
「エネルギー管理士になる方法は?」
「エネルギー管理士の仕事を詳しく知りたい」
この記事では、エネルギー管理士の資格を取得する2つの方法と具体的な業務内容を分かりやすくお伝えします。将来性や平均年収についても解説するので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
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目次
エネルギー管理士とは
2005年までの省エネ法では、エネルギーを熱と電気に区分していましたが、翌2006年の省エネ法改正により、エネルギーは熱と電気の一体区分となりました。
同時に、熱管理士と電気管理士という従来の資格が、エネルギー管理士という1つの資格にまとめられました。エネルギー管理士は比較的新しい資格といえます。
エネルギー管理士が誕生した理由は、資源の乏しい日本が限られた資源を有効に活用するため、管理者の役割を必要としたからです。
国は年度間3,000kl以上のエネルギーを消費する工場を「第一種エネルギー管理指定工場」に指定しており、そのうち、製造業・鉱業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業の工場は、「第一種特定事業者」に区分しています。
「第一種エネルギー管理指定工場」に指定され、「第一種特定事業者」に区分された工場には、1人から4人のエネルギー管理者を選任しなければなりません。
「第一種特定事業者」以外の工場、さらに、年度間1,500kl以上3,000kl未満のエネルギーを消費する「第二種エネルギー管理指定工場」については、業種を問わず、1人のエネルギー管理者または管理員を選任しなければなりません。
エネルギー管理者・エネルギー管理員とは
「第一種エネルギー管理指定工場」および「第一種特定事業者」の工場でエネルギー管理者になるためには、エネルギー管理士の資格が必要です。
つまり、エネルギー管理者とは、エネルギー管理士の免除交付を受けて選任された人を指します。
「第一種エネルギー管理指定工場」のうち「第一種特定事業者」以外の工場と、「第二種エネルギー管理指定工場」のエネルギー管理員になれるのは、エネルギー管理講習を終了して選任された人、もしくはエネルギー管理士です。
エネルギー管理士の仕事内容
エネルギー管理士の主な仕事内容は以下の通りです。
・省エネ法第11条に基づくエネルギー管理標準の作成 ・設備の管理と計画の実行 ・工場全体のエネルギー管理 ・エネルギー原単位の管理 ・報告書、中長期計画の作成 ・行政の立入検査の対応 ・その他 |
エネルギー管理士の年収と将来性
複数の求人サイトをリサーチしたところ、エネルギー管理士の平均年収は400万円から700万円ほどでした。月額は40万円前後となります。
A社(化学工場) | B社(製造業) | C社(産業用機械) |
---|---|---|
450~800万円 | 400~700万円 | 400~600万円 |
なお、近年は工場に限らず、省エネとコスト削減を求める大手ホテルや商業施設でもエネルギー管理士の有資格者は歓迎されています。
エネルギー管理士の資格を取得するメリット
「第一種エネルギー管理指定工場」のうち「第一種特定事業者」の工場は、必ずエネルギー管理者を選任する必要があるため、一定の需要が確保されている資格です。
大きな工場に勤めるということは、会社の規模自体も大きい傾向があり、資格手当や福利厚生が充実している求人が多いです。
また、建築物環境衛生管理技術者や第三種電気主任技術者といった関連資格も取得すればビルメンのプロフェッショナルとしても通用します。
難易度の高い資格で採用に有利になる
エネルギー管理士試験は難易度の高い国家試験なので、面接の競争相手が少なく、すんなり採用されやすい点が有利です。実際は、エネルギー管理研修を受けて修了試験を受けるルートであればぐっと難易度が下がるのですが、3年の実務経験がネックになっているため、急激に競争相手が増えることも無いでしょう。
省エネに関する資格であるため将来性がある
政府が公表する「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」によれば、政府は2015年に策定していた2030年度の省エネ量目標値5,036klを、さらに1200程度増やして6,200klに見直しています。このうち産業部門だけに絞ると、目標値1,042klを300程度増やした1,350klという数字です。
少なくとも2030年までの日本の工場は、今後も省エネを意識せざるを得ない状況となります。エネルギー管理士の需要は、将来的にまだまだ高くなるでしょう。
参考:資源エネルギー庁「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」PDF
エネルギー管理士資格の2つの取得方法

エネルギー管理士資格の取得方法は2つあります。ひとつは年に1回の国家試験に合格する方法。合格したら一般財団法人省エネルギーセンターへ免状を申請します。申請には、試験前でも後でもかまいませんが、1年間の実務経験が必要となります。なお、受験資格は特にありません。
もうひとつは実務経験を積んで研修を受ける方法です。3年間の実務経験を積んだ上で、「エネルギー管理研修」を受講して修了試験に合格し、免状を申請します。実務経験については一定以上の規模が必要となります。
また、電気分野を選択して「エネルギー管理研修」を受講する場合は、第一種電気主任技術者または第二種電気主任技術者に限り、受講免除課目があります。
注意:「エネルギー管理研修」に似た名称で「エネルギー管理講習」という制度もあるので間違わないよう注意してください。「エネルギー管理講習」とは、エネルギー管理士の下位資格にあたるエネルギー管理員またはエネルギー管理企画推進者に選任されるまったく別の講習です。
エネルギー管理士試験の概要
エネルギー管理士試験
受験資格 | 受験費用 | 試験課目 | 合格基準 |
---|---|---|---|
年齢、学歴などの制限無し | 17,000円 | ①必須課目 ・エネルギー総合管理及び法規 ➁選択課目 ・熱分野もしくは電気分野・熱分野もしくは電気分野を選択 | 各課目の合格基準は配点の60%以上の得点 |
・例年7月末または8月に実施される。
・試験方法はマークシート式。
・同試験の再受験は、3年以内に合格だった課目のみ免除される。
・エネルギー管理研修の合格課目は免除の対象ではない。
・試験会場:北海道、宮城県、東京都、愛知県、富山県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
エネルギー管理研修の修了試験の概要
エネルギー管理研修の修了試験
受験資格 | 受験費用 | 試験課目 | 合格基準 |
---|---|---|---|
3年の実務経験があること | 70,000円 | ①必須課目 ・エネルギー総合管理及び法規 ➁選択課目 ・熱分野もしくは電気分野・熱分野もしくは電気分野を選択 | 非公表 |
・例年12月に実施だが、研修地や選択した分野で異なる。
・試験方法は記述式。
・前年度の修了試験で不合格だった課目のみ受ける場合は50,000円。
・エネルギー管理試験の合格課目は免除の対象ではない。
・研修会場:宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県
エネルギー管理士試験の合格率と難易度
エネルギー管理士試験の合格率と、エネルギー管理研修の修了試験の合格率を下記の表にまとめました。
研修の修了試験では安定して60%前後の合格率をキープしていますが、試験だけを受ける場合の合格率は30%前後です。
実施年度 | エネルギー管理士試験 | エネルギー管理研修の修了試験 |
---|---|---|
令和5年 | 37.8% | 12月に実施予定 |
令和4年 | 33.9% | 61.3% |
令和3年 | 31.9% | 61.2% |
令和2年 | 36.7% | 65.2% |
なお、電気分野よりも熱分野の方が合格率が高い年度が多いため、選択課目は熱分野を選ぶ受験生が多いようです。
エネルギー管理士試験に合格するのに必要な勉強時間の目安
熱や電気の専門知識が無い未経験者の場合、エネルギー管理士試験に合格するための勉強時間は約500時間が目安といわれています。
平日2時間、土日5時間で1週間に20時間の勉強時間を確保したとすれば、おおよそ6カ月で500時間に達します。
約半年という長期スケジュールになるため、いかに中だるみせず勉強を継続できるかがポイントとなるでしょう。イベントや体調不良で学習ペースが乱れたら、すぐに立て直すことが大切です。
エネルギー管理士試験に合格するための勉強方法
エネルギー管理士試験に合格するためには、自分の性格や生活ペースに合った勉強方法を見つけないと継続が難しくなります。ここからは、エネルギー管理士試験に合格するための勉強方法をいくつか紹介していきます。
・参考書と過去問の問題集を使って独学で学ぶ
・通信講座を活用する
・課目合格の制度を活用して複数年で合格を目指す
参考書と過去問の問題集を使って独学で学ぶ
参考書と過去問で独学する場合、参考書は全4課目が1冊にまとまった本を1冊準備しましょう。今の自分の知識レベルに合っているかが大切です。2冊目は補強したい課目がはっきりしてから追加することをおすすめします。
過去問題集は直近5年だと心もとないので、10年分が収録されていれば安心です。エネルギー管理士試験は、基本的に過去問に類似した問題が出題されます。解けないときはムダに悩まずに、答えを見ながら解いて理解してください。
ちなみに、一般財団法人省エネルギーセンターが公開している直近の過去問題はこちらです(PDF)。
通信講座を活用する
通信講座を活用する一番のメリットは、自分で学習計画を作らなくて済むことです。カリキュラムに沿って学べばいいので、独学よりスムーズに勉強が進むでしょう。
デメリットは費用がかさむ点です。通信講座は指定のテキストやDVDといった教材を使用するため、安くて20,000円程度、e-ラーニングの講座は50,000円前後が相場です。
通信講座が予算に合わないときは、インターネットで検索してみてください。無料の解説サイトや動画、試験合格者のブログなどが参考になるはずです。
課目合格の制度を活用して複数年で合格を目指す
前述した通り、エネルギー管理士試験の再受験は、3年以内であれば前回の合格課目が免除されるため、この制度を活用するのもひとつの方法です。
例えば、1年目に4課目のうち1課目を合格したと仮定します。2年目は3課目受験となり、また1課目を合格したとします。3年目は2課目受験ですから、両方合格すれば資格取得となります。
ただし、課目合格制度を活用する場合、受験費用の17,000円は毎回発生する点に注意してください。受験する課目数が減っても金額は変わりません。
まとめ
エネルギー管理士は、資源の乏しい日本のエネルギーを効率的に活用するため、2006年に誕生した国家資格です。行政は今後も省エネ政策に力を入れていくと宣言していますから、熱と電気を管理、節約するエネルギー管理士は、将来的に有望な資格といえるでしょう。