測量士/測量士補の仕事内容と資格の難易度は?年収と将来性についても解説!

土木工事や建築工事のときだけでなく、土地の評価や売買、法務局への登記、境界杭の復元など、測量が必要になる場面は数多くあり、わたしたちの社会生活の基盤を支えています。

この記事では、測量士および測量士補の仕事内容だけでなく、資格の難易度や想定年収についても解説しますので、資格の取得や転職を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

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測量士/測量士補とは?

「測量」とは、レベルやトランシットなど専用の器具を使用して土地や建物の高さや形を計測することを言います。この測量を業務として実施できるのは「測量士」と「測量士補」のみと法律で定められています。

測量士は何らかの測量業務を行う会社には必ず一人配置することが法律で定められているため、転職市場でも引き合いの強い職種であり、今後も安定した求人ニーズが見込めます。

測量士/測量士補の仕事内容

測量士の仕事内容は広範囲に渡りますが、大きく分けてフィールドでの仕事(外業)と事務所での仕事(内業)に分かれます。

■外業の例

  • 土地の測量(平面座標・標高)
  • 土木構造物、建築物の実測調査
  • 工事現場の墨出し

■内業の例

  • 測量計画の作成
  • 現況測量図/外構計画図/開発計画図などの設計作図(CAD作図)
  • 不動産売買に伴う確定測量図の作成
  • 開発行為や土地区画整理事業の役所折衝および申請業務
  • 土木コンサルタントとして公共土木工事や社会インフラ設備の設計
  • 補償コンサルタントとして用地買収の基になる根拠資料や家屋調査書の作成

※測量士は測量計画を作成できますが、測量士補は測量計画を作成することができず、測量士の作成した測量計画の指示に従って測量業務を行うこととされています。

測量士/測量士補に向いている人

測量の基本は、現地でのフィールドワークです。
アクティブで外仕事をいとわない人には特に向いていると言えます。

また、測量計画の作成や現地での工事用の墨出しでは、限られた時間の中で最短で完結できる手順を考える必要がありますので、論理的な思考能力が求められます。

確定測量や開発行為申請などの業務は非常に時間が掛かるものです。利害関係者間の調整を行い、行政とも粘り強く折衝できるコミュニケーション能力と根気強さも必要とされます。

測量士/測量士補になるには?

測量士および測量士補になるためには、学校で知識や技能を修得し実務経験を積む方法と、試験に合格する方法の二通りがあります。

下記に、測量士と測量士補それぞれについて資格取得要件を整理しました。

【測量士】

  1. 文部科学大臣の認定大学で測量に関する科目を修め卒業し、1年以上の実務経験を積む
  2. 文部科学大臣の認定短期大学、高等専門学校で測量に関する科目を修め卒業し、2年以上の実務経験を積む
  3. 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で必要な専門知識および技能を1年以上の期間を掛けて修得し、その後2年以上の実務経験を積む
  4. 測量士補の資格を取得後に国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で必要な専門知識および技能を修得する
  5. 測量士試験に合格する

【測量士補】

  1. 文部科学大臣の認定学校で測量に関する科目を修め卒業する
  2. 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で必要な専門知識および技能を1年以上の期間を掛けて習得する
  3. 測量士補試験に合格する

測量士/測量士補と土地家屋調査士との違い

測量士と「土地家屋調査士」には非常に密接な関係があります。

土地家屋調査士は、土地に建物を建築後1ヵ月以内に義務付けられている「表題登記申請」に必要な測量および作図を実施します。表題登記申請は土地家屋調査士の独占業務です。

また、土地公図に付随する「地積測量図」の作成についても、土地家屋調査士の独占業務となっています。(土地家屋調査士の依頼に応じて実際の測量業務を測量士が実施することは可能です。)

また、確定測量の際に土地境界が定まらない場合、裁判によらず第三者の意見を踏まえて境界を確定できる「筆界特定制度」を利用することがあります。その手続き代行も土地家屋調査士でないとできません。

このように、土地家屋調査士には測量士より一歩進んだ独占業務範囲が与えられています。

キャリアアップのためには測量士と併せて土地家屋調査士資格の取得を目指すことをお勧めします。

類似資格や協力資格

  • 土地家屋調査士
  • 司法書士
    └土地家屋調査士による表題登記の後に所有権保存登記や抵当権設定登記を行う
  • 行政書士
    └開発行為や土地区画整理事業の設計および申請業務を協業
  • 宅地建物取引士
    └不動産売買に伴う確定測量図の作成を測量士事務所へ委託
  • 建築施工管理技士/土木施工管理技士
    └敷地や既存構造物の現況測量や工事に必要な墨出しの依頼
  • 技術士(建設部門)
    └建設コンサルタント業務に付随する現況測量の委託
  • 一級/二級建築士
    └建築予定地の測量および法規制を調べる「敷地調査」を測量士事務所へ委託

測量士/測量士補試験の難易度は?

測量士および測量士補は、専門の教育や実務経験を経なくても試験に合格さえすれば取得できます。

ここでは、測量士試験および測量士補試験の概要と難易度、合格率などについて解説します。

測量士/測量士補試験の概要

測量士試験および測量士補試験は、測量法および測量法施行令に基づいて国土交通省国土地理院の管轄のもと実施される国家試験です。どちらも、試験は年1回実施されます。

参考:国土地理院 測量士・測量士補国家試験及び登録

スケジュール

例年の試験スケジュールは下記の通りです。

受験願書受付期間1月上旬~下旬
試験日5月中旬の日曜日測量士試験
10:00~16:00(途中休憩1時間)
測量士補試験
13:30~16:30
合格発表7月上旬

試験問題の形式

測量士試験

午前の部択一式計28問
午後の部記述式必須問題1題と選択問題4題
(選択問題4題のうち2題を受験者が任意に選択)

測量士補試験

択一式計28問

合格基準及び配点

試験は合格者数を調整する相対的評価ではなく、合格基準点に達すると合格になります。そのため、試験問題の難易度により年度ごとの合格者数と合格率が大きく変動します。

測量士試験

午前の部1問当たり25点で700点満点
午後の部必須問題1題300点、選択問題4題は各200点で700点満点
(選択問題4題のうち2題を受験者が任意に選択)

※午前の部の点数が400点以上で、かつ午前の点数と午後の点数の合計が910点以上の者が合格

測量士補試験

午前の部1問当たり25点で700点満点

※450点以上の者が合格

試験科目

測量士試験

  • 測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
  • 多角測量
  • 汎地球測位システム測量
  • 水準測量
  • 地形測量
  • 写真測量
  • 地図編集
  • 応用測量
  • 地理情報システム

測量士補試験

  • 測量に関する法規
  • 多角測量
  • 汎地球測位システム測量
  • 水準測量
  • 地形測量
  • 写真測量
  • 地図編集
  • 応用測量

※ 上記の各専門科目に関連して技術者として測量業務に従事する上で求められる一般知識(技術者倫理、測量の基準、基礎的数学、地理情報標準等)についても出題があります。

測量士/測量士補試験に必要な数学レベル

試験では測量に関する計算問題等、数学的知識を問われる問題が出題されます。

測量士補試験の数学は中学・高校の教科書レベルですので、過去問題等で演習を重ねれば十分に合格レベルに達することが出来るでしょう。

測量士試験では、より高度で複雑な計算問題が出題されます。当日配布される電卓(カシオ:SL-910GT)の使用が許可されており、試験本番で戸惑わないように同じ電卓を入手し操作に慣れておくようにしましょう。

■出題される数学分野の例

三角関数、少数、分数、累乗、平方根、三平方の定理、正弦定理、余弦定理、統計、確率

測量士/測量士補試験の受験資格

測量士試験および測量士補試験は、年令・性別・学歴・実務経験等に関係なく受験可能です。試験に合格さえすれば、資格が取得できます。

測量士/測量士補試験の合格率と難易度

測量士補は独学での合格が十分可能です。

近年の合格率は30〜40%で推移していますが、受験に関しての資格要件が無く誰でも受験可能な試験ですので、十分な試験対策をせずに受験する層が一定数存在し、欠席者も多い試験です。

過去問を解くなどの対策をきちんと実行すれば、独学でも合格圏内の実力は身に付くでしょう。

逆に、測量士試験は合格率が例年10%前後の難関試験となっています。試験問題そのものが測量士補試験よりも難易度が高く、さらに午後の試験は記述式であるため、相当な時間を掛けて試験対策をする必要があります。

試験の難易度が高いため、測量士の資格は学歴および実務要件で資格取得する方が多数です。受験者数も測量士補試験の四分の一程度に留まっています。

まず測量士補を取得し、その後養成施設での研修を経て測量士になるケースが多いと想定されます。

【測量士・測量士補試験の合格率】

測量士年度受験者数合格者数合格率
令和4年3,19446014.4%
令和3年2,77349717.9%
令和2年2,2761767.7%
令和元年3,23247914.8%
平成30年3,3452788.3%
測量士補年度受験者数合格者数合格率
令和4年12,5565,54044.1%
令和3年12,9054,49034.8%
令和2年10,3613,13830.3%
令和元年13,7644,92435.8%
平成30年13,5694,55533.6%

測量士/測量士補試験合格に必要な学習時間

測量士補試験に合格するために必要な勉強時間は100時間程度とされています。

測量士試験の合格には、最低でも500時間は学習時間を確保する必要があるでしょう。

一日平均2時間の学習時間とすると、測量士補試験はおよそ2ヵ月、測量士試験は10か月〜1年近くの準備期間が必要となります。

測量士/測量士補の求人

令和4年9月の厚生労働省の調査では、全職業合計での有効求人倍率が1.20倍であったのに対して、「建築・土木・測量技術者」が5.74倍と非常に高い数値を示しています。

このことにより、転職市場でのニーズは極めて高いと言えます。測量業務を行う企業には、法律上必ず1名以上の測量士を配置する義務があります。

建設工事の数だけ測量士が求められるため、測量業務の需要が急に落ちることはありません。

経済規模の大きさから、やはり東京・大阪・名古屋・福岡の大都市圏での需要が多くなりますが、土地が広大な北海道でも、インフラ整備事業の多さにより求人が多い傾向があります。

参考:政府統計ポータルサイト

測量士/測量士補の年収

令和3年賃金構造基本統計調査によると「測量技術者」の平均的な収入は下記の通りです。

企業規模により年収は違いますが、専門技術者として安定した収入が期待できます。他の資格との組み合わせで、さらなる年収アップも見込めるでしょう。

「測量技術者」
(一般)
参考
従業員10人以上の企業従業員1000人以上の企業全産業合計
年収4,761.3千円5,276.4千円4,893.1千円
平均年齢43.1歳43.0歳43.4歳
平均勤続年数14.1年15.1年12.3年
月間所定内実労働時間数168時間165時間165時間
月間超過実労働時間数13時間15時間11時間
月間給与額315.1千円342.5千円334.8千円
年間賞与額980.1千円1,166.4千円875.5千円

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測量士/測量士補の仕事の将来性

測量士および測量士補の仕事の将来性と、AI(人工知能)やドローンなどのICT機器の発展により受ける影響について解説します。

国土のインフラ整備を支える安定した仕事

測量士および測量士補は、国家の基盤となる国土のインフラ整備の基礎を支える重要な役割があります。公共工事を始めとする土木・建設工事がある限りは決して無くならない仕事と言えます。

国土の開発は進みましたが、1960年代から70年代の高度経済成長期に多数建設された社会インフラや建築物が軒並み更新の時期を迎えており、今後は維持管理や改修事業でのニーズがさらに多くなることが想定されています。

災害復興での重要な役割

近年は、東日本大震災などの大規模災害の復興で改めてその役割と価値が見直されています。

甚大な被害を受けた東北沿岸地域の巨大なスケールの土地のかさ上げや防潮堤の建設がスピーディに進んだのも、震災後いち早く全国から現地に集結した測量士や土木コンサルタントの活躍無くしては語れません。

この災害復興の出来事を通じて、改めて測量士の重要性が認識されています。

技術者の高齢化による人材不足

測量業界は技術者の高齢化が進んでおり、若年層の就業や転職者の受け入れニーズが強くあります。

国土交通省国土地理院の平成30年の調査によると、測量会社(団体)の測量士・測量士補の人数、年齢構成は次の通りです。

特に測量士は50代以上が57.1%を占めており、フィールドワークで体を動かし測量できる体力を持った若年層の人材が不足していますので、今後の世代交代が課題となっています。

【測量士合計と測量士補合計の年代別人数と構成比】

人数(人)各年代の内訳の 構成比(%)合計に対する 各年代の 構成比(%)
測量士測量士補合計測量士測量士補測量士測量士補
70 歳以上2,0494002,44983.716.36.82.4
69 ~60歳7,4142,1329,54677.722.324.412.6
59 ~50歳7,8673,39011,25769.930.125.920.1
49 ~40歳9,1635,21014,37363.836.330.230.9
39 ~30歳3,1192,8876,00651.948.110.317.1
29 ~20歳7412,7853,52621792.416.5
19 歳以下15779216.383.70.10.5
合計30,36816,88147,24964.335.7100100

引用元:国土地理院 平成30年度測量業における測量士・測量士補に関する実態調査報告書

AI・ICT機器の登場による測量士業務への影響

AIの登場により、測量士はどのような影響を受けるでしょうか。

ドローンを使用し、空撮したデータからAIを活用して位置座標や標高のデータを作成することは既に実用化されています。

しかし、AI測量はベテラン測量士の経験に基づく効率的な測量計画を作成する段階までには至っていません。人間の思考能力を加味することが必須です。

AIやICT機器による測量作業の置き換えはまだ当分先の話であり、測量士の仕事が無くなることは当面の間は無いと言えます。

ただし、AIやドローンなどのICT機器を活用することによって、劇的な業務の効率化や省力化が可能になります。

その操作には技術的知識が必要ですので、知識を常にアップデートしスキルアップの努力を継続し、最新の機器に精通する測量士が高い評価を受けることになって行くでしょう。

また、測量士の仕事は近隣調整や役所との折衝など、対人コミュニケーションが求められる業務が多々あります。こういった対人折衝能力を磨くことで、来たるべきAI社会の中で測量士の存在意義を見出せると言えます。

まとめ

ここまで測量士および測量士補の仕事内容と資格、試験の難易度から年収や求人状況について解説してきました。

測量は社会インフラの整備という国家基盤を支える重要な仕事です。測量は法律で定められた測量士と測量士補の独占業務であり、その資格の価値は非常に高いものです。

転職やキャリアアップの際にも非常に役に立つ資格ですので、土木・建築業界の方も取得しておいて損は無い資格でしょう。

測量士および測量士補の求人をお探しの方は、ぜひトントンへお問い合わせください。
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