「建設国保ってなに?」
「国民健康保険とどう違う?」
「建設国保と国民健康保険ってどちらを選んだらいい?」
個人事業所の事業主や一人親方の中には、このような疑問をもっている人もいるかと思います。
本記事では、建設国保の特徴やデメリット・加入時の注意点などを条件を詳しく紹介します。
健康保険の加入先を検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。
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目次
建設国保のデメリット
建設国保とは、昭和45年に設立された建設業に従事する方を対象とした国民健康保険組合の一つです。
全国で10万人以上の組合員が在籍し、組合員の万が一の病気や怪我に備えています。
建設業の方が加入できる健康保険には、建設国保のほかに国民健康保険(市町村国保)や協会けんぽ(全国健康保健協会)などがあります。
それぞれの健康保険には特徴があり、建設国保にはいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、建設国費を選択した場合のデメリットを紹介していきます。
- 一人親方など小規模な事業所しか加入できない
- 家族の人数分の保険料も組合員が負担しなければならない
- 被保険者の全額負担が必要
- 業務上のケガや病気は適用されない
一人親方など小規模な事業所しか加入できない
建設国保は、一人親方など小規模な事業所しか加入することができません。
建設国保は原則、個人事業所または一人親方しか加入することができません。
常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所については、建設国保には加入できず、健康保険に加入することが義務付けられています。
また一人親方であっても、個人事業主から法人に変更した場合は、建設国保に加入できなくなるので注意が必要です。
建設国保の加入条件から外れた場合は、国民健康保険や協会けんぽなどほかの健康保険への加入を検討しなければなりません。
建設国保へ加入を検討している方は、まずは加入条件をしっかり確認し自身が条件にあっているのか事前に把握しておきましょう。
家族の人数分の保険料も組合員が負担しなければならない
建設国保は、家族の人数分の保険料も組合員が負担しなければなりません。
国民健康保険や協会けんぽなど、その他の健康保険の場合、保険料は加入者の所得によって決められます。
所得額に違いがなければ、組合員の家族が何人いようが保険料に違いはありません。
いっぽう、建設国保では加入者の所得に関係なく、保険料は一定額で決められています。
所得によって保険料の変動がないかわりに、組合員の家族の人数分だけ保険料を追加で負担しなければならない仕組みとなっています。
建設国保の場合、扶養する家族の人数が多い場合は、国民健康保険などのほかの健康保険とくらべて高い保険料を払わなければならない場合もあります。
被保険者の全額負担が必要
個人事業所で従業員を雇っている場合、建設国保の保険料は被保険者(加入者)が全額負担しなければなりません。
中小企業を対象とした協会けんぽ(全国健康保健協会)では、保険料の半額を被保険者が負担し、残りの半額を事業主が負担することとなっています。
建設国保では、事業主の負担割合はなく、全額を被保険者(加入者)が負担しなければなりません。
個人事業所の従業員にとって、事業所が建設国保を選択している場合、保険料をすべて自身で負担しなければならないため、そのほかの保険組合と比べて保険料の負担が大きくなる可能性もあります。
業務上のケガや病気は適用されない
建設国保は業務上のケガや病気は適用されません。
建設国保は、あくまでも業務以外のケガや病気に対しての保険制度です。
加入者が業務上でケガや病気になった場合は、建設国保ではなく労災保険が適用されます。
労災指定医療機関を受診することで、自己負担なしで治療を受けられます。
しかし、一人親方の場合は注意が必要です。
労働基準法上、一人親方は労働者に該当しないため、労災保険が適用されません。
労災保険が適用されない一人親方のために、任意で加入できる労災保険の特別加入制度が用意されています。
建設国保では、業務上のケガや病気は適用されないため、一人親方の方は必ず労災保険の特別加入制度に加入しておきましょう。
建設国保加入にメリットがある人
建設国保のデメリットを紹介してきました。
なかには「建設国保は入らない方がいいのかな」と感じてしまった人もいると思います。
次に、建設国保に加入した方がメリットがある人の特徴を紹介します。
これらに当てはまる人は、建設国保を検討してもよいでしょう。
- 一人親方
- 定額で保険加入したい人
- 市町村国保よりも安くなる人
一人親方
一人親方の方は、建設国保に加入するメリットがあります。
建設国保の保険料は、収入や居住地に関係なく一定額で決められています。
いっぽう、国民健康保険の保険料は加入者の所得によって保険料が変動します。
一人親方で一定以上の収入がある人は、建設国保を選択することで、国民健康保険に加入するよりも保険料を安く抑えることが可能です。
また、建設国保には国民健康保険にはない傷病手当金・出産手当金などの補償が充実しています。
仮に保険料が国民健康保険と同額であっても、建設国保の方が補償内容が充実しています。
以上のことからも一人親方の方は、建設国保に加入するメリットがあるといえます。
定額で保険加入したい人
建設国保は、所得によって保険料の変動がないため定額で保険加入したい人にとっては、メリットが高くなります。
個人事業所や一人親方は、一般的なサラリーマンと異なり収入が安定していません。
収入が高い年もあれば、低い年もあるでしょう。
不安定な収入だからこそ、所得の過多に関係なく保険料は一定額にしておきたいと考える人は多いと思います。
保険料を定額で払いたいと考えている人は、建設国保への加入をおすすめします。
市町村国保よりも安くなる人
建設国保は、市町村国保(国民健康保険)よりも保険料が安くなる場合があります。
市町村国保は、加入者の所得や居住地によって保険料が変動します。
所得の多い個人事業所の事業主や一人親方は、所得に応じて保険料が増額されます。
いっぽう、建設国保は所得に関係なく保険料が一定額と決められています。
そのため、一定額以上の収入がある事業主や一人親方は建設国保の方が保険料を安く抑えることができます。
自身の保険料が建設国保と市町村国保のどちらが安くなるか知りたい方は、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談してみてるとよいでしょう。
建設国保と国保の違い
建設国保と通常の国民健康保険は何が違うのかについて紹介します。
建設国保と国保の違いを以下の表にまとめました。
建設国保 | 国民健康保険 | |
加入対象者 | 建設業を営む一人親方など | 自営業、専業主婦など |
保険料 | 業態や年齢、家族構成に応じて算出 ※所得は算定基準に含まない | 所得や家族構成に応じて算定 |
医療費の自己負担割合 | 就学前…2割 就学後〜70歳未満…3割 70歳〜74歳…2割 | 就学前…2割 就学後〜70歳未満…3割 70歳以上…2割 |
傷病手当金 | 4,500円/日入院4日目から最高90日間 | なし |
出産手当金 | 4,500円/日入院4日目から最高90日間 | なし |
死亡時葬祭費 | 組合員10万円家族7万円 | 自治体により異なる |
運営母体 | 全国建設工事業国民健康保険組合など | 地方自治体 |
国民健康保険は、前年度の総所得から給与所得控除や基礎控除を差し引いた所得をもとに計算した合計額から保険料を算出します。
一方の建設国保は、所得連動がなく、業態や年齢、家族構成などによって算出されます。
建設国保の場合は、一定の所得以上になると国民健康保険よりも保険料が安く抑えられるようになります。
傷病手当金や出産手当金など、建設国保でしか得られないメリットも。
一人親方など、小規模な事業所で建設業として仕事をしているのであれば、検討してみる価値はあるでしょう。
建設国保の加入条件
建設国保に加入するためには、一定の条件を満たしている必要があります。
全国建設工事業国民健康保険組合のホームページによると、建設国保の加入条件は、建設工事業に携わっており、かつ個人事業所もしくは一人親方のみとなっています。
以下、全国建設工事業国民健康保険組合ホームページからの引用です。
株式会社などの法人事業所や常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所については、健康保険(協会けんぽなどの被用者保険)と厚生年金に加入することが義務づけられています。
ただし、すでに建設国保に加入している被保険者については事実発生日から14日以内に日本年金機構に手続きを行い、「健康保険適用除外」の承認を受けることで引き続き建設国保に加入することができます。
また、建設国保に家族として加入する場合、以下のような条件があります。
組合員と同一の世帯に属する75歳未満の方
※学生で修学のため、組合員と世帯が異なる場合も家族として加入することができます(要届出)
逆に、家族として加入できないのは、以下のような方です。
- 組合員と同一の世帯に属していない方(配偶者や両親でも同一世帯に属していなければ家族となれません)
- 組合員と同一の世帯に属していても、次の方は家族となれません。
・健康保険の被保険者(日雇特例被保険者を含みます)とその被扶養者
・船員保険の被保険者とその被扶養者
・各種共済組合の組合員とその被扶養者
・後期高齢者医療広域連合の被保険者(後期高齢被保険者)
・生活保護法の保護を受けている世帯に属する方
・他の国民健康保険組合の被保険者
・その他特別の事情がある方で厚生労働省で定めるもの
引用元:全国建設工事業国民健康保険組合|資格・適用のご案内(加入条件)
建設国保の申請方法
建設国保に加入するためには、居住地域の支部や出張所にある加入申込書と重要事項説明同意書に記入し、全国建設工事業国民健康保険組合に提出する必要があります。
加入時に必ず必要となる資料は以下の通りです。
- 世帯全員の住民票(記載事項の省略がなく、証明日から3ヶ月以内のものでマイナンバーの記載があるもの)
- 加入者本人及び同一世帯のものの被保険者証の写し
- 業種・業態が確認できる書類
対象となる場合に追加で必要となる書類は以下の通りです。
1.法人事業所の従業員や常時5人以上の従業員を雇用している個人事業所
・「健康保険被保険者適用除外承認証」の写し
2.従業員が4人以下の個人事業所の従業員
・「雇用保険資格確認通知証」または「雇用証明書」
※雇用証明書には、雇用契約書などの確認書類を必ず添付してください。
3.同じ住民票に記載されているが、建設国保に加入しない人がいるとき
・その人の被保険者証の写し
4.加入される方で70歳から74歳の人がいるとき
・その人の課税標準額の確認できる書類
5.修学のために居住地を離れて生活をしている家族がいるとき
・在学証明書
・その他の家族の世帯全員の住民票(証明日から3ヶ月以内のもの)
・「国民健康保険第116条(修学)該当届」
※支部・出張所に用紙があります。
6.住民票の住所地から離れて加入されるとき
・「遠隔地雇用者届」
※支部・出張所に用紙があります。
さらに補足として以下の点にご注意ください。
- 組合員と同一世帯の家族が資料損国保の適用を受けることはできません。この場合は、組合員と一緒に建設国保の家族被保険者として加入になります。
- お申し込みの際に署名・捺印していただきますので、印鑑をお持ちください。
引用元:全国建設工事業国民健康保険組合|資格・適用のご案内(加入手続き)
建設国保のデメリットに関するよくある質問
建設国保のデメリットに関するよくある質問を紹介します。
国民健康保険と比較した建設国保のデメリットはなに?
国民健康保険と比較した建設国保のデメリットは、主に次のふたつです。
家族(扶養者)の保険料も負担しなければならない
建設国保は家族の保険料も負担しなければならないのが、デメリットの一つです。
国民健康保険の場合、家族の人数が多くても所得が減少すれば保険料も減少します。
建設国保は収入が減っても保険料は変わらず、逆に家族が増えると保険料が増えてしまいます。
従業員が全額保険料を負担しなければならない
建設国保は、従業員が保険料の全額を負担しなければなりません。
協会けんぽのような健康保険組合では、保険料の半額は企業が負担します。
個人事業所の従業員にとっては、建設国保の加入は保険料が増えてしまうのでデメリットといえます。
国民健康保険と建設国保どっちがお得になる?
国民健康保険と建設国保では、加入者の所得や家族構成によってどちらがお得か変わってきます。
国民健康保険と建設国保の違いを表にまとめました。
国民健康保険 | 建設国保 | |
---|---|---|
保険料 | 所得・地域によって異なる | 年齢・家族人数によって異なる |
傷病手当金 | なし | 1日4,500円 入院4日目から最高90日間 |
出産手当金 | なし | 1日4,500円 入院4日目から最高90日間 |
死亡時葬祭費 | 3万円~7万円 (自治体による) | 組合員の死亡10万円 家族の死亡5万円 |
実際に国民健康保険と建設国保どっちがお得になるのか、次の3パターン(一人親方)で比較してみます。
- 20代、独身、年収200万円の場合
- 30代、3人家族、年収400万円の場合
- 40代、4人家族、年収600万円の場合
1)20代、独身、年収200万円の場合
国民健康保険 | 建設国保 | |
---|---|---|
月額保険料 | 12,100円 | 14,600円 |
年間保険料 | 145,400円 | 175,200円 |
20代独身で年収200万円の場合、収入によって保険料が変動する国民健康保険の方が保険料は低くなります。
家族がなく収入が低いうちは、国民健康保険の方がお得なことが分かります。
2)30代、3人家族、年収400万円の場合
国民健康保険 | 建設国保 | |
---|---|---|
月額保険料 | 31,100円 | 33,100円 |
年間保険料 | 373,600円 | 397,200円 |
30代3人家族で日本の平均年収である400万円の収入がある場合は、国民健康保険と建設国保では保険料に大きな差はありません。
同じ保険料であれば、傷病手当や出産手当など保障が充実している建設国保の方がお得だといえます。
3)40代、4人家族、年収600万円の場合
国民健康保険 | 建設国保 | |
---|---|---|
月額保険料 | 61,600円 | 44,700円 |
年間保険料 | 739,900円 | 536,400円 |
40代4人家族で年収600万円の場合は、国民健康保険より建設国保の方が保険料が安く抑えられます。
一人親方として経験と実績を重ね収入が増えれば、国民健康保険よりも収入によって保険料が増額しない建設国保のほうがお得だといえます。
まとめ
建設国保についてご紹介しました。
建設国保の特徴は、次の通りです。
- 加入者の収入や居住地に関係なく保険料は一定
- 家族の保険料も負担しなければならない
- 保険料は加入者が全額負担する
- 傷病手当金や出産手当金など保証は国民健康保険より充実
建設国保がいいのか、国民健康保険がいいのかは、加入者の収入や家族構成によって異なります。
自身がどちらの保険を選択したらよいのか迷っている方は、税理士や社会労務士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。