安全係数(安全率)とは?計算方法・目安値と安全のためのポイントを解説

「安全係数がなぜ必要なのか知りたい」

「安全係数を算出する計算が難しい……」

安全係数とは、製品が壊れずに使用できる許容範囲のことです。使用する人や消費者の安全性にかかわる内容なので、土木・建築業界に携わる人は理解しておくべき内容です。

そこで本記事では、安全係数の概要から計算方法、目安数値、計算時のポイントなどを詳しく解説します。

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安全係数(安全率)とは

安全係数とは、安全率とも呼ばれ、建築に使用する材料の基準の強さと許容応力の比のことです。

簡単に言うと、壊れずに安全に使える許容範囲です。

構造物は材質によって経年劣化の年数が異なるため、どのような材料で作られているかによって安全係数も異なります。安全係数の算出では、不確実性をなるべく少なくするためにも、余裕を持って設計されるのです。

安全係数は建築材料だけではなく、薬や食品、機械設計などでも活用されます。

建設・土木における安全衛生にかかわる内容は、以下の記事も参考にしてください。

安全係数(安全率)の計算方法

安全係数の計算方法は、設計で想定される許容応力を基にし、そこから材料の基準強度を割って算出します。

安全係数=基準強度➗許容応力

基準強度と許容応力について、理解しておく必要があるので次項で解説します。

安全係数(安全率)の計算に必要な項目

安全係数の計算に必要な項目は、以下の通りです。

  • 基準強度
  • 応力

それぞれ詳しく解説します。

基準強度

基準強度は、材料が壊れてしまうときの応力のことです。

建築資材であれば、建築基準法で定められている資材や指定建築材料の許容応力度の基準となる強さです。指定建築材料とは、以下のどちらかに該当する材料のこと。

  • 国土交通大臣が指定するJISまたはJASに適合するもの
  • 国土交通大臣が定める技術的基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたもの

応力

応力とは、物体に外からの力が加わった時に、物体内部で発生する抵抗力のことです。

一口に応力と言ってもさまざまな種類があり、安全係数の計算で用いるのは許容応力です。許容応力は、製品を設計した際に発生する材料ごとの最大の応力のことで、製品ごとで値は異なります。

応力に影響を与える項目としては、製品に作用する荷重や基準の強さの見積もりなどです。圧縮や湾曲、ねじりなどが静荷重による破壊応力で、疲労による破損は繰り返し荷重による破壊応力に該当します。

製品ごとの安全係数(安全率)の目安値

以下の製品に関して、それぞれの安全係数の目安値を解説します。

  • 木材
  • 鋳鉄
  • 軟鋼
  • 鋳鋼
  • コンクリート
  • ワイヤーロープ

JISが製品ごとに決定している安全係数を基に解説するので、参考にしてください。

木材

木材の安全係数の目安は、以下の通りです。

  • 静荷重……7
  • 繰り返し荷重の片振……10
  • 両振……15
  • 衝撃荷重……20

安全係数は材料や使用目的によって目安が設定されますが、木材の場合は金属などに比べると材料によるバラつきが大きいため安全係数が大きくなる傾向にあります。

鋳鉄

鋳鉄(ちゅうてつ)の安全係数の目安は、以下の通りです。

  • 静荷重……4
  • 繰り返し荷重の片振……6
  • 両振……10
  • 衝撃荷重……15

鋳鉄の特徴は、炭素とシリコンの含有量によって変化する点です。一般的な鋳鉄は、炭素2.14%以上を含んだ鉄を原料にしています。鉄鋼材料と異なり、複雑な形状でも容易に製造できますが、強度が弱いのが難点です。

厚みも安全係数に影響するため、一般的な数値では測れないケースも少なくありません。

軟鋼

軟鋼(なんこう)の安全係数の目安は、以下の通りです。

  • 静荷重……3
  • 繰り返し荷重の片振……5
  • 両振……8
  • 衝撃荷重……12

鉄鋼材料は軟鋼と硬鋼に分類され、炭素含有量が0.12〜0.20%のものを軟鋼と呼びます。軟鋼の引張強度は490N/m㎡未満です。

鋳鋼

鋳鋼(ちゅうこう)の安全係数の目安は、以下の通りです。

  • 静荷重……3
  • 繰り返し荷重の片振……6
  • 両振……8
  • 衝撃荷重……15

鋳鋼は鉄鋳物に含まれ、炭素含有量が2.1%以下で優れた強度を持っているのが特徴です。鋳鉄では強度が不足している製品に使用されることが多く、鉄道や発電所で使用する部品、建設機械のキャタピラなどが主な用途になります。

銅の安全係数の目安は、以下の通りです。

  • 静荷重……5
  • 繰り返し荷重の片振……6
  • 両振……9
  • 衝撃荷重……15

銅は鋳鉄や軟鋼のような炭素鋼よりも硬度と強度が低く、熱伝導性が高いという特徴があります。また簡単に伸ばしたり曲げたりできるため、日用品への加工が容易にできます。

銅の安全係数のポイントは、純度です。銅には亜鉛や鉛などを加えた合金も多く、純度の違いでJIS規格も異なるのです。安全係数を算出する際は、合金番号や質別を確認し、機械的性質を把握する必要があります。

コンクリート

コンクリートの安全係は、国土交通省の河川管理施設等構造令施工規則により、4以上と決められています。

一般的にコンクリートの強度は圧縮強度を指し、使用するセメントの種類や温度、空気料などで強度が変化します。

ワイヤーロープ

労働安全衛生規則の第四百六十九条(ワイヤーロープの安全係数)によると、ワイヤーロープの安全係数は6以上でなければなりません。

ワイヤーロープは、針金を細いひも状に変えて、その1本1本を使ってロープにしたものです。金属製のロープなので、強度は非常に強く、数トンもの重量物を吊るすことも可能です。

同じように重量物を吊るすためのフックや鎖では、安全係数が5以上であり、ワイヤーロープのほうが強度が高いことが分かります。

安全係数(安全率)計算時のポイント

安全係数の計算をする際のポイントとは、安全係数に余裕を持たせることです。

安全係数に余裕が生まれると、製品の安全性が高まり安心して使用できます。設計時に想定した数値と実際の数値に誤差が発生すると、荷重のかかり方が予測できなくなり、使用において不確実性が高まります。

不確実なものは安心して使えないため、余裕を持って製造するのが一般的に良いとされています。

また、安全係数が大きいのが理想ですが、コスト面を考慮する必要もあるため、許容応力を超えないことが大切です。

安全係数(安全率)計算時に余裕を持たせるべき2つの理由

安全係数の計算時に余裕を持たせるべき理由は、以下の2つです。

  • 実寸と設計の寸法には誤差があるため
  • 荷重のかかり方は予測できないため

それぞれ詳しく解説します。

実寸と設計の寸法には誤差があるため

設計時の寸法と実寸では誤差が生まれるため、安全係数に余裕を持たせる必要があります。

製品の製造では、どんなに正確に造ろうとしても、材料の状態や湿度や気温による影響を受けてしまい誤差が生じてしまいます。そのため、安全係数ギリギリで造ってしまうと、安全係数を下回っている品質に問題のある製品ができる可能性もあるのです。

そのため、あらかじめ安全係数に余裕を持つ必要があります。

荷重のかかり方は予測できないため

荷重のかかり方が予測できない点も、安全係数の計算で余裕を持たせるべき理由の一つです。

使用方法によって、荷重のかかり方は変わります。設計段階で想定した方法とは異なる方法で使用するケースも少なくありません。つまり、荷重のかかり方が予測できないため、安全に使用するには余裕を持たせておく必要があるということです。

安全係数(安全率)についてよくある質問

安全係数についてよくある質問として、以下の内容が挙げられます。

  • 安全係数の目安とは
  • 安全係数の算出方法とは
  • 安全在庫係数とは

それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。

安全係数の目安は?

安全係数の目安は、製品ごとで異なります。7つの製品に関してまとめたので、確認してみてください。

製品安全係数
木材静荷重……7
繰り返し荷重の片振……10
両振……15
衝撃荷重……20
鋳鉄静荷重……4
繰り返し荷重の片振……6
両振……10
衝撃荷重……15
軟鋼(なんこう)静荷重……3
繰り返し荷重の片振……5
両振……8
衝撃荷重……12
鋳鋼(ちゅうこう)静荷重……3
繰り返し荷重の片振……6
両振……8
衝撃荷重……15
静荷重……5
繰り返し荷重の片振……6
両振……9
衝撃荷重……15
コンクリート国土交通省の河川管理施設等構造令施工規則により、4以上と決められている
ワイヤーロープ労働安全衛生規則の第四百六十九条(ワイヤーロープの安全係数)により、6以上と決められている

安全係数の算出方法は?

安全係数の計算方法は、設計で想定される許容応力を基にし、材料の基準強度を割って算出します。

安全係数=基準強度➗許容応力

基準強度は、材料が壊れてしまうときの応力のことです。建築資材であれば、建築基準法で定められている資材や指定建築材料の許容応力度の基準となる強さです。応力とは、物体に外からの力が加わった時に、物体内部で発生する抵抗力のことです。

計算する際には、安全係数に余裕を持たせることが大切です。設計時に想定した数値と実際の数値は必ずしも一致するとは限らず、むしろ誤差が発生する可能性が高いと考えましょう。誤差が生まれると、荷重のかかり方が予測できなくなり、使用において不確実性が高まります。

安全係数に余裕があると、製品の安全性が高まり安心して使用できます。

安全在庫係数とは?

安全在庫係数とは、欠品に対する許容範囲の数値です。欠品を許容できる数値を欠品率と呼び、注文に対して商品を供給できなかった割合のことを指します。

例えば、商品を10個ほど注文を受けたにもかかわらず、9個しか納品できなかった場合は、欠品率は5%ということです。

この欠品率の許容範囲によって、安全在庫係数が変わります。

まとめ

本記事では安全係数について、概要から計算方法、目安数値、よくある質問まで網羅的に解説しました。

安全係数は、消費者が安心安全に製品を利用するうえで重要な数値です。特に建築・土木業界とは切っても切り離せない内容になっているので、十分に理解しておく必要があります。

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