「プラントエンジニアはやめとけ」と言われる理由5選！転職で後悔しないためのポイントは？

「プラントエンジニアはやめとけと」といわれる理由は、激務であるうえに責任が重い仕事だからです。しかし、激務で責任が重い以上のやりがいを感じられる仕事でもあります。

この記事ではプラントエンジニアの仕事内容や「やめとけ」といわれる理由、向いている人と向いていない人の特徴、転職で失敗しないための対策を解説します。

プラントエンジニアの仕事内容

プラントエンジニアとは、プラント施設の企画設計から施工、維持管理をおこなうエンジニアです。

主な仕事は設計で、設計には「基本設計」「詳細設計」の2種類があります。

基本設計とは工場設備の配置を設計することで、基本設計技術者が設計を担当します。

プラントで効率的に資源を生み出すために、工場配置は非常に重要なポイントです。

工場配置によって無駄なタイムロスや資材の劣化が生じる可能性もあるため、基本設計技術者は最適な配置を考える非常に重要な役割を担っています。

詳細設計とは、基本設計で策定した配置図の詳細を詰めていくための設計作業です。

配置した工場への配管や細かい設備の設計、機械・装置などの設計を担当します。

プラントについての知識が欠かせない職業であり、専門の詳細設計技術者が設計を担当します。

「プラントエンジニアはやめとけ」と言われる5つの理由

プラントエンジニアは工業の要である資源生産施設の設計など、重要な役割を担う仕事です。

しかし、プラントエンジニアを目指す人に対して「やめとけ」の声が多いのも事実です。

なぜプラントエンジニアはやめとけといわれるのか理由を説明します。

• 担当する業務の幅が広く大変
• 納期厳守で残業が多い
• 責任が大きくプレッシャーがかかる
• 膨大な量の書類作成が必要になる
• 関連法規についても学ぶ必要がある

1. 担当する業務の幅が広く大変

プラントエンジニアはプラント施設の企画設計が主な仕事ですが、その後の施工や施工管理、維持管理まで担当します。

もちろん業務は専門部署に分かれますが、プラント自体が規模の大きな建設物であるため各部署の業務量も比例して膨大な量になります。

そのため、分業していても業務量は非常に多く、エンジニアにかかる負担が非常に大きいのが現状です。

2. 納期厳守で残業が多い

プラントエンジニアは工業に必要な資源を生み出すための施設であり、万が一施工が遅れると工場が稼働できず工業に深刻な影響をもたらします。そのため施工の遅れは許されず、残業をしてデモ工事を終わらせなければなりません。

ただでさえ業務量が多く、施工に遅れが許されない状況のため残業せざるを得ない日も多いです。

工期後半は万が一のトラブルに備えて常に現場へ待機するような状況も増えるため、自宅に帰れないこともあります。

さらに工期前はクライアントとの打ち合わせなども増えるため、業務量が増えてしまうことも残業が多い要因です。

3. 責任が大きくプレッシャーがかかる

プラント施設は工業の要ともいえる施設であり、規模も大きいため、動く金額や関わる人の数も桁違いです。

万が一設計ミスや施工ミスがあれば数十億〜数百億円以上の損失となるうえ、関連業者にも甚大な影響を及ぼす可能性があるため、エンジニア一人一人が感じるプレッシャーも非常に重いものとなります。

また、施工自体が無事に終わっても設計段階のミスによって資源生産工程で重大事故が起きるリスクがあるため、人の命を預かるという精神的な負荷もかかるでしょう。

プラント施設という大規模な構造物に携わるうえで、エンジニアが抱えるプレッシャーはかなりのもので、精神的に弱い人にとっては過酷な労働環境ともいえます。

4. 膨大な量の書類作成が必要になる

プラントエンジニアはエンジニアという職業名であることから、設計や技術面の担当者というイメージがあります。しかし、実は膨大な事務作業を抱えており意外と書類仕事も多い仕事です。

まずメイン業務である設計はもちろん、施工管理やすでに施工後のメンテナンス管理などもこなします。さらに、クライアントや関連業者との打ち合わせなども多く、そのための資料作成なども担当しなければなりません。

また、プラント施設は危険物を扱う施設であるため、行政への申請書などの作成も必要です。申請書にミスがあると提出し直しになる可能性があるため、ミスなく作成するためチェック作業にもかなりの時間をかけなければなりません。

その他、各社との契約書の作成などのプラントエンジニアが担当するため、とにかく書類仕事が多いのも特徴です。

5. 関連法規についても学ぶ必要がある

プラントでは高圧ガスや人体に悪影響を与える有害物質を取り扱うことも多いため、少しのミスが重大事故につながるリスクがあります。

重大事故を防ぐために有害物質の取り扱いには細かな規制が定められており、万が一関連法規に違反していると設計や仕様変更が必要となり、プラント施設の稼働を止めなければなりません。

そのためプラントエンジニアは取り扱う関連法規についても理解する必要があり、膨大な数の法規を頭に入れる必要があります。プラント施設といっても石油や高圧ガスを扱うもの、食品プラントなどいろいろな種類があるため、担当する施設に応じた規制をその度に学ばなければなりません。

プラントエンジニアの魅力

プラントエンジニアは専門知識が必須であり、技術力が確かでなければなりません。

難易度の高い職種ではありますが、プラントエンジニアの仕事のやりがいについても理解しておきましょう。

1. 高年収が見込める
2. さまざまなスキルが身につく
3. 社会貢献度が高い

高年収が見込める

厚生労働省の情報提供サイト「jobtag」によると、プラントエンジニアの年収平均は606万円です。

日本全体の平均年収は461万円（参考：1 平均給与｜国税庁）なので、約140万円も高い年収を得ています。

もちろん企業によってプラントエンジニアの給与に差はありますが、各種手当が充実していることもプラントエンジニアの年収が高い理由の1つです。

プラントエンジニアは担当する現場が変わることも多く出張も多いですが、出張手当も支給されるため、月給自体が高くなる傾向にあります。

その他企業によりますが、資格手当なども加算され給与待遇は良い方だといえるでしょう。プラントエンジニアは激務ではありますが、給与面は充実している仕事です。

さまざまなスキルが身につく

プラントエンジニアとして働くうえで、設計技術はもちろんプラント施設の知識や配管・配電、関連法規の勉強は欠かせません。

さらにプラントエンジニアは設計から施工管理、資材調達や維持管理など一貫した作業を担当するため、幅広い知識やスキルを身につけることができます。

プラント施設の施工プロジェクトを一貫して担当するため、予定を見通して計画を策定し、人員や資材を動かしていくマネジメントスキルも養えるでしょう

社会貢献度が高い

プラント施設は人々の生活に直結する工業の要であり、社会貢献度の高い仕事といえます。元々は石油燃料や天然ガスなどがベースとなった事業ですが、脱炭素の動きもありプラント事業も変化しています。

脱炭素の動きを取り入れた技術を使った低環境負荷型プラントが増えており、省エネルギーやCO2回収など、よりエコな工業活動に携わっていけるのは、プラントエンジニアの大きなやりがいといえるでしょう。

プラントエンジニアに向いている人・向いていない人

プラントエンジニアに向いている人と向いていない人の特徴をそれぞれ紹介します。

職業ごとに適性があり、向いていない仕事についても結局退職することになるため、事前に適性を把握しておく必要があります。

プラントエンジニアに向いている人の特徴

プラントエンジニアに向いている人は、以下のような特徴を持つ人です。

プラントエンジニアは先述したように設計や施工管理、維持管理まで幅広い業務を担当します。どの部署へ配属されても勉強は欠かせず、施工管理部門はかなり残業が多い部署です。

その代わり手当も充実しており年収も高めの傾向にあるため、年収の高い仕事を目指している方で多少激務でも構わない方にはおすすめの仕事です。

また、プラント施設の建設事業自体は非常にやりがいがある仕事といえます。社会貢献度が高いのはもちろん、激務をこなした後に完成した施設が稼働した際に感じる感情は、プラントエンジニアにしか味わえません。

仕事にやりがいを求めている人は特に、向いている仕事です。

またもちろん、プラント事業に興味があるのもプラントエンジニアに向いている人に欠かせない特徴の1つです。

激務であるプラントエンジニアの仕事は、仕事への熱意がないと達成できません。

プラントエンジニアに向いていない人の特徴

一方で以下のような特徴を持つ人は、プラントエンジニアに向いていません。

基本的にプラントエンジニアは工期厳守の仕事で、残業や休日出勤は多いです。そのためプライベートを重視したいと考えている人は、プラントエンジニアになっても労働環境に不満を抱くでしょう。

また、仕事にやりがいを求めずお金を稼ぐための手段だと考える人も、プラントエンジニアに向きません。

プラントエンジニアの仕事はクライアントの理不尽な要求と、関連業者の板挟みになるようなこともあります。やりがいを求めず仕事をドライにこなしたい人は、そのような状況に耐えられない可能性が高いです。

また、そもそもプラント事業に興味を持っていない人も仕事をするうちに「なんでここまで大変なことをしなきゃいけないんだろう」と思ってしまうでしょう。

最後に、プラント事業は設計から維持管理まで多くの人が関わり、チームワークが大切な仕事です。協調性がなく個人主義の方は、プラントエンジニアになっても周囲と調和が取れず浮いてしまったり、仕事がうまくいかない可能性があります。

プラントエンジニアへの転職で失敗しないためには？

プラントエンジニアの転職で失敗しないためには、プラントエンジニアの仕事をよく理解しましょう。

まず仕事内容はもちろんやりがいの高さなどの良い面、そして激務であるという悪い面も把握して、本当にプラントエンジニアになるべきか考えてください。

仕事の良い面だけをみて就職し、入社後ギャップで退職しないために必要なステップだからです。

そのうえでどうしてもプラントエンジニアを目指したいと思ったら、会社選びは慎重に実施しましょう。

プラントエンジニアは激務ですが、会社によって労働環境や待遇が違います。

社風が合うかどうか、納得のいく給与がもらえるかどうかなど、求人情報を収集して比較して、あなたがやりがいを持って働けるプラント事業の会社を探しましょう。

まとめ

プラントエンジニアは「やめとけ」といわれることも多い、責任も業務量も重い仕事です。

しかし、工業で使われる資源の生成や社会貢献度の高さ、給与などのやりがいも高い職種でもあります。

プラントエンジニアを目指す前に、記事で紹介した適性をしっかり確認して、自分がプラントエンジニアとして働いている姿を思い描いてみてください。就職の際には事前の業界や企業研究を欠かさず、労働環境がよくやりがいの高い職場を探しましょう。