【建築業なら知るべき!】アスベスト(石綿)法改正と関連資格を徹底解説!

現在2021年4月に施行された「大気汚染防止法の改正」に基づいた「アスベスト(石綿)の規制強化と法改正」が段階的に行われています。

いろいろな情報が多すぎて、本当に理解できているか不安な人が案外多いのではないでしょうか? 

今回は建築業者が取るべき具体的な対応方法と補助金の仕組み、解体や除去作業に必要な関連資格についてわかりやすく徹底解説します。

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アスベスト(石綿)問題と建築業界の歴史

アスベスト(石綿)問題と建築業界の歴史

日本では1970〜1990年に年間30万トンものアスベスト(石綿)が輸入されており、その8割以上が建築資材だったといわれています。2012年に全面的な使用禁止となりましたが、現在もアスベスト(石綿)と建築業界は深く関係しています。

厚生労働省が公表した「石綿ばく露作業による労災認定等事業場一覧表(令和2年度以前認定分)」によれば、アスベスト(石綿)のばく露作業で労災認定を受けた事業場910のうち、半数以上の511が建設業の事業場でした。

つまりこの事業場の労働者は、退職者も含めて全員にばく露の可能性があるということです。

アスベスト(石綿)のばく露による疾患は、15年〜50年の潜伏期間を経て発症するのが特徴。

例えば、1985年に着工された建築物でアスベスト(石綿)含有建材を扱ったことから、40年後の2025年に肺がんを発症するケースは十分に考えられます。

多くの建材メーカーは長い間アスベスト(石綿)の有害性について警告を怠り、製造と販売を続けました。国側も明確な規制を課さなかったため、2008年には建設労働者と遺族が集団起訴を起こしています。

建設型アスベスト(石綿)起訴の事例

2008年:東京地裁でアスベスト(石綿)被害者らによる集団起訴が起こり、続いて横浜・京都・大阪・福岡・札幌・さいたま・仙台でも同様の裁判が起こった。

2012年〜2021年:最高裁が国と建材メーカーの責任を認める判決を言い渡し、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立した。

上記のような裁判を「建設型アスベスト(石綿)起訴」と呼ぶのに対し、建材・製造メーカーの工場で働く人が国と雇用者に起訴を起こすものは「工場型アスベスト(石綿)起訴」と呼びます。

アスベスト(石綿)とは?

アスベスト(石綿)とは

アスベスト(石綿)とは、せきめん、石綿(いしわた)とも呼ばれる天然の鉱物(繊維状けい酸塩鉱物)で、以下の6種類に分類されます。

【アスベスト(石綿)の種類】

  • クリソタイル(白石綿)
  • クロシドライト(青石綿)
  • アモサイト(茶石綿)
  • アクチノライト
  • アンソフィライト
  • トレモライト

いずれも髪の毛1本直径40~100㎛よりはるかに細い繊維なのが特徴です。例えばクリソタイルの繊維1本の直径は0.02~0.08㎛、クロシドライトは0.04~0.15㎛ほどしかありません。

アスベスト(石綿)は1970〜1980年代にかけて、さまざまな建築物・工作物・工業製品に用いられ、「奇跡の鉱物」「魔法の鉱物」と称されました。

脚光を浴びた理由は、アスベスト(石綿)の特性に次のようなメリットがあったからです。

【アスベスト(石綿)のメリット】

  • 燃えない
  • 電気を通さない
  • 薬品に強い
  • 熱に強い
  • 耐久性がある
  • 切れにくい
  • 摩擦に強い
  • 他の材料と親和性が高い
  • 加工しやすい
  • 安価である

アスベスト(石綿)の用途は3,000種類といわれますが、そのうち8割は建材製品でした。下の表で使用例を紹介します。

建材としての用途その他の用途
耐火被覆材、耐火被覆成形板、吸音・断熱材、結露防止材、保温材、煙突材、天井・壁・床の下地、化粧用内装材、天井板、外装材、屋根の成形板など車のブレーキ、高圧電線の絶縁材、家電製品のヒーター保持材、歯科技工で使用する石綿リボン、各種シーリング材など

アスベスト(石綿)の健康被害とは?

アスベスト(石綿)の健康被害

アスベスト(石綿)が「静かな時限爆弾」と呼ばれるのは、健康被害が表に出るまで数十年の潜伏期間があるからです。厚生労働省の資料によると「中皮腫による死亡数の年次推移」は年々増加しています。

年号1995年2000年2010年2015年2020年
人数500人710人1209人1504人1605人

引用元:厚生労働省 都道府県(特別区-指定都市再掲)別にみた中皮腫による死亡数の年次推移(平成7年~令和2年)

アスベスト(石綿)関連疾患への給付金

2021年6月「特定石綿被害建設業労働者等に対する旧基金などの支給に関する法律」が成立しました。この給付金法により、アスベスト(石綿)関連疾患が発症した人は起訴手続きをせずとも最大1,300万円の支給金を手にすることが可能となりました。

アスベスト(石綿)に関連する主な疾患は以下の通りです。診断の際はアスベスト(石綿)に関わる職業だったか、その期間はどれくらいだったかが重視されます。

悪性胸膜中皮腫

いわゆる「がん」と考えて差し支えありません。一般的に腫瘍には良性と悪性がありますが、中皮腫はすべて悪性です。呼吸困難や胸部圧迫感、胸膜・骨・神経へ浸潤することに伴う痛み、しびれなどがきっかけで発見されます。

若い時期にアスベストを吸い込んだ人がより発生しやすいのが特徴。潜伏期間は20年〜50年です。

アスベスト(石綿)肺

アスベスト(石綿)高濃度ばく露によって発生するじん肺です。じん肺とは粉じんを吸い込むことで肺の組織が線維化して硬くなり、弾力性を失うこと。咳や痰、息切れが起こり、感染症へのリスクも高まります。

アスベスト(石綿)粉じんを10年以上吸入した人に起こるといわれています。潜伏期間は15年〜20年です。

アスベスト(石綿)肺がん

アスベスト(石綿)肺に合併した肺がんと、合併しないけれどアスベスト(石綿)自体が原因で発生する肺がんに分けられます。喫煙とも深い関係にあります。

アスベスト(石綿)ばく露量が多いほど発生率が高く、15年〜40年の潜伏期間があります。

良性石綿胸水

肺の片側で少量の胸水を認める非悪性の疾患です。胸水は自然に消失することもあれば、いつまでも残存する場合もあります。

びまん性胸膜肥厚

良性石綿胸水による胸水貯留を繰り返した結果として生じることが多い疾患。胸膜が炎症を起こして繊維化し、肺の表面が肥厚し硬くなり膨らまなくなります。

アスベスト(石綿)と関連疾患には相関関係が認められますが、危険性のある量と期間については明らかにされていません。

一般の大気中には、1リットルあたり0.2本程度のアスベスト繊維があるので、安全基準に基づいた作業現場や敷地と比較してみましょう。

安全基準
工場などの空気1リットルあたり150本以下
工場の敷地境界線の大気1リットルあたり10本以下

アスベスト(石綿)作業に従事する人は、適切な保護具と保護衣を身に着けるとともに、6ヶ月に1度の石綿健康診断を忘れずに受けましょう。

アスベスト(石綿)法的規制や補助金

アスベスト(石綿)法的規制

アスベスト(石綿)に関する法律や規則には、古くは1960年に施行された「じん肺法」や1972年の「労働安全衛生法」、2005年の「石綿障害予防規則」などが挙げられ、度々見直しや創設が行われてきました。

現在は法的規制によって全面的に禁止されています。ここでは国土交通省による解体や除去作業の補助金について説明します。

ただし、補助制度は自治体によって限度額や条件に相違があるため、申請時は役所で確認することをおすすめします。

【アスベスト(石綿)調査費用】

対象補助額
吹付けアスベスト(石綿)、アスベスト(石綿)含有吹付けロックウールを使用しているおそれのある民間建築物原則として1棟25万円

【アスベスト(除去)費用】

対象補助額
吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールを使用している民間建築物の除去、囲い込み、封じ込めをする費用費用の3分の2以内かつ全体の3分の1

補助制度がない地方公共団体もありますので、詳細はお住まいの地方公共団体にお問い合わせください。

アスベスト(石綿)の処理方法

アスベスト(石綿)を含む建築物を解体する際は、各省庁への届け出だけでなく、近隣住民への告知も必要です。アスベスト(石綿)の使用有無、ばく露措置の概要、作業期間などを明記した「石綿ばく露節対策等の実施内容」を現場の見やすい場所に掲示しましょう。

排出業者は運搬される日まで、飛散しないように袋を2重にする、シートを掛ける、梱包、フタのついた容器に入れるなどの処理を行い、集積したアスベスト(石綿)をしっかり管理しなければなりません。

アスベスト(石綿)は加熱・薬剤・微生物による分解といった廃棄物処理方法では無害化しないため、他の廃棄物とは区分して、管理型もしくは安定型の産業廃棄物最終処分場へ廃棄することが定められています。

基本的に飛散性のあるものは特別管理産業廃棄物、飛散性のないものは産業廃棄物として処理しますが、石綿含有量が重量の0.1%を超える場合は溶融処理を施したうえで廃棄します。

アスベスト(石綿)の資格と役割

アスベスト(石綿)含有建材の使用は禁止されていますから、建築工事は行われません。関連する建築現場は必然的に解体現場、もしくはリフォーム工事の現場となります。

【作業の流れ】

  1. 事前調査:アスベスト(石綿)がどれくらい、どこに使用されているかを調べる。
  2. 現場作業:現場および近隣の環境に配慮してアスベスト(石綿)の除去作業を進める。
  3. 撤去と清掃:除去したアスベスト(石綿)含有建材や保護具を回収して集積し、現場や休憩室を清掃する。
  4. 廃棄:集積したアスベスト(石綿)廃棄物を専門処理業者に引き渡す。

主にどのような資格者が働いているのかを紹介します。また、アスベスト(石綿)事前調査ができる資格とできない資格も明確にしておきましょう。

資格の名称業務内容アスベスト(石綿)事前調査
石綿作業主任者労働安全衛生法に定められた国家資格。アスベスト(石綿)を扱う作業現場の指揮・監督・管理を行う。できない。
ただし、令和5年10月1日以降。
石綿取扱作業従事者労働安全衛生法に定められた特別教育を受けた者。石綿(アスベスト)作業主任者の指揮・監督・管理のもとで作業を行う。できない。
建築物石綿含有建材調査者国土交通省の国家資格。アスベスト(石綿)の使用実態を正確に確認・診断するため事前調査を行う。できる。
アスベスト診断士一般社団法人JATI協会の認定資格。アスベスト(石綿)建築物の解体工事・撤去のアドバイスを行う。できる。
ただし、令和5年9月30日以前の協会登録者および新規協会登録者に限る。
作業環境測定士労働安全衛生法に定められた国家資格。アスベスト(石綿)の濃度や分析を行う。できない。
高所作業車運転特別教育(2m以上10m以内)・高所作業車運転技能講習(10m以上)労働安全衛生法に定められた国家資格。天井や吹き付けなど、高所のアスベスト(石綿)除去作業を安全に行うための資格。できない。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者労働安全衛生法に定められた国家資格。酸欠や硫化水素の危険性がある現場の換気装置の設置や空気の測定装置を整備する。できない。

アスベスト(石綿)法改正のポイント

アスベスト(石綿)法改正のポイント

「大気汚染防止法の改正」によって、2021年〜2023年まで段階的に施行されているアスベスト(石綿)規制強化のポイントをわかりやすくまとめました。

2021年4月より

  1. 従来の規制対象だった吹付け石綿(レベル1)と石綿含有断熱材など(レベル2)に加えて、石綿含有成形版など(レベル3)も規制の対象になった。
  2. 工事の事前調査は「設計図面その他の書面の調査」だけでは認められなくなった。必ず目視が必要となり、判明しなければ分析調査を行うこと。
  3. 元請業者は事前調査に関する記録を作成し、工事終了日から3年間保存することが義務化。
  4. 元請け業者は、アスベスト(石綿)工事が適切に行われているか確認し、発注者へ報告することが義務化。また、下請け業者にも作業基準の遵守義務が課せられた。
  5. 適切な隔離をせずにレベル1.2.の除去作業を行った場合や事前調査の結果報告しない場合は、直接罰(3か月以下の懲役または30万円以下の罰金)の規定が設けられた。

2022年4月より

次の条件を満たす規模の工事は、アスベスト(含有)建材の有無にかかわらず、アスベスト(石綿)事前調査結果を都道府県に報告することが義務化。

  • 床面積の合計80㎡以上の建築物を解体
  • 請負金額100万円以上の建築物を改造・補修
  • 請負金額100万円以上の工作物を解体・改造・補修

結果報告は石綿事前調査結果報告システム「Gビズ」より電子申請すること。

2023年10月より

工事の事前調査は、次の「必要な知識を有する者」のみが実施できる。

  • 建築物石綿含有建材調査者
  • アスベスト(石綿)診断士

他にも、自治体ごとに独自のルールを設けているケースが考えられます。アスベスト(石綿)関連の作業に従事する際は、あらかじめ役所で条例を確認しておきましょう。

アスベスト(石綿)事前調査不要の工事とは?

先に述べた通り、アスベスト(石綿)事前調査は建築物などの解体工事すべてが対象となりますが、解体工事に該当しない作業は事前調査が不要です。

【アスベスト(石綿)事前調査が不要になる作業】

作業概要作業内容
材料にアスベスト(石綿)が含まれていないことが明らかで、周囲の材料を損傷させるおそれのない作業電球・カギ・畳の交換、ボルト・ナット・釘を抜く
現存する材料の除去などは行わず、新たな材料を追加するだけの作業既存の塗装の上から新たな塗装を塗る
すでにアスベスト(石綿)が含有されていないと確認されている作業すでに関係省庁による確認がされている現場

ただし、電動工具を使って壁に穴を開ける作業(エアコンの取付けなど)についてはアスベスト(石綿)事前調査が必要です。

まとめ

国内におけるアスベスト(石綿)の健康被害は、2030年〜2034年頃にピークを迎えると予想されています。

除去したアスベスト(石綿)含有建材の廃棄物がさらなる被害を生まないよう、建築業者にはよりいっそうの知識と適切な対応が求められます。

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