日本の各地でおこなわれている大規模な土木工事。その中で重要な役割を果たしているのが土木施工管理技士です。
特に、一級土木施工管理技士は、その高度な知識と技術を活かして、多くの企業から引く手あまたと言われています。
そこで今回は、一級土木施工管理技士がなぜこれほどまでに重宝されるのかや、一級土木施工管理技士として働くことのメリット、二級土木施工管理技士との違いなどについて詳しく解説します。
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目次
一級土木施工管理技士が引く手あまたと言われる理由
一級土木施工管理技士が引く手あまたであると言われるのには、以下のような理由があります。
- 合格率が低い難関資格だから
- 大規模工事の責任者になれるから
- 建設業では重宝される資格だから
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
合格率が低い難関資格だから
一級土木施工管理技士試験は、合格率が低く難関資格と言われています。
試験の内容は幅広く、基礎知識から専門的な施工管理の知識、実務経験に基づいた応用力が試されます。
さらに、試験は学科試験と実地試験の2段階に分かれており、両方に合格しなければ、資格を取得することはできません。
特に実地試験では、具体的な施工現場での経験をもとにした問題が出題される傾向があり、理論だけでなく実務経験の豊富さも問われます。
このように、高度な専門知識と実務経験が求められるのが一級土木施工管理技士の試験。
学科試験の合格率は毎年50％程度ですが、実地試験の合格率は30％前後と低い割合で推移しています。
資格の取得が難しいということは、それだけ自身の専門性と実務能力があることの証明になります。一級土木施工管理技士資格を取得することで、企業からの信頼と需要が高まるでしょう。
大規模工事の責任者になれるから
一級土木施工管理技士は、大規模な土木工事の現場で責任者として働くことができます。
規模の大きな工事の場合、一級土木施工管理技士資格取得者の配置が義務付けられていることもあり、資格を持っていることで重宝される人材になれるでしょう。
一級土木施工管理技士は大規模工事における責任者として、プロジェクト全体の進行を統括し、各工程が適切に進むよう管理します。
現場責任者の判断は、工事の品質や安全性に直結するため、非常に高い責任感が必要です。そのため、経験と知識が豊富な一級土木施工管理技士は、企業にとって欠かすことのできない存在であり、その重要性から多くの企業が資格取得者を求めています。
建設業では重宝される資格だから
建設業界において、一級土木施工管理技士資格取得者は非常に価値の高い存在です。
一級土木施工管理技士資格を持つことで、専門的な知識とスキルが保証されるため、企業側は安心して重要な役割を任せられるのです。
特に、大規模な公共事業や建設プロジェクトには、一級土木施工管理技士を配置することが義務付けられているため、大手建設会社や公共事業を請け負う企業では、資格を持つ人材は不可欠とされています。
一級土木施工管理技士として働くメリット
一級土木施工管理技士として働くことには、以下のようなメリットがあります。
- 高い収入が得られる
- 自分の仕事が形として残る
- 昇給や昇進に有利
- 転職市場で引く手あまた
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高い収入が得られる
一級土木施工管理技士は、高度な専門知識と大きな責任感が必要とされるため、建設業界の中でも年収は高い傾向にあります。
年収は企業規模や地域などによっても違いがありますが、平均で550万円ほどと言われています。
一般的な会社員の平均年収が460万円ほどなので、一級土木施工管理技士の年収は比較的高いことがわかります。
会社によっては年収1,000万円以上も夢ではありません。
無資格者や二級土木施工管理技士と比べても、一級を取得することでかなりの高収入が期待できるでしょう。
自分の仕事が形として残る
大規模な工事に責任者として携われるのが一級土木施工管理技士。道路や橋梁、トンネルなど、自分の仕事が形となり、その後何十年もの間残り続けることになります。
自分が携わったプロジェクトが完成し、多くの人々に利用される様子を見ることは、大きなやりがいとなります。
大きな工事をやり遂げた時の達成感は、責任者だからこその特別なものがあります。
大規模工事のプロジェクトの完成を見届けることで、自分の仕事が社会に貢献していることを実感できるでしょう。
昇給や昇進に有利
一級土木施工管理技士の資格を持つことで、昇給や昇進のチャンスが広がります。
建設会社では、資格を持っている社員を優先的に昇進させることも少なくありません。資格手当がもらえることもあるでしょう。
一級土木施工管理技士の資格を持つことで、プロジェクトマネージャーや部門長といった、重要な役職に就ける可能性も。
さらに、資格取得後も継続的に研鑽を積むことで、管理職や役員といったポジションを目指せる可能性もあります。
転職市場で引く手あまた
一級土木施工管理技士の資格は、転職市場でも高い評価を受けます。
一級土木施工管理技士資格を取得し、実務経験を積むことで、他の企業への転職がスムーズに進むでしょう。
転職市場では、一級土木施工管理技士の資格を持つ人材は、即戦力として期待されるため、転職活動が有利に進みます。
キャリアアップのために、大手建設会社やゼネコンなどに転職をしたいと考えているという方には特におすすめの資格であると言えるでしょう。
また、転職先でも高い給与とポジションを確保しやすいため、キャリアチェンジやキャリアアップを考える際に持っていると安心な資格です。
二級土木施工管理技士との違い
一級土木施工管理技士と二級土木施工管理技士には、担当できる業務範囲に違いがあります。一級を取得することでどのような工事を担当できるようになるのかを、二級との違いとあわせて解説していきます。
あわせて、試験の難易度や受験資格の違いなどについても見ていきましょう。
業務範囲の違い
一級土木施工管理技士と二級土木施工管理技士の間には、担当できる工事の規模に大きな違いがあります。
二級所持者は、中小規模の工事現場での責任者。一級は大規模な工事現場での責任者を務めることができます。
担当できる工事の規模が違うため、一級の方がより広範な知識と経験が求められ、その分責任も重くなります。
一級土木施工管理技士は、橋梁や道路、トンネル、ダムなどの大規模プロジェクトでの施工管理をおこなうことができます。これに対して、二級土木施工管理技士は、住宅地開発や中規模の道路工事といった、一級と比べると中小規模なプロジェクトを担当します。
試験難易度の違い
一級土木施工管理技士と二級土木施工管理技士では、受験資格や試験の内容、難易度にも違いがあります。
受験資格は、二級の場合は17歳以上、一級が19歳以上です。二級を持っていなくても、19歳以上であれば誰でも一級試験を受けることができます。
試験内容は、二級と比較して一級の方がより高度な専門知識と技能が求められる傾向にあります。
試験の合格率については、大きな差はありませんが、より高度な専門知識と技能が求められる一級の方が難易度は高いと言えるでしょう。
以下は、令和4年度分の一級と二級試験の合格率をまとめたものです。
| 一級土木施工管理技士 | 二級土木施工管理技士 | ||
| 一次検定合格率 | 二次検定合格率 | 一次検定合格率 | 二次検定合格率 |
| 54.6％ | 28.7％ | 65.3％ | 37.9％ |
参考：国土交通省｜報道発表資料
合格率だけを見ると、「一級でもそこまで難しくないのでは？」と思われがち。ですが実際は、受験者のほとんどが現役の施工管理技士であり、仕事をしながら試験を受けています。
二級に合格してから実務経験を積み、一級にチャレンジしているという人もいるでしょう。土木施工管理技士は、ある程度の基礎知識や経験がある人たちが受験する試験なのです。
それでもなお、30〜40％ほどの人しか合格ができない難しい試験であると言えるでしょう。
土木施工管理技士の平均年収や将来性
土木施工管理技士を目指す人の中には、平均年収や仕事自体の将来性について知りたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
一級土木施工管理技士の平均年収や土木施工管理の将来性について見ていきましょう。
一級土木施工管理技士の平均年収
一級土木施工管理技士の平均年収は、非常に高い水準にあります。
地域や企業規模によって違いがありますが、平均して550万円ほどの年収です。
都市部や大規模な建設プロジェクトを手がける企業では、さらに高い年収が期待でき、中には年収1,000万円を超える一級土木施工管理技士資格者も。
経験年数や役職によっても収入は大きく変わります。大規模なプロジェクトを複数担当し、実績を積み重ねていくことで、企業からの評価も高まり、昇給も期待できるでしょう。
土木施工管理技士の将来性
土木施工管理技士の将来性は非常に明るいです。
日本国内では、老朽化したインフラの再整備や、自然災害への対策としての防災インフラの構築が急務とされています。
加えて、都市再開発や交通インフラの整備など、さまざまな大型プロジェクトが存在しています。
このような背景から、今後も土木施工管理技士の需要は減ることなく、むしろ高まっていくことが考えられるでしょう。特に、一級土木施工管理技士は、大規模プロジェクトの責任者として必要不可欠な存在であり、その需要はさらに高まると予想されます。
また、会社によっては、海外でのインフラ整備プロジェクトに携われる可能性も。特に発展途上国や新興国では、日本の高い技術力を持つ土木施工管理技士が活躍できる環境があります。
このように、国内外に多くのチャンスがある一級土木施工管理技士の将来性は、十分にあると言えるでしょう。
まとめ
一級土木施工管理技士は、高度な専門知識とスキルを活かして活躍できるため、多くの企業から引く手あまた。
難関資格であることや責任あるポジションを任されること、建設業界で重宝されることなど、引く手あまたとなるには多くの理由があります。
一級土木施工管理技士資格を取得することで、高収入を目指せるほか、キャリアアップの機会も豊富に用意されています。
今後も大規模な都市開発や発展途上国のインフラ整備などによって、一級土木施工管理技士の需要は高まり続け、その価値はさらに増していくでしょう。
