建設業退職金共済制度(建退共)は、建設業で働く方々の退職金を確保するための重要な制度です。しかし、様々な事情により、退職前に建退共の資金を受け取りたいと考える方もいるでしょう。本記事では、建退共の途中解約の可能性や手順、そしてそれに伴うデメリットについて詳しく解説します。
建設業に携わる方々や、その家族の方々にとって、建退共に関する正確な情報は非常に重要です。この記事を通じて、建退共の仕組みや途中解約に関する理解を深めていただければ幸いです。
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目次
建退共を途中でもらうことはできる?
建退共制度は、原則として建設業で働かなくなったときに退職金を受け取る仕組みです。しかし、特定の条件を満たす場合には、退職前でも建退共の資金を受け取ることが可能です。
まず、重要なのは掛金納付月数です。通常、24月分以上の掛金納付が必要です。ただし、死亡の場合は例外的に12月分以上あれば支給されます。
途中で建退共をもらえる主な条件としては、以下のようなものがあります。
- 独立して仕事を始めた
- 無職になって今後就職しない
- 建設関係以外の事業主に雇われた
- 建設関係の事業所の正社員になった
- けがや病気のため仕事ができなくなった
- 満55歳以上になった
- 本人が死亡した
これらの条件を満たす場合、建退共の資金を途中で受け取ることが可能です。ただし、これは厳密には「解約」ではなく、「退職金の支給」という扱いになります。
重要なのは、これらの条件に当てはまらない場合、原則として途中での受け取りはできないということです。例えば、単に資金が必要だからという理由では、建退共を途中で解約することはできません。
建退共を途中解約するための手順
建退共を途中で受け取るための手順は、状況によって異なります。ここでは、主な3つのケースについて、その手順を詳しく説明します。
- 独立や転職の場合の請求手順
- 55歳以上での請求手順
- 死亡の場合の請求手順
それぞれのケースについて、具体的な手順を見ていきましょう。
独立や転職の場合の請求手順
独立して仕事を始めた場合や、建設業以外の仕事に就いた場合の請求手順は以下の通りです。
まず、退職金請求書を入手し、必要事項を記入します。この請求書は建退共の各都道府県支部や本部で入手できます。
次に、請求事由に応じた証明が必要です。独立の場合は最後の事業主または事業主団体の証明、建設業以外への転職の場合は新しい事業主の証明が必要となります。
さらに、以下の書類を準備します。
- 共済手帳
- 住民票
- 請求事由を証明する書類
これらの書類を揃えたら、建退共の各都道府県支部または本部に提出します。書類に不備がなければ、通常1〜2ヶ月程度で退職金が支給されます。
退職金の受け取り方法は、口座振込みまたは支払通知書による現金受取を選択できます。口座振込みを選択する場合は、請求書に振込先の口座情報を記入します。
55歳以上での請求手順
55歳以上での請求は、比較的簡単に行うことができます。手順は以下の通りです。
まず、他のケースと同様に退職金請求書を入手し、必要事項を記入します。
次に、55歳以上であることを証明する必要があります。これには以下の2つの方法があります。
- 請求時の事業主の証明
- 住民票の提出
どちらか一方を選択し、証明を受けるか書類を準備します。
さらに、以下の書類を準備します。
- 共済手帳
- 住民票(事業主の証明を受ける場合も必要)
これらの書類を建退共の各都道府県支部または本部に提出します。55歳以上での請求は、他のケースに比べて審査が比較的スムーズに行われることが多いです。
ただし、55歳以上であっても、24月分以上の掛金納付が必要であることに注意してください。この条件を満たしていない場合は、請求が認められません。
死亡の場合の請求手順
建退共加入者が死亡した場合、遺族が退職金を請求することができます。その手順は以下の通りです。
まず、遺族の代表者を決める必要があります。通常、配偶者や子供、親などが該当します。代表者が決まったら、以下の書類を準備します。
- 退職金請求書(死亡の場合)
- 共済手帳
- 死亡診断書または死体検案書の写し
- 戸籍謄本(死亡者と請求人の関係を証明するもの)
- 請求者の住民票
これらの書類を揃えたら、建退共の各都道府県支部または本部に提出します。書類に不備がなければ、通常1〜2ヶ月程度で退職金が支給されます。
なお、死亡の場合は12月分以上の掛金納付があれば支給されるという特例があります。これは他のケースよりも条件が緩和されているため、注意が必要です。
また、死亡の原因が業務上の事由による場合は、労災保険との調整が必要になる場合があります。この場合、労災保険の請求手続きも並行して行う必要があるため、注意が必要です。
建退共を途中解約するデメリット
建退共を途中で解約することには、いくつかのデメリットが存在します。ここでは、主な4つのデメリットについて詳しく説明します。
- 受取額の減少
- 税金面での不利益
- 将来の保障の喪失
- 再加入の制限
これらのデメリットについて、具体的に見ていきましょう。
受取額の減少
建退共を途中で解約する最大のデメリットは、受取額の減少です。建退共の退職金額は、掛金の月額と納付期間によって計算されます。途中解約の場合、納付期間が短くなるため、受け取れる金額が大幅に減少します。
例えば、20年間継続して加入した場合と、10年で途中解約した場合では、受取額に大きな差が生じます。具体的な数字で言えば、20年継続の場合約265万円(2023年4月現在の試算)受け取れるのに対し、10年で解約すると約102万円程度になってしまいます。
さらに、途中解約の場合、解約時の年齢や就労状況によっては、掛金の一部しか受け取れない可能性もあります。特に、加入期間が短い場合はこの影響が大きくなります。
また、建退共では掛金に対して付加金が加算されますが、途中解約の場合はこの付加金が減額されたり、場合によっては付かなかったりすることがあります。
このように、途中解約は将来的に受け取れるはずだった退職金を大きく減少させてしまう可能性があります。そのため、緊急の資金需要がある場合でも、他の選択肢を十分に検討してから決断することが重要です。
税金面での不利益
建退共を途中で解約する際のもう一つの大きなデメリットは、税金面での不利益です。通常、退職金には退職所得控除という特別な控除が適用され、税負担が軽減されます。しかし、途中解約の場合、この控除が適用されない可能性があります。
具体的には、以下のような税金面での不利益が考えられます。
まず、退職所得控除が適用されない可能性があります。退職所得控除は勤続年数に応じて増加しますが、途中解約の場合、この控除が適用されない可能性が高くなります。
次に、一時所得として課税される可能性があります。退職所得ではなく一時所得として扱われる場合、税率が高くなる可能性があります。一時所得の場合、収入から50万円を控除した金額の半分に対して、所得税と住民税が課税されます。
さらに、社会保険料の負担が増加する可能性もあります。受け取った金額によっては、健康保険や介護保険の保険料が増加する可能性があります。
加えて、住民税の計算にも影響を与える可能性があります。翌年の住民税の計算において、この一時的な収入が考慮される場合、税額が増加する可能性があります。
これらの要因により、途中解約時に受け取る金額の実質的な手取り額が、想定よりも大幅に少なくなる可能性があります。税金面での影響を十分に考慮し、専門家に相談するなどして慎重に判断することが重要です。
将来の保障の喪失
建退共を途中で解約することの三つ目のデメリットは、将来の保障の喪失です。建退共は、建設業で働く人々の老後の生活を支える重要な制度です。これを途中で解約することは、将来の経済的安定性を損なう可能性があります。
具体的には、以下のような影響が考えられます。
まず、老後の生活資金の減少が挙げられます。建退共は、長年の勤務に対する報酬として退職後の生活を支える役割を果たします。途中解約によりこの資金が減少すると、老後の生活水準に影響を与える可能性があります。
次に、インフレーションへの対応力が低下します。長期的に積み立てられる退職金は、インフレーションに対する一定の保護機能を持っています。途中解約により、この保護機能が失われる可能性があります。
さらに、予期せぬ出費への対応力が低下します。退職金は、退職後の予期せぬ出費(医療費など)に対する備えとしても機能します。途中解約により、このような不測の事態への対応力が低下する可能性があります。
加えて、建設業界での継続的な就労の証明としての機能も失われます。建退共の加入履歴は、建設業での長年の就労を証明する一つの手段となっています。これを途中で解約することで、この証明機能が失われてしまいます。
将来の経済的安定性を確保するためには、可能な限り建退共を継続することが望ましいと言えます。途中解約を検討する際は、将来の生活設計全体を見直し、慎重に判断することが重要です。
再加入の制限と将来の機会損失
建退共を途中で解約することの四つ目のデメリットは、再加入の制限と将来の機会損失です。一度建退共を解約すると、その後再び建設業に従事しても、新たに建退共に加入できない場合があります。
具体的には、以下のような制限が設けられています。
まず、長期未就労を理由に解約した場合の再加入制限があります。建設業から2年以上離れたことを理由に解約した場合、その後再び建設業に戻っても建退共に再加入することはできません。これは、制度の安定性を保つための措置ですが、将来的に建設業に戻る可能性がある場合は大きなデメリットとなります。
次に、加入可能年齢の制限があります。建退共には加入可能年齢の上限があり、通常は65歳未満とされています。途中解約後、この年齢を超えてしまうと、再加入の機会を永久に失ってしまいます。
さらに、掛金の納付月数による制限もあります。再加入する場合、過去の掛金納付月数は引き継がれません。つまり、長年積み立ててきた月数がリセットされ、ゼロからのスタートとなります。これは、将来受け取る退職金額に大きな影響を与えます。
加えて、建設業界の景気変動による影響も考慮する必要があります。建設業は景気の影響を受けやすい産業であり、一度業界を離れると、再び良い条件で戻ることが難しくなる可能性があります。その結果、建退共への再加入の機会を失うだけでなく、建設業での karriaキャリア形成の機会も失われる可能性があります。
このように、建退共の途中解約は、単に現在の退職金を受け取るだけでなく、将来の可能性も制限してしまう可能性があります。特に、若い世代や将来的に建設業での長期的なキャリアを考えている人にとっては、慎重に検討すべき選択肢です。
再加入の制限は、将来の経済的安定性や建設業でのキャリア形成に大きな影響を与える可能性があります。そのため、途中解約を検討する際は、現在の経済状況だけでなく、将来のキャリアプランも含めて総合的に判断することが重要です。
また、建設業界の動向や自身のスキル、年齢なども考慮に入れる必要があります。一度業界を離れると、技術の進歩についていけなくなったり、新しい規制に対応できなくなったりする可能性もあります。
したがって、建退共の途中解約は、短期的な利益と長期的なリスクを慎重に比較検討した上で決断する必要があります。可能な限り継続することが、将来の安定と機会の確保につながると言えるでしょう。
まとめ
建退共(建設業退職金共済制度)は、建設業で働く人々の将来を支える重要な制度です。途中解約は可能ですが、特定の条件を満たす必要があり、さまざまなデメリットも存在します。
主なデメリットとしては、受取額の減少、税金面での不利益、将来の保障の喪失、再加入の制限などが挙げられます。これらは、単に現在の経済状況だけでなく、将来のキャリアや生活設計にも大きな影響を与える可能性があります。
途中解約を検討する際は、現在の経済的必要性と将来の安定性のバランスを慎重に検討することが重要です。可能な限り継続することが、長期的な視点では最も有益な選択肢となる場合が多いでしょう。
ただし、個々の状況は異なるため、必要に応じて専門家や建退共の窓口に相談し、自身の状況に最適な判断を下すことが大切です。建退共は建設業で働く人々の大切な資産であり、その取り扱いには十分な注意と検討が必要です。