構造設計一級建築士とは?試験内容や難易度について詳しく解説

構造設計一級建築士という資格は、建物の安全性や耐久性を担保するための専門的な知識をもつプロフェッショナルを認定するものです。

しかし、実際にどのような試験内容でどの程度の難易度なのかと疑問に思っている方も多いもの。そこで今回は、構造設計一級建築士の試験内容から難易度、構造設計一級建築士の資格を取得するメリットまで、詳しく解説していきます。

建築や設計に興味のある方、次のステップとして資格の取得を考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

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構造設計一級建築士について

構造設計一級建築士は、平成20年に一級建築士の上位資格として創設された比較的新しい国家資格です。

建築物の設計に関する高度な専門知識と技術を持っていることを認定する資格。この資格を持っていると、建築物の安全性や耐久性を確保するための設計をおこなうことができるようになります。

大規模な構造物を建設する際には、必ず構造設計一級建築士の確認が必要です。構造設計一級建築士の資格取得者は、構造の設計が高度になる大規模な構造物の建設において構造の設計をおこなうことができるほか、他の一級建築士が設計したものの構造設計をチェックするといった業務がおこなえるようになります。

構造設計とは?

そもそも構造設計とは、どのようなものなのでしょうか。

建築設計には、大きく分けて以下の3つの部門があります。

  • 意匠設計
  • 構造設計
  • 設備設計

意匠設計とは、建物の間取りやデザイン、設備設計は水道や空調、音響などの環境を設計することです。

構造設計は、建築物や構造物が地震や台風、積雪などといった外部からの力に対して安全に耐えることができるように骨組みや支持体系を設計することです。特に地震大国である日本の建築において、欠かすことのできない重要な役割を果たしているのです。

構造設計をおこなうには、建築材料の特性や地盤に関する知識だけでなく、物理学や力学、気象などといった幅広い知識が必要になります。

構造設計一級建築士の試験内容・難易度は?

構造設計一級建築士や構造設計について理解したところで、実際に資格を取得するための試験の内容などについて、以下の項目に分けて詳しく見ていきましょう。

  • 受験資格
  • 試験内容
  • 難易度
  • 費用や日程について

項目ごとに解説します。

受験資格

公益財団法人建築技術教育普及センターの公式ホームページには、構造設計一級建築士の受験資格について以下のような記載があります。

「一級建築士」として5年以上の構造設計の業務経験を有する者。ただし、業務経験には構造設計の業務のほか、次の業務内容も含まれます。

(1)構造に関する工事監理の業務

(2)建築確認の構造にか塗る審査及びその補助業務

(3)構造計算適合性判定及びその補助業務

なお、構造に関する工事監理の補助業務及び構造設計の補助業務については、平成25年9月まで携わっていたものは業務経験として認められますが、平成25年10月以降に携わったものは業務経験として認められません。

引用:公益財団法人建築技術教育普及センター

一級建築士の資格を取得して5年以上構造設計に携わる業務を経験していることが、構造設計一級建築士試験の受験資格となっています。

試験内容

構造設計一級建築士の試験は、2日間の講習を受講し、受講の約1ヶ月後に修了考査という試験を受験することになります。この修了考査に合格することで構造設計一級建築士の資格を得ることができます

資格取得のために必要な2日間の講習は、1日目に6時間かけて構造設計の総論と構造関係の法令、法適合確認などについてみっちりと学びます。

2日目は、5時間ほどの講習で構造設計の基礎や構造設計の各論、耐震などについて学習します。

修了考査は、法適合確認と構造設計の2つの区分でおこなわれます。出題科目や出題形式、出題数などを以下の表にまとめました。

区分科目出題形式
法適合確認構造関係規定に関する科目記述付き4択問題:10問記述問題:3問
構造設計建築物の科目に関する科目記述付き4択問題:10問記述問題:3問

難易度

構造設計一級建築士の試験を受けるためには、そもそも難関であると言われている一級建築士の資格が必須です。さらに、その難関試験をクリアして5年の実務経験を積んでいないと受験すらもできないため、それだけでも非常に難しい資格と言えるでしょう。

構造設計一級建築士の過去5年分の合格率を以下にまとめました。

年度令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
受験者数602人593人535人526人
合格者数146人170人134人155人
合格率24%29%25%30%

出典:公益財団法人建築技術教育普及センター

いずれの年も30%前後の合格率となっており、構造設計一級建築士試験の合格は狭き門と言えるでしょう。

費用や日程について

構造設計一級建築士の試験は1年に1回しかおこなわれない試験です。

毎年6月頃に申し込みの受付がスタートし、9月中旬頃に講習が開催されます。さらにその約1ヶ月後に修了考査がおこなわれます。

受験者は、資格取得のための講習を受講するために、申し込み区分ごとに定められた金額の受講手数料を支払う必要があります。受講手数料は以下の通りです。

申込区分受講科目受講手数料
全科目受講55,000円(令和4年度は49,500円)
法適合確認のみ受講44,000円(令和4年度は38,500円)
設計製図のみ受講49,500円(令和4年度は44,000円)
建築設備士44,000円(令和4年度は38,500円)

構造設計一級建築士が携わる建築物とは?

構造設計一級建築士の資格を取得すると、どのような仕事ができるようになるのでしょうか。構造設計一級建築士が携わる建築物は、以下の3種類です。

  • 木造の建築物で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの
  • 鉄骨造の建築物で、延べ床面積が300㎡を超え、高さが13mを超える又は軒高が9mを超えるもの
  • 延べ床面積が1000㎡超えで2階以上のもの

一般の住宅から中高層マンション、大型の施設など、さまざまな建物に採用されている鉄筋コンクリート造。1センチ以上の太さのある鉄筋をコンクリートの中に埋め込む建築方法ですが、この建築方法で規模の大きな建物を建築する場合には、構造設計一級建築士が携わることが法律で義務付けられています。

構造設計一級建築士は、学校や病院、ビルや複合施設などのような大規模な工事に携わることができるのです。

構造設計一級建築士を取得するメリット

取得するのが難しいと言われる、構造設計一級建築士の資格。資格の取得にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

構造設計一級建築士を取得することの主なメリットは以下の通りです。

  • 設計者としての信用度が上がる
  • 大規模な設計に関わることができる
  • 転職やキャリアアップに有利

それぞれ詳しく見ていきましょう。

設計者としての信用度が上がる

まず一番にメリットとして挙げられるのが、設計者としての信用度が上がることです。社内だけでなく社外からの信用にも繋がり、多くのチャンスを得ることができます

構造設計一級建築士が携わらなければならない工事が必要な場合、ほとんどの企業は構造設計一級建築士が在籍している設計事務所に依頼をします。そもそも取得自体が難しい資格なため、構造設計一級建築士資格を持っているだけで重宝されますが、依頼された仕事を丁寧にこなしていくことで、社内外からの信用度をさらに上げていくことができます。

大規模な工事になればなるほど、設計は「意匠」「構造」「設備」で分業し、お互いに協力しながら設計をおこなうことが多くなります。

構造設計一級建築士を取得しているということは、建築物の構造に関するエキスパートであるという証明なので、それだけ信用度も上がり、大規模な工事の依頼をつかむチャンスが舞い込みやすくなるでしょう。

大規模な設計に関わることができる

構造設計一級建築士の資格を取得することで、より大規模な建築物の設計に関わることができる点も大きなメリットと言えるでしょう。

建築物の規模が大きくなれば、それだけ完成したときの達成感ややりがいも大きなものになります。このような達成感ややりがいは、構造設計一級建築士の資格を持っていて、大きな建物の設計に携わることができるからこそのものです。

完成してから何十年もの間に渡って多くの人々が利用する大規模な建築物の設計に携われることは、ものづくりが好きという人にとっては最高の体験なのではないでしょうか。

転職やキャリアアップに有利

構造設計一級建築士は、資格の取得が難しいため、そもそも資格の保有者が少ないです。

さらに、構造設計一級建築士資格を持っている人が必ず携わらなければならない建築工事は数多くあるため、資格を持っていることで転職やキャリアアップの際に有利になることは間違い無いでしょう。

まとめ

構造設計一級建築士の仕事内容や資格試験の概要、資格を取得することでできることなどを詳しく解説しました。

構造設計一級建築士の資格は取得自体が難しい分、重宝されるうえやりがいも大きなものになります。

一級建築士として実務経験を積んで初めて受験資格が得られるという点にも注意が必要です。

構造設計のプロフェッショナルを目指している方は、ぜひ一級建築士の上位資格である構造設計一級建築士の取得を目指してみてくださいね。

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