「環境計量士」は、私たちの安全な住環境を守るために欠かせない仕事です。
世間的な環境問題への関心の高まりもあり、年々注目度も増しています。
しかし、理系や環境系学部出身者以外には、あまり馴染みのない仕事かもしれません。
この記事では、「環境に関わる仕事に就きたいけれど、環境計量士ってどんな仕事?」「資格取得の難易度は?」といった気になる疑問について解説します。
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目次
難しい?環境計量士試験の概要
環境計量士試験は毎年1回開催されます。
合格後に1年以上実務経験に従事する、または指定の講習を受講すると「環境計量士」の資格を取得できます。
※「環境計量士」のその他の登録要件はこちらで確認してください。
環境計量士は、計量管理の職務に必要な知識、技能を有していることを証明できる国家資格です。
試験は筆記試験形式で行われ、5つの選択肢の中から正答を選ぶマークシート方式が採用されています。
続いて、環境計量士試験の概要について、以下の項目ごとに詳しく解説していきます。
- 環境計量士とは
- どのくらい勉強時間が必要?受験資格と難易度
- 環境計量士の合格率と合格基準
- 環境計量士の過去問題
環境計量士とは
環境計量士は経済産業省所管の国家資格で、「計量士」の資格に含まれます。
計量士は、計量に関する専門的な知識や技術を有することを認める資格です。
計量する対象ごとに、以下のように3つに区分されます。
環境計量士は計測する対象によって、「濃度関係」と「騒音・振動関係」に分けられ、それぞれ試験内容や可能な業務が異なります。
経済産業省のデータによると、令和5年2月末時点での登録者数は、環境計量士(濃度関係)が約12,200人、環境計量士(騒音・振動関係)が約3,600人となっています。
詳しい仕事内容については後述しますが、濃度関係の環境計量士は、主に大気中の汚染物質の測定や、土壌汚染などを調査する仕事です。
また、騒音・振動関係の環境計量士は、主に鉄道路線や工事現場の付近で、騒音や振動を計測します。
調査・検査業務の入札条件に、環境計量士を指定する自治体もあるため、就職・転職時にもアピールできる資格といえるでしょう。
どのくらい勉強時間が必要?受験資格と難易度
環境計量士の受験資格には、学歴や年齢、その他の制限は一切ありません。
しかし、試験を突破するには、大学受験レベルの化学や数学の基礎知識が必要で、難易度もやや高めに設定されています。
そのため、理系学部出身者や、環境関連会社に勤務している実務経験者が受験するケースが多いようです。
環境計量士に合格するために必要な勉強時間は、大体「300~600時間」ほどです。
化学分野の知識量や、実務経験の有無で必要な勉強時間が異なるため、異業種から挑戦する場合には、さらに多くの勉強時間を確保しておくとよいでしょう。
なお、環境計量士への転職難易度は、年齢や実務経験の有無などで変わります。
環境計量士を採用している会社では、経験の有無を重視する傾向がありますが、中には未経験者でも積極的に採用している企業もあります。
そのような求人に応募する際に、環境計量士の資格があれば、業務に関する基礎知識を有している証明にもなりますし、他の候補者とも差をつけられるでしょう。
環境計量士の合格率と合格基準
環境計量士の過去3年分の合格率は、以下の通りです。
年度 | 環境計量士 | 合格率 | 受験者数(人) |
---|---|---|---|
令和4年 (2022年) | 濃度関係 | 16.8% | 1,832 |
騒音・振動関係 | 19.8% | 622 | |
令和3年 (2021年) | 濃度関係 | 16.8% | 1,937 |
騒音・振動関係 | 17.5% | 628 | |
令和2年 (2020年) | 濃度関係 | 16.4% | 1,817 |
騒音・振動関係 | 18.4% | 572 |
毎年、濃度関係の受験者数の方が多い傾向にあるものの、合格率にそれほど大きな差はありません。
環境計量士試験の過去3年の平均合格率は、濃度関係が約16.5%、騒音・振動関係が約18.5%です。
環境計量士の合格率はどちらも20%を切るため、国家資格の中でもやや難しい資格といえるでしょう。
合格するためには、しっかりとした試験対策が必要です。
環境計量士の過去問題
経済産業省のホームページでは、環境計量士試験で出題された過去問を公開しています。
まず最初に、試験の概要を簡単にお伝えします。
解答形式は5つの選択肢の中から選ぶマークシート方式です。
環境計量士の試験では、専門科目2科目と共通科目2科目の計4科目が出題されます。
それぞれの科目の詳細は、以下のようになっています。
科目 | 濃度関係 | 騒音・振動関係 |
---|---|---|
専門科目 (2科目) | 環境計量に関する基礎知識(化学) | 環境計量に関する基礎知識(物理) |
化学分析概論及び濃度の計量 | 音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量 | |
共通科目 (2科目) | ・計量関係法規 ・計量管理概論 |
※参考:経産省ホームページ
例えば、濃度関係の専門科目では、過去にこのような問題が出題されました。
【過去問 濃度(化学)】※令和4年の過去問より引用
問25 ハロゲンを含む化合物に関する次の記述の中から、誤っているものを一つ選べ。
- よう化カリウムは、空気中の酸素と光によって徐々によう素を遊離させる。
- 臭化ナトリウムは、塩化ナトリウム型結晶構造をとる。
- 過塩素酸カリウムは、有機物と混合して加熱すると爆発することがある。
- ふっ化水素酸は、同一濃度の塩酸よりも強い酸性を示す。
- 1atmにおいて、ふっ化水素の沸点は、塩化水素の沸点よりも高い。
正答 4
試験に臨む際は、過去問を繰り返し解いて、確実に点を取れるように対策しておきましょう。
環境計量士の仕事内容
環境計量士は有害物質や騒音などを計測する専門職であり、資格保有者のみが「環境計量士」として活動できます。
濃度関係、騒音・振動関係ともに、計量器の整備、計量の正確性の保持、測定方法の選定などは共通の業務です。
その他に、それぞれの専門分野に応じた調査・分析を行います。
例えば、濃度関係の環境計量士は、大気中の有害物質の濃度測定などを中心に行い、騒音・振動関係の環境計量士は、工場周辺の騒音や振動レベルを計量・分析します。
また、調査結果を公的に証明するために必要な書類を作成することも、環境計量士の重要な仕事のひとつです。
分析・計量した結果を照明する「計量証明書」の発行には、環境計量士の押印が義務付けられていることがあります。
それぞれ、以下の項目に分けて詳しい仕事内容を解説していきます。
- 環境計量士(濃度関係)
- 環境計量士(騒音・振動関係)
- 一般計量士との違い
環境計量士(濃度関係)
濃度の計量や、計量管理に関わる業務を担当するのが濃度関係の環境計量士です。
例えば、以下のような業務を担当します。
環境計量士 | 調査対象地 | 測定するもの |
---|---|---|
濃度関係 | 工場 工場跡地 河川 湖沼など | ・工場から排出されるばい煙や大気中の有害物質、悪臭物質等 ・工場・生活排水の汚濁物質排出状況 ・海や河川、湖沼の汚濁状況 ・工場跡地等の土壌汚染状況 |
濃度関係の環境計量士は、環境を悪化させる恐れのある有害物質の含有量を計量し、基準を超えていないか調査・報告するのが主な仕事です。
測定する有害物質の一例をあげると、工場から排出されるばい煙や排ガス中に含まれる二酸化硫黄や、ダイオキシンなどがあります。
環境に関する規制基準は年々強化される傾向にあり、調査対象は大気や土壌、河川など多岐にわたります。
環境計量士(騒音・振動関係)
騒音・振動関係の環境計量士は、音圧や振動加速度レベルの計量、計量管理に関わる業務を担当します。
例えば、以下のような業務を担当します。
環境計量士 | 調査対象地 | 測定するもの |
---|---|---|
騒音・振動関係 | 工場 建設現場 道路 住宅地 鉄道沿線など | ・工場内のプレスや送風機等の騒音 ・建設現場の騒音・鉄道や航空機の騒音 ・工場で稼働する機器類による振動 ・建設現場周辺の振動 ・道路や鉄道路周辺における振動被害のレベルを測定 |
騒音・振動関係の環境計量士は、工場などから出る騒音や振動が、周囲で生活する人々の健康に悪影響を及ぼす恐れがないか調査するのが主な仕事です。
現地に赴いて騒音や振動のレベルを計量し、環境基準を超えていないか判定します。
一般計量士との違い
一般計量士は、主に企業や官公庁で使用する計量器具の検査を行うのが仕事です。
例えば、工場や商業施設などで使用される質量計や長さ計、温度計、体積計などが正常に機能するかを確認し、管理します。
「適正な計量の実施を確保する職務」というのは計量士全般に当てはまりますが、一般計量士と環境計量士では測定する対象や扱う計量器が異なります。
そのため、3つに区分される計量士の試験内容は、それぞれ専門性に合わせた内容になっており、個別の対策が必要です。
一般計量士試験の難易度は、環境計量士と比べて比較的やさしく、合格率は約20%ほどです。
主な就職・転職先
環境計量士の主な就職・転職先は、民間の環境調査・分析会社です。
環境調査・分析会社では、依頼を受けて水質・土壌調査や騒音調査を行います。
一部業務を除けば、資格保有者以外も環境分析を行うことができるため、実務経験を積んでから資格取得を目指すという選択肢もあります。
しかし、資格手当の支給や、将来的なキャリアアップも見込めるため、積極的に環境計量士の取得を目指す価値は充分あるでしょう。
また、専門知識を活かして環境コンサルタントとして活躍する道もあります。
環境コンサルティング会社では、調査だけでなく情報を分析し、クライアントに改善案などを提案します。
専門知識に加えて、相手に分かりやすく伝えるプレゼン力や課題解決力などが必要ですが、幅広いスキルが身に付くためキャリアアップにもつながるでしょう。
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環境計量士は、私たちが安全に暮らしていく上で欠かせない重要な仕事です。
日本でも環境問題への関心の高まりから、新たなルール作りや法規性が進み、環境計量士が活躍する場も増えてきています。
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まとめ
国家資格である環境計量士は、社会的なニーズも高く、環境保全に貢献できるやりがいのある仕事です。
試験に合格し、登録条件を満たすと「環境計量士」として働くことができます。
大気や土壌中の有害物質の測定や、騒音振動レベルの調査などが主な仕事で、資格保有者にしかできない業務もあります。
環境問題への意識の高まりから、新たな法規性やルールづくりが進むことが予想されるため、今後も需要の高い仕事といえるでしょう。
環境計量士の試験には受験資格が設けられていないため、基礎的な化学や数学の知識があれば誰でも受験できます。
資格職として専門性の高い仕事がしたい人や、環境問題に興味・関心がある人は、ぜひ資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。