下水道工事とは?施工方法・工事の手順を解説します

建物の建設時や増改築時を行う際に必要な下水道工事。

聞き馴染みのある工事ではありますが、具体的な工事の内容や施工方法まで知っているという方はそう多くないかと思います。

この記事では、下水道工事の概要に触れながら、下水道工事が必要になるケースや施工する際にかかる費用の目安、具体的な施工の手順などについてわかりやすく解説していきます。

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下水道工事とは

下水道工事は、建物から排出される排水を下水道管につなげる目的で行われる工事です。

この下水道工事によって設置された下水道管を、工場などから排出される産業排水や一般家庭から出る生活排水などのさまざまな排水がとおって地域の排水処理場へと運ばれ、適切に処理された上で海や川に排出されるような仕組みになっています。

下水道のシステム

下水道は、大きく分けて以下の3つの施設で成り立っています。

  • 排水設備
  • 下水道管
  • 処理施設

それぞれの施設の概要については以下のとおりです。

施設概要
排水設備建物から排出される排水や雨水を下水道管へと流す設備(汚水管、雨水管)
下水道管汚水や雨水を一定量集め、処理施設や海、川へと排出する管
処理施設汚水を環境に影響が出ないレベルにまで綺麗に浄化する施設
汚水は、下水道管を通って処理施設に運ばれた後、綺麗に浄化された上で海や川に排出される

下水道工事が必要なケース

下水道工事が必要になる代表的なケースとしては、以下の4つがあげられます。

  • 汲取式のトイレの水洗トイレへの切り替え
  • 浄化槽から公共の下水道へ切り替える場合
  • 建物の建設時
  • リフォームやリノベーションなど建物の増改築時

「ぽっとん便所」とも呼ばれる汲取式のトイレは下水道につながっていません。

そのため、汲取式のトイレから一般的な水洗トイレに切り替える際は下水道の工事が必要になります。

浄化槽は、建物から排出される排水を綺麗にする設備ですが、浄化槽から下水道に切り替える際も下水道工事が必要になります。

また、新しく建物を建設する際も下水道工事が必要になりますし、建物のリフォームやリノベーションによって水まわり設備が増える場合も下水道工事を行わなくてはいけません。

下水道工事の費用相場

下水道を建物に引き込む際にかかる費用の相場は、30〜50万円ほどとなっています。

下水道工事の費用は下水道の本管から建物までの距離によって異なる仕組みになっていて、下水道本管から建物が離れていればいるほど費用も高額になります。

また、工事の種類ごとの費用相場は以下のとおりです。

工事の種類費用相場
汲取式のトイレから水洗トイレへの切り替え60〜100万円
浄化槽式から下水道への切替10〜20万円
新築した住宅への下水道管の引き込み30〜50万円

下水道を建物に新しく引き込む際の相場は先ほど紹介したとおりで、30〜50万円ほどです。

浄化槽式から下水道へと切り替える際の費用は、簡単なものであれば10〜20万円ほどで行えるようになっています。

一方、費用が高額になりがちなのが汲取式のトイレから水洗トイレへの切り替えです。

汲取式トイレから水洗トイレへの変更はトイレ本体の交換なども必要になるため、その他の下水道工事に比べて費用が高額になる傾向があります。

下水道工事の施工方法

「下水道工事」とひとくちに言っても、その施工方法はさまざまです。

下水道工事を施工する際の施工方法は、以下の3つに分けられます。

  • 開削工法
  • 推進工法
  • シールド工法

それぞれの施工方法について詳しく解説していきます。

開削工法

開削工法は、ショベルカーなどの重機を用いて地面を掘削し、マンホールや下水道管を配置していくタイプの施工方法です。

家庭や施設から排出された排水が下水道管の中を流れていくよう、勾配をつけながら配管を配置していきます。

掘削してマンホールや下水道管を設置した後は、砂利や土砂で掘削した箇所を埋め直し、元通りに整形します。

比較的浅いところに下水道管を設置する場合や地下に下水道管を埋没しても問題とならない場合は、この開削工法が用いられることがほとんどです。

推進工法

推進工法は、鉄筋コンクリート管や銅管、塩化ビニール管などの下水土管の先端に「先導帯」と呼ばれる掘進機を取り付けて配管を設置するタイプの施工方法です。

後方に設置されたジャッキの推進力によって下水道管を地中に圧入し、設置していきます。

以下のようなケースの場合、開削工法やシールド工法ではなく、推進工法が用いられます。

  • 交通量が多く掘削するのが難しい道路
  • 水道管やガス管が埋まっており、掘削するのが難しい道路
  • 鉄道や河川を横断する形で配管の設置が必要になるケース
  • 下水道管の設置位置が深く、掘削での配置にコストがかかるケース

シールド工法

シールド工法は、「シールドマシン」と呼ばれる機械を用いてトンネルを掘削し、そのトンネルに下水道管を設置していくタイプの施工方法です。

シールドマシンの先端部分にはカッタービットと呼ばれる高硬度の金属の刃が300枚近く設置されており、この刃を回転させながら地中を掘削していきます。

シールド工法は開削工法や推進工法のように頻繁に用いられるような工法ではなく、幹線下水道など、設置する下水道管が大口径になるような大掛かりな工事に対して用いられるケースが多くなっています。

下水道工事の流れ

下水道工事の流れ

下水道工事は以下のステップで進められていきます。

  • 現地調査・設計
  • 住民説明会
  • 着工
  • 完了検査
  • 供用開始
  • 排水設備接続工事

それぞれの工程について詳しく解説していきます。

現地調査・設計

下水道工事を進めていく上でまず初めに行うのが、現地調査と設計です。

紹介してきたとおり下水道管は地中に設置するものですが、地中には水道管やガス管が通っていますし、場所によって地質が異なるため、いきなり工事を行うことはできません。

まずは対象となる場所の調査を行い、問題なく設置できるかどうかを調べる必要があります。

調査にはレーダー探査機が用いられ、掘削することなく地下の埋没物を調査することが可能です。

調査完了後は、調査した結果を元に工事における経済性や施工性、安全性を確認・検討しながら工事の方法を決定し、施工図面を作成していきます。

地中を掘り進めていく下水道工事では、工事が完了した後になってから近隣の住宅や建物に影響が出ることがあるため、工事が完了した後に影響の有無を確認できるよう、対象エリアの建物の事前調査なども行います。

住民説明会

下水道工事は対象となるエリアの地中に対して行う工事です。

特定の箇所の下水道管の交換程度であれば道路の一部を掘削するだけですが、大掛かりな工事になるとそのエリアの住宅や施設の下を掘り進めなければなりません。

また、地面を掘削して行う開削工法の場合、道路を掘削するため、工事期間中はその道路を利用できないなど、道路を利用する住民に不便を強いることになります。

そこで必要になるのが、その地域の住民に対して行う説明会です。

工事の内容や日程が決まったら、対象となるエリアに住んでいる住民に対して説明会を開催したりパンフレットを配るなどして、下水道工事が行われることをしっかりとお知らせしていきます。

着工

対象エリアの住民に対する周知が完了したら、いよいよ着工です。

現地調査の段階で水道管やガス管の埋設が判明した場合は、それらの移設や防護を行なってから作業を進めていきます。

公共の汚水桝を設置する場合は事前の申請が必要になるので注意してください。

具体的な作業内容は工事の内容によってことなります。

完了検査

着工前に移設したり防護した埋没物を元の状態に戻し、道路を舗装したら工事は完了となります。

工事が完了した後は、工事の内容が技術基準や法令などに適合しているかどうかを調査し、チェックしていきます。

完了検査は、発注者と検査員、工事業者の代表者が立会いのもとおこなわれます。

供用開始

完了検査の結果「問題ない」と判断されたら、下水道法第9条に規定されている「供用開始の告示」を行い、供用を開始します。

排水設備接続工事

供用開始の告示が完了した後は、各家庭や施設から下水道管に対してしっかりと排水されるよう、敷地内に排水管や桝を設置し、下水道管に接続していきます。

排水設備は、下水道の利用者が責任をもって設置し、適切に管理しなくてはいけません。

以上が、下水道工事の大まかな流れになります。

下水道管の種類

下水道管として用いられる主な管の種類は、「ヒューム管」と「硬質塩化ビニル管」の2つです。

これらは、それぞれ用いられている素材や特徴が異なり、用いられるシーンも異なります。

それぞれの下水道管の概要や特徴について詳しく解説していきます。

ヒューム管

下水道工事に用いられる代表的な下水道管の一つであるヒューム管は、鉄筋コンクリート製の配管です。

遠心力の作用で作られた配管で、非常に強度の強い配管でもあります。

最近はもう一つの主要な下水道管である硬質塩化ビニル管の方が用いられることが多くなっていきていますが、ヒューム管は強度が強く、耐久性も高いため、大径幹線水路などにはヒューム管が用いられる傾向があります。

硬質塩化ビニル管

下水道工事に用いられるもう一つの代表的な下水道管が、硬質塩化ビニル管です。

先ほど紹介したヒューム管は鉄筋コンクリート製の下水道管でしたが、硬質塩化ビニル管はプラスチック製の配管となっています。

ヒューム管ほど強度や耐久性に優れているわけではありませんが、それでも水道管として十分すぎるほどの強度と耐久性を持ち合わせていますし、何より「軽くて加工・施工しやすい」という大きな強みがあります。

大径幹線水路など特殊な環境ではヒューム管が用いられますが、そういった特殊なケース以外では硬質塩化ビニル管を用いることがほとんどです。

まとめ

下水道工事は、家庭や施設から排出される排水が下水道管へと排出されるために欠かせない工事です。

  • 汲取式のトイレの水洗トイレへの切り替え
  • 浄化槽から公共の下水道へ切り替える場合
  • 建物の建設時
  • リフォームやリノベーションなど建物の増改築時

など、さまざまな場面で必要になる工事ですので、これらの工事を行う際はあわせて下水道工事の実施が必要になるということを覚えておくようにしましょう。

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