クリティカルパスとは?求め方や把握するメリットを解説

「クリティカルパスってなに?」
「作成するメリットってあるの?」
「クリティカルパスの作成方法が知りたい」

こういった疑問お悩みにお答えします。

クリティカルパスは難易度が高く、苦手意識を持たれている方もいらっしゃることでしょう。

しかし、方法や意味さえわかれば実は容易に作成できてしまいます。

本記事では、クリティカルパスの意味やメリット、作成方法について解説します。

クリティカルパスを知ると今後の工程管理が格段に楽になるので、ぜひ本記事を参考に取り組んでみてください。

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クリティカルパスとは?

クリティカルパスとはネットワーク式工程表に用いられる用語の一つで、各経路(パス)の中で最も長い日数を要する最長経路をいい、余裕がまったくない経路のことです。

タスクは作業を表わし、完了しなければ次に進めないのかもしくは並行して行えるのか、といった一連の工程を時系列で結んだときの最長経路を可視化できます。

つまり、どの経路が工程に影響するのかクリティカルパスによってわかるといった仕組みです。

最終的に経路の通算日数が全体の工期となります。

他にもクリティカルパスについて、以下を解説します。

  • 建設業におけるクリティカルパスの重要性
  • クリティカルチェーンやガントチャートとの違い

これらもクリティカルパスを理解するうえでは重要な事項です。

建設業におけるクリティカルパスの重要性

クリティカルパスがあるタスクは日数がかかり、全体的な工期遅延にもなりかねません。

そのためにも実際にネットワーク式工程表を作成し、クリティカルパスを発見することが重要です。

もしクリティカルパスを発見した際は、解消もしくは回避できないか検討してみて、必要があれば組み立て直しましょう。

工事を円滑に進め、最短で完了することも施工管理者の役目です。

クリティカルチェーンやガントチャートとの違い

クリティカルパスに似た手法にクリティカルチェーンやガントチャートがあります。

クリティカルチェーン

クリティカルチェーンとは、プロジェクトや各タスクの予算やスケジュールを考慮しつつ、余裕分を設けておく管理手法です。

CCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)とも呼ばれます。

大きな違いは、リソース(人や物・お金といった資源)の考慮があるかどうかです。

クリティカルチェーンはリソースを考慮しますが、クリティカルパスは考慮せずに最短日数を求めます。

なぜこのような管理手法を用いるのかというと、余裕を持った工程であると計画通りに完了すれば問題ないといった人間の心理が働くためです。

そのため、あえてぎりぎりの工程としているのです。

ではクリティカルチェーンには、どういったリソースが考えられるのか以下に示します。

リソースの種類
  • 人員の体調不良
  • 機械の故障
  • 人員不足
  • 機械の確保不足
  • 作業場所の確保

こういった要因を組み立てたうえで、考えられるリソースは工程の最後に余裕分として設けます。

余裕は確保しつつ不測の事態に備えてかつかつで作業を進めるため、結果的に工期内に完了できるといった仕組みがクリティカルチェーンです。

ガントチャート

ガントチャートとは、縦軸に各作業の工種をとり、横軸に各工種の進捗度合いを表わした工程表のことをいいます。

クリティカルパスとの大きな違いは、ガントチャートは作業の進捗度合いを数値(%)として把握できることです。

そのため各作業のリソースや残り作業が追跡しやすく、とくに複数作業を同時並行で進めるときに活用できます。

またクリティカルパスに比べ、組み立てやすくわかりやすいといった点も挙げられます。

クリティカルパスの求め方・書き方

クリティカルパスの求め方・書き方

クリティカルパスの求め方や書き方については、以下の流れで進めていきます。

  • ①作業工程のリストアップ
  • ②各工程の依存関係を把握する
  • ③ネットワーク図を作成する
  • ④作業の所要期間を推定する
  • ⑤クリティカルパスを特定する
  • ⑥工程の再検討

これらの流れを踏まえたうえで、クリティカルパスを理解し、実現可能な工程表を作成してみましょう。

①作業工程のリストアップ

まず工事完了に当たって作業工程をすべて洗い出しましょう。

たとえば杭基礎工事であれば、以下の工程が考えられます。

杭基礎工事の工程
  • 準備工
  • 掘削・切土
  • 型枠搬入
  • 型枠製作
  • 基礎工
  • 型枠組立
  • コンクリート打ち込み

その際、作業分解構図(WBS)を用いると抜け漏れなく段階的に整理できます。(下図参照)

WBSの一例 (画像引用元:国土交通省

各工程の工数を過去の実績や全体スケジュールを踏まえたうえで、クリティカルパスの把握をしましょう。

②各工程の依存関係を把握する

WBSを元に各工程間の依存を把握をします。

この作業では、他の工程との依存関係や並行して行えるかといった確認作業です。

たとえば「掘削・切土」「型枠搬入」「基礎工」といった工程の場合「掘削・切土」と並行して「型枠搬入」は行えます。

しかし「掘削・切土」と「基礎工」は並行して行えません。

なぜなら「掘削・切土」作業が完了しないと「基礎工」作業に着手できないからです。

このように「掘削・切土」と「基礎工」は、依存関係であることがわかります。

このような依存関係を「作業シーケンス(順序)」と呼び、クリティカルパスの決定に用いられます。

③ネットワーク図を作成する

WBSを元にネットワーク図を作成します。

工程を時系列ごとに組み立てて関係性を矢印で結んでいくと、工事完了までの大まかなスケジュール立てが可能です。

杭基礎工事を具体例でみると「基礎工」の右側に「型枠組立」のタスクを置き、矢印で結びます。

「基礎工」と「型枠製作」は同時に着手できますから「基礎工」の上側に「型枠製作」を置き、分岐させます。

その際、工程の順序も記入しておくと後から混乱せずにクリティカルパスの計算ができるでしょう。

④作業の所要期間を推定する

各工程の依存関係が特定できたら、次に各作業の所要時間を見積もりします。

作成したネットワーク図の結んだ矢印上に、予測される所要日数を記載します。

しかし「どうやって所要日数を算出すべきかわからない」といった方もいるでしょう。

その場合は、以下を参考に算出します。

所要日数の算出方法例
  • 過去の工事実績データを元にする
  • 工事経験のある社員からヒアリングする
  • 公開されている標準設計の所要日数を元にする

ここではクリティカルパス(最長経路)を割り出す重要な作業となりますので、慎重に割り当てましょう。

⑤クリティカルパスを特定する

前ステップで算出した各工程の所要日数を時系列ごとに合算していき、クリティカルパスを特定します。

注意すべき点は、分岐させた工程がすべて完了しないと、先の工程へ着手できないことです。

たとえば「基礎工」作業と「型枠製作」作業を並行して行っていた場合、「基礎工」が早くに完了しても「型枠製作」が完了しなければ「型枠組立」の工程に進めません。

裏を返せば「基礎工」に手待ち日数があるため、多少遅延しても工期に影響はないともいえます。

この場合「型枠搬入」と「型枠製作」の工程部分がクリティカルパスとなり、最長日数とします。

⑥工程の再検討

クリティカルパスが特定されたことで、全体工期に無駄がないか再度検討してみましょう。

無駄がある場合は、クリティカルパスの短縮につながるためです。

見直す方法には2通りあり、クラッシング法とファストトラッキング法です。

クラッシング法はリソースの追加をいい、具体的には以下が挙げられます。

考えられるリソース
  • 作業人員
  • 作業時間
  • 機械の台数
  • 高能力の機械の参入

これらを追加し、全体工事の見直しが図れます。

一方でファストトラッキング法とは、本来順番通りに行うべき工程を同時並行で進めて工期短縮を行う方法です。

全体工期を厳守できる反面、本来作業とは異なる方法で進めるため、手戻り作業発生のリスクがあります。

管理が複雑化し、負担とならないように見極めながら選択しましょう。

またクリティカルパスを用いた工程管理は、主に施工管理者の役目です。

もし「施工管理に興味を持った」といった場合は、建築関係専門の求人サイト「トントン」で「施工管理」の業種に絞って検索してみてはいかがでしょうか。

登録せずに検索も可能なので、一度みてみることもありです。

クリティカルパスを把握する3つのメリット

クリティカルパスを把握することで得られるメリットには、以下が挙げられます。

  • ①作業優先度を決められる
  • ②効率的かつ柔軟にスケジュール管理が可能
  • ③能率的にリソース管理ができる

詳しく解説します。

①作業優先度を決められる

クリティカルパスを把握していると、作業優先度が明確になります。

なぜなら工程ごとに日数が可視化されているため、人員や機械などを投入すべきかタイミングがわかるからです。

そのため取り掛かるべきタスクはなにか、いつまでになにをしなければいけないのか、いまなにをすべきかなどが把握できるようになります。

ひとつの工事を工期内に完了するためにも、作業の優先度を明確にできる点はメリットとして挙げられるでしょう。

②効率的かつ柔軟にスケジュール管理が可能

クリティカルパスは、工事全体の所要時間や経路が把握できるため、柔軟なスケジュール管理が可能になります。

万が一遅延が発生した場合は、解消方法としてクラッシング法やファストトラッキング法を導入しやすい点も挙げられます。

不測の事態に備えるためにも、効率的かつ柔軟にスケジュール管理が可能なクリティカルパスはメリットのひとつといえるでしょう。

③能率的にリソース管理ができる

クリティカルパスのメリットに効率的なリソース管理が挙げられます。

どの工程にどれだけ人員や機械・予算といった資源を割けるか事前に把握できるためです。

たとえばA作業が想定より早く進行していた場合、A作業からB作業へ再配置を検討するといった管理も可能です。

リソース管理がしやすく、効率的な運用がメリットとして挙げられるでしょう。

まとめ

本記事では、以下を解説しました。

  • クリティカルパスとは?
  • クリティカルパスの求め方・書き方
  • クリティカルパスのメリット

クリティカルパスはある程度の知識や経験がないと算出方法に苦戦を強いられるでしょう。

しかし、クリティカルパスが理解できれば、工程表の中でも作成難易度の高いネットワーク式工程表が立てられるようになります。

現場が円滑に進むようになるため、長期的にみると施工管理が楽になります。

また国家資格のひとつ「施工管理技士」の問題にも出題されるため、実際に現場で経験しておくと勉強量が少なくすむため有利です。

ぜひ1級施工管理技士にもチャレンジして、一段上の施工管理者を目指しましょう。

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