建設業の中でも、「施工管理」や「施工管理技士」という言葉を耳にすると理系出身者が就く仕事だと考えている人は多いと思われます。建築・建設関連の大学を卒業して、ゼネコンに入社するというイメージが強いのかもしれません。
しかし、施工管理の仕事に就いている人の中には、文系出身者が多いのも事実です。施工管理の仕事では、理系出身者でなくても活躍することができます。
本記事では、文系出身者が施工管理の仕事に転職するためのポイントを解説します。
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目次
施工管理は理系向きの職業
施工管理の業務内容は、理系的要素が多いといえます。例えば、CADによる図面の作成や積算業務、工程や品質の管理などです。そのため、理系出身の方が向いているといえます。
しかし、文系出身者でも施工管理の仕事において活躍できると冒頭で述べました。実際のところ、本当に文系出身者はいるのでしょうか。
施工管理の仕事に就いている人の内訳は、理系出身者8割に対し、文系出身者は2割となっており、文系出身者も意外と多いことが分かります。
文系でも施工管理に転職できる3つの理由
理系出身者向き、理系出身者の方が有利と考えられており、実際、理系出身者が多い施工管理の仕事ですが、なぜ文系出身者でも転職することが可能なのでしょうか。
その理由は色々ありますが、大きく分けると3つあるとされています。その3つの理由は次の通りです。
- 資格が求められる職業ではないから
- 人手不足の業界だから
- 外国人が増えてきているから
以下では、文系出身者が施工管理の仕事に転職できる3つの理由について詳しく解説します。
1. 資格が求められる職業ではないから
実は、施工管理の仕事は資格がないとできないものではありません。確かに、「施工管理技士」という資格はありますが、必須の資格ではありません。
また、求人も未経験かどうかや理系・文系を問わないものも多く、応募しやすくなっています。未経験の場合でも、先輩社員や有資格者のもとで勉強することから仕事を始めることも可能です。
また、建設業における経験がない分、転職先の会社のやり方を素直に学び、吸収してもらえるのが未経験者が好まれる理由でもあります。
2. 人手不足の業界だから
建設工事の数が上昇傾向にある中で、働き方改革の一環として施工管理を担当する人材を増やす動きが加速しています。
しかし、現状、少子高齢化の影響により、あらゆる業界で人手不足が叫ばれています。中でも建設業界は長年、人手不足に悩まされており、その解消が最優先課題と言っても過言ではない状況です。
そのため、建設・建築関連の会社では、理系や文系、経験の有無、高卒や大卒など、学歴に関わらず人材を求めていることから、文系出身者も転職が容易になっています。
3. 外国人が増えてきているから
上記の通り、建設業界は深刻な人手不足に悩まされており、その解決策として外国人労働者を受け入れる企業が増えてきました。
建設の現場に外国人労働者が増えてきたことも、文系出身者が施工管理の仕事に転職しやすくなった理由の一つです。
現場で外国人と円滑なコミュニケーションが必要となった今、「語学」や「世界の文化や常識」について、知識がある文系出身者は需要が高まっています。
また、外国人でなくとも、コミュニケーション能力は仕事を円滑に進める際に必要となる能力ですので、その能力は文系・理系に関わらず重宝されるでしょう。
文系から施工管理への転職を成功させるためのポイント
ここまで、施工管理の仕事における文系出身者の現状や、文系出身者でも転職が可能な理由を解説してきました。
ここからは、実際に文系から施工管理の仕事へ転職を成功させるためのポイントを解説します。
文系から施工管理の仕事へ転職を成功させたいのであれば、以下の3つのポイントを押さえましょう。
- 建設業界や施工管理という仕事についてリサーチする
- 求められるスキルを調べてアピールする
- 施工管理への転職に強い転職サービスを活用する
以下で、それぞれのポイントについて詳しく説明します。
建設業界や施工管理という仕事についてリサーチする
どの業界においても、就職活動や転職活動を始める場合、業界や職種、仕事内容をリサーチするのは重要です。業界や仕事に関する基礎的な知識を身につけておく必要があります。
リサーチしてみると分かると思いますが、特に建設業界は長時間労働や休暇の取得が難しいなどの評判が多く見られます。いわゆる「ブラックな業界」というネガティブな意見が多く、悪いイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、近年は働き方改革が推進されており、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強かった建設業界も、そのイメージからの脱却を図ろうとする企業が増えています。
特に、2024年4月1日からは時間外労働の上限規制が適用されるようになり、労働環境の整備が建設業界でも進められることになるでしょう。
施工管理の仕事において転職活動を行う際には、このように労働環境の整備に力を入れている会社はどこかなど、さまざまな情報をリサーチするようにしてください。
求められるスキルを調べてアピールする
施工管理の仕事は文系出身者でも可能ですが、どうしても理系出身者が有利であることに違いはありません。理系出身をアピールできない文系出身者は、転職活動においてどうすれば良いのでしょうか。
その答えの一つとして、施工管理の仕事に求められるスキルをリサーチし、積極的にアピールすることです。
施工管理の仕事では、理系出身者であること以外に求められるスキルは色々あります。そのスキルを調べてアピールすることで転職を成功に導くことが可能です。具体例を見ていきましょう。
例えば、コミュニケーション能力は施工管理の仕事において重要なスキルの一つです。実際の現場では、幅広い年齢層の職人さんや作業員と一緒に働くことになります。そのような環境の中で、相手を敬い、丁寧に対応できることは工事を円滑に進めるためには重要なスキルになり得ます。
また、施工管理において最も重要となるのはスケジュール管理能力でしょう。建設現場を工期内に完成させるには、効率的で無理のないスケジュール管理が必要となります。スケジュール管理能力は、施工管理に必須のスキルです。
このように、施工管理に必要なスキルを持っていることをアピールできれば、文系から施工管理への転職を成功に導く可能性が高まります。
施工管理への転職に強い転職サービスを活用する
文系出身者が施工管理の転職活動を成功させるポイントは、自分で転職活動をするのではなく、業界や職業に特化した転職サービスを利用することです。
転職サービスの良い点は、自分自身に適した転職先を紹介してもらえることです。自分自身で転職先を見つけるには限界があります。その点、転職サービスは、多くの求人情報を保有しており、条件に適した求人の紹介が可能です。
また、一般には公開していない求人を紹介してくれたり、企業からのスカウトメールなど、さまざまな手法で転職のアシストをしてもらえます。
転職サービスを利用するのは、転職成功への第一歩と言えますが、どのサービスを利用するか見極める必要があります。
例えば、業界に特化したサービスであれば、他業界や他業種の求人を紹介してくることはありません。施工管理へ転職したいと考えている場合は、業界特化型の転職サービスがおすすめです。
さらに、利用を検討している転職サービスの実績も確認しておきましょう。転職を成功させた実績のあるサービスであれば信用度や安心感が高まります。
一方で実績の少ないサービスの場合、自分自身の条件に適していない求人まで紹介されたり、転職を急かされたりするなど、トラブルが発生する可能性もあるので注意が必要です。
文系出身の人が施工管理として活躍するために必要なこと
文系出身者でも、施工管理として活躍することは可能であることは先述の通りです。
それでは、理系出身者が有利と言われる施工管理の仕事で、文系出身者が活躍するためには何が必要なのでしょうか。
施工管理で文系出身者が活躍するために必要なことは以下の2点です。
- 資格を取得する
- 必要とされるスキルを伸ばす
ここでは、文系出身者が施工管理で成功するために必要な2つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。
資格を取得する
施工管理の仕事で活躍するためには、数多くの仕事や案件に関わる必要があります。しかし、文系出身者には、そのような機会があまり多いとはいえません。
そこで、一番の近道となるのが「資格の取得」です。資格を取得することで、多くの仕事や案件に関わることが可能です。
そこでおすすめの資格が「施工管理技士」です。
施工管理技士は国家資格のため、取得すれば施工管理における高度なスキルや知識を有していることを国によって認められるので、信頼度が高まります。
また、施工管理技士は、建設業法で定められている、「監理技術者」や「専任技術者」として従事できるため、貴重な人材として市場価値も高まることになります。
施工管理技士には1級と2級があり、学科試験と実地試験によって合否が決定する資格です。
2級施工管理技士の資格は、「満17歳以上」であれば、中卒・高卒・大卒など学歴に関係なく誰でも受験できるため、文系出身者でも取得が可能です。
施工管理の仕事で活躍するためにも、まず2級施工管理技士の資格を取得し、最終的には1級施工管理技士や技術士、1級建築士など上位の資格を目指すようにしましょう。
必要とされるスキルを取得する・伸ばす
文系出身者が施工管理の仕事で活躍する方法は、資格取得だけではありません。施工管理の仕事に必要とされるスキルを修めたり、スキルを磨き、伸ばしていく方法もあります。
先ほど紹介した「コミュニケーション能力」や「スケジュール管理能力」は特に重要ですので、ぜひ身につけておくようにしてください。
工事現場で仕事を円滑に進めるには、職人さんや作業員の皆さんと信頼関係を築くことが重要です。朝の挨拶を欠かさない、元気よく返事をするなど、日頃の基本的なところからコミュニケーション能力を伸ばしていきましょう。
施工管理において、スケジュール管理能力も重要なスキルであることは先述の通りです。スケジュール管理能力を身につけたり、その能力を伸ばすためには、まず自分自身のスケジュール管理を徹底するところから始めることをおすすめします。
まとめ
施工管理の仕事は、確かに理系出身者が多く、有利になることは間違いありません。しかし、文系出身者も同じように活躍することは可能です。
そのためには、文系出身者の強みを生かしながら、資格を取得して数多くの現場を経験することが肝心です。
人手不足が深刻な建設業界だからこそ、理系、文系関係なく、それぞれの能力を活かすことで活躍できます。
施工管理に興味のある文系出身の皆さんが、今後、建設業界で大いに活躍することを心から願い、応援しています。