建設業界の人手不足は深刻化しています。日経クロステックによると建設業界の転職求人数は2022年に2018年の4倍になっており、多くの建設業者が人員不足に悩んでいるのは明らかです。
中でも施工管理は特に不足しており、20〜30代がより上位の会社へ転職するケースが後をたちません。企業にとっては深刻な問題でありつつ、若手にとって施工管理の人手不足はチャンスになりえるでしょう。
この記事では施工管理が人手不足になってしまう9つの理由と業界で起きている変化、人手不足が若手の施工管理にとってチャンスになる理由を紹介します。
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目次
施工管理が人手不足になる9つの原因
施工管理が人手不足になる原因として、以下の9項目が挙げられます。
- 若手の施工管理が減少している
- 離職率が高い
- 業界全体の高齢化傾向
- 長時間労働や休日の少なさ
- 労災事故のリスク
- 女性就労者の獲得の難しさ
- 技術継承問題
- 福利厚生の不足
- 建設業に対してのブラックなイメージ
施工管理の離職が多くなるそれぞれの要因について、詳しく解説します。
若手の施工管理が減少している
施工管理が人手不足になっているのは、若手の施工管理が減少しているためです。日経クロステックの調査によると、20〜30代の若手施工管理の離職率は特に高く、より大手の企業や別業種へ転職している状態になっています。そのため若手が育たず、ベテランの施工管理が退職を迎えると必然的に施工管理として働ける人が減ってしまいます。
20〜30代は転職や異業種へのキャリアチェンジにも有利な年代であるため、施工管理の仕事に魅力を感じてもらえなければ退職してしまいます。建設業界も若手の育成に力を入れている状態ではありますが、せっかく育てても20〜30代の施工管理の退職が多い状況です。
離職率が高い
施工管理だけでなく建設業界全体を通して、離職率の高さも問題です。「令和3年雇用動向調査結果」によると、建設業全体の離職率は9.3%と10%近くになっています。施工管理だけに限定した公的な調査データはありませんが、2級施工管理技士の離職率は10%、1級施工管理技士は5%ともいわれており、人手不足の原因となっています。
業界全体の高齢化傾向
建設業界の高齢化は、政府としても懸念している問題です。国土交通省「建設産業の現状と課題」によると、2015年時点で65歳の建設業従事者の割合は27%を超えており、2065年には38%と4割近くが高齢者になると推定されています。施工管理も同様に若手の離職率が高い状況となっているため、高齢化が進みベテランの退職により人手不足が進むことが懸念されている状況です。
長時間労働や休日の少なさ
施工管理は朝早くから現場に出て、作業終了後に事務作業をおこなうため、労働時間が12時間を超えることもあります。また、労働時間の長さに加えて週休2日制を導入している企業が少なく、十分な休日を取得できない点も人手不足を加速させています。労働環境が悪いことが施工管理という仕事のやりがいを損なっているといえるでしょう。
労災事故のリスク
施工管理は現場に出て安全管理のための巡回などをおこないますが、その際に事故に巻き込まれるリスクがあります。そのため危険な仕事というイメージがあり、入職希望者も増えない状況です。
厚生労働省「令和5年における労働災害発生状況について(3月速報値)」によると、前年度同時期に比べて労働災害事故は22.1%減少しています。データでもわかるように、現場で起きる労災事故は減少傾向にありますが、危険な仕事というイメージを払拭できず、新たな施工管理者を確保できていません。
女性就労者の獲得の難しさ
施工管理を志望する女性が少なく、就労者を獲得しにくいことも人手不足の要因です。建設業は力仕事であるため男性の就労者が多く、女性にとって働きやすい環境が整っていない企業が多いからです。たとえば現場に女性専用トイレがない、産休制度が整っていないなどの理由から、女性の施工管理を雇用するのが難しくなっています。
政府としても女性の施工管理や労働者を増やすことを提唱してはいますが、環境が整った企業はまだ多くありません。
技術継承問題
施工管理の仕事は経験で業務を覚えることが多く、仕事をマニュアル化している企業はあまりありません。建設業界の慣習として「仕事は見て覚えろ」という風潮があり、技術継承に力を入れている企業があまりないことも、施工管理の人手不足の原因です。
また施工管理は多忙であり、新人研修の時間やリソースを割けないため、新人教育の時間がありません。
結果として新人で施工管理として入社した人がいても、十分な教育ができず仕事を覚える前に辞めてしまいます。また、せっかく育てたとしても若手はより良い環境を求めて転職してしまい、結果的に中小の建設業者での施工管理不足が解消しません。
福利厚生の不足
施工管理に限らず建設業界全体が人手不足になる理由は、福利厚生の不足です。他業種と比べて建設業界は福利厚生が充実していない企業が多いといわれています。社会保険がなかったり、退職金制度を整備していないなど、福利厚生面での魅力が少ないため、新たな入職者が獲得できません。
一部の建設事業者が若く給料がまだ高くない若手のために、寮を設置するなど法定外の福利厚生制度を導入してはいますが、建設業界全体としてはまだまだ不十分です。
建設業に対してのブラックなイメージ
施工管理が人手不足になってしまう理由として、建設業に対して定着している悪いイメージも要因でしょう。かつて建設業は『3K(危険・きつい・汚い』な仕事と呼ばれ、仕事内容や労働環境がきつく、また屋外で作業をするため体が汚れるというイメージがあります。
また体育会系な気質でパワハラがありそう、施工管理は職人に怒られるというイメージもあり、施工管理になりたいと思う人が少ないです。施工管理の仕事に対してのイメージがよくないため、新たな施工管理を確保できない状況となっています。
施工管理の人手不足解消のために改善すべきポイント
施工管理の仕事において人材不足を解消するためには、以下の4つのポイントに留意することが重要となります。
- 労働環境の改善
- 賃金と待遇の向上
- 教育と育成の強化
- 働きやすい職場環境の整備
労働環境の改善
施工管理職は労働時間が長く、工期や突発対応により休日が少なくなることが多々あるため、ワークライフバランスが崩れやすいです。
この点を解消しないと、労働条件で多職種に劣って見えてしまう懸念は払しょくできません。
改善するためには適切な労働時間の短縮や残業時間の削減による労働時間の適正化や、健康診断やリフレッシュ休暇の導入、家族手当などの福利厚生を充実させる必要があるでしょう。
賃金と待遇の向上
施工管理の仕事は責任が重く、体力的にも精神的にも負担が大きい職種です。
その場合は賃金と待遇を向上させることで、職業としての魅力を高めることが重要となります。
たとえば賃金の見直しにより業界平均賃金よりも高い給与を提供すること、賞与やインセンティブの強化によって業績・頑張りに応じた報酬を支払うと効果的でしょう。
教育と育成の強化
新人教育やキャリアアップのための研修制度を整備することで、未経験者や若手の育成を促進し、長期的な人材確保が可能となります。
とくに新人研修の充実は現場での実地研修やメンター制度の導入など、新人の早期戦力化を図るうえでも重要となります。
また継続的なスキルアップ研修や、資格取得支援制度を設けることもおすすめです。
働きやすい職場環境の整備
施工管理の現場は厳しい条件下で進められることが多いため、働きやすい職場環境を整備することが大切です。
近年ではIT技術の導入による現場管理で、業務効率化を図って労働負荷を軽減することが有効とされています。
加えてリスク軽減のために、設備投資や安全教育の徹底によって安全対策の強化も意識すべきでしょう。
建設業界で起きているポジティブな変化とは
前述した課題点に加えて、そもそも建設現場の施工管理は3Kなどネガティブなイメージを持たれがちですが、実は労働環境や給与待遇は改善されています。
- 労働環境の改善
- 給与待遇の向上
- 転職チャンスの増加
具体的に施工管理を取り巻く状況が、人手不足を解消するためにどう変化しているか解説します。
労働環境の改善
建設業界全体の人手不足への懸念から、労働環境の改善が急務とされ、大手ゼネコンを筆頭に労働環境改善への取り組みが始まっています。また、2020年に施行された「働き方改革関連法案」における労働時間の上限規制が建設業界でも2024年4月より適用開始されます。
年間労働時間や時間外労働に対しての規制が適用されるため、これまでのような長時間労働や残業はできません。建設事業者は長時間労働問題の解消のためにDXを推進して作業を効率化し、労働時間短縮を目指しています。
給与待遇の向上
仕事の魅力の1つである給与待遇を改善し、新たな施工管理獲得に向けて動いている建設事業者も増えてきました。今まで企業によって支給されないこともあった資格手当の給付はもちろん、基本給の見直しがおこなわれています。
給与待遇の改善によりやりがいが増え、またより良い待遇を求めて人材流出を防ぐ狙いです。この変化により施工管理の年収が上がり、満足のいく収入を得られる可能性が高まります。
転職チャンスの増加
施工管理の人手不足により施工管理のニーズが増え、求人数が増加しています。今の職場に不満を持っている方は、より良い会社で働けるかもしれません。これまでは施工管理の求人は大規模工事現場の施工経験、1級施工管理技士資格が必須など、厳しい条件がありました。
しかし、人手不足によって求人要件が緩和されており、経験や資格がなくても転職しやすい環境になっています。
施工管理の人手不足が若者にとってチャンスな理由
建設業界にとっては施工管理の人手不足は大問題ですが、施工管理を目指す若者にとってはチャンスともいえるでしょう。
- 未経験OK・第二新卒の施工管理求人が増えている
- 大型工事を担当できる可能性がある
- 若くして高収入を狙える
なぜ若者にとって施工管理の人手不足がチャンスになるか、その理由を紹介します。
未経験OK・第二新卒の施工管理求人が増えている
施工管理の人手不足により、建設事業者も求人要件を緩和してより多くの人材を獲得したいと考えるようになりました。今まで経験者を対象に転職求人募集を出していた企業も、未経験歓迎に切り替えるなどの変化が生まれています。
そのため施工管理の実務経験がない人や、第二新卒でも施工管理として志望企業へ就職できる可能性が高まっているのです。
大型工事を担当できる可能性がある
施工管理が不足したことで、若手にも大規模工事を担当するチャンスが回ってきやすくなります。今までは大型工事はベテランに、小規模工事を若手にという風潮がありましたが、人手不足により経験年数で区別していられない状況です。
小規模工事ばかりで不満を感じたり、やりがいがないと思っていた方にとっては、大型の工事で経験を積むチャンスです。
若くして高収入を狙える
施工管理のニーズが高まったことで、給与待遇が改善され、若手の施工管理でも高収入を得られるチャンスがあります。ベースの給与が上がり、20代でも月給30万円以上を目指せるなど、同年代と比べて高い年収を得られる可能性もあるでしょう。
まとめ
建設業界において工事を管理する施工管理職は不可欠な役割であり、人手不足は大きな問題です。しかし、若手の施工管理にとっては労働環境や待遇の改善、より上位の会社へキャリアアップするチャンスと捉えられます。
大型の工事を若手でも体験できたり、募集要件の緩和からより大手の企業へ転職できる可能性もあがります。施工管理の人手不足をチャンスと考えて行動すれば、よりやりがいを持って施工管理の仕事ができるでしょう。