
「地盤改良とはどのような工事を行うのだろうか」
「地盤改良工事は必ず必要なのだろうか」
地盤改良工事は、建物の傾きや沈下を防ぎ安全な建物を建築するうえで欠かせない工事です。
しかし、必ずしも改良工事が必要なわけではありません。
そこで本記事では、地盤改良工事の概要から地盤調査、地盤改良工事の3つの工法を詳しく解説します。
最後まで読み進めることで、地盤改良工事の特徴が理解でき、これから建築関係への転職を考えている人にとっても役立つ基礎知識が身につくでしょう。
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目次
地盤改良工事とは?
地盤改良工事とは、軟弱な地盤や安定性に欠ける土地の上に建物を建築する際に、安定性や耐久性を向上させるために行う土地の補強工事・造成工事の一種です。
建築物は、建築後に建物の傾きや倒壊を防ぐために、一定の強度を持った土地の上に建築しなければなりません。
豆腐をイメージしてもらえるとわかりやすいでしょう。
柔らかい豆腐の上に重さのある小鉢などを乗せると、重みで豆腐が崩れてしまいます。
豆腐が崩れないように小鉢を乗せるには、土台部分に補強を入れて支える必要があるのです。
このように、地盤を補強することで、建物の重みに耐えうる土台になり、道路の振動や地震・大雨などの災害時にも被害を抑えられます。
造成工事に関するより詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
地盤調査の重要性
地盤改良工事は、以下の手順で進められます。
- 地盤調査
- 地盤改良工事
地盤調査とは、建物を建築する土地の強度を調べる調査で、地盤改良工事を行うかの判断になるため非常に重要です。
建物自体は、使用する資材や工法によって耐震性や耐久性を高められます。
しかし、いくら建物自体が強くても、基礎となる地盤が弱ければ、災害や道路振動などによって建物が沈んだり歪んだりしてしまいます。
人々が安心して利用できる建物を建築するには、地盤調査は欠かせません。
調査したからといって必ずしも地盤改良工事が必要なわけではなく、安全性を確保できるだけの地盤強度が確認できれば工事は不要です。
地盤調査自体が法律で義務化されているわけではありません。住宅瑕疵担保履行法により、施工会社が瑕疵担保保険の申し込みをする際に、地盤調査の内容を提出する必要があります。
※住宅瑕疵担保履行法とは……平成21年10月1日に施行された法律で、新築住宅を建築・販売する事業者に対して、住宅品質確保法で定められた10年間の瑕疵担保責任の履行を確保するもの。「保証金の供託」または「保険加入」のいずれかの資力確保措置が義務付けられている。
地盤調査の種類
地盤調査にはいくつかありますが、主に使用されるのが以下の2種類です。
- スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
- ボーリング調査
それぞれ詳しく解説します。
スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)
住宅建築の際に、一般的に利用される調査方法です。
スクリュー状の先端を有するロッドに重しをつけて、回転させながら地面を貫通させ、地面を貫通して行く際の回転数や重しの重量を数値化し地盤の強度を調査する方法です。
戸建て住宅の場合で、住宅の四隅と中央部分の5ポイントを調査します。
SWS試験のメリットは、ほかの調査方法に比べるとコストが低く、短期間で調査を終わらせられる点です。
ただし、地盤が硬い場合には深部まで貫通できなかったり、調査の規模によっては正確な調査結果を測定できなかったりします。
ボーリング調査
ボーリング調査は、ボーリングの機械を使い穴を掘り、ハンマーを落下させることで地盤の強度をはかる方法です。
強度だけではなく、地質まで調べられるため、より正確な地盤調査ができます。
液状化判定や地質調査、浸水・揚水試験などを行うボーリング調査では、大規模な建築物を建設する際に適しています。
SWS試験では対応できないような強固な地盤を有する場所においても、正確な測定が可能です。
ただし、調査が大掛かりになり期間が長くなるため、調査費用が高くなります。
表層改良工法

表層改良工法とは、地盤改良工事の一つで、建物基礎の下にある軟弱な地盤全体をセメント系固化材を使用して固める方法のことです。
建物の基礎になる部分の真下に固い地面を作るイメージです。
改良が必要な深さが2メートルまでの場合に使える方法で、施工期間が比較的短く、コストも抑えられます。
メリット
表層改良工法のメリットは、以下の通りです。
- 工期が短い
- 工事費用を抑えられる
- 高低差・大きさに左右されにくい
- 地盤や地質に左右されにくい
表層改良工法は、地表面のみを掘り、固めて補強する工事なので、比較的簡単で短期間で完了します。
工期が短く人の手も少なく済むため、低コストである点もメリットの一つです。
また、大型の地盤改良機を使用するのではなく、バックホーという重機で作業をするため、狭い土地や高低差のある土地での施工ができます。
また、地質に左右されない点も大きなメリットです。基本的にはセメントの固化を邪魔しないという理由で砂質土や粘性土が適していますが、適用可能なセメント系固化材に変更してほかの地質に対応も可能です。
注意点
注意点は、地盤から2メートルまでの改良にしか対応できない点です。
また、地盤の地下に空洞や地下水が存在している場合などは、表層改良工事をしても地盤が安定しない可能性があるため使用できません。
工事内容自体は比較的単純ですが、施工者のスキルに依存しやすいため、経験を積んでいないと、仕上がり強度に影響を及ぼす可能性があります。
建物の大きさによって、大量の土を廃棄する必要があるため、土を運んだり廃棄したりするコストがかかります。
柱状改良工法
柱状改良工法とは、現地の土とセメント系固化材を混ぜ合わせ、建築物を支えるための柱を造築する方法です。
地盤改良工事のなかでは一般的な工法として知られており、軟弱地盤の深さが2〜8メートルの場合に用いられます。
戸建て住宅だけではなく、中層マンションや工場、道路、擁壁、看板の基礎などの小規模・中規模建築物に適用可能です。
メリット
柱状改良工事のメリットは、以下の通りです。
- 工事費用を抑えられる
- 支持地盤が無くても施工できる
施工自体がシンプルであり、工事費用を抑えられる傾向にあります。
強固な地盤である支持層が無くても、柱を築造し建築物を支えられるというメリットもあります。
注意点
柱状改良工事に適している地質は、砂質土と粘性土であり、それ以外の地質で工事をする際は注意が必要です。
土によっては、セメント系固化材が固まらず、次章で解説する小口径鋼管杭工法に切り替える必要があります。
一般的な工法で多くの業者が取り扱えますが、施工者の経験や技術の差が現れやすい工法です。そのため、業者によっては、改良工事後に沈下の事故が発生するリスクもあります。
小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法とは、地中深くにある固い地盤に対して鋼管を打ち込み建物を支える地盤改良工事の方法です。
軟弱層が比較的深い場合に活用でき、地中30メートルまでの地盤補強ができます。
工事内容は柱状改良工事とほぼ同じですが、大きく違うのがセメント系固化材ではなく鋼管を使用している点です。
また、使用する重機は柱状改良に使用するものよりも小さいため、狭い土地や大型の重機を搬入しにくい場所の工事にも適しています。
本記事で紹介している3つの地盤改良工事のなかで地盤強度が最も高く、3階建て以上の建築物に向いている工事です。
メリット
小口径鋼管杭工法のメリットは、以下の通りです。
- 振動・騒音が少ない
- 残土処分の必要がない
- 地下水の影響を受けない
- 指示地盤が傾いていても工事できる
- 固化不良の懸念が少ない
小口径鋼管杭工法は、ドリルのように杭を回転させながら貫通させていくため、振動や騒音が比較的少ないというメリットがあります。そのため、近隣住民に対してストレスを与えることなく、工事を進められます。
回転しながら穴を開けるため、排土による残土処分もほぼありません。排土があると廃棄場所まで運ぶ人件費と、産業廃棄物として処理するためのコストが必要ですが小口径鋼管杭工法の場合、その心配がないのがメリットでしょう。
鋼管を利用することで、地下水の影響を受けず、指示地盤が傾いていても工事に支障はありません。
また、セメント系固化材を使用するのではなく鋼管で工事をするため、地質による固化不良の懸念が少ないのも大きなメリットです。
柱状改良工法が利用できない地質であっても、小口径鋼管杭工法であれば問題なく工事を進められます。
注意点
小口径鋼管杭工法は支持層が必要不可欠で、ない場合は別の工法に切り替える必要があります。
また、新しい盛土造成地のような場所では、圧密沈下(建築物の荷重により土が圧縮され、沈下する現象)により建築物の周りの地盤が沈下する可能性があるため注意が必要です。
建築物自体は、杭により支えられているため傾く可能性は低いですが、杭の抜け上がりが起こる場合があります。
同じ条件で工事をする場合、柱状改良工事よりも高額になるケースが多く、工事内容や条件面を十分に確認する必要があるでしょう。
杭打ち工事についてより詳しい内容が知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、地盤改良工事について、地盤調査から改良が必要なケース、地盤改良工事の3つの工法について詳しく解説しました。
地盤改良工事は、軟弱な地盤や安定性に欠ける土地を補強し、安全な建物を建築するうえで欠かせない工事です。
ただし、必ずしも改良が必要なわけではなく、地盤調査によって必要と判断された場合に地盤改良工事を行います。
また、地盤改良工事は、対象地の支持層の深さや地質によって、以下の3つの工法を使い分けます。
- 表層改良工法
- 柱状改良工法
- 小口径鋼管杭工法
建設業・土木業で働くうえで欠かせない知識ですので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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