
「歩掛ってなに?」
「歩掛の計算方法が知りたい」
「歩掛って何に使うの?」
歩掛りとは、工事に必要な作業員の人数を把握するために使われる指標のひとつです。
工事の見積もりや現場の作業員の手配を効率的に行うために活用されます。
歩掛りを理解せずに見積もりを作成すると競合他社との競争に負けたり、赤字工事になってしまう恐れがあります。
本記事では、歩掛りの内容と工事の積算に重要なポイントを解説していきます。
歩掛りについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
そもそも「歩掛り」とは?
「歩掛り(ぶがかり)」とは、ある作業を行うのに必要な作業員の数を示したものです。
建設工事では鉄筋、大工、左官、電気など多様な職種の工事が行われます。
それぞれの職種ごとに作業に必要な作業員の数は異なります。
見積の作成にあたっては、その作業にどれぐらいの作業員が必要なのかを正確に把握しなければなりません。
材料費であれば、「価格×数」で金額を把握できますが、作業員の数は職種ごとに異なるため単純計算ができません。
そこで活用されるのが歩掛りです。
歩掛りは、建設工事の見積や工程管理に活用されます。
歩掛りの計算方法
歩掛りの具体的な計算方法を紹介します。
ここでは、例として室内の床シート貼り工事で考えてみます。
歩掛りは、対象となる作業の最小単位を施工するのに、何人の作業員が必要なのかを表した数値です。
床のシート貼り工事の場合、最小単位は「1㎡」です。
歩掛りでは、1㎡のシートを張るのに何人の作業員が必要なのかが数値化されています。
1人の作業員が1日に施工できる床シート張りが20m2だとすると、「歩掛り=1人工÷20㎡=0.05人工/㎡」となります。
この0.05人工/㎡が床シート貼り工事の歩掛です。
人工(にんく)とは、1人の作業員を1日働かせたときの単位のことです。
2人の作業員を2日間働かせた場合は「2人×2日=4人工」と表現します。
歩掛りがわかれば工事に必要な作業員の正確な人数が計算できます。
200㎡の床シート貼りに必要な作業員の人数は次のように計算できます。
「200㎡×0.05人工/㎡=10人工」
同様にして、鉄筋工事や左官工事などそれぞれの職種ごとに必要な作業員の計算が行えます。
作業の最小単位ごとに歩掛りを算出して、それに施工面積や数量を掛け合わせることで工事全体の作業員数を計算します。
出面とは?
「出面(でづら)」とは、建築現場でその日の作業に従事した作業員の人数のことです。
ある建築現場で10人の作業員が作業をした場合、その日の出面は10人となります。
出面は「出面表」と呼ばれる帳簿で管理します。
出面表を作成することで、工事にかかった作業員の延べ人数を把握できます。
出面表は作業員の延べ人数の把握だけでなく、無災害記録などの統計をまとめる際にも利用できます。
また、出面表は下請け業者への支払い根拠の資料としても活用できます。
建築現場では1日8時間の作業が基本です。
残業をした作業員がいれば出面表に「1.2人工」などと記録しておけば、支払い時の根拠となり価格交渉がスムーズに行えます。
標準歩掛の設定基準
歩掛りには「標準歩掛り」というものが存在します。
標準歩掛りとは、国土交通省がまとめた「公共建築工事標準単価積算基準」で設められている数値です。
歩掛りは、地域や見積もりを行う会社によって数値が異なります。
工事のたびに異なる歩掛りを利用していては、工事の予算を組むのが困難になります。
そこで国土交通省が全国の施工実態調査に基づいて、標準的な労務の所要量を整理して定めたものが標準歩掛りです。
標準歩掛りは、平均的な能力を有する作業員による標準作業量から算出されています。
一般的な工事であれば標準歩掛りを利用することで、適正な原価を算出することができます。
ただし、標準歩掛りを利用する場合はその設定基準をしっかりと把握していなければなりません。
設定基準と異なる条件となる場合には、適切に数値を補正しましょう。
ここでは、標準歩掛りの設定基準を紹介していきます。
① 年齢
標準歩掛りは、平均的な能力を有する作業員から算出されています。
標準歩掛りで採用されている年齢は、おおむね30代~40代の体力がある年代と考えてよいでしょう。
30代~40代の作業員と60代の作業員では体力にも差があります。
1日にできる作業量にも違いが出るでしょう。
自社でかかえる作業員に60代が多い場合は、標準歩掛り補正する必要があります。
反対に、体力自慢の30代ばかりの会社であれば標準歩掛りよりも少なめに計算してもよい場合もあります。
標準歩掛りを使用するときは、自社の作業員の年齢を考慮に入れましょう。
② 経験年数
作業の効率は、経験年数によっても大きな差が生じます。
標準歩掛りは、ある程度の経験を所有している作業員が対象となっています。
10代、20代の初心者ばかりの作業員の場合、標準歩掛りで見積を作成すると適正な予算となりません。
反対に、経験年数が20年以上のベテランばかりの会社は少なめに計算してもよい場合もあります。
作業員の経験、スキルレベルを考慮して標準歩掛りを補正することで、より正確な見積を作成することができます。
③ 資格
工事の種類よっては、資格を必要とする作業も存在します。
自社の作業員が資格をどれぐらい所有しているかによって、作業効率も変わってきます。
資格が必要な工事の見積もりを作成する場合は、有資格者の割合を考慮に入れて標準歩掛りを補正するようにしましょう。
歩掛りを使用するメリット

歩掛りを使用することにはさまざまなメリットがあります。
ここでは、歩掛りを使用する5つのメリットを紹介していきます。
- 正しい労務費を知ることができる
- 赤字工事の削減につながる
- スケジュール管理ができる
- 経営強化・現場の効率化
- 顧客からの信頼につながる
正しい労務費を知ることができる
歩掛りを使用すれば、正しい労務費を知ることができます。
建設工事は数百万円の小規模のものもあれば、数百億円のような大規模のものまであります。
正しい労務費を把握できないと、規模が大きくなればなるほど見積金額が適正な金額から乖離してしまいます。
適正金額より高い見積を作成してしまえば、競合他社との価格競争に負けてしまうかもしれません。
反対に、適正価格より低い見積もりを作成すると、工事は受注できても赤字に転落してしまう恐れもあります。
歩掛りを使用すれば正しい労務費を知ることができます。
機会損失を避け、赤字工事を未然に防いで、自社の利益向上につながります。
赤字工事の削減につながる
歩掛りを使用して見積もりを作成すれば、赤字工事の削減につながります。
建設工事の見積もりを作成する際に、どんぶり勘定で金額を算出すると、適正価格より低い金額で受注してしまう恐れがあります。
工事受注後に予算が合わないことに気づいても、顧客からは追加の費用はもらえません。
こうなるとせっかく苦労して仕事を完了させても、赤字工事になってしまいます。
歩掛りを使用して正確な金額を算出すれば、適正価格を把握でき赤字工事の削減につながります。
スケジュール管理ができる
歩掛りを使用すれば、現場のスケジュール管理ができます。
建築現場では、工程表を作成して工事の進捗を管理します。
工程表の中で工事量が多い時期には、多くの作業員が必要です。
反対に工事量が少ない時期には、作業員を減らし原価の圧縮を図ります。
歩掛りを使用すれば、工事量にあわせて適正な作業員の人数を把握できます。
作業員の適正人数が把握できれば、工程通りに工事を進められスケジュール管理が容易になります。
経営強化・現場の効率化
歩掛りを使用すると、現場が効率化し経営強化が図れます。
自社に見積作成のルールがなければ、工事ごとに漠然と見積もりを作成することになります。
適正な原価は把握できず、見積作成の時間も無駄に浪費してしまいます。
競合他社に金額で負け機会損失を被ったり、赤字受注してしまうこともあるでしょう。
見積作成に歩掛りを使用することをルール付けすれば、正確な見積を作成できるようになります。
ルールを定めて見積を作成すれば、誰が見積もりしても一定の正確性が担保できます。
見積業務が効率化できるため、労力を減らすことも可能です。
機会損失を減らし、赤字受注を減らせば利益が向上します。
見積業務の労力を減らせば、現場が効率化します。
このように見積もりに歩掛りを使用することで、自社の経営強化が図れます。
顧客からの信頼につながる
歩掛りを使用すると、顧客からの信頼を獲得できます。
建設会社が作成する見積もりの中には、「床シート貼り工事 一式○○円」となっているものもあります。
このような見積では、何㎡の床シート貼りがあり、1㎡にいくらの費用がかかるのかがわかりません。
計画よりも多い面積の数量が計上されていても、修正を依頼することができず、工事会社の言い値になってしまいます。
歩掛りを使った見積もりであれば「200m2×0.05人工=10人工」というように、見積内容が明確です。
「200m2も必要ないから100m2に減らしてほしい」といった要望にもスムーズに対応できます。
歩掛りを使った見積もりと作成することで、工事内容が明確になり、顧客の信頼につながります。
まとめ
歩掛りについて紹介してきました。
歩掛りとは、ある作業を行うのに必要な作業員の数を示したものです。
歩掛りを使用すれば、正確な見積が作成できます。
機会損失をなくし、赤字工事を削減して、自社の利益を向上できます。
見積もり作成にかかる労力も減らせて、現場を効率化することも可能です。
正確な見積は顧客の信頼獲得にもつながるため、歩掛りを利用するメリットは大きいと言えます。
建設工事で見積もりを作成するときは、歩掛りを利用して適正な金額を計算できるようになりましょう。