枠組足場は、建設現場において最もよく使用されるタイプの足場です。
部材が豊富なため、さまざまな現場に対応することが可能で、軽量なのに強度が高く安全性に優れています。また組立や解体が簡単で、ハンマーを使わないため騒音が少ないこともメリットとされています。
この記事では、枠組足場について詳しく解説するとともに、主な足場の種類と特徴についても説明します。また業務に関連する資格などについても紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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目次
枠組足場とは
枠組足場とは、門型に溶接された鋼管建枠に、ジャッキベース・筋交・鋼製布板などの基本部材を組んで積み上げる足場です。
基本となる構成部材は、建枠、ジャッキ、筋交、脚注ジョイント、アームロック、鋼製布板、階段枠、梁枠、壁つなぎ、手すり部材などが挙げられます。組立てには、ハンマーを使わず、ボルトや釘、番線を使います。 枠組足場の組み立てでは、作業員や資材の落下防止のために、先行手すりや幅木、メッシュシートの設置が義務付けられているので注意が必要です。
【参考】ほかの足場の種類
足場の種類は大きく2つに分けることができます。パイプなどを組み立てる「組立足場」と、屋上や梁などから吊る「吊足場」の2つです。
それぞれいくつかに細分化されますが、現在、主流となっているのは以下の3つです。
・くさび緊結式足場
・単管足場
・吊り足場
この3つの足場の特徴やどのような現場で使われているかについて解説します。
くさび緊結式足場
くさび緊結式足場は、緊結部を一定の間隔で備えた鋼管を支柱とし、この緊結部に手すりや筋交などをくさびで緊結する足場です。
国内初のくさび緊結式足場の商品名である「ビケ足場」という通称で呼ばれることが多いです。
以前は木造家屋や低層住宅での使用が多かったのですが、最近では中層建築や高層建築物の外壁塗替えなど、短期間の補修工事でも使用されることが増えています。
以下に、くさび緊結式足場の特徴をまとめました。
・部材表面が亜鉛メッキ処理してあるので錆に強い
・ハンマー1本で組み立て・解体が可能となっている
・資材がコンパクトにまとまるため輸送コストを抑えられる
・組立が簡単なので他の足場より約2割作業時間を短縮できる
・規格や形状によってさらに4つのタイプに分けることができる
単管足場
単管足場は、鋼管でつくられた単管パイプに、クランプを使って部材を組み立てる足場です。単管パイプとクランプを軸に、足場の形状を柔軟に変化させることができるため、狭い場所でも足場を組むことができます。
基本となる構造部材は、単管パイプ、固定ベース、クランプ、足場板、ジョイントなどです。
単管足場には以下のような特徴があります。
・単管パイプとクランプだけが主要資材なので組み立てが簡単
・主要資材はホームセンターなどで簡単に調達することができる
吊り足場
吊り足場は、文字通り、上から吊り下げるタイプの足場です。橋梁など、足場を下から組み上げるのが難しい場所でも設置できるのが大きなメリットとなっています。
他の足場に比較して困難な設置となる吊り足場は、高さに関わらず「足場の組立て等作業者」を選任しなければなりません。また「吊り枠足場」と「吊り棚足場」の2種類があるので、状況によって使い分けることが必要です。
以下は、吊り足場の特徴です。
・地上からの組み立てが困難な場所でも設置できる
・設置後は手すりの内側での作業になるので安全性が高い
・高所で横方向への広範囲な作業が中心の現場に適している
・移動床を設置して延長しながらつくるので工期の短縮が可能
枠組足場の組み方
枠組足場では、組み方がポイントになりますが、特に最初のベースの組み方は重要です。最初にズレてしまうと上層にいくほど影響がでてくるので注意が必要になります。
ベース部分の組立てのコツは、地盤に不等沈下が起きないように、平坦に整地してから敷板を並べることです。それからジャッキベースを敷板の上に設置して、調節ナットを高さに合わせます。
1層目以降の組立て方法をまとめました。
- 1層目
建枠の脚注をジャッキベースに差し込み、隣接する建枠の間に交差筋交いを設置し、2層目の手すりを取り付ける
- 2層目
建枠を脚注ジョイントでつぎ足し、交差筋交いを構造物側に取り付け、手すり枠を取り付けた建枠に固定する
- 3層目以降
1~2層目の作業の繰り返しで、最上階まで組み立てれば枠組足場の完成となる
枠組足場の寸法
枠組足場には、寸法の違う、インチ規格とメーター規格があります。インチ規格は長さが1829ミリ、メーター規格は1800ミリです。
寸法が違うと併用はできないので、混在していないか見極める必要があります。
規格が2種類あるのは、最初にアメリカから輸入されたものがインチ規格で、その後にメーター規格が普及したためです。現在使用されているものの多くはインチ規格ですが、数字のキリがいいということでメーター規格も使用されます。
枠組足場の高さ制限
枠組足場は、高層建築にも使われることがありますが、高さ制限が設けられています。
制限の内容をまとめました。
・標準枠組足場と簡易枠組足場の高さは45m以下
・低層工事用の簡易枠組足場は5.7m以下
(壁つなぎを垂直間隔3層ごと且つ水平間隔5.4mごとに設けた場合は9.4m以下)
上記制限を超える高さの足場が必要な場合は、枠組足場以外のものを使用しなければなりません。
枠組足場を採用する3つのメリット
枠組足場は、さまざまな現場で使用されるスタンダードな足場です。特に高層建築では信頼性が高く、最も使用されている足場となっています。
このような枠組足場を採用することで得られるメリットは以下の3つです。
・資材の強度が高い
・部材の種類が豊富
・組立や解体が簡単
それぞれについて解説します。
資材の強度が高い
枠組足場の使用資材は強度が高く、耐久性に優れているため、地上高45メートルの高層建築にも対応できます。地上高45メートルは14階建てか15階建てに相当します。
参考に、足場の種類ごとの最大積載荷重(1スパン当り)を紹介します。
・標準枠組足場 建枠幅1200ミリ 500kg以下
・くさび緊結式足場 前後踏みの間隔900ミリ以上 400㎏以下
・単管足場 400kg以下
・吊枠足場 片側200kg以下
以上はあくまで目安の数値であり、現場条件によって変更されるものです。
部材の種類が豊富
枠組足場は、部材が豊富にあるため、現場状況に最適な部材で足場を構成することができます。
くさび緊結式足場や単管足場に比べて、より安全性の高い構造にすることが可能です。
たとえば建枠の幅一つとっても、同一メーカーで400、600、900、1200、拡幅枠の5種類あり、それぞれに高さが1~4種類あります。
このようなきめ細かさで、建枠のほか、布板、筋違、手すり、下さん、幅木など15種類以上の部材があります。さらにそれぞれに規格がそろっているので、安全性を確保するための部材の選択肢は広いです。
組立や解体がかんたん
枠組足場は、経験がある場合は実際の組立・解体は簡単だとされ作業性は高いです。同様の作業の繰り返しが多いからです。
ただベース部分の組み立ては、一番神経を使うところで重要です。枠組足場は高さが30m以上になる場合、足場最下部の脚注には約1.5トン~2.0トンの荷重がかかるためです。
また作業員や資材の落下防止のため、先行手すりや幅木、メッシュシートの設置が義務付けられていますから、足場作業中の安全性も高いといえます。
枠組足場の注意点
枠組足場を設置するときの注意点を、くさび緊結式足場や単管足場と比較しながら紹介します。
複雑な形状の建築物や狭小地には向いていない
枠組足場は、標準的な形状の建物の足場には適していますが、複雑な形状や狭小地の建物には適していません。
時間に余裕がある現場でしたら、特別な部材を採用することで対応できますが、組立・解体が簡単だというメリットは失われてしまいます。また特別な部材を発注することでコスト高になる可能性もあります。
省スペースを第一に考えるのであれば、くさび緊結式足場や単管足場が適しているということです。
豊富な知識が必要
枠組足場を効果的に設置するためには、豊富な知識が必要です。それは部材の種類が非常に多いからです。
各メーカーはこぞって枠組足場の部材提供に参入しており、メーカーが違うと取付部材のサイズが合わないことも多いです。またサイズ表記自体、インチとメーターがあるので注意しなければなりません。
部材が単純で自由度の高い単管足場などに比べると、枠組足場を設置するときは豊富な商品知識を持ち、部材選びをしっかり行うことが必要となってきます。
枠組足場の業務に関連する資格・特別教育・技能講習
枠組足場を含む足場の設置業務は、高所作業という危険作業を安全に行うために欠かせないものです。しかし、作業中の足場からの転落や墜落、組み立て不良による足場そのものの倒壊などの労働災害が多く発生しているのが現状です。
そのため足場の組み立てに従事する作業者には「足場特別教育」、足場の組み立て作業の指揮監督者には「足場の組立等作業主任者技能講習」などを修了することが義務づけられています。
ここでは足場作業にかかわる資格について詳しく解説します。
作業者が受講する「足場特別教育」
足場特別教育の該当者は、作業主任者の指示で足場の組み立て、解体または変更の作業にかかわる業務を作業する方です。
足場特別教育は、現在作業に従事している方は3時間、未経験者は6時間の受講が必要となっています。受講内容は共通していますが、受講時間が違います。
「足場の組立て特別教育」について概要を表にまとめました。
受講料金(登録教習機関の場合) | 10,000円~15,000円(税込・教材費込み) |
受講資格 | 受講資格は特になく未経験でも受講できます |
受講方法 | ・建設業労働災害防止協会の各都道府県支部 ・一般社団法人労働技能講習会 (上記2法人は登録教習機関) ・Web講座 |
特別教育は、所属する事業所が主体となって実施するべきもので、労働局の認可を受けた登録教習機関で受講する義務はありません。ただ、実際はほとんどの場合、登録教習機関で行われているのが現状です。
登録教習機関は、以下のサイトから簡単に、お近くの機関を検索することができます。費用や講習日程などは必ず事前に確認してください。
Web講座は、いつでもどこでもオンラインで受講可能のため便利です。Web講座は複数の機関で実施しています。
受講料は、7,700円~8,800円(税込)が目安となっています。
主任者に必要な2つの資格
足場の組み立てで、主任者(指揮監督をする立場)となるために必要な資格は2つあります。足場の組立て等作業主任者と建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者で、両方とも国家資格です。
上記2つの資格を取得するには、各都道府県労働局の認可を受けた登録教習機関で「技能講習」を修了する必要があります。
この2つの資格について概要を表にまとめました。
足場の組立て等作業主任者 | 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者 | |
資格の定義 | つり足場や高さが5m以上の構造の足場の組立・解体作業などを行う際に事業所から選任しなければならない主任者 | 建築物の骨組みや、高さが5m以上である金属製の部材により構成されるものの組立て、解体または変更の作業を行う場合の監督・指導にあたる主任者 |
受講資格 | ・満21歳以上で、足場作業で3年以上の実務経験がある者 ・満20歳以上で、大学・高専・高校において指定学科を卒業し2年以上の実務経験がある者 ・職業能力開発促進法による訓練を受けた者 | ・関連する作業の実務経験が3年以上ある者 ・大学・高専・高校において指定学科を卒業し2年以上の実務経験がある者 ・その他厚生労働大臣が定める者 |
受講時間 | 13時間(2日間) | 12時間(2日間) |
受講料(目安) | 15,000~16,000円程度(税込・教材費含む) | 10,000~15,000円(税込・教材費含む) |
足場作業主任者が受講する「技能講習」
足場の組立て等作業主任者が修了しなければならないのは、「特別教育」ではなく「技能講習」です。逆に、作業主任者の技能講習を修了していると、特別教育で受講する科目はすべて免除されます。
足場の組立て等作業主任者は、作業の直接指導を行う者であり、高さ5メートル以上の足場の組立作業ごとに1名選任する必要があります。
作業主任者の資格を有する者がいないと、作業自体が行えなくなります。作業主任者の体調不良などを考えると複数の資格保有者を配置したいところです。
まとめ
ここまで枠組足場の概要とメリットや注意点、他の代表的な足場の種類と特徴、足場にかかわる資格について解説してきました。
高所作業中の墜落や転落の事故は、建設業の労働災害でいつも上位にあります。足場は、この高所作業という危険作業から作業者を守る重要な仮設設備です。
すべての作業者が足場の組立等特別教育を受講し、作業の指揮監督を行う者は定められた技能講習を修了することは、悲惨な労働災害を起こさないための第一歩です。