杭打ち工事とは?工法の特徴や工事の流れを解説

杭打ち工事という名前は聞いたことがあっても、具体的な内容や工法までは知らない人も多いのではないでしょうか。

杭打ち工事は、地盤改良を含む基礎工事の一種です。杭打ちをすることで地盤を安定させられて、軟弱な地盤の上でも問題なく建築ができます。倒壊や傾きといった安全上の問題を防ぐことが可能です。

このように建物の建築では欠かせない杭打ち工事ですが、一口に杭打ち工事といっても目的や方法によって工法はさまざまです。

そこでこの記事では、杭打ち工事の概要から工事の目的、工法の種類、工事の流れなどを詳しく解説します。

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基礎杭打ち工事とは

基礎杭打ち工事とは、地盤改良工事の一種で、建物を安全に建てるために地盤を補強する工事のことです。地面に建物を支える力がなければ、建物が傾いたり沈んだりします。建物を安全に支えるためには、地盤の強さを確認して必要に応じて補強する必要があります。

建物を安全に支えるだけではなく、地震や台風といった災害時にも倒壊しにくいといった耐久性の向上も期待できるのです。

そのほかの基礎工事

基礎工事のなかにはほかにも、「直接基礎工事」と呼ばれる工事があります。杭を打つのではなく、ある程度上層の地面に基礎を直接作る工法です。軟弱な地盤に活用される杭打ち工事とは異なり、調査によって地盤の強さに問題がないと判断された際にしか使えません。

穴を掘ったり杭を準備したりしなくていいので、費用がかからず工期も短いというメリットがあります。

杭打ち工事を含む基礎工事は、建設現場のなかでは土木作業という仕事に該当します。土木作業に関してより詳しく知りたい人は、以下の記事も合わせてご覧ください。

基礎杭打ち工事の目的

基礎杭打ち工事の目的は、建物を安全に支えることです。地面の硬さは一定ではなく、硬いところもあれば、柔らかい場所もあります。特に日本は、軟弱な地盤が多く、建物をそのまま建築するのには向いていません。

また、日本は大陸プレートの関係で地震が多発する国です。地盤が柔らかく支えのない建物であれば、災害が起きたときに簡単に傾いたり倒壊したりする恐れがあります。

このように、基礎と建物自体の安全性を向上させて、人々が安心して建物を利用できるように杭打ち工事が存在します。

杭打ちの工法の種類

杭打ちの工法の種類は、以下の通りです。

  • 既成杭工法
  • 場所打ち杭工法

すでに作られた杭か現場で新たに杭を作るかが、上記の工法の大きな違いです。掘削方法がさらに細かく分かれているため、詳しく解説します。

既成杭工法

既成杭工法とは、「既成」という名の通り、工場で作られた杭を現場まで運び地中に埋める方法のことです。比較的小規模の工事に利用されることが多く、一般住宅の建築で見かけることの多い工法です。

工事内容はシンプルですが、強固な地盤であることや杭が長すぎないことなどの制限があります。支持層まで20mほどの深さなら既成杭を利用でき、30mを超える場合は場所打ち杭工法を利用するケースが多くなります。

工法内容
埋め込み工法既製のコンクリート杭を低振動・低騒音で埋め込む工法。特殊な液や泥水によって掘削面を固めながら崩壊を防ぎます。所定の深さまで掘り進んで杭を埋めます。
打ち込み工法地面を掘って埋めるのではなく、釘のように上から打つことで杭を地中に入れ込む工法です。重機で叩いて打ち込むため、振動や騒音が発生します。そのため、住宅街やその周辺などでは基本的に使わない工法です。
鋼管回転圧入工法鋼管杭の先端に先端翼を装着し、回転させることで杭を打ちつける工法です。

場所打ち杭工法

場所打ち杭工法は、軟弱地盤から硬質地盤まで、さまざまな悪条件にも無振動・無騒音で作業を行える画期的な工法です。また、杭の寸法やコンクリートの強度などの組み合わせによって、杭の効果を設定できるのも場所打ち杭工法の特徴の一つです。

杭打ちのために掘削した土の状態を確認できるため、途中に硬質な層があっても掘削を続けられます。

場所打ち工法には、以下の3つがあります。

工法内容
アースドリル工法まず地盤を削ったり掘ったりして、杭を打つための穴を開ける工法です。杭打ちのなかでも、一般的な方法でさまざまな現場で活用されます。
オールケーシング工法地盤が硬いときに使われる工法です。ケーシングチューブと呼ばれる鋼管を使い、穴を掘りながら地盤の崩壊を防ぐために揺動・圧力をおこなえる工法です。
リバースサーキュレーションドリル工法掘削で発生する泥水を、通常のボーリング掘削とは逆方向に循環させて吸い上げながら掘り進める工法です。

杭の種類

現場の状況や工法に合わせて、杭自体を選ぶ必要があります。具体的な杭の種類は、以下の3つです。

  • 気杭
  • 鋼杭
  • コンクリート杭

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

木杭

木杭は、杭のなかでも古くから使われており、歴史的な建造物にも活用されていることがわかっています。木材は水や細菌に弱い性質がありますが、木材を腐食する細菌は好気性を好むため、酸素の少ない地下水よりもさらに下に埋めることで腐食を防ぎ、基礎としての耐久性を長持ちさせられることがわかっています。

木材のなかでも用いられるのが、松の木です。腐りにくい点もありますが、木材としての密度が高く、打撃と地中貫通に適しているからという理由があります。

鋼杭

鋼杭は耐久性があり、垂直方向と水平方向の両方に打ち込めるため、ビルなどの重量のある建築物に用いられるのが一般的です。また、基礎工事だけではなく、地滑りを防止するために活用されることもあります。

鋼杭は、現場への搬入や打ち込みなどの都合により、1つの杭が2mほどの長さで作られています。最深部まで到達させるために、溶接を繰り返しながら打ち込む必要があるのです。杭打ち込みが完了すると、杭の強度を上げるために鋼管のなかにコンクリートを注入します。

コンクリート杭

コンクリート杭は、既成杭工法と場所打ち杭工法の両方で活用される工法です。既成杭の場合は、工場で作成して現場に運ぶため鋼杭と同じく長さに制限があります。そのため、既成のコンクリート杭を使う場合は、継ぎ手で接続しながら延長する必要があります。

手間のかかる工法ですが、腐植土層や水を多く含む土壌でもコンクリートの固化不良がありません。

基礎杭打ち工事が必要なケース

基礎の杭打ち工事は、建物を建てる際に必ずしも必要なわけではありません。杭打ちは、軟弱な地盤の補強や建物自体の耐震性を上げる目的があります。

本章では、杭打ち工事が必要なケースと不要なケースの具体例をそれぞれ詳しく解説します。

日本で建物を建てるとき

日本の土地の多くは、杭打ち工事を必要とする可能性が高いです。

なぜなら、日本の地盤の多くが軟弱であり、建物を建築する際に地盤改良が必要になるからです。日本の住宅の多くが河川下流の沖積層の上にあり、水分を多く含んでいることから地盤が柔らかくなっています。したがって、日本で建築する多くの建物では、杭打ち工事による補強を必要とします。

また、日本は世界でも有数の地震大国であり、地震発生時に傾きや倒壊を防ぐためにも杭打ち工事は欠かせません。

【番外編】基礎杭打ち工事が不要なケース

反対に基礎杭打ち工事が不要になるのは、以下の場合です。

  • 一定以上の強固な地盤の場合
  • 高さの低い建物を建築する場合

杭打ちを含む地盤改良を行う場合は、必ず事前に地盤調査を行います。地盤調査の結果を基に、地盤改良の有無を判定します。そのため、上記のように地盤が強かったり建築する建物の高さが低かったりする場合は、杭打ち工事が不要な場合があるのです。

基礎杭打ち工事の流れ【どうやる?いつやる?】

回転杭工法を例に、基礎杭打ち工事の手順を解説します。

具体的には、以下の流れで工事を進めます。

  1. 試験杭の位置を確認
  2. 杭打機の設置
  3. 杭の位置決め
  4. 貫入
  5. 上杭の位置決め・溶接
  6. 貫入
  7. 設計深度付近の確認
  8. 貫入打ち止め

それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。

試験杭の位置を確認

試験杭とは、地盤の支持層の位置を確認するために用いる杭のことです。支持層の位置は、地盤調査時のボーリングデータによっておおよその位置を確認できます。しかし、データだけでは完全に把握できないため、試験杭を打ち支持層に到達するまでの距離を確認し、得られた値をもとに本杭の打ち込みを管理するのです。

杭打機の設置

続いて、杭打機の設置を行います。杭打機は巨大な重機なので、誘導員の指示に従いながら慎重に移動させます。設置する際は、周りに工事の妨げになるものがないか、安定した場所に設置できるのか、などを考慮して設置作業を進めるのです。

杭の位置決め

重機を設置する場所が決まったら、正しい位置に打ち込めるように逃げ杭を先に打ちます。水準器をあてながら鉛直の確認も行い、杭の先を地面につけます。

貫入

貫入する際は、鉛直を確認しながら杭を慎重に打ち込みます。一回転あたりの深さやボーリングデータを確認しながら貫入作業を行います。

上杭の位置決め・溶接

接続部分の確認を行いながら溶接を行います。接続時に杭が歪んでしまったり、ずれたりする可能性もあるので、接続部分の状態と鉛直を確認しながら慎重に進めます。

貫入

溶接が完了したら、ボーリングデータと管理装置の計測値を確認しながら、貫入作業を進めます。

設計深度付近の確認

所定の深さの近くまで杭を入れたら、適切な深さまで杭が入っているか確認します。

また、その先に杭が曲がったり位置がずれていたりしないか確認も重要です。深くなるほど、杭に負荷がかかります。正確に杭打ちができていなければ、安定した支えになりません。

貫入打ち止め

設計深度付近でデータを確認します。計測値とボーリングデータを確認し、問題なければ貫入を止めて管理値の設定を行います。

まとめ

本記事では、杭打ち工事について詳しく解説しました。

地盤の弱い場所が多く、地震の発生頻度が高い日本では、杭打ち工事を行うのは珍しいことではありません。杭打ちを行うことで、地盤の補強を行い安全に建物を建築できます。また、杭打ちには、さまざまな工法と杭の種類があるため、建物や現場の状況に合わせて選ぶことが大切です。

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