「基礎工事にはどのような種類があるのだろうか」
「基礎工事の流れを確認しておきたい」
「基礎工事を行う際の注意点が知りたい」
このように建物の基礎工事に関して詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか。
基礎は、建物の土台部分になり、建物自体の耐震性や耐久性にも影響を与えるため非常に重要な部分といえます。
本記事では、基礎工事の種類や工程、失敗しないための注意点などを詳しく解説します。
基礎工事を行う職人の仕事が気になっている人は、最後まで読み進めることで、仕事のイメージを持ってもらえるでしょう。
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目次
基礎工事とは
基礎とは建築物の土台になる部分で、建物と地盤をつなぐ役目があります。
基礎を作る工事を総称して、基礎工事といいます。
基礎の役割は、以下の通りです。
建物自体の荷重を伝える
地震や風などの外力を地盤に伝える
地表の湿気や降雨時の雨から建物を守る
つまり、基礎があるからこそ、建物は地面の上に安定して建ち続け、災害の際にも傾いたり崩れたりすることがないということです。
基礎工事にかかる期間
基礎工事にかかる期間は、およそ1ヵ月です。
梅雨時期や台風の時期などは、期間が通常より伸びたり延期したりすることもあります。
そのため、時期や天候の状態では1ヵ月以上かかるケースも珍しくありません。
基礎工事にかかる費用
基礎工事にかかる費用の相場は、以下の通りです。
1坪あたり:40,000〜130,000円
1㎡あたり:12,000〜40,000円
立地や地質、地盤の状態、また建物の階数なども基礎工事に影響を与え、必要な費用も上がります。
基礎工事の種類
基礎工事の種類は、大きく以下の2種類に分類されます。
- 杭基礎
- 直接基礎
それぞれの基礎工事で、さらに細かく分類されるので詳しく解説します。
杭基礎
杭基礎とは、複数の杭を地面に打ち込み、杭で建物を支える基礎のことです。
主に地盤が軟弱な場合に用いられる方法で、固い支持層まで杭を打ち込み固定します。また、杭基礎のなかでも、『支持杭』と『摩擦杭』の2種類に分かれます。それぞれの特徴を詳しく解説するので参考にしてください。
支持杭
支持杭は、地盤が軟弱な場合で、深い場所に固い支持層が存在すれば使える方法です。
杭を固い支持層まで到達させ、指示力で支える方法です。支持層の位置が深い場合には、支持杭の長さが数十メートルにおよぶこともあります。
摩擦杭
摩擦杭は、杭側面の摩擦によって支える方法で、支持杭と異なり支持層に到達させる必要がありません。
支持層がない場合にも活用できる方法です。
直接基礎
直接基礎とは、杭を打ち込まず地盤に直接、コンクリートの土台を造る方法のことです。
直接基礎は、以下の4種類に分類されます。
- ベタ基礎
- 布基礎
- 独立基礎
- SRC基礎
それぞれ詳しく解説します。
ベタ基礎
ベタ基礎とは、床下全体をコンクリートで覆い、基礎の全面を使って建物を支え、地盤に力を伝える方法です。
現在の住宅建築で一般的に用いられている基礎です。
使用するコンクリート量は多いですが、基礎を造るための穴を掘ったり、不要な土を処分したりする必要がないため、施工しやすいというメリットがあります。
布基礎
布基礎とは、主となる柱や壁の下に基礎を造る方法で、床下全体を覆わない基礎です。
布基礎は、使用するコンクリート量がベタ基礎と比べると少ないため、耐久性・耐震性を考慮して地盤強度の強い土地で利用するのが一般的です。
また、地盤の土が剥き出しになっている箇所があるため、床下に湿気が溜まりやすい傾向にあり、湿気対策は欠かせません。日本の木造住宅では古くから使用されている基礎で、網目状の空気孔のある基礎を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
独立基礎
独立基礎は、主となる柱の下にのみ基礎を造る方法です。
建物からの力を面で伝えるベタ基礎とは反対に、独立基礎は点で力を伝える構造です。布基礎よりも支える部分が少ないため、地盤強度の大きい土地で利用されています。
SRC基礎
SRC基礎は、蓄熱床工法と呼ばれ、床下に砂利やコンクリートを隙間なく敷き詰める構造の基礎です。
床下の空間を無くし密閉構造にすることで、地中の熱を床下に伝えやすく、暖房効果が見込めるのが特徴です。また、暖房効果以外にも、耐震性の向上やシロアリ被害リスクの軽減、湿気対策といったメリットがあります。
ただし、リフォームがしにくかったり、コンクリートから発生する湿気の逃げ場がなかったりといった問題もあります。
基礎工事の7つの工程
基礎工事は、以下の7つの工程で進められます。
- 地縄張り
- 掘削・根切り
- 砕石敷
- 捨てコン
- 鉄筋組み・型枠の設置
- コンクリート打設
- 養生・型枠外し
それぞれの工程の詳細を解説します。
地縄張り
地縄張りとは、縄やビニール紐を用いて、建物の配置を表す作業のことです。
建物の建築位置はミリ単位で図面に起こされており、ズレが怒らないように着工前に確認する必要があります。
地縄張りが完了したあとは、遣り方を出す作業を行います。遣り方については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
掘削・根切り
配置が確定したら、基礎を造るために地盤の掘り起こし作業を行います。建物の基礎は、地盤上に出ている部分と地盤下に埋まっている部分に分かれます。
基礎の深さは建築基準法で決まっており、ベタ基礎であれば地盤から120mm以上です。
また、地面には配管や地中埋設物が埋まっていることも少なくないため、慎重に進める必要があります。隣地の配管が対象地のなかを通過しているケースもあり、作業中に発見した場合は発注者への速やかな報告が必要です。
基礎の底盤となる部分まで掘削を進め、並行して土留めや排水工事を行います。木の根があると基礎工事の邪魔になるため、根切りも同時に行う必要があります。
砕石敷
掘削が完了したら砕石を敷き詰め、ランマーという機械で転圧を行います。転圧を行うことで、砕石の密度が高まり地面が固くなるのです。
捨てコン
砕石敷が完了したら湿気を防ぐための防湿シートを敷き、その上から捨てコンと呼ばれるコンクリートを流します。
捨てコンを流す目的は、以下の通りです。
- 建物の基準線を出す
- 防湿シートを固定する
- 職人が作業しやすくなる
- 型枠の土台を形成する
鉄筋組み・型枠の設置
基礎はコンクリートだけで造られるわけではなく、鉄筋を入れることで強度を増しています。
コンクリートを流し込む前に、設計図書の基礎配筋図と照合しながら、鉄筋組みを行います。配筋組みは、建物完成後の基礎強度や耐用年数に影響するため、以下の点検項目を確認しながら慎重に進める必要があるのです。
- 鉄筋の直径が図面通りか
- 鉄筋の網目幅に間違いがないか
- 鉄筋のかぶりの厚さは問題ないか
- 型枠のかぶりの厚さは問題ないか など
かぶりとは、鉄筋とコンクリートの表面までの最短距離のことです。
コンクリートに含まれるアルカリ性が失われることで、鉄筋の錆が進行してしまいます。コンクリートと鉄筋の間で最低限の距離が保たれていないと、錆が早く進行してしまうため、かぶりは十分に取る必要があります。
鉄筋組みが完了したら、型枠の設置です。型枠は木製や鉄製があり、ズレないように金具で固定していきます。
コンクリート打設
コンクリート打設とは、型枠のなかにコンクリートを流し込む作業のことです。
ただ流し込むだけではなく、コンクリートに気泡が残らないようにしたり、鉄筋と鉄筋の間にも隙間なく行き渡らせるための作業を行ったりします。
コンクリート打設に関するより詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。
養生・型枠外し
コンクリート打設が完了したら、数日間寝かせる必要があります。コンクリートは流したらすぐに硬化するわけではなく、適切な日数をおくことで強度の高いコンクリートが完成します。
また、完全に固まる前に衝撃が加わったり乾燥したりすると、ひび割れや硬化不良の原因になるため、養生が必要です。養生では、コンクリートが剥き出しになっている部分にシートを被せたり散水したりします。
必要な日数が経過したら型枠を外します。型枠を外した後は、コンクリートにひび割れがないか、硬化不良が起きていないかをチェックし問題なければ完成です。
基礎工事で失敗しないための3つの注意点
基礎工事で失敗しないための3つの注意点は、以下の通りです。
- 配筋は正確に入っているか
- 基礎表面のコーティングに問題はないか
- アンカーボルトは正しく設置されているか
それぞれ詳しく解説します。
配筋は正確に入っているか
配筋が設計図通りに入っているかどうかは、基礎の耐久性に影響するため非常に重要です。
配筋の位置や本数は、現場監督だけではなく設計者とともに確認することで確実性が増します。また、かぶりの厚さも基礎の耐久性に影響するため、十分に確認しておく必要があります。
基礎表面のコーティングに問題はないか
基礎表面のコーティングは、鉄骨の錆を防ぐために必要なことです。コンクリートが中性化することで鉄筋の錆が進行しますが、元々アルカリ性のコンクリートにコーティングを施すことで、アルカリ性の状態を保てます。
さらにコーティングによってコンクリート中の水分を逃さず、打設後数年はコンクリートの水和反応が持続して強度増強の効果もあります。
アンカーボルトは正しく設置されているか
アンカーボルトは、基礎と柱をつなぐ部分であり、歪みのない建物を建築するうえで非常に重要です。
型枠が組み終わる前には、アンカーボルトを設置しますが、以下の点に注意が必要です。
- 基礎の中央部分に埋め込んであるか
- 間隔に問題はないか
- 斜めに埋め込まれていないか など
アンカーボルトの間隔については、住宅金融普及協会によって一定の基準が定められているので、設置する際は基準を確認する必要があります。
まとめ
本記事では、基礎工事の概要から種類、工事の流れ、注意点などを詳しく解説しました。
基礎は、建物の土台となる部分で、耐久性や耐震性にも影響するため非常に重要な部分といえます。言い換えれば、基礎が建物の将来性を決定しているので、基礎工事を行う職人は責任とやりがいを強く感じられる仕事と言えるでしょう。
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