建設業界において重要な役割を担う施工管理。近年、人材不足や働き方改革の影響で、派遣による施工管理者の活用が注目されています。しかし、その是非については様々な意見が存在します。
本記事では、施工管理業務における派遣の可能性、その課題、そしてメリットについて詳しく解説します。派遣による施工管理の実態を知り、その活用方法を考える上で参考にしていただければ幸いです。
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目次
そもそも施工管理は派遣でもできる?
施工管理業務を派遣社員が担当することは、法律上可能です。労働者派遣法において、施工管理は派遣禁止業務に含まれていないため、派遣による就業が認められています。
ただし、現場での直接作業は派遣禁止となっているため、施工管理者としての業務に限定されます。具体的には、工程管理、品質管理、安全管理などが主な業務となります。
実際に、建設業界では人材不足対策や繁忙期の対応として、派遣による施工管理者の活用が増えています。しかし、その一方で課題も指摘されており、慎重な判断が求められています。
施工管理派遣は使えないと言われる6つの理由
施工管理業務における派遣の活用には、様々な課題が指摘されています。以下の6つの理由から、派遣は使えないという意見も根強く存在します。
- 現場への理解不足で円滑な管理が難しい
- 長期的な視点での品質管理が困難
- 責任の所在が不明確になりやすい
- 派遣=コミットできないと思われがち
- 現場特有の知識やノウハウの蓄積が難しい
- 社内の人材育成につながらない
現場への理解不足で円滑な管理が難しい状況に
施工管理派遣が使えないと言われる主な理由の一つに、現場への理解不足があります。建設現場は、プロジェクトごとに異なる特性や課題を持っています。これらを十分に把握し、適切に対応することが施工管理者には求められます。
派遣社員の場合、短期間で現場に入ることが多いため、その現場特有の事情や過去の経緯を深く理解することが難しい場合があります。例えば、地域住民との関係性や、これまでの工事の進捗状況、現場固有のリスクなどは、長期的に関わることで初めて把握できる情報も少なくありません。
また、現場で働く職人たちとの信頼関係構築にも時間がかかります。施工管理者は、様々な職種の職人たちと協力して工事を進める必要がありますが、派遣社員の場合、この関係性を築く時間が十分に確保できないことがあります。
さらに、発注者や協力会社との折衝においても、現場への深い理解が必要となります。工事の進捗状況や課題を適切に説明し、必要な調整を行うためには、現場の細部まで把握していることが重要です。
このような理由から、派遣による施工管理者は、現場への理解不足によって円滑な管理が困難になる可能性があると指摘されています。
長期的な視点での品質管理が困難な課題に直面
施工管理派遣の課題として挙げられるもう一つの重要な点は、長期的な視点での品質管理の難しさです。建設プロジェクトは通常、数か月から数年にわたる長期的な取り組みとなります。そのため、品質管理においても長期的な視点が欠かせません。
派遣社員の場合、契約期間が限定されていることが多く、プロジェクトの全期間を通して関わることが難しい場合があります。そのため、工事の初期段階での決定が、後の段階でどのような影響を与えるかを十分に考慮することが困難になる可能性があります。
例えば、基礎工事の段階での判断が、建物完成後の品質にどう影響するかを予測し、適切な対応を取ることが求められます。しかし、派遣社員が途中で交代してしまうと、このような長期的な視点での判断が途切れてしまう恐れがあります。
また、建物の引き渡し後のアフターフォローも品質管理の重要な一部です。施工中に使用した材料や工法の詳細な記録、そして施工時の状況などの情報は、将来的なメンテナンスや改修工事の際に極めて重要となります。派遣社員が短期間で入れ替わる場合、これらの情報の継続的な蓄積と管理が難しくなる可能性があります。
このように、長期的な視点での品質管理の困難さは、施工管理派遣の大きな課題の一つとなっています。
責任の所在が不明確になりやすい問題点が浮上
施工管理派遣において頻繁に指摘される問題点の一つが、責任の所在が不明確になりやすいことです。建設プロジェクトでは、品質、安全、工程、コストなど、様々な面で重大な責任が発生します。これらの責任を誰が負うのかが曖昧になると、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
派遣社員の場合、法律上は派遣元企業の従業員であり、派遣先企業の指揮命令下で働くという二重の立場にあります。この状況下で、例えば品質上の問題が発生した場合、その責任が派遣元にあるのか、派遣先にあるのか、あるいは派遣社員個人にあるのかが不明確になりがちです。
また、長期的な瑕疵担保責任などについても、派遣社員が既に現場を去った後に問題が発覚した場合、対応が困難になる可能性があります。正社員であれば、たとえ異動や退職後であっても、ある程度の責任追及が可能ですが、派遣社員の場合はそれが難しくなります。
さらに、重大な判断を要する場面で、派遣社員が責任を回避しようとする傾向が生じる可能性もあります。これは、自身の立場の不安定さや、プロジェクトへの帰属意識の低さから生じる問題です。
このような責任の所在の不明確さは、プロジェクトの円滑な進行を妨げ、最終的な成果物の品質にも影響を与える可能性があります。そのため、多くの企業が施工管理派遣の活用に慎重な姿勢を示す理由の一つとなっています。
派遣=コミットできないと思われがち
施工管理派遣に対する否定的な見方の一つに、派遣社員はプロジェクトに十分にコミットできないという認識があります。この見方は、派遣という雇用形態の特性から生じる懸念です。
まず、派遣社員は一般的に契約期間が限定されているため、プロジェクトの全期間を通じて関わることが難しい場合があります。そのため、長期的な視点でプロジェクトを捉え、最後まで責任を持って取り組むことができないのではないかという懸念が生じます。
また、派遣社員は派遣先企業の正社員とは異なり、会社への帰属意識が低いと思われがちです。そのため、プロジェクトの成功に対する熱意や、困難な状況での粘り強さが不足しているのではないかという見方があります。
さらに、派遣社員は複数の現場を転々とする可能性が高いため、特定のプロジェクトに深くコミットすることが難しいという認識もあります。建設プロジェクトは多くの場合、予期せぬ問題や困難に直面します。こういった状況下で、派遣社員が十分な当事者意識を持って問題解決に取り組めるかどうかが疑問視されることがあります。
このような認識は、必ずしもすべての派遣社員に当てはまるわけではありませんが、施工管理派遣を活用する上での一つの障壁となっています。派遣社員個人の能力や姿勢に関わらず、「派遣=コミットできない」という固定観念が、その活用を躊躇させる要因の一つとなっているのです。
現場特有の知識やノウハウの蓄積が難しい状況
施工管理派遣の課題として指摘されるのが、現場特有の知識やノウハウの蓄積の難しさです。建設現場では、一般的な施工管理の知識やスキルに加えて、その現場特有の情報や経験が極めて重要になります。
例えば、地域特有の地盤条件や気象条件、地元の協力会社との関係性、過去のトラブルとその対処法など、その現場でしか得られない貴重な情報が数多く存在します。これらの知識やノウハウは、長期間にわたって現場に関わることで初めて蓄積されるものです。
しかし、派遣社員の場合、一つの現場に長期間携わることが少ないため、これらの現場特有の情報を十分に吸収し、活用することが困難になります。また、仮に貴重な経験を積んだとしても、次の現場では全く異なる環境に直面する可能性が高く、その経験を十分に活かせない場合があります。
さらに、現場で得られた知識やノウハウを組織として蓄積し、次のプロジェクトに活かすという観点からも課題があります。派遣社員が得た情報は、契約終了とともに失われてしまう可能性が高く、組織的な知識の蓄積につながりにくいのです。
このような状況は、プロジェクトの効率性や品質の向上を妨げる要因となり得ます。現場特有の知識やノウハウの蓄積が難しいという点は、施工管理派遣の活用を躊躇させる大きな理由の一つとなっています。
社内の人材育成につながらない懸念が存在
施工管理派遣の活用に慎重な姿勢を示す企業の間で共通している懸念の一つが、社内の人材育成につながらないという点です。建設業界では、経験を通じた技術の習得と継承が極めて重要視されています。
派遣社員を活用することで、短期的には人材不足を解消し、プロジェクトを進行させることはできます。しかし、その一方で、自社の若手社員が経験を積む機会を奪ってしまう可能性があります。施工管理の技術やノウハウは、実際の現場で直面する様々な課題を解決していく過程で身につくものが多くあります。
また、ベテラン社員から若手社員への技術継承も、同じ会社の社員同士でこそ効果的に行えるものです。派遣社員が重要なポジションを占めることで、この技術継承の機会が失われる可能性があります。
さらに、社員のキャリアパスという観点からも問題があります。施工管理経験は、将来的に現場所長や工事部長などの重要なポジションに就くための必須の経験となります。派遣社員への依存度が高まると、社員がこれらの経験を積む機会が減少し、長期的な人材育成に支障をきたす可能性があります。
このように、社内の人材育成につながらないという懸念は、施工管理派遣の活用を躊躇させる大きな要因の一つとなっています。企業の将来を見据えた人材戦略の観点から、派遣活用には慎重な判断が求められているのです。
施工管理業務に派遣を使うメリット
施工管理業務における派遣の活用には課題もありますが、一方で重要なメリットも存在します。以下の4つのポイントは、派遣を活用することで得られる主な利点です。
- 人材不足への迅速な対応が可能
- 専門知識を持つ人材の即戦力として活用
- 繁忙期と閑散期の人員調整が容易
- 正社員採用のリスク軽減につながる
人材不足への迅速な対応が可能で工期遅延を回避
施工管理業務に派遣を活用する最大のメリットの一つは、人材不足への迅速な対応が可能な点です。建設業界では慢性的な人材不足が問題となっており、特に施工管理者の確保に苦心している企業が多く存在します。
派遣を利用することで、急なプロジェクトの立ち上げや、予期せぬ欠員が生じた際にも、速やかに必要な人材を確保することができます。正社員の採用プロセスには時間がかかりますが、派遣であれば数日から数週間程度で人材を確保することが可能です。
この迅速な人材確保は、工期の遅延を防ぐ上で極めて重要です。建設プロジェクトでは、一つの工程の遅れが全体のスケジュールに大きな影響を与えます。施工管理者が不在だと、作業の進行や品質管理に支障をきたし、結果として工期の遅延につながる可能性があります。
派遣を活用することで、このようなリスクを最小限に抑えることができます。例えば、急な退職や病気休暇などで人員が不足した場合でも、速やかに代替要員を確保し、プロジェクトを滞りなく進行させることが可能となります。
また、繁忙期に一時的に人員を増強する際にも、派遣は効果的です。正社員を雇用するほどの長期的な需要はないが、短期的に人手が必要な場合、派遣を利用することで柔軟に対応できます。
このように、人材不足への迅速な対応が可能となることで、工期遅延のリスクを大幅に軽減できるのが、施工管理業務に派遣を活用する大きなメリットの一つです。
専門知識を持つ人材の即戦力として活用可能
施工管理業務に派遣を活用する二つ目のメリットは、専門知識を持つ人材を即戦力として活用できる点です。派遣会社には、様々な経験や資格を持つ施工管理者が登録しており、プロジェクトの特性に応じた適切な人材を選択することができます。
例えば、特殊な工法を用いるプロジェクトや、特定の建築物に特化した経験が必要な場合、そのような専門知識を持つ人材を派遣社員として迎え入れることが可能です。これにより、社内で育成するのに時間がかかるような専門性の高い人材を、即座にプロジェクトに投入できます。
また、資格保有者の確保も容易になります。一級建築施工管理技士や一級土木施工管理技士などの国家資格は、取得に時間とコストがかかります。しかし、派遣を利用すれば、必要な資格を持つ人材をすぐに確保することができます。
さらに、派遣社員は多様な現場経験を持っていることが多く、その経験を活かして新しい視点や解決策を提供してくれる可能性があります。異なる企業での経験は、固定観念にとらわれない柔軟な発想につながることがあります。
このように、専門知識を持つ人材を即戦力として活用できることは、プロジェクトの質の向上や効率化につながる重要なメリットです。特に、自社にない専門性が必要なプロジェクトにおいて、派遣の活用は大きな武器となり得ます。
繁忙期と閑散期の人員調整が容易になる利点
施工管理業務に派遣を活用する三つ目のメリットは、繁忙期と閑散期の人員調整が容易になる点です。建設業界では、景気の変動や季節要因によって仕事量が大きく変動することがあります。この変動に合わせて柔軟に人員を調整できることは、経営効率を高める上で非常に重要です。
派遣を活用することで、繁忙期には必要な数だけ人員を増やし、閑散期には人員を減らすといった柔軟な対応が可能になります。正社員の場合、一度雇用すると簡単に減らすことはできませんが、派遣社員の場合は契約期間に応じて調整できます。
例えば、大規模プロジェクトの立ち上げ時期には多くの施工管理者が必要になりますが、工事が軌道に乗れば必要人数は減少します。このような場合、最初は多くの派遣社員を活用し、徐々に人数を減らしていくという戦略が取れます。
また、季節的な変動にも対応しやすくなります。積雪地域では冬季に工事が減少する傾向がありますが、そのような時期に合わせて派遣社員の数を調整することができます。
さらに、急な受注増加や予期せぬプロジェクトの発生にも、派遣を活用することで迅速に対応できます。正社員の採用には時間がかかりますが、派遣なら短期間で必要な人材を確保できるため、ビジネスチャンスを逃すリスクを軽減できます。
このように、繁忙期と閑散期の人員調整が容易になることは、企業の経営効率を高め、競争力を強化する上で大きな利点となります。
正社員採用のリスク軽減につながる戦略的活用
施工管理業務に派遣を活用する四つ目のメリットは、正社員採用のリスク軽減につながる点です。正社員の採用は、企業にとって長期的な投資であり、同時にリスクも伴います。派遣の活用は、このリスクを軽減しながら、適切な人材を見極める機会を提供します。
まず、派遣を通じて実際の業務能力や適性を見極めた上で、正社員への登用を検討することができます。いわゆる「試用期間」的な活用が可能となり、書類選考や面接だけでは分からない実務能力や職場との相性を、実際の仕事を通じて確認できます。
また、新しいプロジェクトや部署の立ち上げ時に、まずは派遣社員を活用してその必要性や効果を検証し、その後正社員化を検討するという段階的なアプローチも可能です。これにより、新規事業の失敗リスクを軽減しつつ、柔軟に人材戦略を立てることができます。
さらに、景気変動や業界の動向が不透明な場合、正社員の採用を控え、代わりに派遣を活用することで、固定費の増加を抑えつつ必要な人材を確保できます。この戦略は、経営の安定性を保ちながら、事業の拡大や縮小に柔軟に対応することを可能にします。
加えて、特定のスキルや経験が必要な場合、そのスキルを持つ派遣社員を活用することで、社内での人材育成にかかる時間とコストを節約することもできます。
このように、派遣の戦略的活用は、正社員採用に伴うリスクを軽減しつつ、適切な人材確保と効率的な人材活用を可能にする重要なツールとなります。
まとめ
施工管理業務における派遣の活用は、メリットとデメリットの両面があります。人材不足への迅速な対応、専門知識を持つ人材の即戦力としての活用、繁忙期と閑散期の柔軟な人員調整、正社員採用リスクの軽減など、多くの利点があります。
一方で、現場への理解不足、長期的な品質管理の難しさ、責任の所在の不明確さ、社内人材育成への懸念など、課題も存在します。
これらを踏まえた上で、各企業の状況や目的に応じて派遣の活用を検討することが重要です。短期的な人材確保だけでなく、長期的な人材戦略の一環として派遣を位置づけ、適切に活用することで、建設業界の人材課題解決の一助となる可能性があります。
派遣は万能の解決策ではありませんが、適切に活用すれば強力なツールとなり得ます。各企業が自社の状況を冷静に分析し、派遣のメリットを最大限に活かしつつ、デメリットを最小限に抑える戦略を立てることが、今後の建設業界における人材活用の鍵となるでしょう。