消防設備点検資格者とは?種類から消防設備士との違い、講習の内容を徹底まとめ

「消防設備点検資格者はどんな仕事?」

「消防設備点検資格者になるにはどうすればいい?」

今回は、消防設備点検資格者になるための講習と修了考査、業務内容と平均年収についてお伝えします。消防設備士との違い、1種・2種・特種といったややこしい部分もスッキリ解説するので、消防設備の仕事に興味がある方はぜひ参考にしてください。

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消防設備点検資格者とは

消防設備点検資格者の業務は、人命に関わる一定の対象物の消防用設備を点検し、定期的に消防機関への報告を行うことです。

一定の対象物とは、消防法や火災予防条例に基づいた消防用設備が設置されている建物を指します。消防用設備には、消火と警報(報知)を行うものと、避難と消火活動を支援するものがあり、具体的には消火器やスプリンクラー、誘導灯や避難はしごなども含まれます。

消防用設備の点検と報告は、消防設備点検資格者または消防設備士がしなければなりません。

消防設備点検資格者になるには、登録機関の講習を受けて修了考査に合格する必要があります。消防設備士については「消防設備点検資格者と消防設備士の違い」で後述します。

参考:eーGOV法令検索 消防法施行規則第31条の6・7

消防設備点検資格者の種類と点検できる消防設備

消防設備点検資格者には、第1種(主として機械系統の設備)、第2種(主として電気系統の設備)、特種(特殊消防用設備等)という3つの資格があり、それぞれ点検対象となる設備が異なります。

点検対象となる消防用設備

第1種第2種特種
・共同住宅用連結送水管・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・屋外消火栓設備・共同住宅用スプリンクラー設備・泡消火設備・特定駐車場用泡消火設備・動力消防ポンプ設備・消防用水・連結散水設備・連結送水管・粉末消火設備・消火器・簡易消火用具・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備・共同住宅用自動火災報知設備・住戸用自動火災報知設備・特定小規模施設用自動火災報知設備・複合型居住施設用自動火災報知設備・避難器具・漏電火災警報器・非常警報器具・非常警報設備・排煙設備自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備・共同住宅用非常コンセント設備・共同住宅用非常警報設備・加圧防排煙設備・誘導灯・誘導標識特殊消防用設備(空調と配管を兼用するスプリンクラー設備、インバーター制御ポンプを使用したスプリンクラー設備、大空間自然給排煙設備など)

消防設備点検資格者と消防設備士の違い

消防設備点検資格者に響きが似ている消防設備士という資格があります。消防設備士は乙種と甲種に分類され、乙種は点検と整備、甲種は点検と整備と工事が可能です。それぞれの業務内容の違いを下記の表にまとめました。

業務内容の違い

消防設備点検資格者消防設備士(乙種)消防設備士(甲種)
点検点検・整備点検・整備・工事

消防設備士は消防設備点検資格者よりも古い資格で、昭和40年の消防法改正により発足しました。その後、昭和49年に消防用設備の定期点検が義務づけられ、消防設備士の人数不足をカバーするために消防設備点検資格者という制度が生まれました。

どちらの資格を取得するかは就職したい会社の業務に合わせて考えるのがベスト

消防設備点検資格者と消防設備士、どちらの資格を取得するべきか悩む場合は、就職したい会社の業務内容に照らし合わせて考えるとよいでしょう。

メインの仕事が整備や工事の場合は消防設備士、点検業務の場合は消防設備点検資格者がベストです。

就職先としてはビルメンテナンス、工場、倉庫、電気設備会社、建設会社、不動産会社、消防設備会社、防災会社、防災メーカーなど幅広い業種が候補になります。

なお、会社によっては清掃や警備がメインで防災はサブ業務というケースもあるため、面接を受ける際は、仕事内容の確認を怠らないでください。

消防設備点検資格者の年収相場

ある求人サイトのデータでは、消防設備士の平均月給は29.8万円(22.3万円から57.9万円)、消防設備点検資格者の平均月給は27.4万円(20.6万円から46.7万円)となっています。平均年収に換算すると、消防設備士は約358万円、消防設備点検資格者は約329万円です。

どちらも、スタート時点から高収入を望むのは難しいですが、危険物取扱者や電気工事士といった関連資格を取得して着実に収入を上げていく働き方が一般的です。

消防設備点検資格者求人の例

A社
・マンション、ホテルの防災設備点検
・月給23万円以上
・資格手当5,000円から
B社
・ビル管理会社
・月給22万から34万円(資格手当含む)
・資格取得支援制度あり

消防設備点検資格者の資格の取得方法

消防設備点検資格者になるためには、一般財団法人日本消防設備安全センターおよび全国の登録機関で3日間の講習を受け、修了考査に合格した上で「消防設備点検資格者免状」の交付を受けなければなりません。

ここからは、消防設備点検資格者の第1種と第2種、続いて特種の講習内容と受験資格について詳しく解説していきましょう。

第1種・第2種消防設備点検資格者講習の内容と受験資格

【講習第1日目】

第1種の講習科目第2種の講習科目
・火災予防概論
・消防法規
・消防用設備等及び
特殊消防用設備等の点検制度
・建築基準法規
・消火器具:技術基準、点検要領
火災予防概論
・消防法規
・消防用設備等及び
特殊消防用設備等の点検制度
・建築基準法規
・避難器具・排煙設備:技術基準、点検要領

【講習第2日目】

第1種の講習科目第2種の講習科目
・非常電源・配線:技術基準、点検要領
・屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・屋外消火栓設備・連結散水設備・連結送水管・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備:技術基準、点検要領
・非常電源・配線:技術基準、点検要領
・漏電火災警報器・誘導灯・誘導標識・非常コンセント設備・無線通信補助設備:技術基準、点検要領
・自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備・非常警報器具・非常警報設備・総合操作盤:技術基準、点検要領

【講習第3日目】

第1種の講習科目第2種の講習科目
・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備・動力消防ポンプ設備・消防用水・総合操作盤:技術基準、点検要領
・修了考査
・自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備・非常警報器具・非常警報設備・総合操作盤:技術基準、点検要領
・修了考査

【受験資格と必要書類】

受験資格必要書類
1.消防設備士(甲種・乙種)
2.電気工事士(第1種・第2種)
3.管工事施工管理技士(1級・2級)
4.水道布設工事監督者
5.建築物調査員、建築設備など検査員(建築設備検査員、昇降機等検査員、防火設備検査員)
6.建築士(1級・2級)
7.技術士の第2次試験に合格した者(機械、電気・電子、化学、水道、衛生工学部門に係るもの)
8.電気主任技術者(1種・2種・3種)
※電気事業法附則第7項により電気主任技術者免状の交付を受けているとみなされている者は該当する。
9.海技士:機関(1級・2級・3級)
10.建築基準適合判定資格者検定に合格した者
・所持資格の免状
実務経験と学歴に関する受験資格は一般財団法人日本消防設備安全センターのこちらのページでご確認ください。・実務経験の証明
・被保険者記録照会回答票
・卒業証明書

実務経験や所持資格、関連する講習の受講履歴などによって免除される講習科目があります。免除科目の一覧はこちらです。ただし、修了考査には免除科目は無いため注意してください。

特種消防設備点検資格者講習の内容と受験資格

【特種の講習科目】

講習第1日目講習第2日目講習第3日目
・火災予防概論
・消防法規
・消防用設備等及び特殊消防用設備等の点検制度
・建築基準法規
・消防用設備等概論
・必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等
・特殊消防用設備等概論
・設備等設置維持計画
・電子工学に関する基礎的知識
・電気通信に関する基礎的知識
・修了考査

【受験資格と必要書類】

受験資格必要書類
1.消防設備士(甲種・乙種)
2.電気工事士(第1種・第2種)
3.管工事施工管理技士(1級・2級)
4.水道布設工事監督者
5.建築物調査員、建築設備など検査員(建築設備検査員、昇降機等検査員、防火設備検査員)
6.建築士(1級・2級)
7.技術士の第2次試験に合格した者(機械、電気・電子、化学、水道、衛生工学部門に係るもの)
8.電気主任技術者(1種・2種・3種)
※電気事業法附則第7項により電気主任技術者免状の交付を受けているとみなされている者は該当する。
9.海技士:機関(1級・2級・3級)
10.建築基準適合判定資格者検定に合格した者
・所持資格の免状
実務経験と学歴に関する受験資格は一般財団法人日本消防設備安全センターのこちらのページでご確認ください。・実務経験の証明
・被保険者記録照会回答票
・卒業証明書

実務経験や所持資格、関連する講習の受講履歴などによって免除される講習科目があります。免除科目の一覧はこちらです。ただし、修了考査には免除科目は無いため注意してください。

修了考査の難易度と合格率

第1種・第2種・特種ともに、3日間の講習最終日に修了考査が行われます。修了考査の時間は2時間(例年14:40〜16:40)です。合格率は90%前後なので、講習をしっかり聞いていれば大丈夫です。直近の合格率は以下の通り。

実施年度第1種合格率第2種合格率特種合格率
2020年94.6%96.3%76.9%
2021年95.9%97.3%92.6%
2022年96.3%97.9%100%

消防設備点検資格者の資格取得までの流れ

消防設備点検資格者の資格取得までの流れを整理しておきましょう。

1.講習の受講を申し込む:最寄りの実施機関へ提出する。

2.受講通知書を郵送で受け取る:同封の払い込み票で受講料を支払う。

3.講習を受講する。

4.結果通知書を郵送で受け取る。

5.①合格者は免状交付申請➁不合格者は再考査受講申請

免状交付申請または再考査受講申請の書類は結果通知書に同封されています。

再考査は、修了考査から1年以内に1回受講できます。

消防設備点検資格者は5年ごとに講習を受ける必要がある

消防設備点検資格者免状の有効期限は、交付された日から最初の4月1日より5年以内です。

期限前になると再講習のお知らせがハガキで届くので、旧免状を持参して受講してください。

再講習は1日(例年5時間前後)で終わります。

まとめ

消防設備点検資格者は、消防設備の点検を行う仕事です。受験資格は比較的厳しいですが、火災の危険から人々を守る重要な業務ですから、日々のやりがいを実感できるでしょう。

建物から消防設備が廃止されることは考えにくいため、常に一定の需要があることも大きなメリットです。関連資格を取得すればさらなるキャリアアップも望めます。

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