
「建設業のJVってなんのこと?どんな意味があるの?」
「JVはどんなときに活用されるのか知りたい」
「JVが活用された事例を教えてほしい」
JVとはジョイントベンチャー(JointVenture)の頭文字からとられた言葉で、特定の工事を数社の企業が共同して行うことを言います。
JVにはその目的に応じてさまざまな種類があり、1社単独で工事を受注する時に比べて多くのメリットがあります。
本記事では、JVの種類や建設企業がJVを組む理由を詳しく解説しています。
「JVってなんだろう?」と疑問を持っている人は、ぜひ最後までお読みください。
・公開 / 非公開求人多数掲載!
・転職後に収入380%の実績アリ!
・アドバイザーによるサポートも充実!
トントンでは様々な方に向けた求人を多数掲載!
初めての就職やキャリアアップのために適した企業に、
全て無料で応募可能です!
サイト掲載不可の
限定求人をご紹介!
転職サポートに30秒で無料登録!
お持ちのアカウントで登録
※個人情報保護方針をご確認の上、お進みください。
目次
JV(ジョイントベンチャー)とは?
JVとは、複数の企業が共同企業体を組織し建設工事を行うことを言います。
日本語では「共同企業体」を呼び、ジョイントベンチャー(Joint Venture)の頭文字をとって「JV」と表現されます。
複数の企業が合併してひとつの企業(法人)が誕生するわけではなく、工事を請け負うひとつの組織が作られることを意味します。
建設業では規模の大きな案件や、高いスキルが必要な工事を行う際に、複数の企業の資金力や技術力を集約して工事にあたる際に活用されます。
JVの種類
JVは、大きく4つに分類することができます。
- 特定JV
- 経常JV
- 地域維持型JV
- 復旧・復興JV
それぞれの特徴について紹介していきます。
特定JV(特定建設工事共同企業体)
特定の建設工事を行うために組織されたJVを、特定JVと呼びます。
特定の工事ごとにJVが組織され、工事の完了とともに組織は解体されます。
規模の大きな工事や高い技術力を要する工事など、1社では施工が困難な工事で活用されます。
また、地方の公共工事では地元企業の活性化と技術力向上のために、地元の中小建設会社と大手ゼネコンがJVを組む例もあります。
大手企業のノウハウを直に体験することで、地元の中小企業の技術力向上が期待できます。
経常JV(経常建設共同企業体)
中小規模の建設業者が自社の経営資源や技術力を増強することを目的に組織されたJVを、経営JVと呼びます。
規模の小さな建設業者の中には、自社の経営力や施工力に不安を抱えている企業もあります。
これらの企業がお互いの経営資源をもちより、持続的に協力関係を維持するのが経営JVです。
経営JVを組織することで、単独の企業が行うような競争入札の参加資格を得ることが可能です。
ただし、経営JVに参加する企業は入札要件にあった監理技術者や主任技術者などの有資格者を配置するなど、一定の条件をクリアしなければなりません。
地域維持型JV(地域維持型建設共同企業体)
地域インフラの維持管理に必要不可欠な工事のために、各社が継続して協力体制を敷くことを目的としたJVを、地域維持型JVと呼びます。
地域インフラの維持管理とは、道路や河川の維持管理や除雪・除草作業、災害時の応急対応などがあげられます。
地域維持型JVを形成すると、国や自治体が行う競争入札の参加資格を得ることができます。
地域によっては建設事業の縮小により、地域の維持管理を行う企業が減少しているところもあります。
インフラ整備や災害時の対応を円滑に行えるよう、地域維持型JVが組織されます。
復旧・復興JV(復旧・復興建設工事共同企業体)
大規模災害が発生した場合に、被災者の生活を再建し、地域の復旧・復興を進めるために組織されたJVを、復旧・復興JVと呼びます。
災害時には復旧を担う技術者が不足したり、建設資材の需要が急増するなど、円滑に復旧が行えない場合があります。
復旧・復興JVはこのような事態に陥らないために、地域に精通した地元企業の施工力を集約し、強化することを目的に組織されます。
復旧・復興JVとして認定されると、発注機関の入札参加資格を一定期間有することができます。
JVの施工方式

JVは施工方式によって、甲型と乙型の二つに分けられます。
甲・乙という名称は、使用する標準的な共同企業体協定書の区別に従ったものです。
二つの施工方式の違いを紹介していきます。
甲型JV(共同施工方式)
甲型JVとは、JVの構成員が事前に定められた出資の比率に対して、資金や人材などを用意する施工方式のことです。
出資比率がA社60%:B社40%の工事の場合、A社からは技術員を6名派遣し、B社からは4名派遣するといった具合です。
用意しなければならないものは人員や資金だけでなく、工事用機械や現場運営に必要な備品など財産的価値のあるものはすべて対象となります。
また、甲型JVでは工事で発生する利益も決められた出資比率に基づいて公平に配分されます。
JV全体の損益計算を行い、構成員の比率にあわせて各社へ分配が行われます。
甲型JVでは、自社以外の構成会社の成果が、直接自社の利益に影響を及ぼします。
乙型JV(分担施工方式)
乙型JVとは、請け負った工事を特定の分野ごとに分割して、分割された工事を構成員で分担して工事を進めていく施工方式です。
ゴミ焼却工場を例にすると、焼却装置を手がけるプラント工事をA社、工場の建屋を手がける建築工事をB社、工場の周囲の舗装工事をC社が分担するといった具合です。
公共工事の発注形態には、建築・設備を別々の企業に発注する分離発注方式があります。
一見すると、乙型JVと分離発注方式は同じ形態に見えます。
乙型JVは分離発注方式と異なり、ほかの構成員が行った工事に対しお互いに連帯責任を負うという違いがあります。
また、乙型JVは甲型JVと違い、構成員の利益はそれぞれの企業の範囲に限定され、ほかの構成員の成果の影響を受けません。
建設企業がJVを組む5つの理由
建設企業がJVを組むのには理由があります。
- 資金力を拡大することができる
- 大きな工事を受注できるようになる
- スキルの向上につながる
- 工事全体がスムーズになる
- 経営不振などのリスクを低減させることができる
JVを組む5つの理由を紹介します。
資金力を拡大することができる
JVを構成することで資金力を拡大することができます。
規模の小さな建設企業は、資金力の観点から参加できる入札案件が限定されてしまいます。
工事にあたって金融機関から融資を受ける際も、1社単独では多額の資金を借入することは困難です。
特定JVや経営JVを組織することで、資金力を拡大し単独では受注することが不可能な案件に参加することができます。
金融機関の信用力も上がり、借入金額を増強することも可能です。
大きな工事を受注できるようになる
JVを構成することで大きな工事を受注できるようになります。
都市部では再開発が進み、工事の大型化が顕著になっています。
大手ゼネコンとはいえ、単独で工事を受注するには規模が大きすぎる案件がいくつも存在します。
このような時に特定JVを組織すれば、各社の資金力や施工力をもちより大型物件に参加することが可能です。
また、中小企業同士がJVを組織することで、自社単独では施工できない規模の工事に参加することもできます。
JVを構成することで、これまでは経験してこなかったより大きな工事を受注することが可能です。
スキルの向上につながる
JVを構成すると、スキルの向上につながります。
建設企業には各社が得意とする専門分野があり、それぞれ高い技術力を要しています。
JVを組織して工事を進めることで、他社の技術を学ぶことができます。
工事に携わる技術者の専門性が高まり、スキルが向上します。
中小企業が大手ゼネコンとJVを組織することで、自社では経験できない大型案件の進め方や施工方法を学ぶこともできます。
また、大型案件の中には高い技術力を必要とする難易度の高いものもあります。
大手ゼネコン同士が技術力を集約して工事に臨むことで、難易度の高い工事も遂行でき、さらなるスキルの向上が図れます。
工事全体がスムーズになる
JVを構成することで、工事全体がスムーズに行えるようになります。
大型案件となると、全体工程の作成や複数業者の調整、近隣対応など、行わなければならない業務が多岐にわたります。
JVを構成することで、自社に割り当てられた工事に集中して工事を進めることができます。
それぞれの企業が専門性の高い工事を集中して行うことで、工事全体がスムーズに運びます。
中小規模の企業では煩雑な業務に忙殺されてしまいますが、JVを構成し、統括部門が全体を管理することで、個々の企業がスムーズに工事を進められます。
経営不振などのリスクを低減させることができる
JVを構成することで経営不振などのリスクを低減させることができます。
企業は工事を通して、さまざまなリスクと対峙しています。
施工不良や近隣トラブル、天候や災害などのリスクも考えられます。
工事の規模が大きくなればなるほど利益の額も多いですが、半面、損失が出た時の額も大きくなります。
大規模工事で赤字を出してしまうと、それだけで企業の経営が傾いてしまう恐れもあります。
大手ゼネコンとは言え、大きすぎる規模の案件ではリスクに対して慎重にならざるを得ません。
JVを構成し、各社で経営資本を分散することで、万が一のリスクへを低減させることができます。
まとめ
JVについて紹介してきました。
JVは複数の企業が共同体を組織して工事を進めていく形態のことを言います。
各社が持っている資金力や技術力を集約することで、1社では対応が難しかった大型案件に積極的に参加することができます。
大型案件を経験することで技術力は向上し、施工実績にもつながります。
技術力の向上は中小企業だけでなく、大手ゼネコンもJVを活用することで、さらなる技術力やスキルの向上が図れます。
また、地域のインフラ整備や災害時の緊急対応など、JVに求められる業務は多岐にわたります。
さまざまなメリットがあるJVの仕組みを理解してみましょう。