建設現場における墨出しとは?作業の手順から墨出し工になる方法まで詳しく解説!

建設現場で行われる代表的な作業の一つ、「墨出し」。

基本的な工程でありながら非常に重要な作業になるため、建築業界で働きたいと考えるのであればきちんと理解しておきたい知識の一つです。

この記事では、そんな墨出しの概要を、必要になる工具や進め方に触れながら詳しく解説していきます。

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墨出しとは

墨出しとは、建設する建物の床や壁、使用する木材などに目印をつけていく作業です。

建物を建設したりリフォームやリノベーションする場合、目印がないと進めることができません。

また、目印を設けずに進めると図面と異なるサイズで仕上がってしまう可能性もあります。

ただ、床や壁、使用する建材などの対象物はサイズが大きいため、定規やメジャーを使ってサイズを計ったり目印を付けるのは現実的ではありません。

その目印をつける作業をスピーディーかつ効率的に行えるのが、墨出しというわけです。

墨出しでは、墨のついた糸が入っている「墨つぼ」と呼ばれる道具を使用します。

墨のついた糸をピンと張り、その状態の糸を指で弾くことで、天井や床、建材に墨で目印を付けられるようになるわけです。

内装材の設置や建具の設置、コンセントの設置など、ほぼすべての作業が墨出しで付けられた目印に沿って行われるため、非常に重要度の高い作業となっています。

墨出し作業の種類

「墨出し」と一口に言っても、その種類はさまざまです。

代表的なものとしては、以下の3つがあげられます。

  • 陸墨
  • 芯墨
  • 返り墨

陸墨は、水平を出すために付けられる墨で、壁面が対象となります。

陸墨を出す作業では、各階の水準を示す水平線を付けていきます。

芯墨は中心となる位置に付けられる墨で、芯墨を出す作業では、柱や壁の中心となる位置に墨で印を付けていきます。

返り墨は、墨を付けるべき場所とは異なる位置に付けられる墨で「逃げ墨」とも呼ばれます。

建設現場では、障害物などによって本来墨を付けるべき場所に墨を打つことができないケースが発生しがちですが、そういった場面で用いられるのが返り墨です。

障害物を避け、本来墨を出すべき場所とは異なる場所に墨を打って目印をつけていきます。

墨出し作業で使用する工具一覧

実際に現場で墨出しをするときに使用される道具としては、以下の12種類があげられます。

  • 墨つぼ
  • 墨差し
  • 水糸
  • 測量用チョークライン
  • 糸巻き
  • 下げ振り器
  • セオドライト・トータルステーション
  • オートレベル・レーザーレベル
  • レーザー墨出し器
  • 水平器
  • スケール
  • 差金

それぞれの概要や用途について詳しくみていきましょう。

墨つぼ

古くから使われてきた定番のアイテム。

製品名からもわかるように、つぼのような形をしており、そのつぼの中に墨が入っています。

先端を引っ張ると墨のついた糸が伸びるような仕組みになっていて、目印を付けたい箇所に糸を張り、指で弾くことで真っ直ぐな線を引くことができます。

墨差し

水平や垂直を出したいときに、その基準となる線を引くアイテム。

先ほど紹介した墨つぼは長い直線を引くときに重宝しますが、墨差しの方は短い直線を引くときに役立ちます。

墨差しは竹製が多く、片方の先端がヘラ状に、もう片方の先端がペン状という特殊な形状をしています。

水糸

水糸は、墨つぼなどに採用されている、建設現場でよく用いられる種類の糸です。

ナイロン製やポリエチレン製の線、ピアノ線などさまざまな種類がありますが、耐久性が高く非常に頑丈なので、墨出しや建材の固定、板に巻きつけるなどさまざまなシーンで活躍します。

測量用チョークライン

測量用チョークラインは「画線器」とも呼ばれる工具で、建設現場において水平や垂直を出したり、寸法を明示させたいときに用いられます。

役割としては墨つぼとほとんど変わりません。

ただ、墨つぼは墨でラインを引くため、どうしても跡が残りやすく、使用できない場面が出てきてしまいます。

一方、測量用チョークラインはチョークで線を引くため、手や布で簡単に消すことができるというメリットがあります。

実際の現場では、墨つぼと測量用チョークラインを両方用意して用いられることがほとんどです。

糸巻き

糸巻きは、ラインを引くために出した糸を巻き取るために用いられる工具です。

建設現場では位置を測定するための工具としてメジャーなどがよく用いられます。

メジャーはスイッチひとつで簡単に巻きとれるという魅力がありますが、スチール製のものがほとんどで、建材に傷を付けてしまうことがあります。

そこで用いられるのが、墨つぼなど糸を使ってラインを出す工具です。

ただ、糸という性質上、メジャーのように自動で巻き取ることができないため、糸巻きを使って効率的に巻き取りを行います。

下げ振り器

下げ振り器は、先端にぶら下げた円錐形のおもりの重さによって垂直を確認する工具です。

垂直は水準器を使って出すこともできますが、下げ振り器を用いることでより正確に垂直を測れるようになります。

​​下げ振り器は、地墨を打つときなど地面に対して柱がしっかりと垂直に立っているか確認するときに用いられます。

セオドライト・トータルステーション

セオドライトとトータルステーションは、建設現場で用いられる測量機の一種です。

セオドライトは「トランシット」とも呼ばれる工具で、角度を測定する際に用いられます。

一方、トータルステーションは、角度に加え、距離まで計測できるようになっています。

角度と距離を同時に測定できるという利便性の高さに加え、平面的な位置を簡単に求められるというメリットもある、非常に重宝する工具です。

オートレベル・レーザーレベル

オートレベル・レーザーレベルは、水平に調整する機能が備わった測量機です。

三脚と一緒に使用する通常のレベルは、手動で水平を調整しなくてはならず手間がかかります。

一方、オートレベルやレーザーレベルは本体側に水平をある程度自動で調整してくれる機能が備わっているので、水平を調整する手間がかからず、効率的に測定できるという強みがあります。

レーザー墨出し器

レーザー墨出し器は、レーザー光線を使って基準線となるラインを出す機械です。

これまで現場におけるライン出しは墨つぼを使って行うのが一般的でしたが、墨つぼには一人で作業しづらいというデメリットや跡が残るという弱みがありました。

その問題を解決したのがレーザー墨出し器です。

レーザー墨出し機はレーザーの照射によってラインを出したり距離を計測するため、跡が残ることはありません。

また、狙った場所にレーザーを当てるだけなので、一人でも問題なく作業できます。

レーザーを照射するため日差しの強い屋外での利用には適していないというデメリットこそありますが、墨出しの作業を効率化してくれる便利な工具です。

水平器

水平器は、地面に対する角度や傾斜を確認するときに用いられる工具です。

地面に対して水平に設置されていないとトラブルの元になってしまう可能性があるので、水平器できちんと水平になっているかどうかを確認した上で設置していきます。

レーザーで水平を確認できるものや気泡の位置によって水平になっているかどうかを確認するものなど、さまざまな種類の水平器があります。

スケール

「メジャー」とも呼ばれる現場での作業に欠かせない工具の一つで、距離やサイズなどを計るときに使用します。

差金

差金は、「指矩」とも呼ばれるL字型の定規です。

両面にメモリが記載されていて、さまざまな計り方でサイズを計測できるようになっています。

また、サイズを計測するときだけでなく、直角を確認するときなどにも用いられます。

建築工事における墨出し作業の手順

建築工事における墨出し作業の手順

墨出しの具体的な作業と作業の概要については以下のとおりです。

第二種電気工事士と第一種電気工事士の主な違いは以下のとおりです。

作業の種類内容
基本墨出し通り芯やレベルを出す作業
下の階から順に行なっていく
型枠用小墨出し躯体となるコンクリートの位置を出す作業
型枠建込中の墨出し設備用の箱やルーフドレイン、アンカーや目地棒などの位置を出す作業
鉄骨アンカーボルトアンカーボルトの位置やレベルを出す作業
鉄骨歪直し鉄骨の垂直度をチェックし、レベルを出す作業
躯体工事中のその他墨出しカーテンウォールや埋め込み金物などの位置、レベルを出す作業
仕上基準墨出し陸墨や柱芯、壁芯の立ち上げや外部角のタテ墨などを行う作業
仕上細部墨出し間仕切り墨や二重天井墨、金物取付用墨の墨出しを行う作業
設備関連墨出し電動器具の取り付け位置や空調設備の取り付け用の墨出し作業

建築現場の墨出し作業では、これらの作業・工程を一通り行なっていきます。

墨出し工(墨出し屋)とは

墨出し工とは、建設現場において墨出しの作業を専門的に行う職人のことを指し、「墨出し屋」と呼ばれることもあります。

墨出し工は、働く環境が過酷で、なおかつ職人気質の人が多い職場ということもあって、「キツい」「やめとけ」と言われることも少なくありません。

ただ、それは墨出し工に限らず建設関連のすべての職業に言えることなので、墨出し工の仕事だけが特別厳しいというわけではありません。

墨出し工(墨出し屋)の給料の相場

墨出し工(墨出し屋)の給料の相場は、日給で「11,000円」ほど、月給だと「250,000円」ほどになります。

墨出し工は8〜17時までフルタイムで働くのが一般的なので、特別給料が高い職種というわけではありません。

そのため、より稼ぎたいと考えるのであれば、墨出しを高いレベルで行えるようスキルを磨きつつ、他の作業も担当できるようになるなどのスキルアップが必要になってきます。

墨出し工(墨出し屋)になる方法

墨出し工(墨出し屋)になるのに特別な資格は必要ありません。

経験がある方が採用してもらいやすくはなりますが、未経験から挑戦できる求人もたくさんあります。

墨出し工の求人は一般的な求人サイトにも掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

墨出しは、建設現場で必ず行われる基本的な作業でありながら、今後の作業に大きく影響する非常に重要度の高い作業です。

墨出しの作業を専門的に行う「墨出し工(墨出し屋)」という職業があることからも、建設現場における墨出し作業の重要性が伝わってくるかと思います。

実際に墨出しを行う際はさまざまな工具が必要になってくるので、紹介してきた内容を参考にしながら工具を揃え、紹介した手順に沿って作業するようにしてください。

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