「クレーン・デリック運転士免許の資格は何種類ある?」
「クレーンは知ってるけれど、デリックの意味は?」
「試験の難易度と合格率は?」
今回の記事では、クレーン・デリック運転士免許の内容を詳しくお伝えします。運転できる機種や限定解除の方法、平均年収についても徹底解説するので、すべての疑問を解消してください。
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目次
クレーン・デリック運転士とは?免許の種類
クレーン・デリック運転士とは、吊り上げ荷重5トン以上のクレーンとデリック、またはクレーンのみを操作できる国家資格です。
もともとはクレーン運転士とデリック運転士という別の資格でしたが、労働安全衛生法関係法令の改正により2006年に統合されました。
クレーン・デリック運転士の免許には、床上運転式クレーン限定、クレーン限定、クレーンもデリックも操作できる限定なし、以上3種類があります。
なお、デリックだけに限定された免許は、荷重5トン以上であれば法改正以前に取得した場合のみ旧デリック運転士として扱われ、5トン未満はデリック特別教育の受講が必要となります。
【大前提】クレーンとデリックの違い
大前提としてクレーンとデリックの違いについて確認しておきましょう。
クレーンの特徴は、単体で油圧シリンダーやワイヤーなどを用いて荷物を吊り上げ、そのまま水平移動できる点です。吊り上げ荷重は免許によりますが、下限はありません。
一方デリックは、本体とは別の原動機付ウインチ(巻上げ機)を動力として荷物を吊り上げ、水平移動はできるタイプとできないタイプがあります。吊り上げ荷重は0.5トン以上です。
コンテナの出現やクレーンの台頭に押され、デリックの需要は年々減少しています。一般社団法人日本クレーン協会の調べによると、2021年に都道府県労働局に届け出されているデリックは70台、クレーンは131,169台です。
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)を取得すると、床上で運転する吊り上げ荷重5トン以上のクレーンを定位置から操作できます。運転者はクレーンの走行と共に移動するのが特徴です。ただし、無線捜査指揮のクレーンについては次のクレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)が必要となります。
なお、運転者がクレーンの走行と吊り荷と共に移動するクレーンの場合は、床上操作式クレーン運転技能講習で取得できます。
クレーン・デリック運転免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士(クレーン限定)を取得すると、吊り上げ荷重5トン以上のクレーンを扱えますが、デリックの運転はできません。運転できるクレーンは、床上運転式および床上操作式クレーンに加えて、以下の7種類です。
天井クレーン | 両側の壁に取り付けられたレールに沿って、天井付近を走行するクレーン。屋内でも屋外でも天井クレーンと呼ばれる。 |
ジブクレーン | クレーンの長い竿のようなアームをジブ(またはブーム)と呼ぶ。ジブの先端からワイヤーとフックが伸びている。主に屋外で使用される。 |
橋型クレーン | クレーンガータの両端に脚が設置されたタイプのクレーンのこと。橋形クレーンは、工場での機械・部品の運搬や、港での大型貨物の取り扱いなど、広い範囲で利用されています。 |
アンローダ | 船からコンテナを陸揚げするための専用クレーン。 |
ケーブルクレーン | 2つの塔に張り渡したロープ上をトロリーが走行するクレーン。主にダム、橋梁、河川の工事や改修に用いられる。 |
スタッカークレーン | 床や棚に設置したレールを走行するクレーン。倉庫の荷物管理に使用されることが多い。 |
テルハ | レールに沿った移動と荷物の上げ下げのみを行うクレーン。扱いが容易。 |
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
クレーン・デリック運転士免許(限定なし)は、その名の通り吊り上げ荷重5トン以上のクレーンおよびデリックを運転できる最上位の資格です。
ただし、トラックやキャタピラの上にクレーンが架装された移動式クレーン運転士とはまた別の資格なので注意してください。詳しくは後述する「移動式クレーン免許との違いは?」で解説します。
難しい?クレーン・デリック運転士免許取得方法
クレーン・デリック運転士免許は、労働安全衛生法に定められた国家資格です。
受験の流れ
- 公益財団法人安全衛生技術試験協会、もしくは各センターから受験申請書を請求する。
- 受験申請書を作成すると共に、添付書類・証明写真・試験手数料を準備する。
- 書類一式を、受験を希望するセンターの窓口または郵便へ提出する。
試験概要と難易度
クレーン・デリック運転士免許の試験は、実技、学科ともに全国の安全衛生技術センターまたは出張試験で実施され、試験の日程は会場によります。
また、実技試験のみ、あらかじめ登録教習機関で修了しておくことが可能です。
クレーン・デリック運転士免許の試験内容は以下の通りです。所有資格などによって免除科目があります。免除科目については「免除項目」で詳しくお伝えします。
学科試験 6,800円 | 実技試験 11,100円(センター受験の場合) |
---|---|
・クレーンおよびデリックに関する知識(10問) ・関係法令(10問) ・原動機および電気に関する知識(10問) ・クレーン運転のために必要な力学に関する知識(10問) | ・クレーンの運転 ・クレーンの運転のための合図 |
試験の合格率と合格基準
学科試験の合格基準は、100点満点中60点、各科目40%以上の正解率です。実技試験は、減点の合計が40点以下で合格となります。直近の合格率を下記の表にまとめました。
受験者数と合格率
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
学科試験受験者数 | 15,760人 | 16,793人 | 17,457人 |
学科試験合格率 | 63.4% | 57.4% | 57.9% |
実技試験受験者数 | 2,793人 | 2,408人 | 2,134人 |
実技試験合格率 | 48.4% | 48.1% | 46.8% |
2020年から2022年の学科試験と実技試験の合格率は、学科が平均59.6%、実技が47.8%です。
免除項目
免除される科目と適用される条件は以下の通りです。
免除される条件 | 免除される科目 |
---|---|
・クレーン運転実技教習を修了 ・鉱山において吊り上げ荷重5トン以上のクレーン運転を1カ月以上経験 | すべての実技試験 |
・床上運転式クレーン運転実技教習を修了して1年以内 ・鉱山において吊り上げ荷重5トン以上のクレーン運転を1カ月以上経験 ・床上操作式クレーン運転技能講習、小型移動式クレーン運転技能講習、玉掛け技能講習を修了 | 実技試験の「運転のための合図」が免除 |
・クレーン・デリック運転士免許(限定なし)の学科試験に合格して1年以内 | すべての学科試験 |
・クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定、床上運転式クレーン限定)の学科試験に合格して1年以内 | 学科試験の「原動機及び電気に関する知識・力学に関する知識」が免除 |
・クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)、旧クレーン運転士(床上運転式限定)の所有者 | すべての実技試験と学科試験の「原動機及び電気に関する知識・力学に関する知識」が免除 |
・移動式クレーン運転士免許、揚貨装置運転士免許、旧デリック運転士の所有者 | 実技試験の「運転のための合図」と筆記試験の「運転のための合図」が免除 |
クレーン・デリック運転士免許についてよくある質問
最後に、クレーン・デリック運転士免許についてよくある質問を3つピックアップしたので参考にしてください。
・限定解除はできる?
・移動式クレーン免許との違いは?
・クレーン・デリック運転士の年収はどのくらい?
限定解除はできる?
限定ありの免許を解除するには、限定なしの試験を受験するか、毎年10月に実施される限定解除試験を受験するという2つの方法があります。
限定なしの試験を受験するケースについては、前述した「免除項目」をご覧ください。ここでは、限定解除の試験について説明します。
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)および旧クレーン運転士免許(床上運転式限定)の所有者が、限定免許解除の試験を受ける場合、実技の一部と学科試験の範囲からクレーン関係知識およびクレーン関係法令の免除が受けられます。
試験受験申請書の「A試験の種類」欄には、「ク・デ運転士(床上運転式限定解除)」と明記してください。
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)および旧クレーン運転士免許の所有者が、限定免許解除の試験を受ける場合、すべての実技と学科試験の範囲からクレーン関係知識およびクレーン関係法令の免除が受けられます。
試験受験申請書の「A試験の種類」欄に、「ク・デ運転士(クレーン限定解除)」と明記してください。
なお、旧デリック運転士免許の所有者が限定解除の試験を受ける場合は、実技の一部と学科試験の範囲からデリック関係知識およびデリック関係法令の免除が受けられます。試験申請書には「ク・デ運転士(デリック解除)」と明記してください。
移動式クレーン免許との違いは?
前述したクレーン・デリック運転士免許の床上運動式クレーン限定、クレーン限定、限定なしの3種類は、あくまでも固定されたクレーンの運転免許です。
一方、移動式クレーン運転士免許とは、トラックやキャタピラーなどに取り付けられているクレーンを操作・運転するための免許です。
荷重5トン以上は移動式クレーン運転士免許、1トン以上5トン未満は移動式クレーン運転技能講習、1トン未満は移動式クレーン運転特別教育が必要です。
また、公道を走る場合は大型特殊自動車第一種免許、もしくは大型自動車第一種免許も必要とされます。
移動式クレーンとは、「動力を用いて荷をつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの」と定義されています。
移動式クレーンには、トラッククレーン各種、ホイールクレーン各種、クローラクレーン、鉄道クレーン、浮きクレーン、その他の移動式クレーンがあります。
クレーン・デリック運転士の年収はどのくらい?
求人サイトのデータでは、クレーン・デリック運転士の平均年収は約370万円でした。ただ、全体では280万から563万と幅広いため、経験・各種関連資格手当・役職手当による年収アップが期待できるでしょう。
また令和4年賃金構造基本統計調査においては、クレーン・ウインチ運転従事者の平均年収は513.3万円でした。
まとめ
クレーンデリック運転士免許は、「床上運転式クレーン限定」「クレーン限定」「限定なし」の3種類に分かれています。また、移動式クレーン、床上操作式クレーンなど、さまざまな関連・下位資格も存在するので、自分にベストな資格を見つけましょう。クレーン運転士の活躍の場は幅広く、倉庫や工場、建設現場においても欠かせない存在です。