建設・建築業界で働いている方の中で、「TBM(ツールボックスミーティング)」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ただ、具体的にどういった意味なのか、そしてどのような場面で使用されるのか、いまいちわからない方もいるでしょう。
そこで、今回は、TBMとはどういうものかに加え、目的や必要な理由について解説します。さらに、TBMの具体的な進め方、効果的に進める3つの理由についても併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
TBM(ツールボックスミーティング)とは
TBMとは、Toolbox Meetingの略称であり、日本語では、「危険予知訓練」と呼ばれています。TBMは、建設・建築現場におけるさまざまなリスクを排除し、危険を未然に防ぐためにおこなわれるミーティングです。
建設・建設現場において普及しているとはいえ、実際に現場で作業するスタッフだけでなく、プロジェクトに参加しているすべてのスタッフ間で情報が共有されていることから、プロジェクトに携わるすべての人が参加するミーティングなのです。
なお、TBMのTBは「道具箱」という意味であり、建設現場などで作業する前に、道具箱に座ってミーティングしていたことが由来といわれています。
TBM(ツールボックスミーティング)の目的と重要性
ここでは、TBMの目的や重要性について詳しく見ていきましょう。
TBMは主に以下の目的でおこなわれます。
- 作業員の安全を守るため
- 大事な情報をすべてのメンバーで共有するため
- 危険なことやリスクを事前に周知するため
TBMは、「危険予知訓練」であり、現場作業において事故などのトラブルを未然に防ぐためにおこなうミーティングです。その第一の目的は、実際に作業するスタッフの安全確保です。
リスクがともなう作業や、事故が発生しやすいポイントなどを、事前に周知することで、作業者が危険性を意識しながら作業に取り掛かれるといった効果があります。
建設・建築現場では、重機や機械を使用することから、危険性が高い作業が発生するケースもあります。したがって、事故を未然に防ぐためにも、すべての作業者にリスクを周知し、作業員の安全を守るためにも、TBMを徹底しておこなう必要があるのです。
危険予知活動(KYK)との違い
TBMと似たような取組みとして、KYKがあります。KYKは、「危険予知活動」といいます。
TBMが、工事における作業工程などの再確認をおこなう取組みであるのに対し、KYKは、実際に想定される危険事項を洗い出し、再確認する取組みです。一見似ているようですが、TBMではリスクや危険性にかかわらず、すべての作業について網羅的に再確認していきます。
一方、KYKは、危険予知を前提として、どのような危険が隠れているのか、リスクに対してどのような対策ができるのか、などを軸にミーティングをおこないます。
なお、基本的には、TBMとKYKはセットでおこなわれることが多いでしょう。
TBM(ツールボックスミーティング)の進め方
これまで、TBMの内容や目的、重要性について解説しました。ただ、具体的にどのようにTBMを進めればいいのかわからない方もいるでしょう。
TBMは、主に以下のステップで進めていきます。
- 導入する
- 意見を引き出す
- まとめる
- 最終確認する
ここでは、厚生労働省が発表している「危険予知活動(KYK)について」をもとに、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
参考:https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/var/rev0/0119/7981/201763011202.pdf
1. 導入する
TBMでは、最初のステップとして、「導入」からはじめます。このステップでは、すべてのスタッフにテーマを提供し、関心をもってもらうことが目的です。
第1ステップを通して、問題点に注意を向けさせ、TBMの意義などを理解してもらうことが大切です。
2. 意見を引き出す
次のステップでは、TBMに参加しているスタッフから意見を引き出す流れとなります。導入したテーマについて、参加者が持っている意見や考えを共有してもらうことが大切です。
また、参加者が受け身にならないように、実際に質問してもらうように促し、できるだけ全員が発言できるような雰囲気を作ることがポイントとなります。
3. まとめる
3番目のステップでは、TBM全体を振り返り、具体的な対策などを検討していきます。全スタッフの意見をまとめたあと、しっかりと着地点を見つけることがポイントとなるでしょう。
ただ、仮に結論に至らなかったとしても、ミーティング内で出た意見や考えについて、今後どのように取り扱うかを決めることが大切です。
4. 最終確認する
最後のステップでは、TBMで共有した内容をもとに、ワンポイントKYによって全員で差確認していきます。また、とくに重要な課題や内容については、リスクアセスメントをおこない、理解を深めることも大切です。
なお、TBMを実施するときは、すべての作業者が理解しやすいように、具体例を引き合いに出しながら進めることがポイントになります。TBMは作業者の安全を守ることを目的としていることから、実際の作業者が内容を理解しておかなければ意味がありません。
そのため、わかりやすくミーティングを進めることが大切です。
TBM(ツールボックスミーティング)を効果的に進める3つのポイント
TBMをおこなうことで、全スタッフに作業にともなう危険性やリスクを共有でき、安全確保の意識を持ってもらいやすくなります。
ただ、単にTBMをおこなえばいいというわけではなく、適切な方法や手順でおこなう必要があります。ここでは、TBMを効果的に進める以下の3つのポイントを詳しく見ていきましょう。
- 作業開始前に実施する
- 要点を絞り短時間で話す
- 全員が発言できるように配慮する
作業開始前に実施する
TBMは、事故を未然に防ぐためという役割もあることから、基本的には作業開始前に実施することが一般的です。
実際に作業をはじめる前に、TBMをおこなうことで、作業内容や注意点を念頭におき、安全に注意しながら作業を進められます。稀に、作業終了後におこなうケースもありますが、作業後の場合は、疲労などが原因でTBMの内容が頭に入ってこない可能性も考えられるでしょう。
そのため、可能な限り、作業開始前におこなうようにしましょう。
要点を絞り短時間で話す
TBMはあくまでもミーティングであることから、あまり時間をかけずに短時間で終わらすことが大切です。現場作業は、ミーティングがメインの仕事ではなく、あくまでも実作業がメインとなります。
そのため、作業時間に影響を及ぼさないためにも、要点を絞って、短時間で内容を共有することが大切です。なお、TBMの時間は、5〜10分程度でおこなうのがいいでしょう。
全員が発言できるように配慮する
TBMは、できるだけ、すべてのスタッフが参加することが望ましいです。そのため、リーダーや進行役は、すべてのスタッフが質問したり、発言したりする機会を設けるように心がけましょう。
スタッフが自分の口で発言することで、より理解を深めることができ、TBMの効果を最大限に発揮することが可能です。
外国人労働者とのTBM(ツールボックスミーティング)の注意点
昨今は、外国人労働者も増えていることから、外国人労働者に配慮したTBMを実施することが大切です。とはいえ、具体的にどのような点に注意すればいいかわからない方もいるでしょう。
ここでは、外国人労働者とのTBMの注意点について詳しく紹介します。
日本語だけで進行しない
外国人労働者の中には、日本語が流ちょうに話せる人とそうでない人がいます。中には、専門用語などがわからない外国人労働者も多数いることから、しっかりと配慮しなければなりません。
具体的には、日本語だけで進行するのではなく、外国語も使ってミーティングを進めることが大切です。そのため、どの言語であればしっかりと理解できるかを、事前にヒアリングしておき、外国語の資料を準備しておくといいでしょう。
歴が浅い外国人労働者だけを集めない
外国人労働者の国籍が多様な場合は、すべての言語でTBMをおこなうのは現実的ではありません。たとえば、5つの異なる言語圏から外国人労働者が来ている場合、日本語と合わせて6言語で対応しなければならなくなってしまうのです。
とはいえ、TBMに時間をかけることは難しく、事前に資料を作るのもハードルが高いことから、現実的ではないでしょう。そのため、歴が浅い外国人労働者だけを集めるのではなく、経験のある外国人労働者も呼び、通訳係としてサポートしてもらうのがおすすめです。
経験のある外国人労働者であれば、通訳係としてだけでなく、仕事のことや注意しなければならないこともしっかりと伝えてくれるでしょう。
TBM(ツールボックスミーティング)に関連するよくある質問
TBMにおいて、主に以下のような質問があります。
- TBMとKYの流れは?
- KYミーティングとは?
- KYTとヒヤリハットの違いは?
ここでは、TBMに関するよくある質問と、その回答を詳しく見ていきましょう。
TBMとKYの流れは?
TBMは、KYTとセットでおこなうことが一般的です。具体的な流れについては、まずTBMをおこない、スタッフ間で情報を共有したあと、KYTをおこないます。
TBMで作業内容などの全体を確認することで、実際の作業がイメージしやすくなります。その上で、KYTをおこなえば、作業にともなう危険性やリスクを意識しやすくなるといった効果があります。
KYミーティングとは?
TBMやKYTに関連する言葉として、KYミーティングというものがあります。KYミーティングでは、TBMと似たような内容を話しますが、危険予知をメインにしているのがKYミーティングです。
過去の事故例などを参考に、どのような点に注意しなければならないかを、作業者全員で話し合います。
KYTとヒヤリハットの違いは?
KYTは、危険予知訓練であることから、どのようなリスクや危険性が潜んでいるのかを発見する能力や感性を高めることを目的としています。KYTをおこなうことで、いろいろなリスクに気づくようになり、事故を未然に防げるでしょう。
一方、ヒヤリハットは、過去に発生した事故やトラブルなどを共有し、同じ事故を繰り返さないために注意喚起することが目的です。ヒヤリハットは、実際の事故例をもとに共有されることから、イメージしやすく、事故を未然に防ぐための重要な役割を担っているといえるでしょう。
まとめ
建設・建築業界では、TBM(ツールボックスミーティング)が行われることが一般的です。作業者の安全を守るためにも、作業にともなうリスクや危険性を共有したり、安全衛生のポイントをスタッフ間で話し合ったりします。
なお、TBMは、KYTと一緒におこなわれることが一般的で、どちらも作業前におこなうことで、より安全な環境づくりができるでしょう。