失敗しない筋交いの正しい入れ方を3つのステップでわかりやすく解説

建築物の主要構造部分と言えば、「柱」「梁」「筋交い」がありますが、この内で入れ方に頭を悩ませるのが筋交いではないでしょうか。

というのも、筋交いがどのように作用するかが見ただけでは分かりにくいからです。

実際、筋交いについて判断するためには知識が欠かせません。

そのため、自分で筋交いを入れるときには判断に困ることも多いでしょう。

そこで、ここでは筋交いについて取り上げ、その性質と入れ方を中心に解説します。

・公開 / 非公開求人多数掲載!
・転職後に収入380%の実績アリ!
・アドバイザーによるサポートも充実!

トントンでは様々な方に向けた求人を多数掲載!
初めての就職やキャリアアップのために適した企業に、
全て無料で応募可能です!

お名前

電話番号

メールアドレス

会員限定!
サイト掲載不可の
限定求人をご紹介!

筋交いとは

筋交いは柱と梁の接合部分を斜めに走らせる部材です。目的は構造部分の補強で、特に横からの力に抵抗性を発揮します。地震の横揺れや台風の時に役立つ部材と言えるでしょう。

筋交いの入れ方のポイントは「走らせる角度」によって力の掛かり方が違う点です。横方向からの力を斜めの方向に分散させるので、走らせる角度が大きなポイントとなります。

また、筋交いは接合部分の強度が非常に重要です。仮に部材が破損しなかったとしても、接合部分が外れれば構造はバラバラになってしまいます。構造の維持のためにも、接合部分の強度の保持は重要なのです。

尚、筋交いに似た部材に「ブレース」「耐力壁」「間柱」があります。それぞれに特徴があるので、下の表で比較しましょう。

種類特徴・用途
筋交い主に柱と梁に斜めに走らせる部材。構造を補強しますが、特に横方向からの力に抵抗します。木造の筋交いが多いです。
ブレース筋交いと同様に斜めに走らせる部材。特に横方向からの力に耐えます。主に鉄骨系の建築物に使われます。
耐力壁耐力壁は構造部分に設置する合板などの部材で、横方向の力に有効です。筋交いよりも効率的に力を分散します。
間柱柱と柱の間を縦方向に走らせる部材です。横方向からの抵抗性はありません。目的としては、壁材料を固定するために取り付けられます。

筋交いの種類

このように筋交いは構造の保持のために非常に重要なのですが、現場では状況に合わせて入れ方を変えます。主なものは次の2つです。

  • 片筋交い
  • たすき掛け

それぞれの入れ方に特性があるので、次から解説します。

片筋交い

片筋交いは斜め方向の向きに1本の部材を走らせる構造です。横からの力を1本で支えます。

さて、建物に加わる横からの力は、主に柱と筋交いで保持します。風が吹き寄せて来る場合の部材の力は、柱に引張、筋交いに圧縮の力、負圧の場合はその逆での力です。

片筋交いはこの力を一本で支えます。

しかし、部材によっては圧縮には強いが引張には弱い…といったケースが少なくありません。そのため、片筋交いの場合には力の掛かり方を考えるならば、弱点となる力の方向が存在します。筋交いが圧縮には耐えられるが引張には耐えられない、という事態があり得るからです。

尚、片筋交いには右筋交いと左筋交いがあります。現場と構造の状態によって使い分けられます。

たすき掛け

たすき掛けは片筋交いを交差する入れ方の構造です。

さて、前述のように、片筋交いは建物の横からの力に耐えます。その際には1本で耐えるのですが、たすき掛けの場合は2本で支持するので、それだけ強いです。

しかも、片筋交いの場合は1本の部材で圧縮と引張を負担するのですが、たすき掛けの場合は片方に引張が掛かる時にもう片方に圧縮が掛かります。つまり、お互いの部材が助け合って構造を保持するのです。

横からの力を考えるならば、より効率良く力を分散させると言えるでしょう。

ただし、部材が2本入るので、それだけコストが掛かるのが難点です。

壁の耐久性や耐震性は筋交いの種類と用いる材料で決まる

前述のように筋交いには圧縮や引張の力が掛かりますが、実際に掛かる力は複雑です。例えば、地震のような場合には筋交いには振動として圧縮と引張が掛かるので、筋交いにはより強いテンションが掛かります。

それでは、補強にはどのような手段があるのでしょうか。

実は、これには2通りの方法があります。1つは筋交いの素材を変える方法、もう1つは筋交いの種類を変える方法です。

素材には圧縮強度と引張強度がありますが、これは素材によって異なります。ですから、強い材料に変えれば良い訳です。

また、筋交いの種類を変えるのも効果的です。主な手段としては「太さ」を変えて強度を調整します。

尚、壁の強度を考える時には「壁倍率」を参照します。これは法的に決まっている数値ですので、強度的に安心して用いられる数値です。以下は壁倍率の例です。

  • 厚さ1.5cm以上、幅9.0cmメートル以上の木材の筋交い→壁倍率1.0
  • 厚さ3.0cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率1.5
  • 厚さ4.5cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率2.0
  • 厚さ9.0cm以上、幅9.0cm以上の木材の筋交い→壁倍率3.0

以上のように、壁は強度を変えることが可能。構造に合わせて調整ができるのです。

筋交いの入れ方を3つのステップで解説

以上のように、筋交いは建物の外力を受けるので、取り付ける際の施工には精度が必要です。

しかし、DIYでの施工もできない訳ではありません。

筋交いの入れ方の基本的な流れは次の通りです。

  • 下準備
  • 取り付け
  • 固定

それぞれについて解説します。

尚、筋交いは力の加わる部分なので、施工ミスがあった場合には構造そのものが倒壊するリスクが発生します。少しでも不安要素があるのならば、迷わず専門家に相談しましょう。

筋交いを取り付けるときに必要なもの

筋交いは斜めに走らせる部材で、しかも力が掛かります。

そのため、部材とする材料には十分に注意を払わなければいけません。

第1に品質ですが、反りなどがないことが求められます。これは力が加わった場合に座屈などのリスクを減らすためです。材料に反りなどがあると、力が加わったときに曲がってしまい、十分な強度が発揮できないからです。

第2に寸法ですが、筋交いには十分な太さが必要です。前述のように、筋交いは太さによって壁倍率が異なります。特に、強度が欲しい部分には太い部材が確保されなければいけません。

第3に強度ですが、十分に強い素材を使わなければいけません。一般的には米松・スギ・ヒノキなどが使われます。

また、道具としては電卓が必要です。これは、筋交いの長さを算出するため。筋交いは斜めに走るので、三平方の定理を計算しなければいけないのです。そのため、電卓も単なる四則演算だけのものではなく、平方根の計算ができる関数電卓が望ましいです。

以上、特に必要となるものについて表にまとめてみました。

項目必要なもの条件
材料筋交いに使う木材反りなどがないこと強度が十分であること
道具電卓など長さを計算するときに必要三平方の定理が計算できるもの(関数電卓)が望ましい

1.筋交いを入れる前の下準備を行う

筋交いを考えるときは、力が加わる条件を考えなければいけません。そのため、部材を用意する時には適切な材料・道具・部品を揃えることが必要です。前述の材料・道具を忘れないようにしましょう。

また、筋交いを入れる部分の部品の取り付けも、筋交いを入れる前に準備すべきです。

尚、仮に筋交いの寸法や材料が間違ってしまうと、構造の破壊に繋がるため危険です。特に、金具をDIYで付ける時には注意が必要となるでしょう。

例えば、部材が反ったり細かったりすると、圧縮の力が掛かってしまうと折れてしまいます。また、部品の取り付けが確実でない場合には、引張の力が加わったときには破損してしまいます。これらの不具合は構造の倒壊にも繋がり得るので、十分に注意をしなければいけません。

2.筋交いを作って取り付ける

次に筋交いを作ります。

筋交いは長さもですが、角度も正確でなければいけません。また、端部の形状も強度にダイレクトに影響するので注意が必要です。

まずは長さと形状を合わせますが、この作業は1人での場合と2人での場合では違います。

1人の時ですが、長さと端部形状を正確に出さなければならないため、関数電卓で計算して部材の長さを算出しなければいけません。この時に使うのが三平方の定理です。縦と横の2乗の合計の平方根の値となるので、平方根計算が可能な電卓が必要です。

また、端部ですが、筋交いの角度を計算しなければいけません。現物合わせでも可能なのですが、部材の長さによっては、あらかじめ角度を算出しなければならず、三角比を元にして算出します。関数電卓を使うと計算値が正確になるので、作る際のコツと言えます。

次に2人の時ですが、2人いれば部材の両端を持って現物合わせでの加工が可能です。端部の形状も現物に合わせてケガくことが可能なので、複雑な計算の必要はありません。

そして、筋交いができたら、柱と梁の間に入れます。上端に合わせて掛矢ではめ込むと良いでしょう。

3.筋交いを固定する

次に行うのが筋交いの固定です。端部を部品で固定します。

さて、この部品も筋交いと同様に強い力が加わります。そのため、部品の選定には注意が必要です。筋交いの端部の形状を考慮して選びましょう。

仮に接合が適切でない場合には、接合部の締結部分が破損したり、部品そのものが破損することもあります。部品が破損すると構造が倒壊することもあり得ます。接合には注意が必要です。

次の表は端部固定でよく使われる部品です。

部品特徴
プレート型柱の側面に取り付けて接合する部品です。横から付けるため、他部材との干渉を軽減できます。
ボックス型梁や土台部分と柱の接合部分に取り付ける筋交いを受ける金物です。三面での接合になるので、高強度が望めます。
二面施工型筋交いと柱を二面で接合する金物です。他部材との干渉を防ぎやすいです。

まとめ

筋交いについて取り上げました。筋交いの入れ方や部材の重要性について把握できたことでしょう。また、仮に部材と部品が適切ではない場合には、構造の倒壊もありえることを再認識した人もいることでしょう。

もしかすると、自宅の強度に疑問を持った人もいるのではないでしょうか。

さて、筋交いは非常に重要な部材ながらもDIYでの施工が可能です。しかし、部材の計算には数学的知識も必要なので、仮に迷った場合には専門家の力を借りなければいけません。

筋交いの重要性を再考して自分のDIYの技量を考え、適切な施工をしましょう。

おすすめの記事