建築業界で働いていると「インサート」という用語をよく耳にしますが、その具体的な意味や詳しい用途をご存知でしょうか?
この記事では、インサートの基本概念から、種類、選び方、使用するメリットまでを詳しく解説します。
「建築業界で働いているけどインサートについて詳しくない」「インサートの選び方がよくわかっていない」という方にとって、参考になる内容をまとめました。ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
・公開 / 非公開求人多数掲載!
・転職後に収入380%の実績アリ!
・アドバイザーによるサポートも充実!
トントンでは様々な方に向けた求人を多数掲載!
初めての就職やキャリアアップのために適した企業に、
全て無料で応募可能です!
サイト掲載不可の
限定求人をご紹介!
目次
建築におけるインサートとは?使用のメリット
インサートとは、配管やダクトなどの設備を天井や壁に取り付けるために、コンクリートに埋設される材料のこと。
インサートは、内部にめねじ(内ねじ)を持っており、そこにボルト(おねじ)を挿入することで、配管やダクトなどの設備をしっかりと固定することができます。
では、設備の固定などをする際にインサートを使用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。次に、インサートを使用することのメリットについて見ていきましょう。
めねじの補強や修復ができる
インサートを使用することのいちばんのメリットは、めねじの補強や補修ができることです。
建築物の構造部分は、ネジの接合を繰り返し締めたりゆるめたりすることで、ねじ山が摩耗しやすくなります。
特にドアのヒンジや家具の取り付けなど、日常的に力が加わる部分では、ねじ山の摩耗は顕著になります。
インサートを使用することで、これらの部分の耐久性を大幅に向上させることができます。インサートは、摩耗しためねじ部分に挿入することで、新たなねじ山になります。これにより、元のねじ山を再利用しながら、強度と安定性を回復することが可能です。
強度と軽量化を安価で実現できる
インサートの使用は、建築物の強度を高めるだけでなく、建築物の重量を軽減するという大きなメリットを持っています。
特に、高層ビルや大規模な施設の建設において、強度と軽量化を実現した構造は、建築物自体の安定性とコスト効率の両方に良い影響を与えてくれます。
インサートは、小さいながらも高い強度を持つ材料で作られています。そのため、大きな構造部材を使用することなく、建築物に必要な強度を確保することが可能です。
また、インサートの使用により、重量のある材料の使用を減らすこともできるため、結果として建築物全体の重量を軽減することにつながります。
建築物の軽量化は、特に地震などの自然災害に対する耐性を高めるうえでとても重要なことです。インサートは、災害大国日本にとってなくてはならない存在とも言えるでしょう。
インサートは、高い強度と建築物の軽量化を実現できるだけではなく、コストパフォーマンスの高さも魅力。高価な材料や複雑な構造が必要ないため、比較的安価に強度と軽量化を実現することが可能です。
これにより、建築プロジェクトの総コストを削減し、経済的な建設を実現することができます。
このように、インサートは建築物の強度を高めるうえ、建築物の重量を軽減し、建築コストを削減するという多くのメリットがあります。
インサートの種類
インサートには、以下のようないくつかの種類があります。
- 合板型枠インサート
- デッキ用インサート
- 断熱インサート
それぞれの特徴や用途について詳しく解説していきましょう。
合板型枠インサート
合板型枠インサートは、コンクリート型枠工事において重要な役割を担っています。
通常、型枠インサートの取り付けには釘が用いられることがほとんど。しかし、この方法の場合、型枠の解体後にスラブ下に残ってしまう釘は非常に危険なだけでなく、それ自体が錆や結露の原因にもなります。
残った釘の危険性や錆・結露などの問題に対処するため、最近では「釘処理(釘仕舞い)」を施す現場が増えています。
このような背景から、より安全で効率的なインサートの開発が進んでおり、「樹脂釘タイプ」と「釘処理不要タイプ」のインサートが登場しました。樹脂釘タイプのインサートは、錆びる心配がなく、横からハンマーで叩くだけで簡単に折れるため、釘の処理が非常に簡単です。合板型枠インサートによって、作業の効率化と安全性を向上させることができるのです。
また、釘処理不要タイプのインサートは、スラブ下に釘が残らないため、釘処理が全く必要ありません。
釘処理の必要性がなくなることで、工事後の安全性の向上につながるだけでなく、メンテナンスの手間も削減できます。
合板型枠インサートの進化によって、建築現場の安全性と効率性が大きく改善されています。
デッキ用インサート
デッキ用インサートとは、軽量天井、足場支持、各種設備を吊設するためにデッキプレート上に取り付けられ、コンクリートに先付埋設される金物のことです。
デッキ用インサートを使用する主な目的は、建築物のデッキ部分に安全かつ効率的に設備を取り付けることにあります。
この種類のインサートは、特に軽量構造物や一時的な足場の設置、さらには空調システムや照明設備などの設備吊りに広く使用されています。
デッキプレートに取り付けられることで、設置した設備はしっかりと支えられ、建築物の安全性と機能性が大きく向上します。
デッキ用インサートはコンクリートに直接埋め込まれるため、設備の取り付けをおこなう前に設置されることが一般的です。
デッキ用インサートを使用することで、建築現場での作業効率を高めると同時に、その後のメンテナンス作業を簡単にしてくれるというメリットがあります。
設備の取り付けや交換が必要な場合であっても、デッキ用インサートを使用していることで、素早く安全に作業をおこなうことができます。
また、デッキ用インサートは耐久性に優れていることもメリット。長期間にわたって使用することができます。
断熱インサート
断熱インサートとは、建築物の断熱性を高めるために重要な役割を果たす部材のことです。
断熱インサートは、断熱材を壁や天井に貼り付ける際に使用されるため、断熱材の厚さを考慮した長さで設計されています。この長さのおかげで、断熱材をしっかりと固定でき、建築物の性能を向上させることができます。
断熱インサートの使用は、エネルギー効率の高い建築物の設計においてはとても重要です。断熱インサートを使用して断熱材を壁や天井にしっかりと固定することで、室内の熱損失を最小限に抑えることが可能となります。室内の熱損失を最小限に抑えることで、快適性の高い室内空間を作り出します。さらに、冷暖房の効率が向上することで快適な空間を実現できるだけでなく、エネルギーコストの削減にもつながるのです。
また、断熱インサートは、ボルトなどの取り付け部品と組み合わせて使用され、断熱材を通しても安定して固定することができます。
インサートとアンカーの違い
インサートとよく似た建築部材にアンカーがあります。
インサートとアンカーは、どちらもめねじを備えている部材で、ボルトを使用して配管やケーブルラックを施工する点では共通しています。
インサートとアンカーの主な違いはコンクリートの打設タイミングにあります。
インサートはコンクリートを打設する前に使用され、建築物の構造部分に組み込まれます。これにより、建築物の設計段階で構造的な強度や配置が計画できます。
一方のアンカーは、コンクリートが硬化した後に設置され、既存の建築物や構造物に後付けで追加されます。
インサートは計画段階での組み込みが必要で、アンカーは既存の構造に対して柔軟に対応できるため、修正や追加工事に適しています。
インサートの選び方
インサートには、実に多くの種類があり、どのようにして選んだらいいか迷ってしまうということも多いもの。インサートを選ぶ際には、以下のようないくつかの基準に基づいて選ぶと良いでしょう。
- 埋設深さで選ぶ
- 母材の材質で選ぶ
- ボルトのサイズで選ぶ
それぞれの選び方についてひとつずつ詳しく見ていきましょう。
埋設深さで選ぶ
インサートの埋設深さは、その強度に大きく影響を及ぼします。
使用する材料や建築物の構造に応じて、適切な埋設深さのインサートを選ぶことが重要です。
深く埋設されたインサートは、より高い荷重に耐えることができますが、施工の難易度が高まることも。これらの要素を考慮しつつ、適切な深さのインサートを選択しましょう。
母材の材質で選ぶ
インサートを使用する母材の材質によって、適したインサートの種類が変わってきます。
例えば、木材用、コンクリート用、金属用など、材質に合わせたインサートを選ぶことが大切です。
コイルタイプのインサートの場合は、母材の材質の影響を受けにくいので、さまざまな場面で使用できます。一方、セルフタップタイプや圧入タイプなどのインサートの場合、被削性の悪い母材には向いていないなど、それぞれに得意不得意があります。
材質に適したインサートを選ぶことで、接合部の信頼性が高まり、長期的な安定性が保証されます。
ボルトのサイズで選ぶ
インサートを使用する際には、取り付けるボルトやねじのサイズに合わせて選ぶ必要があります。
サイズが合わないと、インサートの効果が十分に発揮されないため、注意が必要です。
ボルトのサイズに合わせたインサートを選ぶことで、接合部の強度と耐久性が最大化されます。
まとめ
建築におけるインサートは、構造物の強度を高め、修復や改修を容易にする重要な部品です。
インサートを使用することには多くのメリットがありますが、使い方や選び方を間違えると十分な効果を発揮することができません。
種類や用途に応じて適切なタイプのインサートを選ぶことが重要です。
正しいインサートの選択や使用は、建築物の安全性や耐久性、そして美観を保つ上で必要不可欠。最適なインサートを選ぶことで、建築プロジェクトをより効率的に、かつ経済的に進めることができるでしょう。
建築業界において、インサートはとても小さな部品であるものの、その重要性は計り知れません。