
建築関係の仕事をしている方や、建築業界を目指している方の中で、「基礎伏図」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
基礎伏図は、基礎の図面であり、建築においては非常に重要な存在といえます。ただ、一般的な建築図面とは異なる部分もあるので、いまいち読み方がわからない方もいるでしょう。
そこで、今回は、基礎伏図とはどういうものかに加え、基礎伏図を見るために必要な知識を解説します。さらに、基礎の種類なども併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
基礎伏図とは
基礎伏図は、きそふせずと読み、建築業界では度々使用される図面のひとつです。建物の基礎の配置を表した平面図であり、100分の1の縮尺で書かれることが一般的でしょう。
戸建て住宅はもちろん、マンションやアパートなど、どのような建物にも基礎は存在しており、その建物の重要箇所である基礎の配置などを細かく記しているのが基礎伏図です。
基礎の種類
ひとえに、「基礎」といっても、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。基礎の種類によって、基礎伏図の書き方も変わるので、ここでは「直接基礎」と「杭基礎」について詳しく見ていきましょう。
直接基礎
直接基礎は、フーチングというコンクリート製の土台で建物を支える方法であり、住宅の場合は、「べた基礎」と「布基礎」に区別されます。ベタ基礎は、柱の有無にかかわらず、建物の下部全体にコンクリートを流して作られた基礎のことです。
一方、布基礎は、柱の下にコンクリート製の土台を設けるのはもちろん、柱と柱の間に土台を貫通させて作る基礎です。
ベタ基礎は、柱の有無にかかわらず、全体的にコンクリートを流し込むのに対し、布基礎は柱の直下と柱と柱の間にコンクリートを流して作るとイメージすればわかりやすいでしょう。
杭基礎
直接基礎のほかに、杭基礎と呼ばれる基礎があります。杭基礎とは、杭を支持層に到達させて、建物を支える基礎の方式です。杭基礎は、円筒状の杭とフーチングから成り立っているのが一般的で、不安定な地盤や、荷重の分布が不均等な場合に用いられることが多いでしょう。
また、杭基礎は、大きな建物や、耐久性を高くする必要がある建物を建てるときにも活用されることがあり、耐震性が高いことでも幅広く知られています。
基礎伏図を見るために必要な13の知識
基礎伏図は、一般的な建築図面とは異なる部分もあります。そのため、基礎伏図を見るためには、符号や基礎に関する知識を備えておかなければなりません。
ここでは、基礎伏図を見るために必要な以下の13の知識を詳しく見ていきましょう。
- 基礎伏図の通り符号
- 基礎の寸法
- 基礎梁
- 基礎柱
- 基礎底
- アンカーボルト
- フーチング
- 杭
- 束石
- 床下換気口
- コンクリートスラブ
- 人通口
- 基礎断面図
1. 基礎伏図の通り符号
基礎伏図を見るためには、通り符号について知っておかなければなりません。基礎伏図の通り符号は、壁や柱などの中心線の位置を示しており、記号と数字で成り立っています。
通常、柱はC、壁はWで表記され、左から右に、下から上に向かって連番されていきます。たとえば、左から2番目の柱の場合は、「C2」と表記され、2階の左から3番目の壁の場合は「2W3」となるイメージです。
2. 基礎の寸法
基礎伏図では、基礎梁の構造物が基礎の寸法となることを覚えておきましょう。また、基礎の寸法は、地盤の深さなどによっても異なります。
なお、表記に仕方は以下の通りです。
直径15mmの鉄筋の構造物であれば、「D15」となります。また、基礎伏図の中に「RC」と記載があれば、鉄筋コンクリート造、「SRC」と記載があれば、鉄筋鉄骨コンクリート造を意味しています。
3. 基礎梁
基礎梁は、「地中梁」と呼ばれることがあり、通常は基礎柱と連結して使用します。基礎伏図で基礎梁を表記するときは、「FG」や「FS」を使うことが一般的です。
なお、「F」は基礎を意味しており、「G」は梁、「S」が床を表しています。
4. 基礎柱
基礎伏図における基礎柱は、基礎を表す「F」と、柱を表す「C」を組み合わせて「FC」と表記します。
基礎柱は、基礎の土台となる建物の重要箇所であり、建築においては必要不可欠な存在です。
5. 基礎底
基礎底は、基礎構造物の下端のことをいいます。基礎伏図において、基礎底は「D」で表記されることが一般的です。
なお、基礎底は、「F1」で表記されているコンクリート頂点や基礎構造体頂点、基礎底頂点のレベルから算出されます。
6. アンカーボルト
アンカーボルトとは、構造部材や設備機器を固定する際にコンクリートに埋め込むボルトのことであり、建造物において重要な役割を担っています。
鉄骨造住宅や建造物の場合、建物と基礎をつなぐベースプレートを間に挟み込み、アンカーボルトを基礎に打ち込むのが一般的です。
なお、基礎伏図では、アンカーボルトのネジのピッチを「M」、ネジの長さを「b」、軸部径を「Φds」、長さを「lt」と表記します。
7. フーチング
建築業界では、フーチングという言葉を度々耳にするでしょう。フーチングとは、土台部分のことを指しており、フーチングの幅が大きいほど建物を支える力が強くなるとされています。
一般的な住宅の場合、木造住宅の方が鉄骨造住宅よりも、フーチングが狭いのが一般的です。なお、フーチングは、基礎の一種であることから、基礎伏図では「F」と表記します。
8. 杭
基礎工事の一環として、杭という金属やプラスチックでできた筒状の棒を、地面に打ち込む作業があります。とくに地盤が緩い場所では、杭打ち作業が重要な役割をになっており、杭が入ることで、地盤を補強することができるのです。
なお、アースドリルや、鋼管回転圧入といったさまざまな杭入れ工法があるので、それぞれの違いを理解しておくといいでしょう。
9. 束石
束石は、柱の下部に設置する土台のことであり、柱が地面に直接触れないようにする役割があります。
通常、木材は水分を含む性質があることから、地面に長期間触れていると、水分を吸収してしまい、劣化が進んでしまいます。しかし、束石があることで、柱と地面が触れないことから、柱の劣化を抑えられるといったメリットがあるのです。
10. 床下換気口
床下換気口は、文字通り、床下を換気するための通気口であり、一般的な木造住宅では設置されていることが一般的です。
床下は、太陽光が当たらないことから、湿気が溜まりやすいので、カビやシロアリが発生しやすくなります。そのため、継続して強制的に換気をおこなうために、床下換気口が設けられています。
とくに、木造住宅の場合は、床下の湿気によって木材が水分を吸収してしまい、劣化の原因となってしまうことも少なくありません。
11. コンクリートスラブ
コンクリートスラブとは、鉄筋コンクリートで作った床のことであり、マンションや大型ビルなどの区切りとして活用するのが一般的です。コンクリートスラブがあるおかげで、上下階の音が伝わりにくくなるといったメリットがあります。
そのほか、コンクリートスラブによって、上段の重さに耐える目的もあります。
12. 人通口
人通口は、人が通るための空洞のことであり、メンテナンスなどで活用されます。通常、基礎内に水道やガスなどの配管を通しますが、配管には寿命があることから、定期的に交換しなければならないケースも少なくありません。
もちろん、建物を動かすといった手法は現実的ではないので、人通口といったメンテナンスのための空洞が設けられているのです。人が入れる程度の大きさで広がっており、人通口を通ることで、基礎内のメンテナンスをおこなえます。
13. 基礎断面図
基礎断面図とは、基礎や建物を縦に切断した図面であり、高さや空間などをイメージしやすくするために用いられます。基礎伏図においても、平面図と断面図で表記されることが多く、鉄筋の太さなどは断面図と平面図、両方で書き記されることが一般的です。
また、天井の高さや、スキップフロアなどの立体感のある空間も、断面図であればイメージしやすくなるでしょう。
基礎伏図を見るときに意識したい3つのポイント

基礎伏図を見るには、覚えておかなければならない記号や知識がたくさんあります。さらに、基礎伏図を見るときに意識しておきたいポイントもあるので、詳しく見ていきましょう。
【基礎伏図を見るときに意識したい3つのポイント】
- 建築基準法に準じているか
- 配筋に問題はないか
- 基礎・アンカーボルト・人通口の位置に問題はないか
建築基準法に準じているか
基礎伏図を見るときは、建築基準法に準じているかどうかを必ずチェックしましょう。とくに、柱や梁、コンクリートスラブや配筋は、耐震性に大きくかかわる箇所なので、しっかりと確認しておかなければなりません。
万一、図面を読み間違えたり、計算を間違えてたりすると、耐震性に影響するだけでなく、建築基準法に反する可能性もあります。
配筋に問題はないか
先述の通り、基礎伏図では、柱や梁などの構造躯体の重要箇所をしっかりとチェックする必要があります。その際、配筋が収まるかどうかも併せて確認しておきましょう。
通常、梁には上下主配筋、コンクリートスラブには主配筋、壁には4面に主配筋が設置されるので、確実に配置されているかどうかをチェックすることが大切です。
基礎・アンカーボルト・人通口の位置に問題はないか
建築基準法に準じているかどうか、配筋に問題がないかに加え、基礎やアンカーボルト、人通口の位置についても、併せて確認しておきましょう。
基礎の中に柱が収まっているかどうか、アンカーボルトの位置は適切かどうか、人通口の位置は設計図通りになっているかどうかをチェックすることがポイントです。
まとめ
今回は、基礎伏図の特徴や役割について解説しました。基礎伏図を見るためには、通り符号に加え、基礎の寸法やアンカーボルト、フーチングといった、さまざまな知識を身につけておかなければなりません。
さらに、建築基準法に準じているかどうかもしっかりと確認しておく必要があります。基礎伏図は、建物の中でも重要な箇所である、柱や梁、基礎などを示した図面であることから、しっかりと読み取れるようになることが大切です。