特命(特命随意契約)って何?必要な書類や注意点をわかりやすく解説

建築・建設業界で働いている方の中で、「特命(特命随意契約)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ただ、具体的に特命とはどういったものなのか、いまいちピンとこないという方もいるでしょう。

そこで、今回は、特命とはどういうものなのかに加え、特命のメリットや注意点について解説します。さらに、特命以外の契約方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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特命(特命随意契約)とは

特命とは、特命随意契約のことであり、建築工事などにおいて、請負者を決めるときに、工事代金による入札ではなく、工事技術や品質、信頼や実績などから特定の業者を氏名して、工事を発注する方法です。

特命では、入札などの競争性を排除していることから、随意契約理由書の中に使用目的や使用方法をしっかりと明記しなければなりません。また、入札方式と比べると、手続きが簡素化されることに加え、業者選定までの日数を短縮できるといった特徴があります。

なお、特命が利用できる場合とそうでないケースもあるので、注意が必要です。以下のようなケースにおいて、特命が利用できます。

  • 入札の内容が競争することにそぐわないケース
  • 緊急に業務をおこなわなければならないケース
  • 相場よりも有利な価格で契約できるケース
  • 予定価格が少額なケース
  • その他、政令で定めるケース

特命の根拠となる法令

特命は、「会計法」や「予算決算及び会計令」が根拠となっています。ここでは、それぞれの条文を紹介します。

【会計法第29条3】

契約担当官及び支出負担行為担当官(以下「契約担当官等」という。)は、売買、貸借、請負その他の契約を締結する場合においては、第3項及び第4項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

4 契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。

【予算決算及び会計令】

各省各庁の長は、契約担当官等が指名競争に付し又は随意契約によろうとする場合においては、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

3 契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき。

会計法、予算決算及び会計令、いずれにも、「競争を許さない場合」とあり、最初から意図的に入札しないことを意味しています。

特命以外の契約方法

特命は入札などの競争が発生しない契約方法ですが、そのほかにどのような契約方法があるのか詳しく見ていきましょう。

競争入札

競争入札は、複数の業者からの見積もりをもとに選定する方式であることから、最安値を選べるといったメリットがあります。また、業者には競争入札であることを明示しているので、最初からコストダウン後の見積もりを提示してもらえるケースが多いでしょう。

とくに発注規模が大きい工事ほど、入札方式のメリットを受けやすく、大きなコストダウンを期待できます。

ただ、競争入札の場合、計画から見積もりが出揃うまでに時間がかかるだけでなく、業者選定にも時間を要します。そのため、緊急度の高い工事には不向きであるといったデメリットにも留意しておかなければなりません。

指名競争

競争入札は、一般向けに公表されているので、参加登録している事業者であれば誰でも入札に参加できます。一方、指名競争の場合、参加登録している事業者の中から、技術や実績、事業規模などの基準をもとに、複数の業者を選定し、選定された業者のみが入札に参加できるといった仕組みです。

事前に発注者側が複数の業者を選定できることから、価格だけでなく品質や技術、事業規模などを絞り込めるといったメリットがあります。ただ、競争入札と同様に、業者選定までに時間がかかってしまうことに注意が必要です。

随意契約

随意契約は、「特命随意契約」「少額随意契約」「プロポーザル方式」「不落随意契約」の4つに分けられます。なお、「特命随意契約」は随意契約に含まれます。

ここでは、「少額随意契約」「プロポーザル方式」「不落随意契約」について詳しく見ていきましょう。

少額随意契約

少額随意契約は、予算の少ない事業において、複数の業者から見積もりを取って業者選定をおこなう方法です。簡素的に業者を選定することから、入札よりも時間や事務作業を大幅に短縮できるのがメリットといえるでしょう。

また、複数の業者から選定するので、特命よりも価格を抑えられる可能性があるほか、公平性を保てるといった特徴もあります。

プロポーザル方式

プロポーザル方式は、事業者が企画を発注者に提出し、提案内容をもとに評価、選定をおこなう方式です。主に、高度な技術が必要な工事や、専門的な知識が必要な場合に実施されます。

不落随意契約

競争入札を実施したにもかかわらず、落札者が決まらなかった場合におこなわれるのが不落随意契約です。入札において、立候補者がいなかったり、条件に合う落札者がいなかった場合におこなわれます。

特命のメリット

特命には、主に以下の4つのメリットがあります。

  • 手続きにかかる日数が短い
  • 受発注者のコミュニケーションが取りやすい
  • 図面を用意して概算見積もりですぐに契約できる
  • 無駄なコストの発生を防げる

特命は、競争入札とは異なり、あらかじめ1社に絞って見積もりを取ることから、手続きにかかる日数が短く済みます。また、過去に依頼したことがある事業者であれば、実績があるので、スムーズな取引ができるでしょう。

そのほか、図面を用意して概算見積もりを出してもらえば、その見積もりを持って契約することが可能なので、プロジェクトを早急に進められるといったメリットもあります。

特命の注意点

特命は入札方式とは異なり、事業者の実績や技術、信頼度などから指名して発注する契約方式です。そのため、入札方式よりも事業者の選定をスムーズにおこなうことができ、工事を早急にスタートできるといったメリットがあります。

しかし、1社を指名して依頼することから、見積もりを比較検討できず、見積もりの正当性がわかりにくいといった点に注意が必要です。また、事業者を選定した理由をしっかりと説明できなければ、汚職や癒着を疑われる可能性もあるでしょう。

特命に必要な随意契約理由書の作り方

特命方式をおこなうときは、随意契約理由書を作成しなければなりません。ここでは、「機種選定理由書」と「業者選定理由書」の具体的な書き方について解説します。

機種選定理由書

機種選定理由書とは、物品を購入する際に特命をおこなう場合において作成しなければならない理由書です。機種選定理由書には、主に以下の3つの項目を書きましょう。

  • 使用目的
  • 求められる性能
  • 選定理由

機種選定理由書では、そもそもなぜ購入する必要があるのか、そしてどういった性能や条件のものが必要かを記載する必要があります。さらに、なぜその物品を選んだのかなどについて、性能比較表などを添付して作成しなければなりません。

業者選定理由書

業者選定理由書では、業者を選んだ理由について明確に記載する必要があります。理由が不十分だと、汚職を疑われる恐れがあるので、理由を熟考したうえで書くようにしましょう。

特命についてよくある質問

特命の概要や特徴などは理解できたものの、いろいろ疑問点が残っているという方もいるでしょう。ここでは、特命に関するよくある質問と、その回答を紹介します。

以下、特命についてよくある質問の一覧です。

  • 特命随意契約はなぜ必要?
  • 特命のデメリットは?
  • 随意契約はいくらの契約まで採用できる?
  • 入札と随意契約の違いは?

特命随意契約はなぜ必要?

特命随意契約は、金額による入札ではなく、事業者の実績や信頼度などから選定をおこなう方法です。入札方式よりもスムーズにおこなえることから、緊急度が高いプロジェクトに向いているといえるでしょう。

また、契約の性質や目的によっては、競争入札が適さない場合もあるので、そういった場合は特命随意契約をおこなうのが一般的です。プロジェクト自体に時間がない場合や、実績などをもとに選定しなければならない場合など、契約の「性質」や「目的」が競争入札に適さないときに、特命随意契約をおこないます。

特命のデメリットは?

特命は、事業者の技術や実績などをもとに選定し、指名して発注する契約方式です。そのため、見積もりを比較することができず、価格の正当性が見えずらいのがデメリットといえるでしょう。

また、1社に絞って指名しなければならないことから、汚職や癒着を疑われるといったリスクもあります。特命をおこなうときは、業者を選定した理由を明確にし、しっかりと説明できるようにしておきましょう。

随意契約はいくらの契約まで採用できる?

随意契約は、「予算決算及び会計令第99条」において、予定価格の上限が決められています。建築や建設業界の場合、予定価格が250万円を超えない場合のみ、随意契約をおこなうことが可能です。

入札と随意契約の違いは?

入札と随意契約の主な違いは、契約時に入札手続きがおこなわれるかどうかです。入札の場合は、複数の業者が入札に参加し、価格などをもとに業者を選定します。

一方、随意契約は、入札手続きを省略できることから、スムーズに契約および着工することが可能です。

まとめ

建築・建設業界で働いている方の中で、特命という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。特命とは、通常の入札方式で事業者を選定するのではなく、技術や実績をもとに事業者を選定する契約方式です。

見積もりの比較検討ができないといったデメリットはあるものの、入札の手間と時間を大幅に省けることから、緊急度の高い工事に最適といえるでしょう。ただ、汚職や癒着を疑われる可能性もあることから、しっかりと「機種選定理由書」「業者選定理由書」を作成しなければなりません。

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