金属のヘアライン加工とは?用途からメリット・デメリットまで

金属の表面処理は金属素地を美しく見せるためには非常に重要です。

金属には素材特有の光沢があるのですが、そのままでは美しくない場合もあるからです。

特に、曲げなどの加工を行った部分は加工の跡が残っているケースもあり、見栄えが良くはありません。

さて、このことはアルミやステンレスにも当てはまります。

これらの金属は腐食しにくいため塗装をしないで屋外に使われることがありますが、実は加工したままでは見栄えが良いとは言えません。

そこで行われているのがヘアライン加工です。

ここではヘアライン加工について解説します

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ヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)とは 

ヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)は金属の表面処理の1つです。

特徴は非常に細い線が走っている模様で、研磨によって作られている処理です。

さて、ヘアライン加工は金属素地を加工したもので、メッキや塗装のように表面に被膜を作るものではありません。そのため、腐食に強い金属に施されます。建築の世界においてはアルミやステンレスがメインです。

用途としては屋外に暴露される部分で美観が必要とされる部分。代表的なのが外構部分に設置される手摺りがあります。手摺りは手で擦る性質上、腐食に強くなくてはいけません。また、塗装の場合は塗膜が剥げてしまうリスクがありますし、メッキは汚れるリスクが高いです。そのため、金属素地そのまま暴露が可能であることが要求され、ヘアラインが用いられるのです。

金属のヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)の種類

ここで代表的なヘアライン仕上げを取り上げましょう。

以下の表に種類と特徴をまとめています。

種類特徴
ヘアライン単一方向に筋が走るのが特徴です。最もよく用いられる表面処理と言えます。筋が単一方向なので加工しやすいです。
スクラッチヘアライン筋を短くしたヘアラインです。しっとりと落ち着いた雰囲気を持っています。傷が目立ちにくい点がメリットで、屋外に向きます。
ヘアラインウェーブヘアラインを波のように加えた加工です。用途はさまざまですが、大きな三次元的な加工をしている部材に向きます。
ヘアラインクロスヘアラインを縦横に走らせた表面処理です。表面が麻の布のようになり、落ち着いた雰囲気を演出します。
デザインヘアラインデザインヘアラインは表面を織物のように加工したヘアラインです。筋に強弱をつけて立体的な演出をします。

尚、ヘアラインは顧客のオーダーによって変えることもあります。

ヘアライン以外の代表的な金属の加工・仕上げ方法

ここで、ヘアライン以外の代表的な金属の加工・仕上げ方法を紹介します。

下の表を参照してください。

種類特徴
No.1(酸洗い)圧延後に酸で洗った仕上げで、光沢が少なく、白っぽいのが特徴です。最もベーシックな処理と言えるでしょう。
No.2Bポピュラーな仕上がりです。光沢が適度になるように圧延処理を施しています。建材によく用いられるのが、この処理です。
BA鏡面に近いのが特徴。光沢が非常にきれいで装飾が要求される部分に使われます。圧延後に光輝焼鈍処理を行い、更に調整圧延をしています。
#4002Bに400番バフ研磨を掛けた処理です。光沢が適度にあり、建材にもよく用いられます。
No.7(#700)#400よりも細かい研磨です。筋が少し見えるので、鏡面仕上げではありません。建材にも用いられます。

ヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)の用途

前述のようにヘアラインはアルミやステンレスに用いられます。

特に、美観が重要とされる部分が用途です。

代表的な例には以下のものがあります。

  • 建材
  • 厨房機器
  • 電化製品
  • 装飾品
  • 輸送機器
  • 精密機械

尚、これらの内でもヘアラインの種類が製品によって使い分けられます。

ヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)を採用するメリット

このようにヘアラインには塗装やメッキには見られない特徴があります。

次に、この特徴を採用するメリットにはどのようなものがあるかを挙げてみましょう。

主なものは次の通りです。

  • 傷や汚れが目立ちにくくなる
  • 高級感を演出できる
  • 滑り止めの効果が期待できる
  • さまざまなデザインで仕上げることができる

それぞれについて取り上げます。

傷や汚れが目立ちにくくなる

金属の表面は案外デリケートなものです。

確かに表面は固く、強度は高いのですが、鋭利なもので引っ掻いたなら、やはり傷が付いてしまいます。

また、勢いよく何かをぶつけたならば跡が残るかも知れません。

他にも汚れが付着する場合があります。特に、鏡面のような仕上げに泥が付着したならば、汚れは非常に目立つことでしょう。

さて、ヘアラインを施すと、これらの傷や汚れが目立ちにくくなります。

例えば、泥汚れの場合には鏡面ではないため、比較的目立ちにくいです。また、傷も同じで目立ちにくくなります。

高級感を演出できる

意外にも鏡面処理を「安っぽい」と評価する人は少なくありません。これは光沢があり過ぎることが原因です。

その点、ヘアラインは種類によっては高級感を出すことが可能です。特に、落ち着いた雰囲気を出したいときには薦められます。

例えば、腕時計の場合は、あまりに光沢が強すぎるとデザインのコンセプトさえ分からなくなってしまいます。全体が目立ち過ぎて、何がメッセージとなっているか分かりにくいのです。

しかし、ヘアラインであれば落ち着いた雰囲気を出しながら、デザイン的に主張する部分をバックアップし、高級感を演出します。

尚、腕時計以外の分野でも同じことが言えます。家電製品でステンレスが表面に出ている場合には、敢えて表面をマットな雰囲気にする例は少なくないからです。

滑り止めの効果が期待できる

金属の表面は平滑で滑りやすいのが一般的です。ステンレスやアルミなども同じことが言え、そのままでは滑ってしまいます。

さて、これは危険な性質です。というのも建材などでは滑ってはいけないものがあるからです。

例えば手摺りなどは手で掴むことから滑らなければなりませんが、あまりに滑り過ぎるならば、スリップ事故の原因にもなり得ます。

つまり、鏡面のような仕上げでは危険度が意外に高いのです。

その点、ヘアラインであれば表面の筋が滑り止め効果を持つため、より安全です。

尚、ヘアラインの安全性は将来的に更に重要視されるかも知れません。というのも、高齢化社会の進行に伴い、建材の安全性がより求められ得るからです。

手摺りの例で言えば、鏡面のものよりもヘアラインのものの方が推奨されるかも知れないのです。

さまざまなデザインで仕上げることができる

今まで述べてきた通り、ヘアラインにはいくつもの種類があります。板材に向くタイプがありますし、パイプ材に向くタイプもあるでしょう。

そのため、ヘアラインを使えばさまざまなデザインで表面を仕上げられます。

特に複数のヘアラインを組み合わせるならば、より面白い変化のあるデザインが可能です。

例えば外部に露出されるステンレス部分は特に人の目に付きます。そのため、意匠性が重要視されます。

しかし、仮に鏡面のような仕上げであれば安っぽく見えるかも知れません。

その点、ヘアラインであれば汚れなども目立ちにくく、しかもバリエーションを持たせることも可能。さまざまなデザインが可能なのです。

ヘアライン加工(ヘアライン仕上げ)を採用するデメリット

ヘアラインはメリットの多い表面処理ですが、デメリットもない訳ではありません。

例えば次の点がデメリットと言えます。

  • 製品の耐久性が増すわけではない
  • ヘアラインと異なる方向の傷は目立ちやすい
  • 手作業での加工は割高

それぞれについて解説しましょう。

製品の耐久性が増すわけではない

ヘアラインを施すと表面には傷が付きにくいです。

しかし、決して耐久性が上がるわけではありません。環境にもよりますが、予想以上に早く腐食することもあるのです。

例えばステンレスは腐食しにくい金属として知られていますが、表面は塩に弱いため、ヘアラインであったとしても、海岸部の住宅では不利なのです。

また、ヘアラインとしたからと言っても部材強度が上がるわけではありません。ヘアラインの部材であったとしても、強い力が加わると折れてしまいます。

尚、ステンレスのヘアライン加工などは粉塵などによる「もらいサビ」の被害を受けることがあります。これは表面処理をヘアラインにしたとしても、腐食に強くはならないため、対策にもなりません。

ヘアラインと異なる方向の傷は目立ちやすい

ヘアラインの特徴は「傷が目立ちにくい」点です。

しかし、どの方向の傷でも目立ちにくいわけではありません。傷の方向によっては目立ちやすい場合があるのです。

例えばヘアラインと直交する傷は目立ちやすいです。特にガリガリと引っ掻いた傷は目立ちます。

特にアルミのような比較的表面が柔らかい金属では、その傾向が強くなります。

尚、ヘアラインの傷の補修は簡単ではありません。特に形状の複雑なものや、デザインを施したヘアラインの場合は困難です。

手作業での加工は割高 

ヘアラインは機械による研磨が多いです。大量の材料を処理するため、価格が抑えられます。

しかし、部品の形状やヘアラインの仕様によっては手作業での加工となります。

この加工は機械よりも能率が落ちます。そのために費用は割高になってしまいます。

尚、金属製品の中にはヘアラインの材料に加工を加え、その後に再度ヘアラインを掛けるものもあります。

当然ながら、このような製品の価格は高めです。

現場でのヘアライン加工について

店舗などの現場ではステンレスを使う機会が多いです。多くが装飾用であり、最前面に出されます。

そのため、ヘアライン材が使われるケースが非常によく見られます。

ところで、現場での金属加工にはヘアラインが時として必要となります。

しかし、意外にいるのが「ヘアラインは研磨でできるもの」としか認識しておらず、筋の方向などをいい加減にして、工事の品質を下げてしまう人です。

例えば、ヘアラインは方向を間違うと傷のようになり、返って見栄えが悪くなります。

ヘアラインは確かに研磨であり、現場でも可能です。ただし細心の注意が必要であることを覚えましょう。

まとめ

金属表面処理のヘアラインについて取り上げました。ヘアラインの特性について理解が深まったことでしょう。

また、使用の方法などについても検討できるようになった人もいることと思われます。

その他にも、現場での金属加工のあり方について問題意識を持った人もいるのではないでしょうか。

いずれにせよ、ヘアラインは建築部材のさまざまな部分に使えます。積極的に用いましょう。

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