「電気工事士2種はやめとけ」と検索される理由の多くは、現場の厳しい労働環境や収入の現実にあります。しかし、それはあくまで一面であり、電気工事士2種を取得することには、安定性や手に職がつくなどの魅力もあります。
そのため、電気工事士2種を仕事に活かすには、資格取得後にどう働くか、どのようにキャリアを設計するかにかかっています。本記事では「やめとけ」と言われる理由とともに、資格を活かすための道筋も詳しく解説します。
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目次
電気工事士2種が「やめとけ」と言われる理由5つ
電気工事士2種が「やめとけ」と言われる理由は、資格試験の難易度ではなく、資格取得後の現場環境や労働条件に起因するものがほとんどです。
- 長時間労働の職場が多いため
- 肉体労働が基本で体力的な負担が大きいため
- 危険が伴う現場作業が基本のため
- 資格を取っても就職や実務に活かせない場合があるため
- 実務経験がなければ低収入の求人が多いため
以下より、電気工事士として現場で働く人々の声をもとに「やめとけ」と言われる理由を詳しく見ていきましょう。
長時間労働の職場が多いため
電気工事士として働く現場は、納期に追われる建設業界の一端を担っています。特に年度末や建築物の完成が集中する繁忙期は、長時間労働が常態化しており、朝早くから夜遅くまでの勤務や、休日出勤を求められることも珍しくありません。
そのため、ライフワークバランスを大切にしたい人には、こうした業界特有の働き方は大きな負担になる可能性があります。「毎日くたくたで帰る」「子どもと過ごす時間が取れない」といった現場の声も見受けられ、プライベートを犠牲にしなければいけないタイミングが多いことが、「やめとけ」といわれる理由の1つです。
肉体労働が基本で体力的な負担が大きいため
電気工事の現場では、配線の引き回しや重量物の運搬・高所での作業など、体力を必要とする業務が日常的です。真夏の炎天下や真冬の寒い屋外での作業が続くこともあり、体力に自信がない人にとってはかなり過酷な現場だといえます。
そのため、事務職やデスクワーク出身の人がいきなり現場に入ると、そのギャップに驚くこともあるでしょう。
ただし、近年では作業の一部にAIや自動化機器が導入されており、体力負担が徐々に軽減されている傾向にあります。とはいえ、現場・職場により業務負担軽減を目的としたシステム導入の進捗は異なり、業回全体に浸透するには時間がかかっていることも事実です。
危険が伴う現場作業が基本のため
電気工事士の業務には感電や転落、重機との接触など常にリスクがつきまといます。業務の際は国家資格である電気工事士2種などの有資格者のみがあたり、絶縁装備の着用や安全確認が徹底されていますが、業務の危険がゼロになることはありません。
加えて、業務のミスは自分だけでなく、共に働くほかの電気工事士や施設の利用者の危険につながる恐れもあります。そうしたミスが許されない環境や業務内容がプレッシャーとなり、精神的に疲れてしまう人がいることも「やめとけ」と言われる理由です。
電気工事士2種は危険と隣り合わせの仕事である以上、慎重さと冷静な判断力が求められる仕事だといえます。
資格を取っても就職や実務に活かせない場合があるため
電気工事士2種を取得しても、すぐに現場で活躍できるとは限りません。多くの会社では電気工事士の雇用に際して「資格と実務経験」を重視しており、資格があっても未経験者であれば、現場に慣れるまでの間は補助的な仕事しか任されないこともあります。
さらに、求人票に「電気工事士2種の資格が必須」との記載があっても、実際の面接では「資格があっても実務経験がなければ厳しい」と言われて不採用となるケースも少なくありません。電気工事士2種は国家資格であり「資格を取れば即戦力」「仕事は引く手数多」だと思われがちですが、実際は現場経験がものを言う世界です。
実務経験がなければ低収入の求人が多いため
電気工事士2種の資格を取得しただけでは、「正社員登用前提の契約社員」や「アルバイト扱い」でのスタートが珍しくありません。たとえば、東京都内では未経験OKの電気工事士求人でも日給8,000〜10,000円、月給ベースで18〜22万円程度の募集が多く見られます。
地域によっても相場は異なり、地方ではさらに低くなる傾向があります。資格手当がついても月5,000〜10,000円程度にとどまることも多く、「国家資格を持っていれば高収入」というイメージとのギャップから、仕事のモチベーション低下や将来への不安を抱えてしまうケースも多いです。
電気工事士の仕事が向いている人と向いていない人
電気工事士の適性は人によって大きく異なります。電気工事士の仕事が向いている人・向いていない人の特徴を確認し、自分の性格や価値観に合うかどうかを見極めることが大切です。
ここでは、電気工事士の仕事が向いている人と向いていない人の特徴を解説します。
電気工事士の仕事が向いている人
- 手に職を付けたい人
- 現場作業が好きな人
- 図面通りに正確に作業することが得意な人
- 体力仕事や高所作業が平気な人
- 電気や施工業界で独立を考えている人
電気工事士の仕事は、技術と経験を積み重ねることで評価されやすい分野です。特定の業界で安定して働きたい人や、職人としてのキャリアを築きたい人には向いています。
実務は基本的に体力仕事であり屋外作業や高所作業も多いため、体力仕事や建設現場での作業に苦手意識がない方にも、電気工事士は職業選択の1つです。また、電気工事業務を請け負う事業者やフリーランスとして独立を視野に入れている人にとっても、電気工事士2種の資格取得はキャリア形成の第一歩として役立つでしょう。
電気工事士の仕事が向いていない人
- 体力仕事に自信がない人
- 危険や汚れの多い仕事は避けたい人
- デスクワーク中心の仕事をしたい人
電気工事の仕事は夏の猛暑や冬の寒さ、高所作業や重い機材の取り扱いなど、体力的に厳しい場面も多くあります。事故のリスクも伴うため、快適なオフィス環境や座って作業する仕事を希望する人にとっては、長く続けるのが難しい職業だといえるでしょう。
電気工事士2種を取得するか、電気工事士として働くかを検討するうえで検討すべき大きなポイントが、体力が必要な工事作業が可能か否かです。電気工事士の業務は工事作業が中心のため、工事作業を無理なく続けられるか否かをもとに、自分に向いているかを検討しましょう。
電気工事士2種を取得する魅力と将来性
電気工事士2種の取得が「やめとけ」といわれる意見の裏側には、電気工事士の現場の過酷さがあります。しかし実際には、電気工事士2種は取得することで広がる可能性やメリットも多い資格です。
ここでは、電気工事士2種の将来性や社会的な価値を見ていきましょう。
需要が高い資格で転職の選択肢は多い
電気工事士2種は、建設業や工場現場の設備管理、ビルメンテナンス・電気設備の保守など、さまざまな職場で活用できる資格です。特に近年では、再開発プロジェクトの増加や太陽光発電パネル・EV充電設備の新設業務が増えており、電気工事士の需要も高まっています。
そのため、電気工事士は建築や電力、建物管理などさまざまな業種で求人募集が豊富です。資格を取得しておけば、転職や再就職の選択肢を広げられる強力な武器となるでしょう。
電気工事が必要な業界で活躍するため、電気工事士2種の資格を取って就職・転職に役立てることも選択肢の1つです。
業務独占資格であり社会的信用度は高い
電気工事士2種は、無資格者が扱えない電気工事などの作業に対応できる国家資格であり、いわゆる「業務独占資格」に分類されます。特定の電気設備の工事を行うには、法的にも電気工事士2種をはじめとした資格の取得が必ず必要です。
そのため、電気工事士2種の取得は特定業務における専門性の高さを証明できるだけでなく、社会的信用度も高く評価されています。加えて、電気工事はライフラインに関わる重要な仕事であり、需要がなくなることはありません。
電気工事士が求められる職場がなくなる可能性が低い点でも、資格保持者は社会的信用度が高いといえます。
現場仕事をリタイアしても仕事を請け負える
現場作業から引退した後も電気工事士としての資格と経験があれば、フリーランスとして小規模な案件を請け負えるなど、リタイア後も専門職で働けます。有資格者としての知識と長年の現場経験があれば、電気工事を請け負う会社の経営や監督・管理職に就く選択肢もあるでしょう。
特に電気は生活に欠かせないインフラであり、どの時代・地域でも必要とされ続ける業界だといえます。資格を取ったばかりでは過酷な労働環境や収入から「やめたい」と悩む方も多い業種ですが、業務経験を積めば現場を離れてからもスキルを活かせることも、電気工事士の強みです。
電気工事士2種を取得してさらに活躍するには
電気工事士2種の仕事は「やめとけ」と言われることも多いものの、取得するメリットも多く、自分のキャリアに役立てられるかどうかは自分次第です。ここでは、電気工事士2種の資格を取得して電気工事士として活躍するために意識すべきことや考えるべきことを、詳しく解説します。
AIや自動化技術など最新技術について情報収集する
AI技術の導入や機械化は、電気工事業界でも今後ますます進んでいくことが予想されます。これにより、業務内容の効率化や自動化が進み、過酷な電気工事業務の負担軽減や人手不足の解消が見込まれるでしょう。
一方で、AI導入や自動化・機械化は新たな業務の形が誕生することも意味し、新技術への知識や対応能力も求められます。そのため、電気工事業界で活躍を目指す際は、最新技術に関する知識を深めておくことも必要なスキルです。
また、独立開業を考えている場合には、AI・IoT対応の工事ニーズに対応できることで、案件の受注数や単価のアップも期待できます。
電気工事士1種も取得すれば収入はさらに上がる
電気工事士としてさらに活躍するため、電気工事士2種だけでなく1種の資格取得を目指すこともおすすめです。
電気工事士2種では対応できない高圧工事や大型施設の電気工事も、1種を取得すれば対応可能となり、仕事の幅が一気に広がります。また、資格手当や基本給の増額など待遇面でも優遇されやすく、キャリアアップ・収入アップの両面でメリットが大きい資格です。
職場によっては1種資格を持っているだけで管理職候補として扱われることもあります。そのため、長期的なキャリア形成を考えるうえでも、2種取得後に1種の取得を目指すのは非常に有効な選択だといえるでしょう。
転職や独立でさらに市場価値を高める
電気工事士2種の資格を活かせる業種や職場は多岐にわたり、企業によって仕事内容や働き方、収入に大きな違いがあります。実務経験を積んで転職をすれば、より待遇の良い会社や、自分の得意分野を活かせる現場に出会える可能性もあるでしょう。
また、電気工事士として一定の実務経験を経てから独立開業などの道を選べば、自分のスキルや専門性を最大限に活かしながら収入面でも大きな飛躍も可能です。キャリアの選択肢を柔軟に捉えることで、自分にとって最適な働き方を見つけられるでしょう。
まとめ
電気工事士2種の仕事は「きつい・危険・汚い」と言われやすく、「やめとけ」という声が出るのも事実です。しかし、資格としての信頼性や将来性があり、向き・不向きや目的を見極めて活用すれば大きな武器になります。
電気工事士の仕事を選んで後悔しないためには、以下のような点を事前に検討しておくことが重要です。
- 自分が体力的・精神的にこの仕事に向いているかどうか
- 安定収入を重視するのか、独立・高収入を目指したいか
- 電気工事士としてどのようなキャリアを歩みたいか
- 将来的に1種取得や独立を視野に入れているか
- 職場選びや業務内容について事前に十分な情報を得ているか
資格取得はゴールではなくスタートです。電気工事士2種の資格を取得する際は、長期的な視点でキャリアプランを立てて、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
