KYT(危険予知訓練)とは?実施のメリットと基礎4ラウンド法の進め方

事故につながる現場でのミスを減らしたり、従業員の安全に対する意識を向上するために多くの企業が取り入れているKYT(危険予知訓練)。

KYTの内容や実施する目的と意義、効率的に進めるための手法「4R(ラウンド)法」の進め方について解説します。また、KYTの例題や活用すべきHPについても掲載しています。KYTを実施するかを検討している企業の参考になれば幸いです。

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KYT(危険予知訓練)とは?実施の目的と意義

KYT(危険予知訓練)とは、危険(キケン、Kiken)のK、予知(ヨチ、Yochi)のY、トレーニング(トレーニング、Training)のTの頭文字をとった用語です。

危険予知訓練(KYT)は、職場や作業の中に潜んでいる危険と発生しうる事故が描かれたイラストを用いて、チーム内で話したり考えて、危険な要素や行動目標を指差し呼称で確認して、事故を未然に防げるようにするための訓練です。

特に、チームでの話し合いを通して、各従業員の危険に対する意識や問題解決能力を高めたり、チームワークの向上を養うことができます。そのため、建設業や製造業といった危険を伴う業種では、定期的に実施しておくと良いでしょう。

安全を確認するための手法として実施

KYTは、チーム内で危険に関する情報を共有して、解決するための行動目標を定め、要所での指差し呼称によって、意識しなくても習慣的に安全を確認しながら行動できるようになることから、実施する価値が高いです。

また、安全を確認して行動できるようになれば、作業中のミス減少につながり、事故を未然に防げるようになります。

危険に対する意識を改善できる

社内の上層部が安全に作業するためのルールやマニュアルを作成しても、従業員一人ひとりの安全に対する意識が低いと効果がありません。しかし、KYTを実施すれば、従業員が作業に潜んでいる危険を理解し、当事者意識が高まる効果が期待できます。

また、危険に対する感受性が高まるため、行動ごとの発生する可能性がある危険が分かるようになり、作業中のミスを未然に防ぐことができます。

チームワーク向上に役立つ

KYTを実施すれば、チーム内でのミーティングで各従業員が積極的に発言し、安全面などの情報共有をすることから、従業員同士のコミュニケーションが活発化し、チームワークの向上が期待できます。

また、要所での指差し呼称により、チームの一体感が増し、関係性が深まっていきます。

さらに、チームワークが向上すれば、職場の雰囲気が明るくなり、職場風土の向上も見込まれるため、積極的に実施すべきと言えます。

KYTの進め方・基礎4ラウンド法

KYTには、訓練をより効率的に進められる方法として「4R(ラウンド)法」があります。

4R法とは、職場に潜む危険を把握する「現状把握」、非常に危険なものをピックアップする「本質追求」、危険に対する具体的な対策案を考える「対策樹立」、対策案を軸に具体的な行動目標を決める「目標設定」の4ラウンドに沿って進める手法です。

スムーズかつ合理的に進められることから、KYTを実施している多くの企業は取り入れています。

KYTのラウンドごとの内容一覧

ラウンド数各ラウンドの内容
第1R【現状把握】
実際の作業が描かれたイラストを用いて、チームで話し合い、潜んでいる危険を考える
第2R【本質追求】
第1Rで洗い出した危険の中から、現実的なものや特に危険だと考えられるものを選定する
第3R【対策樹立】
第2Rで選定した危険に対する対策案を考える
→実現が難しいものや再現性がないものは不適切なためNG
第4R【目標設定】
第3Rで立てた対策案を軸にして、具体的な行動目標を設定する

第1R 現状把握

従業員は、あらかじめ職場にどのような危険が潜んでいるのかを把握していないと、発生する事故を予知したり防いだりできません。そのため、KYTの第1ラウンド「現状把握」では、チーム内で話し合って職場に潜んでいる危険を把握します。

一般的には、実際の作業で発生するワンシーンが描かれたイラストを用いて、内容を見て考えられる危険を洗い出していきます。洗い出す際に重要なのは、各メンバーが柔軟な発想を持って自由に意見を出すことです。そのため、メンバーの発言を否定したり、批判せず、質より量を重視して、思考を巡らせ積極的に発言しましょう。

なお、使用するイラストは、厚生労働省や労働新聞社のHPに掲載されているものを利用すると良いでしょう。

第2R 本質追求

第1ラウンドで職場に潜んでいる危険を把握したら、第2ラウンド「本質追求」では、出た意見の中から現実的なものや非常に危険と考えられるものをピックアップしましょう。なお、あまりにも非現実的なものや事故につながりそうにないものは、発生する頻度が低いと判断して、ここで省いておきましょう。

一通り危険な項目に目を通してピックアップしたら、再び順番に確認していき、さらに危険だと考えられる最重要項目を選定していきます。なお、ピックアップしていく際は、チーム内で十分に意見を交換して、全員が納得のいくものを選ぶようにしましょう。

ピックアップが終わったら、確認のために指差し呼称を全員で行いましょう。

第3R 対策樹立

第2ラウンドで重要な危険項目をピックアップしたら、第3ラウンド「対策樹立」では、危険項目に対する具体的な対策案を考えましょう。対策案を考える際は、チーム全員で意見を交換しながら考えるか、個人で考えてから意見を交換するかの2つの方法があります。

どちらの方法で対策案を考えていくかは、自由なのでチームの人数や上層部の判断に任せると良いでしょう。

なお、対策案は、具体的かつ実現が可能なものを考えるようにしましょう。たとえ、内容が素晴らしくても莫大なコストが発生するものや多くの人員が必要になると、実現が難しく、再現性がありません。

さらに、第3ラウンドで考えられた対策案を軸に、次の第4ラウンドで実際の行動目標を設定するため、チーム内で意見をすり合わせて時間をかけて考えましょう。

第4R 目標設定

第3ラウンドで危険に対する具体的な対策案を立てたら、第4ラウンド「目標設定」では、対策案を軸にして行動目標を決めていきます。第2ラウンドと同じ要領で、チームで話し合いながら重要な対策案をピックアップしていき、最終的なチームの行動目標を設定しましょう。

例えば、「Aを使う際は、Bに注意しながら作業しよう」や「Aを使ってCをする時は、事前にAの状態を確認しておこう」のような、具体的かつ誰でも簡単に実現できるものにすると、再現性が高くなるためおすすめです。

最後に、チームで話し合って対策案を軸にした行動目標が決まったら、チーム全員で指差し呼称を行い、完成した目標の後に「よし」をつけましょう。

厚生労働省KYT基礎4R法シナリオを活用

4R法の第1ラウンド「現状把握」で使用するイラストは、厚生労働省のHPに多く掲載されているため、業種に合わせて活用すると良いでしょう。

介助業務の「車椅子への移乗」や運搬業務の「ごみの廃却」、一般業務の「蛍光灯交換」のように、業種ごとに発生するさまざまな状況が描かれたイラストが掲載されているため、自分の業種と似通ったものを選びましょう。

掲載されているイラスト一覧

業務の種類作業内容
介助業務・車椅子への移乗
・ベッドへの移乗
・シーツ交換
清掃・片付け業務・床清掃・食後の片付け
・遊具の片付け
・浴室清掃
・棚の清掃
・ブラインド清掃
運搬業務・ごみの廃却
・ダンボール箱積み込み
・荷物の積み替え
・ロッカー運搬
一般業務・ダンボール箱開梱
・蛍光灯交換
・容器入れ替え

引用:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2e_0003.pdf

KYTの例題

労働新聞社のHPには、建設業や製造業、運送業などの企業においてKYTで使用できるさまざまな例題が掲載されています。

例えば、建設業だと「天井裏で電気配線を交換する作業」や「住宅の解体現場で養生シートを設置する作業」といった、具体的な例題がイラスト付きで掲載されているため、KYTを実施する際に利用してみましょう。

また、業種ではなく、「ミキサー車」や「ベルトコンベヤー」、「衝突・激突」のような事故の型や起因物でKYTの例題を検索することもできます。そのため、業務の中で使用する道具があったり、過去に起こった事例を元に検索する際に便利です。

労働新聞社に掲載されている業種と例題

業種例題(※一部抜粋)
建設業・鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の解体工事
・住宅街の道路を掘削して下水管を敷設する作業
・低層住宅の建築作業
製造業・天井クレーンを点検する作業
・電動グラインダーを使用した金属製品の加工作業
・工場内の事務スペースでのパソコン作業
運送業・荷物用リフトでの積み込み作業
・トラックドライバーによる荷物の運搬作業
・トラック荷台上での荷締め作業
清掃・と畜業・産業廃棄物集積場での解体作業
・オフィスビル内通路の清掃作業
・下水管内の点検作業
農林業・チェーンソーを使用した伐木作業
・木の伐木作業
商業・小売業店舗での開店前作業
その他・雪が降った翌日の出勤風景
・街路樹の剪定作業
・野菜洗浄槽を薬品で清掃する作業

引用:https://www.rodo.co.jp/kytsheet/

まとめ

KYT(危険予知訓練)の実施目的や意義、4R(ラウンド)法の内容や進め方について解説しました。

KYTは、各従業員の職場に潜んでいる危険に対しての意識改善や問題解決能力の向上、現場でのミスの減少が見込めます。

また、4R法の手順に沿って進めていくと、チーム全員でコミュニケーションが活発化するため、チームワークの向上にも役立ちます。

厚生労働省や労働新聞社のHPを利用すれば、簡単にKYTを実施できるため、定期的に行って、従業員全員の安全に対する意識を底上げし、職場風土の向上につなげましょう。

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