職長教育って何するの?講習内容と受講方法を詳しく解説します

職長教育は、建設現場でリーダー職に就くために必須の講習です。職長になるすべての方の受講が、法律で義務付けられています。

この記事では職長教育について、講習内容や受講方法などの観点から詳しく解説します。

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職長教育とは

職長教育とは、建設業において職長の職に就く者に対して義務付けられている講習です。

職長教育の受講は、労働安全衛生法(通称:安衛法)によって定められています。

ただ職長教育において、試験はありません。規定の講習を受けると、修了証が与えられます。修了証の授与をもって法的に、職長として業務に当たることが許される仕組みです。

ここでは次の3つの観点から、職長教育についてより詳しく解説します。

  1. 職長教育の目的
  2. 職長教育の期限
  3. 職長教育が必要な業種

職長教育の目的

職長教育の目的は、次の3点です。

  1. 労働者の安全と健康の確保
  2. 快適で安全な職場環境の形成を促進
  3. 上記の指導や管理を実施できる職長の育成

職長は、建設現場において作業員を指導する監督者です。さらに、現場の安全衛生を確保し災害防止を徹底するためのリーダーの役割も担います。

職長教育は、労働安全衛生法第1条に規定された「労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」ことを、建築現場で実現するための講習です。

職長教育では、職長が現場の安全管理を十分におこなえるよう、次の2点について講習します。

  • 現場の安全衛生環境を整える方法
  • 現場の作業員に安全教育・指導する際に必要な知識の習得

職長教育の期限

職長教育に期限の定めはなく、また更新の義務もありません。

労働安全衛生法の上では、一度職長教育を受ければ、その後は恒久的に職長として業務に当たることが可能です。

ただし厚生労働省が発行した「安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月21日付け基発第39号別添)」では、次の2つの条件下において、再度職長教育を受けるよう求めています。

  1. 概ね5年毎
  2. 機械設備等に大きな変更があったとき

法的には、職長教育の再受講する義務はありません。

ただ建設現場の安全衛生を徹底するために、5年程度、もしくは新しい機械や設備を導入したタイミングで、職長教育を再度受講するのが理想です。

職長教育が必要な業種

建設業においては、職長を設置する際は職長教育を実施することが義務付けられています。

しかし職長教育自体は、すべての業種に定められた義務ではありません。2023年8月現在は、建設業を含む全10業種に限定されます。具体的には、次の通りです(以下出典:厚生労働省)。

  1. 建設業
  2. 一部の製造業
  3. 電気業
  4. ガス業
  5. 自動車整備業
  6. 機械修理業
  7. 食品製造業
  8. 新聞業
  9. 出版業
  10. 製本業及び印刷物加工業

なお2023年4月1日から職長等に対する安全衛生教育(職長教育)の対象が拡充されました。これに伴い、上記項目の7から10に示した業種でも、職長教育が義務付けられています。

職長になるための講習内容

職長教育の講習会は、合計12時間、2日にわたって開催されます。

職長教育で学ぶ内容は大きく5つの分野に分類できます。それぞれの内容と講習時間をまとめたものが、下の表です。

講習内容講習の所要時間
・作業手順の定め方
・労働者の適正な配置
2時間
・指導及び教育の方法
・作業時の監督及び指示の方法
2.5時間
・危険性又は有害性等の調査の方法
・危険性又は有害性等の調査の結果に基づいて講じる措置
・設備や作業等の具体的な改善方法
4時間
・異常時の適切な措置
・災害発生時の適切な措置
1.5時間
・作業に係る設備及び作業場所の保守管理の方法
・労働災害防止についての関心の保持及び労働者の創意工夫を引き出す方法
2時間
参考:厚生労働省中央労働災害防止協会

なお職長と安全衛生責任者を兼務する場合は、合計14時間の講習である「職長・安全衛生責任者教育」を受講しなければなりません。

職長教育の受講方法

職長教育は、建築現場をはじめとする職場の安全衛生を徹底するために重要な講習です。多忙な建設業界で勤務する人でも、受講しやすいような仕組みになっています。

ここでは、次の3つの観点から、職長教育の受講方法について解説します。

  1. 職長教育を受ける場所
  2. 職長教育の費用相場
  3. 職長教育を受ける人

職長教育を受ける場所

職長教育は、次の3つの方法で受講できます。

  1. 通常講習:指定の会場で受講
  2. 出張講習:専任の講師に依頼して事業者が講習会を開催
  3. Web講習:e-Learningを活用

通常講習は各地域の労働安全基準協会のほか、建設業労働災害防止協会のような各協会などで実施されます。また公共団体以外でも、講習会の開催が可能です。

インターネットで「職長教育」「講習会」「希望する地域」を入力して検索すると、お近くで開催される職長教育の講習会を調べられます。

出張講習は、事業者が講師に直接依頼して職長教育を実施する方法です。講師と調整できれば、日時を問わず職長教育を開催できます。建設業では、平日の日中は業務に追われており、時間の調整が難しいケースも少なくないでしょう。出張講習を利用すれば、土日祝日や夕方以降といった日程での開催が可能です。

またe-Learningを活用して、Webで職長教育を受ける方法もあります。

ただしWeb講義を採用する場合は、受講要件が厳しく定められています。具体的な要件は、以下のとおりです。

  • 教育時間が規定時間以上であると、教育を実施する側が担保できる
  • 質疑応答できる
  • 参加者同士でやり取りできる

教育効果を担保できる環境を整えた場合に限り、Web講習が許されます。

職長教育の費用相場

職長教育の費用相場は、15,000円から20,000円程度です。

ただ上記は目安であり、職長教育を開催する機関によって異なります。詳細な金額については、職長教育を開催する各機関にご確認ください。

また職長教育だけでなく、安全衛生責任者の講習も同時に開催しているケースが多々あります。職長教育の12時間の学びに加えて2時間の講習を受ければ、職長と安全衛生責任者を兼任することが可能です。

職長教育を受ける人

職長教育を受ける対象となる人材は、労働安全衛生法第60条によって以下に定められています。

  • 新たに職務につくこととなった職長
  • 作業中の労働者を直接指導又は監督する立場に立つ者

建設現場において、現場で作業員に指示を出したり、監督したりといった業務に携わる人材が、スムーズに執務遂行できるようサポートするのが、職長教育です。

職長と安全衛生責任者の違い

職長と並んで安全管理に取り組む役職に、安全衛生責任者があります。両者は混同されがちです。しかし、仕事内容や現場における役割は異なります。

以下は、職長と安全衛生責任者の違いをまとめたものです。

役職仕事内容役割
職長・現場作業員の指揮監督
・現場の安全衛生の確保
・現場の統括
・現場における災害防止のリーダー
安全衛生責任者・統括安全衛生責任者との連絡
・現場責任者との調整
・事業主に代わって現場の安全を管理

職長は対内的な業務、安全衛生責任者は対外的な業務を担います。職長は現場に常駐し、現場の安全衛生に努めるのが職務です。

これに対して安全衛生責任者は、統括安全衛生責任者と連絡をとりながら、その意向を現場に反映させます。

安全衛生責任者は、職長をはじめとする関係者と連携し調整をはかるのが、主な業務です。職長との関わりが深いため、職長と安全衛生責任者を兼務することは多々あります。

職長教育と安全衛生責任者教育の違い

安全衛生責任者になる場合は、職長教育の科目にプラスして、もう2科目受講する必要があります。

ここでは、次の3点で職長教育と安全衛生責任者教育の違いについて解説します。

  1. 教育科目の違い
  2. 受講対象者の違い
  3. 職務の違い

教育科目の違い

職長教育と安全衛生責任者教育では、基本的な学習事項は同じです。ただ安全衛生責任者には対外的なやり取りが必要なため、安全衛生に関して、より深く学びます。

職長教育の内容に加えて学ぶのは、次の2科目です。

講習内容講習の所要時間
・安全衛生責任者の職務等1時間
・統括安全衛生管理の進め方1時間
参考:中央労働災害防止協会

受講対象者の違い

安全衛生責任者教育は、労働安全衛生法第59条第3項に基づいて実施されます。労働者の安全衛生水準の向上のために、事業場の診断・指導をおこなうスペシャリストとしての能力を身につけることが、講習の目的です。

職長教育は、現場作業員と連携しながら職場の安全衛生に直接的に携わる現場の監督者に必要な講習です。

一方の安全衛生責任者教育は、現場の統率者や事業者、関係各者といった管理責任者と連携し、調整役を担う人材に必要な知識を学びます。

職務の違い

安全衛生責任者は、安全衛生に関するルールが遵守されているかを調査します。不十分な部分があれば、職長と連携して改善に導くよう尽力するのも、安全衛生責任者の主な業務です。

これに対して職長は、安全衛生責任者の指示に基づいて現場作業員に具体的な安全衛生対策を指導、管理します。

現場の環境を調査して対策を計画するのが安全衛生責任であり、計画を具体的に実行に移すために現場作業員と連携するのが職長である、といえます。

職長教育についてよくある質問

職長教育についてよくある質問のうち、次の3点について解説します。

  1. 職長になるのに免許や資格は必要?
  2. 職長はどのような仕事をする?
  3. 職長教育を受けずに職長の仕事をするとどうなる

職長になるのに免許や資格は必要?

職長になるために必要なのは、職長教育を受講して、修了証を授与されることのみです。

職長教育の受講に際して、特定の免許や資格は必要ありません。また受講要件はないため、どなたでも受講できます。

なお安全衛生責任者も同様に、受講要件はありません。ただし職長と同様に、安全衛生責任者教育を受講する必要があります。

職長はどのような仕事をする?

職長は、現場作業員を直接指導するリーダーです。

具体的には、以下の4点の管理をおこないます。

  1. 工事の品質
  2. 進捗や工程
  3. 安全環境
  4. 資材などの原価

職長教育を受けずに職長の仕事をするとどうなる?

職長教育を受けずに職長として現場での指揮監督をおこなった場合、労働基準監督署から是正勧告を受けることがあるため、ご注意ください。

なお安全衛生責任者教育を受けずに安全衛生責任者の職務を遂行した場合は、労働安全衛生法第120条に反するため、50万円以下の罰金が課せられます。

まとめ

職長教育は、建設現場の安全な環境を維持する責務を負う現場の監督者に、欠かせない講習です。しかし職長教育は、受講に際して資格要件がありません。職長としてキャリアアップする際は、早々に受講を手配するとよいでしょう。

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