粉じん作業特別教育とは?内容や資格の必要性を詳しく解説

粉じんは肺の奥深くに入り込み、気管支炎や肺がんなどの原因になります。粉じん作業を実施する作業員は、じん肺という病気にかかりやすく、そしてじん肺への治療法はまだ確立されていません。

重要なのは、粉じんが発生する現場で作業員が自身で身を守り、現場環境を改善することです。

この記事では、粉じん作業の概要や粉じん特別教育の必要性、教育のカリキュラムや料金、受講するメリッについて紹介します。

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そもそも「粉じん作業」とは?

そもそも粉じんとは、細かなホコリのことで目に見えにくく、空気中に浮遊しやすいため人体の肺の奥にまで侵入しやすい物質です。特に粒径が5μm以下になるようなホコリは視認できず、気管支にまで到達します。

「粉じん作業」とは、上記のような細かなホコリが舞い続けるような現場での作業です。建設業や製造業、鉱業で発生しやすく、たとえば、トンネル内で岩を破砕するような作業、建設現場でドリルを用いてコンクリートを砕く場合、砥石でコンクリートなどを研磨しながらの作業などで、粉じんが発生します。

粉じん作業がもたらす健康被害

粉じん作業は、肺の奥にある細い気管支にまで入り込み、じん肺を引き起こしやすくなります。じん肺とは粉じんを吸入したことにより発症する病気で、肺の繊維増殖性変化を主体とする疾病と定義されています。

息切れや咳、痰が増えるなどの初期症状から、悪化すると肺の組織が破壊されて気管支炎・肺がん・気胸などの合併症を引き起こします。

粉じん作業をしている当時は気づかなくても、数年から十数年かけてゆっくり進行し、気がついた時にはかなり症状が悪化していることもあります。

一度じん肺にかかると、正常な肺に戻ることはなく、仕事を辞めても症状は進行し続けます。現時点ではじん肺を治す根本的な治療法は見つかっておらず、マスクの着用や局所排気装置の稼働などしか対処法がありません。

粉じん作業を行うときに重要なこと

粉じん作業を行うときに重要なことは、以下の3点です。

  • 粉じんを発生させないこと
  • 粉じんの拡散を防止すること
  • 粉じんを吸入しないこと

具体的には、粉じんを発生させない作業環境の改善と、換気対策の実施、呼吸用保護具の適切な使用が挙げられます。

たとえば、密閉化して粉じんが舞い散らないようにしたり、湿り気を与えて粉じんの飛散を抑えることができます。

しかし、現場作業において粉じんを完璧には予防できないため、次は発生した粉じんがこもならないように換気を徹底しなければなりません。粉じんが発生したそばから吸い込むような、特殊な換気装置を使用すれば、作業者が粉じんを吸い込むことを予防できます。

さらに作業者自身が防じんマスクや防毒マスクを着用することで、吸い込む粉じんの量を抑制可能です。また、近年ではよく使われている電動ファンが付いた呼吸用保護具を使用すれば、呼吸も楽で効果が高いとして、作業者に着用が推進されています。(【参考】第9次 粉じん障害防止総合対策について|厚生労働省

また、粉じんは目に見えず対策が難しいこともあり、作業者自身が粉じんに対しての正しい知識を身につけて、作業時に自ら防止策を積極的に取る必要があります。

そのためにも、特別教育によって粉じんの有害性や対策などに対して勉強する必要があるのです。

事実、近年においてはじん肺患者数は減少傾向にあり、上記の予防策の徹底や特別教育の成果が出ているといえます。(【参考】粉じん作業とその対策

特定粉じん作業には「特別教育」が必要

特定粉じん作業につくには、特別教育が必要です。安全衛生法においては、一定の危険有害な業務に就く場合は免許の取得・技能講習・特別教育の実施が義務化されています。

特に建設業や製造業などは、危険有害な実務が多いため対象となる従業員は必ず、特別教育等を受けなければなりません。

特別教育とは労働安全衛生法第59条3項において『事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。【引用】労働安全衛生法における特別教育の概要|厚生労働省』と定められています。

特別教育は社外・社内のどちらでも実施でき、社外の場合は登録教習機関にて受講します。対象の従業員が多い企業では、特別教育を社内で実施することもできます。

「免許」「技能講習」「特別教育」の違いとは

危険有害な作業を実施する際は、免許の取得・技能講習・特別教育が必要です。この3つの違いについても解説します。免許は試験があるため最も難易度が高く、この3つのなかでは最上位です。

技能講習は危険・有害な特定の作業において、労働者をまとめる作業主任者・就労制限業務に従事するものに対して、技能講習を義務付けています。

技能講習は一定のカリキュラムの受講によって、修了証明書が発行され、免許の次に難しい資格です。特別教育は、先述の通り受講すれば教育を受けたとみなされるため、最も難易度が低い資格となります。

粉じん作業特別教育とは?

粉じん作業特別教育の概要について解説します。現場において粉じん作業が発生する場合は必ず、粉じん作業特別教育を受講しなければなりません。自身が働くうえで粉じん作業を実施するなら、必ず受講しておきましょう。また、粉じん作業特別教育を受けて正しい知識をつけることが、自身の健康を守ることにつながります。

粉じん作業特別教育の概要

粉じん作業特別教育は、粉じん作業の中でも特に危険性が高い特定粉じんが発生する現場で必要とされる教育です。

特定粉じんとは…「粉じんのうち石綿その他人の健康に係る被害を生ずる恐れがある物質で政令で定めるものをいう」(第2条第4項)

環境省の大気汚染防止法にて、特定粉じんに指定されているのは石綿(アスベスト)ですが、本教育はアスベストの作業のみに限定しているわけではなく、危険性の高い粉じん作業全体を意味します。

特定粉じん作業に従事させる従業員を抱えている事業者は、必ず従業員に対して粉じん作業特別教育を修了させなければなりません。

該当する作業について

粉じん障害防止規則においては、以下のような作業を実施する際には必ず粉じん作業特別教育を受けなければなりません。

  • 鉱物の採掘
  • 岩石などを裁断、彫り上げ、仕上げする現場
  • 屋内で研磨剤を使って都議を行う現場
  • 鉱物や炭素原材料、アルミニウムなどを動力で破砕・粉砕する現場
  • 原料を混合するような現場
  • 耐火レンガやタイルを製造する工程により、乾燥した原料を重力で成形する現場

【参考】【安全衛生管理】 特定粉じん作業

以上のような現場では特定粉じん作業と呼ばれ、人体に有害な粉じんを発生させるため、該当する場合は必ず粉じん作業特別教育を受講し、修了証を受ける必要があります。

粉じん作業特別教育の講義内容

粉じん作業特別教育の講義内容について解説します。

教科所要時間
粉じんの発生防止および作業場の換気の方法1時間
作業場の管理1時間
呼吸用保護具の使用の方法30分
粉じんに係る疾病および健康管理1時間
関係法令1時間

粉じん作業特別教育の講義は、全体で4.5時間です。粉じん発生防止の方法から作業管理、保護具の使用方法だけでなく、疾病と健康管理まで網羅して学べます。また関係法令についての授業もあり、法令についての知識も付けられるカリキュラムです。

授業自体はさほど長くなく、また粉じん作業に就労するにあたって必要な知識が身に着く授です。18歳以上で日本語が理解できる方であれば、誰でも受講できます。

料金・場所・期間

粉じん作業特別教育の受講料金は、教育機関によって幅がありますが、8,000〜9,500円程度が相場です。受講場所は各登録教育機関にて行うか、従業員が多い場合は、正しい知識を持った人による講義を社内で実施できます。

また近年は、オンラインで粉じん作業特別教育の受講も可能になりました。スマートフォンやPC、タブレットがあれば、24時間いつでも受講できるため、忙しい方でも便利です。また、カメラにて受講状況を確認する仕組みのため、雇用者側も安心して受講させられます。修了証はスマートフォンアプリで当日自動発行(プラスチックカードでの発行も可能)されるなど、忙しい方でも気軽に受講できます。

直近での粉じん作業特別教育は、教育機関によって開催期間が異なるため、近くの教育機関に問い合わせましょう。

粉じん作業特別教育を受講するメリット

粉じん作業特別教育を受講するメリットは3つあります。受講だけで修了証が発行される比較的難易度の低い資格であることに加えて、以下のようなメリットを受けられるので、ぜひ受講しましょう。

特定粉じんの作業に携わることができる

粉じん作業特別教育を受講すれば、特定粉じん作業に携われます。そもそも、粉じん作業特別教育がないと特定粉じんが発生する現場では働けません。万が一、講習を受けずに就労した場合は法令違反となるため注意しましょう。

作業員の健康を守る知識がつく

粉じん作業特別教育により、作業員の健康を守る知識がつきます。粉じんによる労災認定は減少傾向ではあるものの、症状が10年以上かけて進行する性質から、気がついたら悪化しているケースもあります。粉じんは目に見えない細かな粒子のため、完全には予防できません。従業員の健康を守るためにも、正しい知識や保護具の扱い方の知識は必須です。

仕事の幅が広がる

粉じん作業特別教育を受講すれば、仕事の幅も広がります。専門的な知識をつけることで、担当できる現場の幅が増え、また知見を広げることとなります。そのため、作業現場でいろいろな作業に参加したり、教育を修了していることから後輩の指導などにもあたれるようになるでしょう。

まとめ

粉じん作業特別教育は、特定粉じんが発生する現場では必須の資格です。じん肺は10年以上かけて進行し、有効な治療法が確立されていないことから、正しい知識をつけて被害を予防する必要があります。

粉じん作業特別教育は全体で4.5時間、受講が完了すれば修了証を発行してもらえます。Webでの受講も可能なので、仕事の幅を広げて健康を守るための知識をつける意味でも、必ず受講しておきましょう。

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