためには、一定の学習や事前の準備が必要です。
では、具体的にどのような努力や準備が必要なのでしょうか。詳しく解説していきます。
必要な勉強時間を確保する
試験に合格するためには、火薬類に関する幅広い知識を身につける必要があります。そのため、当然のことながら十分な勉強時間を確保することが重要です。
火薬類取扱保安責任者の資格を取得するためには、30〜50時間ほどの学習が必要であると言われています。
受験時期から逆算してスケジュールを組み、計画的に学習を進めていきましょう。
試験にあった対策をする
試験に合格するためには、その試験にあった対策をする必要があります。
火薬類取扱保安責任者の試験は、マークシート方式で出題されます。4択問題で選択肢の中から2つ正しい回答を選ぶという方式です。
マークシート方式だからといって、わからないところを勘で答えていたのでは、正解率は上がらず合格は難しいでしょう。
過去問や問題集を繰り返し解き、問題の形式に慣れておくことが大切です。
まとめ
火薬類取扱保安責任者は、火薬類の安全管理において重要な役割を担う資格です。試験には専門的な知識が必要ですが、合格することで多くの現場での安全管理を担うことができ、キャリアアップにもつながります。
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