消防設備士とは?仕事内容から資格取得のメリット、年収まで解説!

「消防設備士とはどんな仕事をするのだろう?」
「資格を取得する方法は?」
「年収や将来性についても知りたい」

消防設備士に少しでも興味がある方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。

消防設備士は、住宅、オフィスビル、病院、商業施設など人が集まるありとあらゆる建物の安全を守る大変重要な仕事です。

建物がなくならない限り安定した需要があり、将来的な不安は全くありません。

最近では元ザブングルの加藤さんが、芸人と消防設備士の二足のわらじで活躍されていることも話題になっています。

この記事では、消防設備士の仕事内容、資格取得のメリット、年収や将来性などについてくわしく解説していきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。

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消防設備士とは?

消防設備士とは、建物内にある消防用設備の点検や整備を行う専門の資格を持った人のことです。

消防設備士の仕事内容についてくわしく解説していきましょう。

消防設備士の仕事内容

万が一、人が多く集まる建物に火災が発生してしまうと甚大な被害が生じてしまいます。そのため、一定以上の規模の建物には、消防用設備の点検や整備が義務付けられています。

消防用設備の点検や整備は、資格を持っている消防設備士が行わなければなりません。

建物内にある消防用設備には、火災報知器や消火器など家庭にもあるものから、泡消火設備やスプリンクラー設備など多岐に渡ります。

消防設備士の取得している資格の種類によって、取り扱うことのできる消防用設備の範囲が決められています。

定められた消防用設備の点検や整備等を行うのが消防設備士の仕事であり、建物内の人々の安全を守る大変重要な役割を果たします。

甲種と乙種

消防設備士の資格は「甲種」と「乙種」に分かれており、消防設備士ができる業務は取得した資格の種類によって異なってきます。下の表で確認しましょう。

種類業務
甲種消防用設備の点検・整備・設置・交換工事(特類~第5類)
乙種消防用設備の点検・整備(第1類~第7類)

乙種の業務範囲は消防用設備の点検・整備となっていますが、甲種は乙種の業務範囲に加えて、設置・交換工事も含まれます。

さらに、消防用設備のくわしい範囲について下の表で確認しましょう。

種類区分消防用設備
甲種のみ特類特殊消防用設備等
甲種または乙種第1類屋内消火栓設備・屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備
第2類泡消火設備
第3類不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備
第4類自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備
第5類金属製避難はしご、救助袋、緩降機
乙種のみ第6類消火器
第7類漏電火災警報器

甲種は特類から第5類までの6つ、乙種は第1類から第7類までの7つの区分があり、取り扱うことのできる消防用設備の範囲がそれぞれ異なります。

甲種のみには「特類」という区分があります。特類が扱える設備は「特殊消防用設備等」となっており、ほかの区分では扱うことができません。

乙種のみには「第6類」と「第7類」の区分があります。「第6類」と「第7類」が扱える設備は、設置や交換工事の必要ない「消火器」や「漏電火災警報器」となっています。

消防設備士の就職先

消防設備士の資格保有者が活躍できる主な就職先について紹介します。

消防設備士が活躍している業種は、以下のようなものが挙げられます。

  • 消防用設備専門業
  • 防災関係業
  • ビルメンテナンス業
  • 電気設備業
  • 不動産業

消防設備士は非常に需要が大きく、未経験者でも優遇されることが多いです。さらに危険な作業を伴うものではないので、女性の資格保有者を率先して採用する会社も増えてきています。

消防設備士を取得するメリット

消防設備士の資格を取得すると、次のようなメリットがあります。

  • 業務独占資格である
  • さまざまな施設で需要が多い
  • 昇進や昇給が可能になる

ひとつずつ確認していきましょう。

業務独占資格である

業務独占資格とは、資格を取得している人だけが特定の業務を行うことが認められていることを指します。つまり、資格を取得していない人が業務を行うと法律違反になります。

消防設備士は業務独占資格であり、資格取得者は社会的な信用度が非常に高いと言えるでしょう。

近年、一般の仕事ではIT技術の発展によって、人がやっていたことが機械やAIに奪われたりすることが増えてきています。

しかし消防設備士の仕事は、人々の安全・安心を確保する重要な業務であり、機械やAIに取って代わることができません。

そのため、消防設備士は建物がある限り存続する仕事と言えるでしょう。

さまざまな施設で需要が多い

一般の住宅やオフィスビル、商業施設などの建物では消防用設備の設置が義務付けられています。そのため、消防用設備の点検・整備・工事などができる消防設備士の需要が途絶えることはないでしょう。

一度資格を取得すれば、手に職を身につけることができます。経験を積んでいけば技術が磨かれ、消防用設備のプロとして活躍できるでしょう。

一定数の求人が常時あるため、資格を取得していれば就職や転職時には非常に有利になります。

昇進や昇給が可能になる

消防設備士の資格を取得すると会社からの信頼度が上がり、昇進や昇給が期待できます。

さらに会社によっては資格手当を支給するケースもあるため、年収が上がることも可能になるでしょう。

消防設備士の資格を取得するには?

ここからは消防設備士の資格試験について、くわしく解説していきましょう。

受験資格

受験資格は、甲種と乙種で異なります。

乙種は受験資格がなく誰でも受験可能ですが甲種は学歴、国家資格の取得、実務経験といった制限があります。下の表で確認してみましょう。

甲種特類 甲種第1類から第3類までのいずれか一つを取得、さらに、甲種第4類と第5類を取得し、合わせて3種類以上取得していることが必要
甲種(特類を除く) 国家資格等による受験資格
  1. 受験する類以外の甲種消防設備士
  2. 乙種消防設備士を取得した後、2年以上の工事整備対象設備等の整備の経験を有する者
  3. 技術士第2次試験に合格した者
  4. 電気工事士(第1種・第2種)
  5. 電気主任技術者(第1種・第2種・第3種)
  6. 消防用設備等の工事補助者として、5年以上の実務経験を有する者
  7. 専門学校卒業程度検定試験(機械・電気・工業化学・土木または建築に関する部門)の合格者
  8. 管工事施工管理技士(1級・2級)
  9. 高等学校の「工業」の教員免許を有する者
  10. 無線従事者資格(アマチュア無線技士を除く)の免許を受けている者
  11. 1級建築士または2級建築士
  12. 配管技能士(1級・2級)
  13. ガス主任技術者給水装置工事主任技術者消防行政に関わる事務のうち、消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験を有する者
  14. 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行前において、消防用設備等の工事について3年以上の実務経験を有する者
  15. 昭和41年10月1日前の東京都火災予防条例による消防設備士の者
学歴による受験資格
  1. 以下に記載した各学校において「機械」「電気」「工業化学」「土木」または「建築」に関する学科または課程を修めて卒業した者
    a)大学、短期大学、または高等専門学校(5年制)
    b)高等学校および中等教育学校
    c)外国に所在する学校で、日本における大学、短期大学、高等専門学校又は高等学校に相当するもの
    d)旧大学令による大学又は旧専門学校令による専門学校
  2. 以下に記載した各学校において「機械」「電気」「工業化学」「土木」または「建築」に関する授業科目を15単位以上修得した者(単位制ではない学校の場合は授業時間で換算)
    a)大学、専門職大学、短期大学、高等専門学校(5年制)
    b)学校教育法第134条第1項に定める各種学校
    c)大学、短期大学又は高等専門学校(5年制)の専攻科
    d)防衛大学校または防衛医科大学校
    e)職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校および職業能力開発短期大学校または職業訓練大学校または職業訓練短期大学校もしくは中央職業訓練所
    f)水産大学校
    g)海上保安大学校
    h)気象大学校
  3. 理学、工学、農学または薬学のいずれかに相当する専攻分野の名称を付記された修士または博士の学位を有する者
乙種 誰でも受験可能

参照:一般財団法人消防試験研究センター 消防設備士試験 受験資格 

試験会場

各都道府県にある消防試験研究センター指定会場

試験日程

全国47都道府県で実施され、都道府県ごとに試験日が異なります。居住地の試験日は消防試験研究センターのホームページで確認してください。

受験料

甲種5,700円・乙種3,800円(非課税)

試験科目・問題数

試験科目と問題数は以下のとおりです。

種類 試験科目 類別
特類 第1類 第2類 第3類 第4類 第5類 第6類 第7類
甲種 筆記 工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備 15
火災及び防火 15
消防関係法令 15 15
基礎的知識 10
消防用設備等の構造・機能・工事・整備 20
45 45
実技 7
乙種 筆記 消防関係法令 10
基礎的知識 5
構造・機能・整備 15
30
実技 5

参照:一般財団法人消防試験研究センター 消防設備士試験 試験科目及び問題数 

試験科目の一部免除

消防設備士試験では、すでに取得している消防設備士や電気工事士などの資格取得者には試験科目を一部免除できる制度があります。

下の表で確認してみましょう。

保有資格免除内容
消防設備士免除パターン1:消防関係法令の共通部分・基礎的知識免除パターン2:消防関係法令の共通部分
※免除できるパターンは保有している消防設備士の種類によって異なります。詳細は消防試験研究センターのホームページで確認してください。
電気工事士「基礎的知識」および「構造・機能及び工事・整備」の科目中における「電気に関する部分」が免除甲種第4類・乙種第4類を受験する場合、鑑別等試験の問1が免除乙種第7類の場合、全問が免除
電気主任技術者「基礎的知識」および「構造・機能及び工事・整備」の科目中における「電気に関する部分」が免除
技術士「基礎的知識」および「構造・機能及び工事・整備」が免除
日本消防検定協会又は指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した者「基礎的知識」および「構造・機能及び工事・整備」が免除
5年以上消防団員として勤務し、かつ、消防学校の教育訓練のうち専科教育の機関科を修了した方「基礎的知識」が免除
参照:一般財団法人消防試験研究センター 消防設備士試験 試験科目及び問題数 

出題形式・試験時間

出題形式と試験時間は以下のとおりです。

筆記試験マークシート式(四肢択一)
試験時間記述式(写真・イラスト・図面等)
試験時間甲種特類:2時間45分甲種(特類以外):3時間15分乙種:1時間45分

難易度と合格率

消防設備士試験の合格率は以下のとおりです。

◆甲種

年度区分特類第1類第2類第3類第4類第5類甲種計
R4申請者4043,9491,3421,4406,5931,39815,126
受験者3363,0321,0641,1255,1591,13811,854
合格者1046613083891,8904123,764
合格率31.0%21.8%28.9%34.6%36.6%36.2%31.8%
R3申請者4394,4311,3721,4267,0001,32115,989
受験者3773,3621,1111,1525,5271,09212,621
合格者1211,1024385032,3414424,947
合格率32.1%32.8%39.4%43.7%42.4%40.5%39.2%

◆乙種

年度区分第1類第2類第3類第4類第5類第6類第7類乙種計
R4申請者6201883402,2523247,1661,70112,591
受験者4771612961,7612575,7101,49410,156
合格者164551026381142,3968884,357
合格率34.4%34.2%34.5%36.2%44.4%42.0%59.4%42.9%
R3申請者6632033772,4883577,4691,85313,410
受験者5101813191,9622955,9051,61610,788
合格者219591337691132,6759814,949
合格率42.9%32.6%41.7%39.2%38.3%45.3%60.7%45.9%

参照:消防設備士 試験実施状況(令和4年4月~令和4年7月)

上記の表によれば、甲種の合格率は約30%~40%、乙種の合格率は約40%~50%となっています。難易度は、乙種に比べて甲種の方が試験範囲が広いため高いと言えるでしょう。

しかし難関国家資格に比べれば合格率は高いため、しっかりと勉強すれば合格することは決して難しい資格とは言えません。

取得する順番

お伝えしたように消防設備士の資格は、取り扱う設備によって試験の内容や難易度は変ってきます。

初めて受験する人にとって、どの種目から取得していくのがいいか、おすすめの順番を紹介します。

順番1:乙種第6類

乙種第6類の設備は消火器です。消火器はすでに使ったことがある人も多いでしょう。普段の生活の中で目にすることが最も多いため、仕事の需要も高いです。

順番2:甲種第4類

甲種第4類の設備は自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備です。先に乙種第6類を取得していれば、理解が早まり取得しやすいでしょう。甲種第4類は受験資格が必要になるので注意が必要です。

乙種第6類と甲種第4類は、上述の受験者数を見れば1番目と2番目に多いことが分かります。

消防設備点検資格者との違い

消防設備士と似ている資格に「消防設備点検資格者」があります。二つの資格の違いは以下のとおりです。

消防設備士消防用設備の点検のみを行う
消防設備点検資格消防用設備の整備・工事と点検の全てを行う

消防設備士と消防設備点検資格者の違いは、「整備・工事ができるか」という点です。

どちらを取得するべきかは、所属する会社の業務内容や自身のキャリアプランによって判断すべきでしょう。

消防設備士の年収と将来性

消防設備士への転職や就職を検討している人にとって、年収や将来性が気になる人も多いと思いますのでご紹介します。

年収と将来性

消防設備士の平均年収は、約400万円~500万円であり、ほぼ日本人の平均年収並と言えます。

ただし、年収は経験を積むことで上げていくことが可能です。または、新たな資格を取得したり、転職をしたりして年収を上げる方法もあります。

消防設備士の魅力は、常に需要があるということです。経験を積めば必然的に企業からのニーズは増加していくでしょう。

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元ザブングル加藤さんも取得

元ザブングルの加藤さんは、猛勉強の末に2020年の11月に消防設備士に合格しました。コンビを解散しピン芸人となってから、二足のわらじで消防設備士として活躍しています。

加藤さんが消防設備士を目指した理由は「ビルは無限にあり、半年に1回は点検しないといけない。だけど慢性的に人手不足なのが現状。こういった背景から消防設備士の仕事が無くなることがなく安定しているから」だそうです。

現在、本業のお笑い芸人の仕事で月20万円くらい+副業の消防設備士で月20~30万円くらい、合計「月40万~50万」の収入を得ているようです。

まとめ

本記事では消防設備士について、いろいろな角度から参考になる情報を紹介してきました。

消防設備士は業務独占資格であり、人々の安心・安全を守るために必要不可欠な仕事です。

消防設備士試験の合格率は約30%~40%であり決して簡単とは言えませんが、しっかり勉強すれば誰でも取得できる可能性はあります。

資格を取得すれば、防災関係の会社やビル管理会社など多くの会社で活躍できます。また、就職や転職時にも強い武器になるでしょう。

興味を持っている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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