「コア抜きってどんな工事?」
「コア抜きの作業手順を教えてほしい」
「コア抜き工事で注意すべきことは?」
コア抜きとは、コンクリートの床や壁などに配線や配管を通すための円形の穴をあける工事のことです。
コンクリートへの穴あけはやり直しがきかない作業のため、コア抜きは慎重に行わなければなりません。
コア抜きを行う際は、工事の内容やポイントをおさえて正しく行いましょう。
本記事では、コア抜き工事の手順や作業のポイントなどをわかりやすく解説します。
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目次
コア抜き工事とは?
コア抜きは、建物の壁や床などコンクリート部分に穴を開ける工事のことです。
改修工事やリフォームなどで、配管や配線を壁や床に通したいという時などにコア抜きを行います。
新築時にコア抜きが行われることは多くはありませんが、間取りの変更や追加要望がある場合は工事期間中にコア抜きを行うこともあります。
コンクリートに穴をあける方法は、コア抜きの他にもスリーブ工法と呼ばれるものもあります。
コア抜きの概要やスリーブ工法との違いを詳しく紹介します。
コンクリート部分に穴を開ける「コア抜き」
建物は壁や床、柱・梁・基礎など多くの部分でコンクリートが利用されています。
コア抜き工事はこのコンクリートに穴をあけ、給排水の配管や電気の配線を通すルートを確保するために行われます。
コンクリートはボード壁のようにあとから簡単に開口を設けることができません。
10cmの小さな穴でさえも専門業者のコア抜きが必要になります。
コア抜きは配管・配線ルートを確保する以外に、柱や基礎などの構造部分の圧縮強度の試験を行うために利用することもあります。
構造体の一部をコア抜きで抜き取り、抜き取った試験体を用いて強度試験などを行います。
コア抜きとスリーブ工法の違い
コンクリートに円形の穴を開ける工事には、コア抜きのほかにスリーブ工法と呼ばれるものがあります。
スリーブ工法とは、コンクリート打設前に紙製のボイドや鋼板などで作られたスリーブ(型枠)をセットし、コンクリートの型抜きを行う方法です。
建築現場の新築工事では、あらかじめ配管や配線を通すルートが決まっています。
床や壁の配筋作業と並行してスリーブを設置して、必要な穴を用意しておきます。
スリーブ工法は専用の機械なども不要なため、安価に穴を開けることができます。
コア抜きはコンクリートを打設した後に配管ルートが変更になった場合や、改修工事などで新たに配管ルートを確保したいときに行われます。
コア抜きには専用の機械が必要となり、機械操作にも専門の技術が必要なため、スリーブ工法と比べて施工費用が高くなります。
コア抜き工事の基礎知識
コア抜き工事には、湿式穿孔と乾式穿孔の2種類の工法があります。
ここでは、コア抜き工事に必要な基礎知識を詳しく紹介します。
コア抜き工事に必要な機械「コアドリル」
コア抜き工事には「コアドリル」と呼ばれる専用の機械を用います。
ボード壁などに穴をあける場合、通常のドリルを使います。
コアドリルは、通常のドリルよりも大きなサイズの穴をあける際に使われる機械です。
通常のドリルが5mmや10mmといった穴をあける際に使われるのに対して、コアドリルは10cmや20cmといった大きなサイズの穴をあける場合に使われます。
丸穴の中心位置を決めるセンタードリルと、丸穴自体を穿孔するボディーで構成されています。
ボディーの先端にはダイヤモンド砥粒が埋め込まれたダイヤモンドビットが配置され、ドリルの回転によってコンクリートを穿孔します。
コアドリルは先端にダイヤモンドがついていることから、ダイヤモンドコアとも呼ばれます。
壁や床に固定して使われる機械固定式(ホールベース)と手に持って使う電気ドリル式の2種類があり、作業環境や用途によって使い分けが行われます。
コアドリルはコンクリートだけでなく、石材や鉄などさまざまな部材に穴を開けることが可能です。
コア抜き工事の方法①湿式穿孔
コアドリル内部に水を供給しながら穴をあける方法を、湿式穿孔といいます。
コア抜き工事の多くは湿式穿孔が採用されています。
湿式穿孔の特徴は、乾式穿孔と比べて仕上がりがきれいで、施工性がよいことです。
コンクリート内部にある鉄筋もスムーズに切断でき、短時間で穴をあけることが可能です。
水を流しながら作業することで、コア抜き時に発生するコンクリートからの粉塵の発生を最小限に抑えることができます。
供給される水はコアドリルの先端にあるダイヤモンドビットとコンクリートとの摩擦熱を冷却する役割も果たすため、ダイヤモンドビットの寿命を延ばす効果もあります。
湿式穿孔の欠点はコアドリル自体が高価な点と、機械の操作にある程度の技術力が必要な点です。
また、水を使えない場所では使用できない点もデメリットの一つです。
コア抜き工事の方法②乾式穿孔
水を使わずに穴あけを行う方法を、乾式穿孔といいます。
稼働中の工場など、コア抜き場所の近くに高価な装置がある場合などは、コア抜きに水を使用することができません。
このような水が使えない場所でも施工ができるのが、乾式穿孔の最大の特徴です。
下階などへの漏水の心配もないため、リフォームや改修工事などでも活躍します。
乾式工法の欠点は、コア抜き時のコンクリートの粉塵の発生を抑えることができない点です。
作業にあたっては粉塵を回収する集塵機や、作業者が粉塵を吸い込まないための防塵マスクを用意しなければなりません。
水によってダイヤモンドビットとコンクリートの摩擦熱を冷却できないため、ダイヤモンドビットの消耗が激しいこともデメリットのひとつです。
湿式穿孔と比べて施工スピードも遅く、仕上げもきれいになりません。
粉塵対策が必要、施工スピードが遅い、ダイヤモンドビットの消耗が激しいなどの理由から、湿式穿孔と比較して工事費が割高になってしまいます。
コア抜きのやり方・手順を解説
コア抜き作業は以下のような手順で行います。
- 事前調査
- 墨だし(マーキング)
- 準備
- コア抜き
- 片付け
事前調査
コア抜きが必要な場所の事前調査を行います。
機械の搬入導線や作業環境の確認、対象となる壁・床のコンクリートの状況を調査します。
墨出し(マーキング)
コア抜き箇所を計画図をもとに現地に墨だし(マーキング)を行います。
コア抜きはコンクリートに穴をあけてしまうため、位置を間違えてもやり直しをすることができません。
計画図をもとに、正しい場所にコア抜きができるよう慎重に墨だしを行います。
準備
粉塵や汚水が作業エリア外に出ないように、必要な対策を施します。
集塵機や換気設備を配置して、作業員には防塵マスクを用意しておきます。
コアドリルは作業中に位置がずれないように、アンカーで床や壁に固定しておきます。
コア抜き作業は回転工具を利用するため、作業エリアに関係者以外が入ってこないよう立ち入り禁止措置を行います。
床に穴をあける際は下の階にも見張り人は配置して、上階と同じように工事関係者以外が入ってこないような対策を行います。
コア抜き
コアドリルでコア抜き作業を行います。
作業中も粉塵や汚水が作業エリア以外に影響を及ぼしていないか注意しながら作業を続けます。
コア抜き箇所にあわせてコアドリルの位置を変更し、計画図と照らし合わせながら慎重に作業を行います。
片付け
コア抜きが完了したら、コアドリルを回収して片づけを行います。
床に穴を開けた場合は、工具の落下などを防ぐため開口部の養生を行います。
発生した汚水や粉塵もしっかり回収して、清掃作業までおこない工事を終了します。
コア抜き工事を行うときの3つのポイント
コア抜き工事を行うときの3つのポイントを紹介します。
- 事前調査を徹底する
- 粉塵や汚水の対策を徹底する
- 工事する際は近隣に周知の上行う
①事前調査を徹底する
コア抜きを行う際は、事前調査を徹底しましょう。
コンクリートは、内部にある鉄筋で強度を保っています。
床や壁が構造体の場合、コンクリート内部の鉄筋を切らないようにコア抜きしなければなりません。
コンクリート内部の鉄筋は肉眼では確認できないため、鉄筋探査機やレントゲン撮影を行い、鉄筋の位置を調査します。
調査の結果、どうしても鉄筋を切断しなければならないときは別途補強の検討も必要です。
必要に応じて建築士などの監理者と協議をして、施工方法を計画します。
②粉塵や汚水の対策を徹底する
コア抜きを行う場合、乾式穿孔では粉塵が、湿式穿孔では汚水が発生してしまいます。
作業にあたっては、粉塵や汚水の対策を徹底しましょう。
粉塵や汚水が作業エリア以外に影響を及ぼさないか、事前調査をもとに作業計画をたてます。
コア抜き中も粉塵や汚水の状況を都度、確認しながら作業を行います。
改修工事などでは、下階への被害が出ないように特に注意しましょう。
③工事する際は近隣に周知の上行う
コア抜き工事を行う際は、近隣に工事の周知を行った上で作業を行いましょう。
コア抜き工事は、作業中に騒音が発生してしまいます。
近隣の住宅との位置関係によっては、最大限の騒音対策を行う必要があります。
防音シートや吸音材を用意して、騒音が外部に漏れないようにしましょう。
また、床のコア抜きを行う際は人や工具が誤って穴から落ちてしまわないように、作業エリアの立ち入り禁止措置を徹底しましょう。
作業フロアだけでなく、下の階の立ち入り禁止措置も忘れずに行います。
コア抜き工事を行う際は、近隣や建物の利用者に最大限の配慮をして作業にあたるようにしましょう。
まとめ
コア抜き工事について紹介しました。
コア抜きとは、コンクリートの床や壁などに配線や配管を通すための円形の穴をあける工事のことです。
コアドリルと呼ばれる専用の機械を使います。
湿式穿孔、乾式穿孔の2種類があり、作業環境によって使い分けが行われています。
コア抜きを行う際には、事前調査や粉塵・汚水対策を徹底し、近隣に配慮して作業を行いましょう。