工事は派手な作業とは言いにくく、業種を考えても地味な部類に入るかも知れません。
しかし、そのような中にあっても、表に出る部分と出ない部分があるでしょう。ときには気づかれない工事もあると思われます。
さて、ここで取り上げる「はつり工事」も、その内の1つではないでしょうか。人によっては「作る仕事」ではなく「壊す仕事」と見下す人もいるかもしれません。
しかし、はつり工事は非常に重要なのです。
そこで、ここでは、はつり工事がどのような工事で、どのようなケースで必要であるか、メリット・デメリットについて紹介します。
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目次
コンクリートの強さ
はつり工事を考える前に、コンクリート強度を知るべきでしょう。
コンクリートは非常に強く、しかも耐久性が高い素材です。都心部に築50年クラスの高層ビルが建っていることからも、その強さは想像できます。
しかも、ビルの高さは高くなる一方で、しかも簡単には倒れません。
このように、コンクリートは強力な素材。簡単には扱えないのです。
はつり工事とは
はつり工事とは構造物のコンクリート部分を「削る」「切る」「壊す」「穴を開ける」などの作業全般を指します。
コンクリートは強度の高い素材で、簡単には壊れません。特に、ビル建築に使われる鉄筋コンクリートは頑丈です。
しかし、頑丈だからといって、壊さなければ、新たなものが作れない場合が多々あります。
はつり工事とは、このような現場に対応すると言えます。
はつり工事はコンクリートを削ったり切ったりして加工する作業です。新たな構造物を作るためには必要不可欠なのです。
はつり工事の手法
「壊す作業」と聞くと、ハンマーの使用を思い浮かべるかも知れません。実際、昔の絵を見るとツルハシなどでの穴掘りが見られます。
しかし、はつり工事はコンクリートを壊す作業です。簡単ではありません。
昔の作業はハンマーによるものでしたが、今はハンマーの代わりに、圧縮空気・油圧・電動モーターなどを動力とした機械を使います。
コンクリートを叩くのは専用のノミ。機械でノミを叩き、コンクリートを破壊するのです。
解体工事との違い
はつり工事には誤解があるかも知れません。「壊す作業」なので「解体工事」に似ているからです。
しかし、両者は内容が違います。
はつり工事はコンクリートに「加工を加える」という意味が濃いです。完全に壊す作業とは性格が異なります。
例えば、後からデザインを施す場合には新たに上から塗るだけではありません。既存のコンクリートを部分的に壊す必要が出るケースがあるのです。
この時に行うのがはつり工事。後からの加工であり、工事範囲も限定的なのです。
はつり工事の種類
ここで、はつり工事の種類を挙げてみましょう。
- コンクリートはつり工事
- はつりこわし工事
- はつり仕上げ工事
それぞれの工事について説明します。
コンクリートはつり工事
マンションドアやサッシが非常に細かく作られていることをご存知でしょうか。
実は、今のマンションドアやサッシは高気密・高断熱を謳っているだけあって、精度は細かいのです。
そのため、そのような製品を納めるコンクリート躯体にも精度が要求されます。
しかし、コンクリート躯体には、そこまでの寸法精度が出ているとは限りません。狂いが生じてしまい、そのままでは収まらないケースもあるのです。
コンクリートはつり工事はそのような場合に行われます。ドアやサッシを正確に納めるため、コンクリート躯体を高い精度で加工するのです。
はつりこわし工事
はつり工事は解体工事と異なりますが、やはり「壊す作業」が無い訳ではありません。
建物を部分的に壊す工事もあるのです。建物に何か新しい部分を設置する時など、既存の邪魔な部分を壊すこともあるでしょう。
例えば、既存のビルに新しいオフィスを作る時などは、エントランス部分を局部的に壊し、企業のサインやモニュメントを設置することもあります。
はつりこわし工事はそのような時の工事です。クラッシャーで粉砕したり、削岩機を使って破壊したりと、大掛かりに作業を行います。
はつり仕上げ工事
はつり仕上げ工事は「こわす作業」ではありません。むしろ「作る作業」です。
コンクリート壁はそのままでは型枠の跡が付いている場合もあります。そのままではデザイン的に寂しい場合がありますが、コンクリートをはつる仕上げによって壁面に変化が生まれ、面白くなるのです。
工事の内容はコンクリート表面にデザインを施す作業。ビルやマンションなどの壁面にはテクスチャーを刻んだものがありますが、これはコンクリーㇳのはつり仕上げによるものです。
はつりが必要な4つのケース
次に、はつり工事が必要なケースを挙げてみましょう。
- 建物の解体
- 配線の設置
- リノベーション
- 外構などの舗装工事
それぞれについて解説します。
建物の解体
建物を解体するときなど、コンクリート壁などの躯体を撤去するケースがありますが、はつり工事はこの時に行われます。また、はつり工事は人の手によるものなので、細かい部分にも対応します。
例えば、現場によっては重機の作業が困難な場合があります。その場合には人の手で作業を行わなければいけません。
また、部分的に限定してコンクリート躯体を撤去する場合もあります。
はつり工事が必要なのは、このような時と言えるでしょう。
配線の設置
例えば、マンションやオフィスの物件では入居後に配線の必要が生じる場合があります。
新しい設備を導入した時や、設備が増えた場合などです。
その場合にはコンクリート躯体に配線を通す部分を確保しなければいけません。
はつり工事は、このような場合に行われますコンクリート躯体を加工するのです。
尚、築年数の経った建物は、今のように電気製品の設置を想定していたとは限りません。電路確保のための、はつり工事が必要となるでしょう。
リノベーション
リノベーションはマンションやオフィスなどで行われる大規模改修です。リノベーションの内容にもよりますが、間仕切り壁を撤去して間取りを変えることも少なくありません。
さて、はつり工事はこのような時にも行われます。
間仕切り壁はマンションの内装として作られることも多いのですが、コンクリート躯体に付いている場合もあります。
そのような時にはコンクリート躯体を加工しなければいけません。はつり工事は、そのようなときに必要なのです。
外構などの舗装工事
住宅の外構などの舗装部分の修繕の際にもはつり工事は行われます。
例えば、住宅の車庫スペースのコンクリート舗装部分です。場所にもよりますが、クラックが入っていることも少なくありません。
さて、そのような場合、時として修繕の範囲が広くなる時があります。
はつり工事が必要なのは、このような場合です。痛み具合によっては、はつり工事を行い、深い部分から補修することもあるのです。
はつり工事を採用するメリット
次に、はつり工事を採用するメリットを挙げてみましょう。
主なメリットは3つです。
- スペースが狭い現場でも対応できる
- 繊細な仕上げ作業ができる
- 騒音に配慮してできる
それぞれについて解説します。
スペースが狭い現場でも対応できる
コンクリートを扱う作業は重機を使うと便利なのですが、重機は大きくて重い機械です。どこにでも入れられるとは限りません。
しかし、人であれば入れるところは多いです。狭い場所でも入って行き、作業は可能です。
はつり作業のメリットはスペースが狭い現場でも対応できる点です。
作業には破壊するための機械が必要ですが、それでも狭い場所に入れます。
繊細な仕上げ作業ができる
コンクリート工事は状況によっては細かい作業も要求されます。
例えば、壁面にデザインを施す工事です。手作業により、オリジナルのデザインを作ることもあります。
はつり工事は、そのような繊細な工事ができる点もメリットと言えるでしょう。
特に、素材には微妙な硬さの違いがあります。その違いは手作業でしか分かりません。人の手による工事だからこそ可能なのです。
騒音に配慮して作業できる
工事には騒音の発生に気をつけなければいけないケースが多々あります。
例えば、マンションなどのリノベーション現場です。隣家があるので、騒音には特に慎重にならなければいけません。
さて、はつり工事は人の手による工事です。そのため、騒音に配慮しての工事が可能です。
迷惑をかけないためにも重要な要素と言えるでしょう。
はつり工事の注意点
ここでは、はつり工事の注意点を挙げてみましょう。
はつり作業の注意点は意外に細かい部分に及びます。中には、施工の後にも問題を残すケースもあるので、特に注意が必要なものもあります。
主な点は次の通りです。
- 周辺への騒音に気をつける
- 費用を計画する
- 十分な人員を確保する
それぞれについて説明します。
周辺への騒音に気をつける
はつりの作業とはコンクリートを加工する作業です。そのため、騒音がどうしても発生してしまいます。
そのため、可能な限りの騒音対策を取らなければいけません。
また、騒音の発生時間や工事の説明などをしっかりとしておくべきです。
尚、騒音クレームは隣からだけでなく、上と下の階からも来る可能性があります。忘れずに説明をしましょう。
また、騒音のクレームは施主の隣人との関係にも大きく影響します。施主に迷惑を掛けないためにも、細心の注意を払いましょう。
費用を計画する
はつり作業には現場を養生したりする手間が必要です。そのため、費用がどうしても掛かってしまいます。
また、重機を利用するならば、重機の費用も発生することでしょう。
そのため、見積もりをもらった時には、十分に説明を受けることが大切です。
尚、工事を進めると見積もりよりも金額が増えるケースもあります。予算は余裕を持つことが大切です。
十分な人員を確保する
はつり作業には十分な人員が必要です。
扱うのがコンクリートなので、それだけ人力が必要だからです。
また、作業は狭い場所で行われる場合も多いです。連携がしっかり取れる人員が望まれます。
尚、人員が十分でない場合には作業が遅れるだけでなく、事故の原因にもなり得ます。安全のためにも人員は十分に確保しましょう。
はつり工事に使用する道具
はつり工事の道具に「タガネ」と「チゼル」があります。これらは似ている道具なのですが、用途が少し違いますので、ここで説明しましょう。
タガネは薄い鉄板の切断やコンクリートのはつり作業に使われる道具です。
他方、チゼルは腐食したボルトや溶接部分を剥がす時、あるいは舗装道路のラインを剥がす時に使われる道具です。
まとめ
はつり工事について取り上げました。
解体作業との違いや必要なケース、そしてメリットなどが把握できたことでしょう。
また、建築工事の中での位置づけも掴めたのではないでしょうか。
そして、騒音に注意しなければならない点も確認できたことでしょう。
いずれにせよ、建築工事は全体を知らなければいけません。はつり工事もその内の重要な工事です。しっかりと確認して、より良い工事としましょう。