不陸調整とはどんな作業?やり方や注意点を詳しく解説

不陸とは建設業で使われる用語で、凹凸や傾きがあることを意味します。

通常建造物は水平・垂直な壁と床で構成されますが、施工ミスや経年劣化により、不陸が発生することもあります。

この記事では、不陸の概要や関連する基本用語、不陸調整の方法や不陸調整が必要となる事例と注意点、不陸整正で使われる機材や手順も紹介します。

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不陸とは?

不陸(ふりく・ふろく)とは、壁面・床などの接合面など垂直・水平になっているべき面が傾いている状態を意味する建築用語です。また表面に凹凸が生じているような場合も「不陸がある」と表現します。不リクの原因は経年劣化による歪み、施工ミスといわれています。

不陸調整・不陸整正との違い

不陸調整とは、デコボコになった表面を平らにする作業をいいます。また似た言葉で不陸整正という言葉がありますが、意味は同じです。不陸を平にならす作業を、土木業では「整正」と表現することが多く、建設業界では「調整」と呼ぶことが多いです。

呼び方が異なるだけで、どちらもデコボコや傾きを調整して平にするという意味になります。

不陸整正は、手順自体は同一ですが、使用する機材や材料が異なる点に注意しましょう。不陸整正の詳細は、後ほど説明します。

不陸に関する基本用語について

建設業において不陸調整をする際に、さまざまな建設用語が飛び交います。混乱しないように、不陸調整においてよく使われる用語を知っておきましょう。

  • 下地調整材
  • セルフレベリング材
  • 巾木

以上3つが、不陸調整においてよく使用される用語です。

下地調整材とは、不陸調整に使う材料の総称で、へこみを埋めたり凸凹を水平にならす樹脂・石膏やセメントなどの素材を、不陸の状況に合わせて使用します。

セルフレベリングとは、不陸の場所に流し込む石膏系の床下地材を意味します。セルフレベリング材は流し込むと、自ら水平性を保つように変化する性質があり、不陸調整によく使われます。

巾木とは床と壁の間に発生する隙間を埋めるための部品で、床と壁の継ぎ目に使用します。不陸がある場合、どうしても床と壁の間に隙間ができてしまうため、見栄えを良くするために巾木が必要です。

不陸調整のやり方

接合面に不陸があると、接着面がくっついていない状態になるため、構造物の品質が低下するリスクがあります。品質を維持するためには、不陸調整が必要です。

  • 不陸を確認する
  • 不陸に合わせて調整を行う
  • 仕上げを行う

大まかなステップを説明するので、不陸調整作業をする際の参考にしてください。

①不陸を確認する

不陸調整はまず、不陸の状態を確認します。どの程度の誤差があるかを確認し、状況に応じて下地調整材を選ぶためです。確認方法は目視、またはレーザーを使った機械を使用します。レーザーから光を照射し、光線から床までの距離を計測することで、誤差を割り出せます。

②不陸に合わせて調整を行う

ステップ1で計測した不陸の誤差に合わせて、調整を実施します。不陸調整は表面の傾きや凹凸の深さによって選ぶ必要があります。

まず表面が隆起しているようなケースでは、ケレンや専用の機材を用いて表面を削り、水平に整えます。隆起が広範囲の場合は、研磨機械を使用するケースが多いです。

反対に、表面が凹んでいて穴が空いているような場合は、モルタルや樹脂製のパテを流し込み、へこみを埋めて水平にします。先ほど紹介したセルフレベリング材もよく使われます。へこみに流し込むだけで、素材が水平を保とうとする性質があるため、簡単に不陸調整が可能です。

傾きが生じている場合は、まずレーザーで誤差を割り出します。基準のレベルを決定し、レーザーで決めた基準よりも高い位置は機材やケレン材を用いて表面を削ってなめらかにします。

反対に、基準よりも低いレベルの場所はレベラー・モルタルを流し込んで埋めて、傾いた床や壁が水平になるように調整します。

③仕上げを行う

不陸調整が終わったら、最後の仕上げ処理を実施します。不陸調整をした後は、床や壁のコンクリート材が剥き出しの状態になっており、そのままでは見栄えが悪いためです。また、コンクリートが剥き出しのままだと耐久性が落ちやすいため、塗装で保護する必要があります。

不陸調整が終わったら、補修に使った材料が乾燥して密着した状態であることを確認した上で、塗料を塗って仕上げましょう。この際に、不陸調整に使った下地調整材の乾燥が甘く、密着していないままだと剥離してしまい、不陸調整の意味がないため注意してください。

不陸調整が必要なケース

不陸調整は、構造物の柱面などであれば調整せずにそのまま施工を進めるケースがあります。構造に問題がなく、また外観にも影響しないためです。

それでは、どのようなケースで不陸調整が必要なのかを説明します。

  • 防水工事
  • 外壁の改修
  • 内装工事
  • 原状回復工事

一般的に不陸調整は、以上のような工事の途中、経年劣化によって不陸が生じた際に発生します。

たとえば、住宅の防水工事の際に屋上に水溜りが発生しているようなケースです。屋上のコンクリートが経年劣化で摩耗し、不陸が発生するとそこの水が溜まります。カビが発生し、見た目が汚くなるだけでなく、滑って転ぶような事故が発生しかねません。

また、何日も水が溜まるような場所に防水剤を塗布しても、すぐに劣化してしまいます。このような場合は、まず不陸調整をして凹凸を水平にし、そのうえで防水工事を実施するケースが多いです。

外壁の改修工事でも、不陸調整が発生するケースが多いです。タイルの張り替えなどをする際に、不陸があるとタイルが密着せず剥がれてしまうことがあります。まずは壁の不陸調整をし、へこみを埋めたりしてからタイルを張り替えます。

また部屋の内装工事の際に、不陸調整が必要になるケースもあります。リフォームの際に床の段差を合わせたいという要望が施主からあった際、単に板の厚みを合わせるだけでは床鳴りなどの原因となります。

このケースでは、床板を剥がして床の下地の不陸調整を実施することで、段差のない床が完成するのです。

原状回復工事においても、不陸工事が発生するケースがあります。オフィスなどの原状回復で床を剥がす際に、コンクリートが剥がれて不陸を発生させてしまうケースもあるでしょう。また、経年劣化により重い機材の下の床が凹んでしまい、凹凸ができる場合もあります。このような場合でも、原状回復工事の一環として不陸調整が行われます。

不陸調整のときに注意すべきこと

不陸調整はさまざまな工事・現場で発生しますが、状況に応じた調整が必要です。たとえば、屋上の防水工事での不陸調整には浮きを防止するために、密着性の強いエマルジョン系接着剤・カチオン系モルタルを塗布し、ハケを表面で荒らして密着性を高める「ノロ引き」を実施します。

このように、状況に応じて不陸調整に使う素材・手法は異なるため、まずは凹凸や傾きのレベルを目視やレーザー機械で測定し、適切な方法で調整作業を行いましょう。

建物を建造するうえである程度の不陸は発生するものですが、仕上がりに影響が出る場合もあるため、正しく状況を把握するよう努めてください。そのうえで、表面を削るのか埋めるのかなどを見極めて、見栄えまで考慮した不陸調整をしましょう。

不陸整正の場合はどのようにする?

不陸調整と不陸整正は、表面の凹凸や傾きを水平にするという意味では同じです。土木工事においての不陸調整が、不陸整正に該当します。

たとえば、舗装された道路や路盤の施工をする前に、路盤表面・路床を水平にならす作業のことです。手順は不陸調整とほぼ同じで、凹んでいる場所を埋めたり、出っ張っている場所を削る作業がメインとなります。

不陸整正がなぜ必要なのかというとまず、規格を満たすためです。路床や路盤の施工を実施後に出来形測定を実施しますが、規格に収まっていない場合は工事が完了したと認められません。そのため、出来栄えの精度をあげて規格に収めるために不陸整正がおこなわれます。

また、不陸整正は土木工事における工事原価の削減にも役立つ工事です。路床や路盤の表面が凸凹になっていると、無駄な下座医療費がかかってしまうため、下地を整えてから工事をした方が仕上がりも綺麗で、原材料のコストも下がります。

使用する機械

不陸整正に使用する主な機械を紹介します。基本的に使用する機械は、道路の舗装工事に使用する重機と同じです。

  • モーターグレーダ
  • バックホウ
  • ダンプ
  • ローラ

モータグレーダとは、大規模な道路工事で使われる重機で、前面についているブレードを使って高さを調整します。

バックホウとは、規模の小さな道路工事や打ち換え工事で使われる機械です。バックホウに搭載された排土板を使って、不陸を水平にします。また、バックホウ自体の重量を使って、キャタピラで補足材を圧縮できます。

ダンプは補足材の運搬に使われる重機です。一般的に道路工事は、重機の走行に耐えられる指標であるトラフィカビリティが確保されているため、ダンプを使って資材を運搬します。

ローラは、路床や路盤を締固めて凹凸をなくし、表面をなめらかにするための重機です。より凹凸を無くしたい場合は、振動ローラを用います。

手順

不陸整正の手順は、不陸調整と同じく、まずは不陸の目視やレーザーによる確認ののち、凹凸を埋めたり削ったりしておこないます。手順は同じですが、先ほど紹介したような重機を使う点で大きな違いがあります。また、不陸調整に使用する材料は補足材料と呼ばれ、流し固めた後にプライムコートと呼ばれる乳剤をコンクリート表面に散布し、仕上げとなります。

まとめ

不陸調整とは、建物の床や壁などに生じた凹凸や傾きを調整する作業です。施工ミスや経年劣化によって不陸が生じると、構造物の品質低下を招きます。

不陸調整をする際は、まずは状況を正しく把握したうえで、使用する材料や手法を検討して実施しましょう。

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