発破技士とは?仕事の内容から資格取得の方法、試験の内容や難易度まで徹底解説

建設現場などで活躍する専門職の一つ、発破技士。

高年収が見込めるということもあって人気の高い職種となっていることもあって、発破技士を目指しているという方も多いのではないでしょうか?

この記事では、仕事の内容や主な就職先など発破技士の概要に触れながら、資格取得の方法や資格取得を目指す上での注意点などについて解説していきます。

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発破技士とは?

火薬や爆薬などの火薬類を用いて建物や山などの一部を破砕する行為を発破といいますが、発破技士は、建設現場などで発破の業務を担うことができる専門的な職業です。

発破技士として働くには資格を取得する必要があり、発破技士の資格は国家資格となっています。

そんな発破技士ですが、実際に目指す上で把握しておきたいのが、

  • 仕事の内容
  • 年収相場
  • 主な就職先
  • 魅力ややりがい
  • 厳しいところや大変なところ
  • 向いている人の特徴

などについて。

それぞれ詳しく解説していきます。

発破技士の仕事内容

発破技士の主な仕事は建物や山などの破砕ですが、実際に行う作業は、

  • 対象となる対象物や条件の確認
  • 火薬の選定
  • 発破装置の設置や点火
  • 不発の場合の点検や処理

など、多岐にわたります。

発破技士は人の手や重機で壊すことができない建物や山などを火薬を用いて破砕するわけですが、周囲に影響をあたえる可能性のある危険のともなう作業であるため、対象となる建物や岩盤の硬さ、立地などの条件をしっかりと確認した上で準備を進めていきます。

発破に用いる火薬の選定も発破技士の主な仕事の一つとなっていますが、火薬の管理については別途「火薬類取扱保安責任者」という資格が必要になるため、発破技士は、発破技士の資格と火薬類取扱保安責任者の資格をセットで取得するのが一般的です。

火薬の選定が完了したら、発破装置を設置して点火し、対象物を破砕していきます。

また、発破の作業では爆発がおこらず不発になることもあり、実際に不発となった場合の点検や処置などの対応も発破技士が行います。

発破技士の年収相場

2019年時点での発破技士の平均年収は540万円ほどで、男性の平均年収が約620万円、女性の平均年収が約470万円となっています。

国が公表しているデータによると労働者全体の平均年収は433万円ほどとなっているため、発破技士の給与水準はかなり高いと言えるでしょう。

実際の年収は就職する企業によって異なりますが、発破技士の年収相場がここまで高くなっている要因としては、専門性の高さと危険性の高さがあげられます。

発破技士は火薬を取り扱う仕事なので建設業界の職業の中でも特に専門性が高いと言えますし、火薬を爆発させて建物や山を破砕するという危険のともなう職業なので年収も高く設定されているわけです。

また、担い手が少ないという点も、発破技士の年収相場の高さに影響をあたえている要因の一つとなっています。

発破技士の主な就職先

発破技士の主な就職先としては、

  • 建設会社
  • 土木工事業者
  • 砕石業者

などがあげられます。

建設会社は建物の建設を行う業者で、土木工事業者は建物以外の道路やトンネル、橋などの建設を行う業者です。

砕石業者は採掘した原石の販売を専門に行っている業者で、原石を採掘する工程で発破技士が必要になります。

発破の作業が必要になる業界は多くなく、建設・建築業界や砕石業界が発破技士の主な就職先となっています。

発破技士の魅力・やりがい

発破技士として実際に建設業界や砕石業界で働く上で気になるのが発破技士の魅力ややりがいですが、代表的なものとしては、

  • 年収が高い
  • 手に職をつけられる

などがあげられます。

紹介してきたとおり、発破技士は高い年収が見込める職業です。

平均年収は540万円ほどですが、スキルを高めてキャリアを築いていくことができれば、年収の水準はさらに高くなります。

また、専門性が高く雇用も安定しているため、手に職をつけたいと考えている方にとっては非常に魅力的な職業だと言えるでしょう。

一方、多くの人がイメージするような派手さはありません。

火薬を用いて建物や岩盤を破砕すると聞くと、大きな爆発をともなうなど派手なイメージを持つ人も多く、その点に魅力を感じる人もいるかと思います。

ただ、実際の発破作業では爆破の規模をどれだけ小さいものに留めるかが重要で、派手な爆発をともなうことはないので、そういった部分に憧れを抱いている方は注意してください。

発破技士の厳しいところ・大変なところ

給与水準が高く雇用も安定している発破技士ですが、

  • 危険をともなう仕事である
  • 雨の日の対応が大変

など、ならではの厳しいところや大変なところもあります。

発破技士は専門的な知識を備え、その上で発破作業を行っていますが、それでも建物や岩盤が想定外の崩れ方をしてしまう可能性はゼロではありません。

建物や岩盤を破砕するほどの火薬を取り扱うという点も考慮すると、大きな危険のともなう仕事であると言えます。

また、火薬を取り扱うため、雨による影響を受けやすく、梅雨など雨の多い時期の作業は特に大変です。

発破技士に向いている人の特徴

発破技士として就職・転職する上で重要になってくるのが発破技士に向いているかどうか。

発破技士に向いている人の特徴としては、

  • 慎重な性格の人
  • 几帳面な人
  • 責任感が強い人
  • 危機管理能力の高い人
  • 視野の広い人

などがあげられます。

発破技士は火薬を取り扱う仕事なので物事を慎重に進められる人や几帳面な人の方が向いていると言えます。

また、少しのミスが大きな事故につながりかねない仕事なので、責任感や危機管理能力も必須です。

視野が広く、いろいろなことに気づけるかどうかも、安全に発破の作業を行う上で重要になってきます。

発破技士になるには?

発破技士になるには?

発破技士になるには、試験に合格した上で免許の交付を受ける必要があります。

ここからは、

  • 発破技士免許試験の受験資格と免許を申請する際の条件
  • 発破技士免許試験の概要
  • 発破技士免許試験の合格率と難易度

など、発破技士になる方法や具体的な手順について解説していきます。

発破技士免許試験の受験資と免許申請時の条件

国家資格の試験では何かしらの受験資格が設けられていることが一般的ですが、発破技士免許試験の場合、受験資格は設けられていません。

学歴や経歴、年齢などに関係なく、誰でも受験できるようになっています。

ただ、ここで注意しなくてはならないのが、試験に受かった後の対応についてです。

発破技士免許試験に合格したら免許を交付してもらうために申請しなくてはなりませんが、免許を申請するには以下の3つの条件のうちのいずれかを満たさなくてはいけません。

  • 大学や専門学校、高校などの指定の学科を卒業した上で、発破作業に関する実地修習を3ヶ月以上受けている
  • 発破作業の補助を6ヶ月以上経験している
  • 発破実技講習を受けている

試験に合格しつつ、免許の交付に関する条件を満たして初めて発破技士になれるような仕組みになっているので注意してください。

発破技士免許試験の概要

発破技士免許試験は、毎年6月と12月の年2回、各地の試験センターで実施されます。

受付期間はその年によって若干前後しますが、試験の2ヶ月ほど前から申し込みの受付が始まり、試験の2週間ほど前まで受け付けてくれます。

試験は選択式で、出題範囲と問題数は以下のとおりです。

  • 発破の方法に関する問題:10問
  • 火薬類の知識に関する問題:5問
  • 火薬類の取り扱いに関する問題:5問

それぞれの科目で4割以上、全体で60割以上正解すれば合格となります。

また、受験する際は、6,800円の受験料が必要なるので注意してください。

発破技士免許試験の合格率と難易度

発破技士免許試験の過去5年間の合格率については以下のとおりです。

実施年受験者数合格者数合格率
2018年413人280人67.8%
2019年459人273人59.5%
2020年336人225人67%
2021年468人318人67.9%
2022年480人289人60.2%

年度によって多少のバラつきはありますが、合格率の平均は約65%と、国家資格としては非常に高くなっています。

合格率の高さからもわかるように、発破技士免許試験の難易度はそこまで高くありません。

合格に必要な勉強時間の目安は20〜30時間ということを考えると、国家資格の中では比較的合格しやすいと言えるでしょう。

発破技士の資格取得を目指す上での注意点

発破技士の資格取得を目指す上で注意しなければならないポイントとしては、

  • 実務経験がない場合は講習を受ける必要がある
  • 発破技士として働くには火薬類取扱従事者手帳の申請が必要になる

の2点があげられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

実務経験がない場合は講習を受ける必要がある

発破技士免許試験に合格した後に免許を交付してもらうには6ヶ月の実務経験が必要になります。

建設会社や砕石業者に就職し、発破作業の補助に入っている期間が実務経験としてカウントされるのですが、学歴や経験の有無によって建設会社や砕石業者に採用してもらえないというケースも少なくありません。

ただ、そういったケースであっても、指定の講習を受けることで実務経験の要件を満たせるようになり、免許を交付してもらうことが可能です。

講習はそれぞれの地域の火薬保安協会が行っているので、実務経験のない方はチェックしておくようにしましょう。

発破技士として働くには火薬類取扱従事者手帳の申請が必要になる

免許を交付してもらって実際に発破技士として働くには、火薬類取扱従事者手帳の申請も必要になります。

火薬類取扱従事者手帳は、火薬類取締法で義務付けられた保安教育を受けていることを示すものです。

いくつか種類がありますが、発破技士の場合は青色の手帳を申請し、受け取る必要があります。

申請は発破技士の免許が交付されてから6ヶ月以内に行わなければならないので、免許が交付されたら、忘れずに申請するようにしてください。

まとめ

発破技士は、建設業界で活躍できる専門職の一つです。

仕事の内容がかなり特殊なので活躍できる業界は限られますが、高年収が見込める魅力的な仕事です。

国家資格で企業からの需要が高く、仕事の量も安定しているので、建設業界でのキャリアをしっかりと築いていきたいと考えている方におすすめの職業だと言えるでしょう。

国家資格ではあるものの、難易度は高くなく、20〜30時間ほどしっかりと勉強すれば合格できるはずなので、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか?

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