
「配筋図がどのような図面なのか知りたい」
「配筋図の作成方法について知りたい」
「配筋図を作成する際はどのような点に注意すべきなのか」
このように配筋図について悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
配筋図は、鉄筋コンクリートを作る際の鉄骨の数や位置、種類などの情報を記載した図面のことです。実際に現場で作業する際に活用する図面であり、配筋がコンクリートの強度や耐久性、品質などに影響するため非常に重要な図面といえます。
そこで本記事では、配筋図の概要や配筋図で重要になる図面、配筋図に記載すべき情報などを詳しく解説します。
建築業界が未経験でも図面作成に興味がある人は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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目次
配筋図とは
配筋図とは、鉄筋コンクリート内に設置してある配筋の正しい位置や本数を表した図面です。
鉄筋コンクリートは、名前の通りコンクリートに鉄筋を加えることで強度と耐久性を向上させています。主に建築基準法や設計者の構造計算に基づいて設計されます。また、鉄筋の種類やサイズ、本数、配置方法を細かく検討したうえで強度や耐久性が算出されるため、鉄筋コンクリートの構造物において図面は非常に重要です。
配筋図を作成する際は、CAD(Computer Aided Design)と呼ばれるツールを作成します。CADは、コンピュータ上で図面作成が行えるツールで、2DCADや3DCAD、建築や土木分野専用のCADまでさまざまな種類があります。
扱いに慣れる必要はありますが、手書きでは時間がかかっていた図面作成の作業を効率化できるのがCADの特徴です。
配筋図に関しては、CAD内に配筋で使われる部材の種類や本数、重量などを書き込む必要があります。CADで作成された図面を基に、建築現場での作業が進められるため、ミスが起こらないように、図面完成後に複数人で確認するケースも少なくありません。
一般的な建築図面や設計図については、以下の記事を参考にしてください。
配筋に使われる部材の種類
配筋に使われる部材の種類には、以下の2つがあります。
- SR(丸鋼)
- SD(異形棒鋼)
SR(丸鋼)は、Steel Roundの略で、名前に「丸」とついているように突起のない断面図が円の鋼棒です。SRは建物での使用はもちろん、サイズによって機械や船舶、道路の基盤材などでも使われます。SRの径の区分は、z9〜z200と定められています。SR鉄筋の種類には、「SR235」「SR295」があります。
一方、SD(異形棒鋼)は、Steel De-formedの略で、表面にデコボコの突起物がついた鋼棒です。デコボコの部分を「リブ」や「節」と呼びます。デコボコがあることで、コンクリートと強く密着できます。SDの経の区分はD4〜D51が規定です。SDは「SD295A」「SD345」「SD390」の3種類があり、それぞれ、直径や使われる用途に違いがあります。どの鉄筋も主筋として使われますが、SD295Aは配力筋やせん断補強筋としても使われます。
鉄筋以外の材料
鉄筋以外の材料には、主に以下の2つがあります。
- 結束線
- スペーサー
結束線とは、鉄筋同士を結束する鉄のヒモのような部材で、組み立てた鉄筋を固定して型崩れを防ぐ目的があります。結束する際は、ハッカーと呼ばれる専用の工具を使用します。
スペーサーは、鉄筋を適切な位置に保持するための部材のことです。適切な位置に保持する目的は、鉄骨とコンクリートとのかぶりを維持したり、断熱材といった柔らかい資材の沈み込みを防ぐためです。作りがさまざまで、モルタル製や鋼製、プラスチック製などがあります。
配筋図で重要になる5つの図面

配筋図で重要になる図面には、以下の5つがあります。
- 構造図
- 配筋要領図
- 配筋展開図
- 配筋加工図
- 配筋数量表
それぞれ詳しく解説します。
構造図
構造図とは、配筋図の基準となる図面のことです。
構造図のなかには、標準図・伏図・軸組図・詳細図から構成されており、以下の内容が記されます。
- 柱や梁、壁、床の部材
- 柱や梁の配置
- 接合部の形式
- 基礎や鉄筋のコンクリートの指示
- 施工手順 など
このような建物の建築に必要な情報が記載されており、配置はミリ単位で決められ表示されます。
実際に建築をする際には構造図通りに作業を進めるため、間違いが起きないように事前に現場監督と設計者で打ち合わせをすることも少なくありません。
配筋要領図
配筋要領図とは、配筋のルールが記載された図面のことで、どの種類の配筋を使えばいいのか、どれくらいの間隔を空けて配置すればいいのかが記載されています。
配筋の種類は、大きく以下の3種類に分けられます。
- 主筋
- 配力筋
- せん断補強筋
配筋の種類や数、間隔は、構造物の強度や耐久性に影響するため図面通りに適切に配置することが大切です。
配筋展開図
配筋展開図とは、部材ごとの展開構造図に、鉄筋を並べて表記している図面のことです。
例えば、橋脚の基礎部分にあたる頂版では、上筋と下筋の展開図に分かれています。主筋が2段になっている場合は、展開図をさらに追加する必要があります。
配筋加工図
配筋加工図とは、鉄筋1本1本をどのように加工するかを記載した図面のことです。
鉄筋は、仕入れた時点の状態をそのまま使う場合と、加工する場合に分けられます。そのままの材料を生材と呼び、鉄筋を加工することで、「切りっぱなし」や「片アンカ」「両アンカ」などと呼ばれる素材に変わります。
配筋数量表
配筋数量表とは、配筋加工図に示した鉄筋の重量を集計した表のことです。
エクセルやスプレッドシートのような表計算ソフトを活用して、鉄筋の重量表を作成した後にCADを使って配筋数量表を作成します。また、重量の数値だけではなく、摘要欄に鉄筋の継手の種類や加工形状の内容などを記載する必要があります。
配筋図のなかでも情報量の多い図面になるため間違いが生じやすく、複数人でのダブルチェックなど、細かく確認する必要があります。
配筋図を書くときに必要な情報とは?
配筋図を書くときに必要なのは、以下の情報です。
- 外形の寸法
- 厚みの寸法
- かぶりの寸法
- 配筋の方向
これらは配筋図を書く際の基本知識になるため、しっかり確認しておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
外形の寸法
配筋図を作成する際に必要な情報の一つ目が、外形の寸法です。
外形の寸法とは、構造躯体の外形寸法のことであり、構造図の断面図や躯体図に寸法が記載されています。
注意しないといけないのが、鉄筋の配筋位置が、躯体のコンクリート面からのかぶりの内側になる点です。そのため、配筋図は躯体の外側から内側に向けて寸法を詰める必要があります。
つまり、外形の寸法から内側に向けて、かぶりの厚み寸法やスターラップの直径、主筋の直径の順番に寸法詰めしながら記載する必要があります。
厚みの寸法
外形の寸法に続いて記載する情報が、厚みの寸法です。
厚みの寸法とは、ふかしのことで、ふかしを含めて外形線から内側に向かって書く必要があります。そもそもふかしとは、コンクリートの躯体を設計よりも増やしたり大きくしたりする部分のことです。
例えば、梁と壁の間に隙間や段差ができてしまうなど納まりが悪い場合は、施工段階で、ふかすことも少なくありません。
また鉄筋コンクリートの外壁は、ひび割れ対策として、躯体の壁厚よりも20mmほど厚くします。この20mm分がふかしにあたります。
かぶりの寸法
配筋図を作成する際に必要な情報の三つ目が、かぶりの寸法です。
かぶりとは、躯体のコンクリート面から距離の一番近い鉄筋までの寸法のことです。かぶりが適切に取れていないと、鉄筋が錆びてしまい強度や耐久性に影響が出てしまいます。
かぶりの位置は縦筋・横筋のみの配筋と柱や梁のようにせん断補強筋を巻く場合で異なります。
縦筋・横筋のみの配筋では、直棒の表面までがかぶりです。しかし、柱や梁のようにせん断補強筋を巻く場合では、せん断補強筋の表面までがかぶりになるので、間違わないように注意が必要です。
配筋の方向
配筋図を作成する際に必要な情報の四つ目が、配筋の方向です。
配筋の方向で抑えるべき内容が、X方向・Y方向・主筋・配力筋です。平面上で記載される図面の縦がY方向で、横がX方向です。また、主筋は長辺方向のことで、配力筋は短辺方向を指します。
また、梁の断面図と柱の平面図においては、主筋を◯で表します。同様に、壁の断面図では、横向きに入る鉄筋を◯で表し、壁の平面図では、縦向きに入る鉄筋を◯で記載するのです。
まとめ
本記事では、配筋図の概要や配筋図で重要になる図面、配筋図を書く際に必要な情報などを詳しく解説しました。
鉄筋コンクリート造の建物や建築物の基礎を作る際に欠かせないのが配筋図です。配筋の数や間隔などは、コンクリートの強度や耐久性に影響するため、ミスなく漏れなく記載することが重要です。
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