酸素欠乏症や硫化水素中毒の危険がある建設業や製造業などで、安全・衛生的に作業をおこない、事故を予防するための知識を身につけるための講習が酸素欠乏特別教育や硫化水素危険作業特別教育。工事現場等での労働災害を発生させないためにとても大切な講習です。
今回は、見えない酸欠や硫化水素の危険から身を守るために大切な、特別教育の内容や受講方法などについて詳しく解説していきます。
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目次
酸素欠乏(酸欠)特別教育とは?
酸素欠乏(酸欠)特別教育は、酸素欠乏症の危険性がある場所で作業をする場合に受講が義務付けられています。労働災害による酸素欠乏症は、建設業だけでなく製造業や清掃業などの現場でも発生する可能性があり、これらの業種においても、危険性のある現場で作業をする場合には特別講習の受講が義務付けられています。
酸素欠乏(酸欠)特別教育が必要な理由
酸素欠乏(酸欠)特別教育は、作業員の安全・衛生を守り、労働災害を防止するためにとても重要な講習です。
酸素欠乏(酸欠)は、危険が目に見えないため、気づかないうちに危険な状態になってしまう可能性があります。そのため、危険性のある現場での作業では、一定以上の知識が必要となります。
酸素欠乏は、発生してしまうと死亡率が非常に高い危険な労働災害です。
厚生労働省が公表しているデータによると、酸素欠乏による労働災害は毎年発生しています。酸素欠乏による労働災害の被災者の死亡率は60%以上で推移しており、非常に高いものとなっています。厚生労働省のデータをもとに、過去5年分の酸素欠乏による労働災害の発生数や被災者数、死亡者数を以下の表にまとめました。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
発生件数 | 6 | 4 | 10 | 3 | 4 |
被災者数 | 7 | 5 | 12 | 3 | 6 |
死亡者数 | 6 | 5 | 8 | 2 | 5 |
死亡率 | 85% | 100% | 96% | 66% | 83% |
参考:厚生労働省|酸素欠乏症・硫化水素中毒による労働災害発生状況
表を見てわかる通り、ひとたび労働災害が発生し、被災してしまうと非常に高い確率で死に至るという恐ろしい災害です。
被災者を救出しようとした人がさらに被災してしまうという二次災害の危険性が大きいのも酸素欠乏症の特徴。現場従事者が正しい知識を持ち労働災害を予防することや、万が一災害が発生してしまった場合でもAEDを使用した正しい救急救命処置などの知識を持っていることで、死亡者数を減らすことができるのです。
これらの正しい知識を身につけることができるのが、酸素欠乏(酸欠)特別教育です。
酸素欠乏危険作業の2つの種類について
酸素欠乏危険作業には、第一種と第二種の2つの種類があります。
第一種酸素欠乏危険作業とは、酸素欠乏(酸欠)の危険がある場所での作業のこと。
一方の第二種酸素欠乏危険作業とは、酸素欠乏(酸欠)だけでなく、硫化水素中毒の危険がある場所での作業のことです。
硫化水素中毒も酸素欠乏と同様、非常に死亡率の高い危険な労働災害です。
第一種特別教育は酸素欠乏症のみ、第二種特別教育は酸素欠乏症に加えて硫化水素中毒の危険がある場所での作業が可能になります。
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の内容とは
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育は、酸素欠乏や硫化水素による中毒の危険性の疑いのある場所での作業をする人は受講が必須とされています。
酸素欠乏症や硫化水素中毒などの危険が伴う現場での作業をおこなう人には、受講が義務付けられています。特別教育を受講していない場合、トンネルや下水道などの密閉された環境での工事や作業をおこなうことができません。
酸素欠乏症や硫化水素中毒になる恐れのある現場での作業に必要な酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育の具体的な講習の内容について詳しく見ていきましょう。
講習は学科のみ
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育は、学科のみの講習で実技科目はありません。講習科目やそれぞれの受講時間を以下の表にまとめました。
講習科目 | 酸素欠乏等の発生の原因 | 酸素欠乏症等の症状 | 空気呼吸器等の使用の方法 | 事故の場合の退避および救急そ生の方法 | その他酸素欠乏業等の防止に関し必要な事項 |
受講時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1.5時間 |
合計で5.5時間ほどの講習で、1日で学習できる講習です。
どの科目も、実際に危険性のある場所での作業を安全におこなうために欠かせない知識を身につけることができます。
資格や実務経験の有無は関係なく誰でも受講でき、受講後には修了証が発行されます。
受講修了後にもらえる「認定証書」
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育を受講し修了すると、以下の2種類の認定証書が受け取れます。
教育修了証 | 受講者携帯用 カード |
受講証明書 | 事業所保管用 証書型 |
講習所などで受講すると、認定証書はその場で受け取れることがほとんどです。通信講座やオンラインなどでの受講の場合には後日送付されます。
実際に現場で作業をする際には必ず修了証や証明書などが必要となりますが、後日発行の場合、間に合わない可能性もあるため、受講前に確認をしておくと安心です。
選べる2つの受講方法
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育は、2種類の受講方法から選べます。
①講習会受講
②通信講座受講
それぞれの受講方法の特徴について解説していきます。
①講習会受講
受講方法として一般的なのが、講習会に参加すること。全国各地で講習会がおこなわれています。講習を開催している機関もいくつかあります。
講習会を受講する場合、講習の会場や日時に合わせて日程の調整をする必要があるうえ、講習機関によって受講費用が異なります。会場や日時、費用については事前に確認しておきましょう。
なかには、出張講習をおこなってくれる機関もあるため、自社で社員に対しての講習を開催することも可能です。講習会場に足を運ぶ必要がなく、日程もある程度自由に調整することができます。
②通信講座受講
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育は、講習会での受講だけでなく通信講座での受講もできます。
通信講座の場合、自分のスケジュールに合わせて受講が可能なので、個人で受講する人におすすめです。さらに、わからなかった箇所などを繰り返し確認できるので、自分のペースで学習を進めることもできるといったメリットがあります。
講習会での受講とは違い、交通費や宿泊費を支払う必要がないので、余分な費用が発生しないこともメリット。
受講費用を抑えながら完全に自分のペースで受講ができます。
通信講座の場合、認定証書が即日受け取れないため、必要な現場に間に合わない可能性があります。どのくらいで認定証書が手元に届くのかを事前に確認しておきましょう。
酸素欠乏(酸欠)特別教育と主任者技能講習の違い
酸素欠乏や硫化水素危険作業をするのに必要な資格は、第一種と第二種の2種類の酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育があるとお伝えしましたが、そのほかに主任者技術講習というものがあります。
主任者技術講習とは、酸素欠乏や硫化水素危険作業の現場で作業主任者として業務をおこなう酸素欠乏危険作業主任者に必要な講習のこと。
酸素欠乏危険作業主任者とは、酸素欠乏症や硫化水素中毒の危険性がある場所において、作業を安全におこなうための指揮・監督をおこなう専門家です。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習のカリキュラム
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習にも、第一種と第二種があります。
第一種講習の修了に必要なカリキュラムは学科と実技を合わせて6科目。合計で12時間の講習です。
【学科講習】
- 酸素欠乏症および救急そ生に関する知識
- 酸素欠乏の発生の原因および防止措置に関する知識
- 保護具に関する知識
- 関係法令
【実技講習】
- 救急そ生の方法
- 酸素の濃度の測定方法
学科・実技講習ともに、受講後に修了試験が実施されます。
第二種講習の修了に必要なカリキュラムも第一種と同じく学科と実技を合わせて6科目。合計の講習時間は15.5時間です。
【学科講習】
- 酸素欠乏症、硫化水素中毒および救急そ生に関する知識
- 酸素欠乏および硫化水素の発生の原因および防止措置に関する知識
- 保護具に関する知識
- 関係法令
【実技講習】
- 救急そ生の方法
- 酸素および硫化水素の濃度の測定方法
第一種を修了すると酸素欠乏の危険がある現場での作業主任者として業務がおこなえます。
第二種は硫化水素危険作業の現場でも作業主任者として活躍することができるようになります。
特別教育と主任者技能講習の両方を取得すると?
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育に加えて、主任者技能講習を受講することは、仕事の幅を広げることに直結します。
主任者技能講習の修了者は、危険作業をおこなう現場には必ず必要な人材です。そのため、両方を取得することは今の仕事の幅を広げるだけでなく、転職の際にも有利に働くでしょう。
まとめ
酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育について詳しく解説しました。
酸素欠乏(酸欠)症や硫化水素中毒は、とても死亡率の高い危険な労働災害です。作業中の事故を防止するためにも、特別教育の受講が義務付けられています。
酸素欠乏症や硫化水素中毒の危険性のある現場での作業をおこなう可能性のある人は必ず受講をし、安全に作業をおこないましょう。